わんわん物語(ディズニー映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『わんわん物語』とは、1955年アメリカで制作・公開されたディズニーのオリジナルアニメーション映画である。監督はウィルフレッド・ジャクソン、ハミルトン・ラスク、クライド・ジェロニミ。続編に2001年制作のビデオ作品『わんわん物語2』がある。2020年には実写映画が制作・配信された。監督はチャーリー・ビーン。プロデューサーはブリガム・テイラー。アメリカンコッカースパニエルのお嬢様犬レディと自由気ままなノラ犬トランプのラブロマンス、犬にとっての幸せとは何かが描かれている。

トニー

中央でメニューを持つ男性がトニー。

CV:ジョージ・ギボット/中村哲1956年、熊倉一雄(台詞)1989年、池田直樹(歌)1989年

犬好きすぎてトランプの言葉がわかるようになったイタリアンレストランの店主。レディとトランプのために、バンドネオンを演奏しながらカンツォーネ調で「ベラ・ノッテ」を歌い上げる。

ジョー

CV:ビル・トンプソン/市村俊幸1956年、はせさん治(台詞)1989年、加賀清孝(歌)1989年

トニーの部下、「あんたがボスだ」と半ば投げやりに犬好きが過ぎるトニーの指示をきいている。「ベラ・ノッテ」ではトニーの歌に合わせてマンダリンを演奏する。

『わんわん物語』の用語

鑑札

飼い犬たちの首輪に光る鑑札

劇中で大きな役割を持つ犬の鑑札。レディがジムに鑑札付きの首輪をもらった直後に親友のジョックから「信頼と尊敬の印だよ」とお祝いされている。飼い犬たちの誇りともいえるアイテム。レディがノラ犬収容所に捕まった際には、ノラ犬たちから羨ましがられる。ノラ犬ボリスは「牛の前で赤旗を振るようなものだ」と言い、ペグは「自由へのパスポート」と表現している。日本の犬の鑑札と同様、飼い犬が迷子になっても、鑑札から確実に飼い主のもとに戻すことができる。

タフガイ

ノラ犬トランプの呼び名。イタリアンレストランの店主トニーと料理人のジョーが親しみを込めて呼ぶ。タフガイとは、精神・肉体ともに頑丈な男性のこと。日本では俳優石原裕次郎がタフガイの愛称で知られる。1880年代からイタリア系移民はアメリカの文化風習に自分たちのアイデンティティを残したまま溶け込むこむ努力をしていた。力強く生きるノラ犬トランプを、自分たちに重ねているような名づけだ。

こばとちゃん

トランプがレディを呼ぶときの愛称。トランプはレディの名前を知らないため、劇中では「こばとちゃん」「かわいこちゃん」など愛称を使っている。

アキレス腱

トランプのアキレス腱。劇中では、ノラ犬収容所のトランプの仲間たちがトランプの弱点として、「トランプのアキレス腱は女」と言い切る。絶対捕獲員に捕まらないトランプもきれいな女の子にぼーっとしていれば捕まるだろうと仲間たちのお墨付き。

『わんわん物語(ディズニー映画)』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ジョック「人間はもっと優しい」

赤ちゃんが生まれるディア家でいつもと違う様子に戸惑うレディに追い打ちをかけて怖がらせるトランプ。トランプが大げさなジェスチャーをしながら「赤ちゃんが生まれたら、エサは牛肉から赤ちゃんの食べ残し、暖炉のそばから雨の漏る犬小屋へ」と言うと、ジョックは怒って「人間はもっと優しい」と言った。大事な友人のレディを傷つけられた怒りと飼い主を侮辱された怒りが相まって、強い口調、表情でうなるように絞り出した言葉。ジョックの飼い犬としての誇りも感じられる。映画の中のことながら、ペットを飼ったことのある人は特に飼い主としての責任を改めて認識するだろう。動物たちは飼い主を信頼してくれている。飼い主のライフステージの変化に左右される場面でも、ペットを思いやる気持ちをもつことを思い起こさせる。犬たちの幸せを願う映画ならではのセリフだ。

レディとトランプがイタリアンレスランでスパゲッティを食べながらキスするシーン

家出したレディがトランプとデート中、トニーのレストランでスパゲッティを食べながらキスしてしまうシーン。イギリスのTotal Film誌が選出した「映画史に残る最高のキスシーン50」で第8位に選ばれている。

ブル(トランプ)「結局、生きてるうちが花なのさ」

ノラ犬収容所でナッツィが連れていかれるのを見送ったあと、レディがノラ犬たちに「彼はどうなるの」と聞くと、しんとした空気を破るようにブルが「結局、生きてるうちが花なのさ」と言った。トランプがいつも言っている言葉だと伝える。レディとトランプの関係を知らないブルが彼のセリフを口にするあたり、彼にとってトランプが第三者にも自慢できる存在であることがわかる。また、収容所で飼い主が特定できない場合、近いうちに処分が待っていることを知りながら明るくふるまう悲しいセリフでもある。人間の世界でも立場を問わず古くから使われてきたセリフ。懸命に生きることを考えさせられる。

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