リン・ヤオ(鋼の錬金術師)の徹底解説・考察まとめ

リン・ヤオとは『鋼の錬金術師』に登場するキャラクターで、物語の舞台であるアメストリスの東側にある大国・シンの第12皇子。次期皇帝争いで優位になるべく、臣下のランファン、フーを連れて伝説の賢者の石を求めてアメストリスに入国した。主人公のエルリック兄弟、国家錬金術師のロイ・マスタングらと協力する中、アメストリス国内で暗躍するホムンクルスと遭遇。その内の1体であるグリードに取り込まれるも自我を保ち、利害の一致や相互理解を経て共闘。ホムンクルスの黒幕である「お父様」の野望を阻止するために活躍した。

「約束の日」当日

迎えた「約束の日」当日、お父様の計画を阻止するため中央司令部の制圧作戦に参加し、部下であるフーや共闘関係にあるブリッグズ要塞の軍人らと共に中央兵と戦闘をしていた。しかし、中央兵にブラッドレイが加勢した途端、情勢が悪化。大事な部下であるフーの犠牲をもってブラッドレイを中央司令部から退けることに成功した。

友軍に助けを求めるも、「賢者の石の力を医療のために使う」技術を持つ者が1人もいなかった。賢者の石が自分の身体の中にあるに関わらず、大事な部下の命を救えない事実に直面し、「自分が求めていた不老不死とは違う」と絶望する。

同じくブラッドレイの戦線離脱を助け、犠牲となったブリッグズ要塞の軍人であるバッカニアからの依頼に応えるべくグリードの力を借りて奮戦。ブリッグズ側に協力することとなった。

国土錬成陣・逆転の国土錬成陣発動後

全てが終わり、ランファン、メイとともにシンに帰るリン

中央司令部での戦闘中、国土錬成陣発動のタイミングが近づいていることを知ったグリードが、「お父様の欲するものを自分の物にしたい」という野望を叶えるべくリンの身体の主導権を握る。その間にお父様が国土錬成陣と、その力を抑える逆転の国土錬成陣が発動。お父様対人類の戦闘に入っていた。

この戦闘の中でお父様の中にある賢者の石が尽きかけ、エネルギー回復のためグリードの賢者の石を求めるようになる。この際、リンは不老不死の法を皇帝に献上すべく、共にシンに戻ってもらわないといけないと懇願。いつしか新たな“仲間”となっていたリンやエドワードたちの奮戦と、これからも共に在り続けようという意志に感じ入ったグリードは、「分かった、一緒に戦おう」とリンに呼びかける。しかしようやく本当の意味で仲間になれたとリンが安堵した刹那、その隙をついてグリードは彼の体から離脱。「2度と仲間を失いたくない」と考えたグリードが口にした、たった1度の嘘だった。
呆然としているリンをその場に残してグリードはお父様に突撃し、人類の勝利のために命を散らす。彼の犠牲もあり、ついにお父様は力尽き、アメストリス全土を巻き込んだ謀略は終焉を向かえるのだった。

同時に彼の部下であるランファンが、セントラル郊外で元国家錬金術師でホムンクルス側についていたキンブリーが所有していた賢者の石を持っていることを知る。

ランファンから賢者の石を受け取り、彼と同じく不老不死の方を求めてアメストリスに来ていたシン第17皇女のメイ・チャンと合う。アメストリス、そしてグリードと共に過ごした経験から、部族間で争うのではなく、チャン族を受け入れ守る選択をする。そしてランファンとメイ、フーの亡骸と共に祖国に戻った。

祖国に戻り、リンは皇帝となったことが最終話の写真でわかる。

リン・ヤオの関連人物・キャラクター

ランファン

普段素顔は仮面で隠している

リンの臣下の一人で、女性。年齢はリンと近い。主君であるリンを侮辱されると激昂してしまい、未熟さも残っている。ただ、「リンを守る」という任務には非常に忠実である。

その忠実さが強く出ているのがセントラルでホムンクルス捕獲計画を行ったときのランファンの動きである。

ブラッドレイとグラトニーとの戦闘で重傷を負い、リンがランファンを担ぎながら戦闘を行うことになってしまった。リンの足手まといになってしまうことを懸念したランファンは、自身の左腕を切り、野良犬にくくりつけることでブラッドレイとグラトニーを離すことに成功。リンの目的達成のために自身の身体を犠牲にした。

切断した左腕の治療および作中でメジャーな金属製の義手・機械鎧に慣れるため、一度リンの元から離れる。その後、「約束の日」直前に機械鎧を装着した状態でリンの元に戻ってきた。その後はリンとともに行動し、皇帝になった後もリンの護衛を務めている。

フー

リンの臣下の一人で、ランファンの祖父。武道を極めているからか自身にも他人にも非常に厳しい性格である。

護衛としての務めだけでなく、マスタング一派と組んだ際の作成の一環として、彼ら自身がアメストリス入国の際に使ったコーディネーターを紹介するなど裏方としても活躍した。

無骨さがある一方で、情に厚い性格である。マスタング一派と組んでマリア・ロスをシンに逃がす際は彼女に同行し、逃亡先であるシンでの生活環境も整えた。またランファンが自らの左腕を犠牲にした際は、家族として彼女を悼んでいる。

「約束の日」当日、中央司令部で対峙したキング・ブラッドレイの戦闘力に圧倒される。皇帝になるという夢を必ずかなえてほしいとリンに伝え、決死の突撃を行い死去。お父様との戦闘を終えた後に、亡骸ではあるもののリンやランファンとともに祖国に戻った。

グリード(2代目)

原作では、グリードが主導権を握っているとシン国出身者独特の語尾のカタカナがなくなる

アメストリスの南部にあるダブリスにて行動していたホムンクルス・グリードが一度お父様の体の中に戻り、再度実体化した際にリンの身体を乗っ取ったもの。通常、お父様が身体も提供するのだが、今回に関しては人間に賢者の石を流して人格を上書きしている。ダブリス滞在時のグリードの頃の記憶はなくなっているため、リンの身体を乗っ取っていた以降の彼については「2代目グリード」と表記する。

リンの身体を乗っ取り復活した際、リンの魂と会話をしている。この時に「グリードを受け入れる」と言い切ったリンに興味を抱き、そのまま彼の身体を乗っ取る。しかしそれでもなお自我を保ち、虎視眈々と肉体を奪い返さんとするリンの意志の強さを、グリードは「面白い」と評価。それ以降、「リンの見た目をした2代目グリード」として物語に深くかかわっていく。

なお公式ではダブリス滞在時のグリードと本稿で紹介するグリードに明確な区分はない。ファンや作品関係者の間では前者をグリード、後者を作中でエドワードが命名した「グリリン」と分けて呼ぶことが多い。ただ、本稿ではあくまでグリードのみにフォーカスしていること、また記憶の消去により別人格と考えられるため、便宜上「2代目グリード」としている。

リン本人もグリードの強欲さから影響を受けている部分があるが、2代目グリード自身もリンから影響を受けている部分がある。それが最も強く出ているのがお父様との最終決戦の際のやりとりである。

この最終決戦で、嘘をつかないことを信条としているグリードが最初で最後の嘘をついた。それは賢者の石を求めたお父様にリンが吸収されることを防ぐためであり、魂の友であるリンを守るための行動であった。

メイ・チャン

アメストリス国に入ってから自己紹介をしている

シン国第17皇女で、チャン族の錬丹術師。リンにとっては後継者争いのライバルである。

チャン族はリンの部族よりも地位が弱く、少しでも自分の部族の地位をあげるべくアメストリスへ単身渡る。傷の男(スカー)や彼とともに行動する元軍人で医者のティム・マルコーらと一緒に動くことが多かったこともあり、直接リンと対峙する機会は少なかった。アメストリス国内でリンとメイが会ったのは約束の日の戦闘時のみである。

エドワード・エルリック

右側がエドワード

本作の主人公であり、錬金術師。ラッシュバレーにて、弟のアルフォンスが行き倒れていたリンを拾ったことで接点を持った。

リンは彼らと会話を交わした際に彼らが非常に有能な錬金術師で、賢者の石について何か知っていると感じた。そのため、「彼らについていけば賢者の石の手がかりが得られる」と判断してアメストリス入国以降行動を共にするようになる。その中で幾多の窮地と苦難を共に潜り抜け、次第に強い絆で結ばれた仲間となっていった。

賢者の石のヒントでもあるホムンクルスの捕獲作戦を彼らと協力して実施。グリードを取り込んだ後、ホムンクルス側から離反して以降はエドワードとその関係者と共に行動することが多かった。

アルフォンス・エルリック

本作の主人公であり、錬金術師。ラッシュバレーにて行き倒れていたリンを拾ったことで接点を持った。

アルフォンスは鎧に魂を定着させており、鎧の中は空である。リンは、このやり方で様々なものに魂を移し続けていれば不老不死になるのではないかと、アルフォンスに情報提供を求めたことがある。しかし、アルフォンスは魂の定着は決して不老不死ではなく、リスクがあるやり方だとリンの意見を否定している。

ホムンクルス捕獲作戦から「約束の日」まで、リンはセントラル、アルフォンスはセントラル以外の地域を転々としており、接点は少ない。

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