眠れる森の美女(ディズニー映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『眠れる森の美女』とはシャルル・ペローによる同名童話を原作とし、1959年に公開されたディズニー制作の長編アニメーション映画である。ある国に誕生した王女が魔女から呪いを受けることから物語は始まり、妖精の助けを借りながら王子が数々の困難を乗り越え愛のキスにより王女を呪いから救い出す。おとぎ話を原作としたこの作品は優雅で美しい音楽と鮮やかな色彩に彩られ、王道でロマンチックなファンタジー映画である。
『眠れる森の美女』の概要
『眠れる森の美女』(原題:Sleeping Beauty)とは、ヨーロッパの古くから伝わる民話をフランスの詩人シャルル・ペローが童話集にまとめた同名『眠れる森の美女』を原作として、ディズニーが長編アニメーション映画にしたものである。
1959年1月29日にアメリカで公開され、日本での公開は1960年7月23日。その後1970年、1979年、1986年と再公開されている。
ウォルト・ディズニーが関わる童話を原作とした作品では最後のものになるが、同時期にディズニーランドの建設と運営などが重なり実際は制作にはあまり関わっていない。
総監督であるケン・ピーターソンはピョートル・チャイコフスキーのバレエ音楽を使うことを決めており、音楽担当のジョージ・ブランズが編曲し見事に作品と調和させた。また色彩も鮮やかで重厚な背景、アートのようなシーンの数々は多くのスタッフと多額の費用をかけて制作された。
ヒロインであるオーロラ姫は「ディズニープリンセス」の一人として数えられ、美しく輝く金髪とバラのように赤い唇を持った美しい王女として描かれており、子供から大人まで幅広い層に人気のキャラクターである。
呪いをかけられたオーロラ姫は妖精の協力により身を隠すものの、魔女であるマレフィセントに見つかり永い眠りにつくことになる。それを知った王子はオーロラ姫を救うべくマレフィセントに立ち向かい困難を乗り越え、愛のキスにより呪いを解くという、おとぎ話の王道である。
また登場人物も個性的な魅力がある。随所にキャラクターの魅力を感じさせるコミカルなシーンも多い。
その対となっているのがヴィランズであるマレフィセントである。残酷で恐ろしく、容赦のない悪役像はディズニー・ヴィランズのトップに君臨する。またマレフィセントを主人公としたスピンオフ作品『マレフィセント』も作られ、日本では1作目が2014年7月5日公開。2作目『マレフィセント2』は2019年10月18日に日米同時公開されるほど人気がある。
ナレーターは原語版をマービン・ミラーが務めており、日本語版は1960年公開版は不明だが、1995年版は佐々木勝彦が務めている。
物語の読み聞かせのように本を開く場面から始まり、最後は本を閉じることで終始物語の世界に入り込めたような没入感を味わえる作品となっている。
『眠れる森の美女』のあらすじ・ストーリー
王女の誕生
ある国のステファン王とリア王妃は子供に恵まれない日々が続いていたが、とうとう待望の王女が生まれた。2人は自分たちの暮らしを明るく照らしてくれる存在として「夜明けの光」という意味のオーロラと名付けた。
お城には国中から多くの人がお祝いに駆けつけ、古くからの友人である隣国の王ヒューバートと王子のフィリップもお祝いに来ていた。この時フィリップは未来の花嫁となる赤子のオーロラに会った。
そして3人の妖精が紹介のファンファーレとともに舞い降りて、オーロラにそれぞれ贈り物をする。1人目のフローラは美しさを、2人目のフォーナは美しい歌声を贈った。
3人目のメリーウェザーが贈り物を贈ろうとしたとき、突如城の扉が開き不穏な風が吹いてきた。
扉が開かれ雷とともに姿を現したのは招かれざる客、魔女であるマレフィセントだった。祝いの場に呼ばれていないことに怒りを見せたマレフィセントは、王女に「16歳の誕生日の日が沈むまでに糸車の針に指を刺し死ぬ」という呪いをかける。王と王妃は嘆き悲しむが、メリーウェザーが最後の贈り物として「死ぬのではなく、しばらくの間深い眠りにつくだけ。そして心から愛する人のキスで呪いは解けて、眠りから覚めるのです」と希望を贈った。
16歳の誕生日
メリーウェザーが希望を残したが、ステファン王はそれでも安心できず国中の糸車を集め燃やした。しかしフローラは「あんなことしても無駄なのに!」と言って、3人の妖精はどうやってオーロラを守るか話し合った。
そこでフローラが提案したのが森の奥で人間の姿になり、オーロラの身分を隠して育てるというものであった。
王と王妃は身を引き裂かれる思いで赤子のオーロラを見送ることにした。そうして3人の妖精はオーロラが16歳になるまで森の奥でひっそりと暮らすこととなった。
それから16年の歳月が流れ、オーロラが城へ帰る日である16歳の誕生日がやってきた。
マレフィセントは16年間探しても見つからないことに苛立ち、自身の居城である魔の山に雷を落としていた。手下であるグーン達に詰め寄ると16年間赤ん坊を探していたことを知り、とうとう使い魔であるカラスのディアブロにオーロラを探し出すことを言いつけた。
その頃妖精の3人は内緒でオーロラへのプレゼントを用意するため相談していた。オーロラは妖精の贈り物の通り、美しい娘に成長していた。
妖精たちはイチゴを摘んできてと用事を言い、誰とも話してはいけないと念を押しながら家から出した。それはマレフィセントに見つからないようにするためであった。
そしてフローラはドレスを、フォーナはケーキを作ることになった。メリーウェザーは魔法を使おうと主張するが、マレフィセントに見つかってはいけないと魔法は頑なに使おうとはしなかった。
一方、森の中では一人の青年が白い馬にまたがり歩いていた。するとどこからか美しい歌声が聞こえてくる。オーロラが歌っていたのだ。その歌声に惹かれ声の主を探そうと、嫌がる馬のサムソンを人参で釣り、森の中を駆けていった。その人物こそがオーロラが生まれたときに一度やってきた婚約者のフィリップ王子だった。
オーロラは美しい歌声を響かせながら森の動物たちと戯れていた。オーロラはもう16歳になるというのにフローラたちが知らない人と話すこともさせてくれず、過保護すぎると不満を持っていた。
そして王子と踊るロマンチックな夢を見て、愛を求めていた。森の動物たちに見た夢を語りながら、オーロラは歌い踊る。その様子をみつけた王子はオーロラとともに歌い踊り出す。オーロラは驚き警戒しながらも徐々に王子に惹かれていく。お互いにお互いの素性も知らないまま2人は恋に落ち、同じ日の晩、オーロラの家でまた会うことを約束し別れた。
眠り姫
16歳の誕生日にオーロラへのプレゼントを作っていた妖精たちだが、ドレスもケーキも出来はひどいものだった。
メリーウェザーはこれ以上黙っていられないと魔法の杖を出し、魔法を使うことを迫った。フローラもフォーナも仕方なく魔法を使うことにし、家じゅうの扉や隙間を埋め、魔法が外に漏れないよう注意を払った。
そして引き続きフローラはドレスをフォーナはケーキを作り、メリーウェザーは掃除をすることになったが、フローラとメリーウェザーはドレスの色でけんかを始める。
魔法でピンクとブルーにドレスの色を順々に変えていくが徐々にヒートアップし、魔法は暖炉を通りピンクとブルーの色が煙突から噴き出した。その光は遠くまで届き、マレフィセントの使い魔のディアブロに見つかってしまうこととなった。
そこへオーロラが家に帰ってきた。プレゼントのドレスとケーキを見てオーロラは大喜びする。そして森で出会った青年の話をするが、3人に反対されてしまう。とうとう自分が王女で、婚約者がいることを知らされたのだ。
今夜お城に戻ることを告げられても、オーロラは受け入れることが出来ず泣き伏してしまう。
その頃お城ではオーロラが戻ってくることでお祝いの準備がされ、ステファン王とヒューバート王はオーロラが帰ってくることを心待ちにし宴が開かれていた。フィリップ王子も一度お城に帰ってきたが、愛する人と結婚すると言い残し、またお城を出て行ってしまった。ヒューバート王はステファン王になんと伝えるか頭を抱えてしまった。
日が沈みかけた頃、オーロラと妖精たちはお城へとたどり着いた。オーロラは今だ悲しみに暮れ、フローラはオーロラをひとり部屋に残した。しかしその隙に怪しい緑の光がオーロラを連れ出し、魔法で生み出した糸車の所まで誘う。
そしてついに針に指を刺してしまった。異変に気付き追ってきた3人だったが、すでに遅くマレフィセントの足元で倒れているオーロラを見つけ、マレフィセントは高笑いしながら消えていくのだった。
妖精たちはオーロラをベッドに寝かせ涙を流すが、王たちを気の毒に思い、オーロラが目覚めるまで城中の者を魔法で眠りにつかせた。
フローラがヒューバート王を眠らせようとした時、王が眠りにつきながら王子の話をステファン王にしようとする。それを聞いたフローラは、オーロラが恋に落ちた相手は婚約者のフィリップ王子であることに気が付く。
そして夜にフィリップが家に来ることを思い出しフォーナとメリーウェザーを連れて急いで森の中へ帰っていく。
真実の愛のキス
夜になるとフィリップは森の奥の小さな家を訪ねた。家の中に入るとマレフィセントが待ち伏せしており、フィリップは捕らえられてしまう。
一足遅く3人の妖精がたどり着いた時にはマレフィセントも王子の姿もなかった。そこには帽子だけが落ちていて、フィリップがさらわれたことに気づいた3人はマレフィセントのいる魔の山に向かうことを決意した。
マレフィセントの城では魔物たちが祝い踊り、マレフィセントは王子を幽閉している牢へ向かう。そっと侵入していた3人の妖精はマレフィセントについて行き、フィリップの居場所を突き止めることに成功した。
そして隙を見て助け出し、フローラはフィリップに真実の剣と美徳の盾を与えた。牢を出たのも束の間で、気配を感じていたディアブロが仲間を引き連れ襲い掛かってきた。
さらにマレフィセントに知らせようと飛んでいくディアブロをメリーウェザーが追い、とうとう石像に姿を変えた。それを見つけたマレフィセントは怒り手下を向かわせるが、フィリップ王子は妖精たちの力を借りながら試練を乗り越えオーロラの眠る城へ向かう。
そうはさせまいとマレフィセントは茨でオーロラのいる城を囲み行く手を阻んだ。それでも茨に立ち向かい突き進む王子を見てマレフィセントは巨大なドラゴンに姿を変え襲い掛かった。
マレフィセントは炎を吐きフィリップを追い詰めていく。フローラは最後に剣に魔法をかけ、その剣をマレフィセントの心臓に突き刺した。マレフィセントは叫び声をあげ崖から落ち、消滅した。
城の茨が消えていき、王子は眠るオーロラの元へ向かった。そしてそっとキスをするとオーロラはゆっくりを目を開け、静かにほほ笑んだ。
城中にかけられていた魔法も解け、人々は次々と目を覚ましていった。2人の王も目を覚まし、ヒューバート王は話の続きをしようとするが、そこでラッパが鳴り響く。
階段を腕を組んで降りてきたのはオーロラ姫とフィリップ王子だった。そしてオーロラは王妃と抱き合い、ステファン王と3人で再会を喜んだ。
驚くヒューバート王にオーロラは挨拶のキスをすると、フィリップ王子と手を取り合いワルツを踊る。3人の妖精は踊る2人を眺め幸せに浸るのだったが、フローラがドレスがブルーであることに気づき、ピンクに変える。
それに気づいたメリーウェザーがまたもブルーに色を変え、最後までドレスの色を変えていった。そしてオーロラ姫とフィリップ王子は結婚しいつまでも幸せに暮らしたのだった。
『眠れる森の美女』の登場人物・キャラクター
主人公
オーロラ/ブライア・ローズ
CV:メアリー・コスタ(原語版)/ 1960年公開版 高田敏江/牧三都子(歌唱シーンのみ)/1995年公開版 すずきまゆみ
本作のヒロイン。待望の王女として国中から誕生を祝われる。
妖精から美貌と美しい歌声を贈られたが、マレフィセントから恐ろしい呪いを受けてしまう。
身を隠すためお城を離れ、自分がプリンセスだとは知らされずに「ブライア・ローズ」と名を変えて、森の奥の小さな家で3人の妖精に育てられる。だが、子ども扱いされるのを不満に思っている。
王子と出会い恋に落ちる夢を見るが自身が王女とは思っておらず、憧れの眼差しでお城を眺めている。
森の中で夢で見た王子と出会い恋に落ちるも今度は相手が王子とは思わず、妖精たちに紹介しようとするが自身が王女であることを知らされ敵わぬ恋を嘆き、お城に戻ってからは悲しみに暮れていた。
森の中で踊り歌う姿は優雅で美しく、観る者を魅了する。
3人の妖精
フローラ
CV:ヴェルナ・フェルトン(原語版)/1960年公開版 長岡輝子/1995年公開版 麻生美代子
3人の妖精の中でリーダー的存在。
オーロラを森で育てることを提案したり、誕生日の日はそれぞれに指示したりなど発言力と行動力がある。
ピンクが好きで自身のカラーも赤を基調としており、オーロラのドレスを最後までピンクに変えた。
フォーナ
CV:バーバラ・ジョー・アレン(原語版)/ 1960年公開版 長倉茂子/1995年公開版 京田尚子
3人の妖精の中で一番おっとりとした性格をしていてマイペースな所がある。
フローラとメリーウェザーかケンカしだすと仲裁に入る。
赤ん坊のオーロラの世話を楽しみにしたり、ケーキを作りたがったりと得意かはさておき家庭的な所がある。
緑をベースとした服を着ている。
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『プリンセスと魔法のキス』とはウォルト・ディズニー・スタジオが制作した2Dアニメーション・ファンタジー・ミュージカル映画。原題は『The Princess and the Frog』。日本では2010年に公開され、ディズニー初のアフリカ系アメリカ人のプリンセス映画として知られる。アメリカ合衆国ニューオーリンズを舞台に、主人公ティアナと王子ナヴィーンを蛙に変えた魔法と、それを解く「プリンセスのキス」をめぐる冒険を描く。
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美女と野獣(ディズニー映画)のネタバレ解説・考察まとめ
フランスの民話を元に1991年に制作されたディズニーの長編アニメーション映画作品。魔女の呪いによって醜い野獣に姿を変えられた古城の王子と美しく聡明な街の娘ベルとの奇跡の愛の物語。ロマンティックな音楽と美しい映像が全編を彩り、信じ合うことで起こる不思議な奇跡が深い感動を呼び起こすファンタジー・ラブストーリー。アニメ作品として初のアカデミー作品賞にノミネートされ、さらに作曲賞と歌曲賞を受賞した。
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アリス・イン・ワンダーランド(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『アリス・イン・ワンダーランド』とは2010年公開のアメリカの3D映画。監督はティム・バートン。ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ配給。原作はルイス・キャロルの児童文学小説『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』。19歳になったアリスが再びワンダーランドに迷い込み、赤の女王に支配されていたワンダーランドを救う。実写とモーションキャプチャーの技術を使い映画化した。映像が素晴らしく童話の世界観を見事に実写化しており、アカデミー賞では衣装デザイン賞をはじめ、3部門で受賞した。
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インサイド・ヘッド(ピクサー映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『インサイド・ヘッド』とは、公開される前からピクサー史上最高傑作と言われた、人間の頭の中が舞台となったアニメ映画である。人間の感情「喜び」「怒り」「悲しみ」「嫌悪」「恐れ」がキャラクターとなり様々なピンチを乗り越えるという内容。それぞれの感情がなぜ必要なのか、子供から大人まで楽しんで見ることの出来る作品である。ピクサー長編アニメーション第1作は『トイ・ストーリー』であり、20年後の2015年に本作が公開されたので「20周年記念作品」とされている。
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目次 - Contents
- 『眠れる森の美女』の概要
- 『眠れる森の美女』のあらすじ・ストーリー
- 王女の誕生
- 16歳の誕生日
- 眠り姫
- 真実の愛のキス
- 『眠れる森の美女』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- オーロラ/ブライア・ローズ
- 3人の妖精
- フローラ
- フォーナ
- メリーウェザー
- 国王
- ステファン
- 王妃
- リア
- 隣国の王子
- フィリップ
- 隣国の王
- ヒューバート
- ヴィランズ
- マレフィセント
- ディアブロ
- グーン
- 『眠れる森の美女』の用語
- 三人の良き妖精
- 贈り物
- 16歳の誕生日
- 心から愛する人とのキス
- 真実の剣・美徳の盾
- 『眠れる森の美女』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 森の中でオーロラとフィリップが踊るシーン
- フローラ「真実の剣は素早く正確に飛び、悪は死に絶え二度とはびこること無し」
- オーロラが愛する人とのキスにより目覚める
- 『眠れる森の美女』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 海外のディズニーリゾートではお城といえば『眠れる森の美女』
- 公開当時の製作費はディズニー映画で過去最高
- 『眠れる森の美女』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:メアリー・コスタ ビル・シャーレイ『いつか夢で』
- 挿入歌: ジョン・レイリグ・コーラス『オーロラ姫おめでとう』
- 挿入歌:ジョン・レイリグ・コーラス『美と詩の贈り物 』
- 挿入歌:メアリー・コスタ『私は不思議』
- 挿入歌: テイラー・ホームズ ビル・トンプソン『スカンプス』
- 挿入歌: ジョン・レイリグ・コーラス『眠れる森の美女』