オペラ座の怪人(2004年の映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『オペラ座の怪人』とは2004年にアメリカで公開された、ガストン・ルルー原作の小説『オペラ座の怪人』を映画化したミュージカル映画作品である。19世紀のパリ・オペラ座、その地下には醜い顔をした怪人が住んでいた。彼は若く美しいコーラスガールのクリスティーヌに恋をしており、彼女の音楽の才能を見初めて姿を見せずに音楽を教えていた。怪人の目論見通りに主役に抜擢されたクリスティーヌだったが、幼馴染のラウルと再会を果たし恋仲になってしまう。そこから嫉妬に狂った怪人の復讐劇が始まっていく。

『オペラ座の怪人』の概要

『オペラ座の怪人』とは、2004年に制作されたガストン・ルルーの小説が原作のミュージカル映画である。
大ヒットミュージカル『オペラ座の怪人』を手掛けた作曲家アンドリュー・ロイド=ウェーバーと監督ジョエル・シューマッカーがタッグを組み映画化した。
怪人役にジェラルド・バトラー、歌姫クリスティーヌ役にエミー・ロッサム、その恋人のラウル役にパトリック・ウィルソンを起用し、その脇をミランダ・リチャードソン、キアラン・ハインズ、サイモン・キャロウといった実力派が固める。セリフのほとんどが歌で構成されており、主要キャストが吹き替えなしで挑む歌唱シーンが見どころの一つとなっている。
撮影は2003年9月から2004年1月にかけて行われた。
2005年ゴールデングローブ賞において、最優秀作品賞、最優秀主演女優賞(エミー・ロッサム)、最優秀主題歌賞にノミネート、同年アカデミー賞において撮影賞、美術賞、主題歌賞にノミネートされた。
物語の舞台は19世紀のパリ・オペラ座。華やかな劇場の地下に怪人が住み着いている。
彼は醜く生まれ、誰にも愛されたことがなく、迫害を受けてオペラ座の地下に逃げ込み、そこでマスクで顔を隠して孤独に生き続けてきたのであった。
怪人は若く美しいコーラスガール、クリスティーヌ・ダーエに恋をしており、姿を見せずに彼女に音楽を教え、様々な画策をしてクリスティーヌに主役を歌わせた。怪人の思惑通り舞台は大成功を収めたが、クリスティーヌは、舞台を客席から鑑賞していた幼馴染のラウル・シャニュイ子爵と再会し再び恋に落ちてしまった。
そこから怪人の狂気に満ちたクリスティーヌへの行動が暴走していく。

『オペラ座の怪人』のあらすじ・ストーリー

プロローグ

1919年、パリ・オペラ座で劇場に縁のある品を処分する公開オークションが開催されている。ラウル・シャニュイ子爵とマダム・ジリーがペルシャの衣装を纏ったサルのオルゴールを競った。シャニュイ子爵の強い思い入れが伝わったのか、マダム・ジリーはオルゴールをシャニュイ子爵に譲る。
次に紹介されたのは破損したシャンデリア。競売人はこれを「オペラ座の怪人による、謎に包まれた事件」に関連したものと紹介する。シャンデリアを覆っていた布が外され天井に吊り上げられると、そこから景色は色を得て1870年当時の輝きを取り戻し、記憶が鮮やかに蘇っていく。

ハンニバル

新しい支配人と後援者

1870年のオペラ座では、怪奇な事件が多発しており、「オペラ座に住むゴーストの仕業」と噂されていた。姿を見せない「ゴースト」はボックス席の5番を自分のために空けておくことや、毎月2万フランの給与を支払うよう要求しており、神経を参らせてしまった支配人は新作オペラ『ハンニバル』の初演が間近に迫る中退職を決意。芸術関連には全く経験のないリチャード・フェルマンとジル・アンドレが、新しい支配人に就任したことを発表する。
それと同時に若きラウル・シャニュイ子爵が新しい後援者となったことも発表された。
クリスティーヌ・ダーエは、ラウルが幼馴染でかつて恋人ごっこをしていた仲であったことに気付いたが、ラウルは一介のコーラスガールであった彼女に気付かずクリスティーヌはがっかりする。

主役デビュー

新しい支配人たちは、オペラ座で起きている怪事件のことを知らず、「ゴースト」からの要求を無視。すると支配人のために歌い始めたプリマドンナのカルロッタをめがけて舞台上部から装置が落下し、カルロッタは下敷きになってしまう。カルロッタは激怒し、主役を降りるといって帰ってしまう。
困り果てた支配人たちに、バレエの教師であるマダム・ジリーがコーラスガールのクリスティーヌにカルロッタの代役を務めさせることを提案する。半信半疑だった支配人たちも、実際にクリスティーヌの天使のように澄んだ歌声を聴き、驚きと共に主役に抜擢する。
舞台は大成功を収め、観客からは盛大な拍手が送られた。客席ではラウルも鑑賞しており、クリスティーヌが幼馴染の彼女であると気づいた。

音楽の天使

舞台終了後、クリスティーヌは祭壇の前で祈りをささげていた。そこにマダム・ジリーの娘でバレリーナのメグがやってきて、クリスティーヌにいったいどんな先生に歌を習っていたのかと尋ねる。するとクリスティーヌは親友に不思議な秘密を打ち明ける。
姿は見たことがないけれど、声だけで語りかけてくる「音楽の天使」からレッスンを受けているというのだ。

クリスティーヌの父はスウェーデンの名ヴァイオリニストであったが、彼女が7歳の時に他界しており、以来クリスティーヌは寄宿生としてオペラ座で生活をしていた。
彼女は、父が死の間際に言った「天国から音楽の天使を贈るよ」という言葉を信じており、度々この祭壇に祈りを捧げに来ていた。
すると何時からか何処からか、姿の見えない声が聞こえるようになり、クリスティーヌはその声を「音楽の天使」のものであると信じるようになっていたのである。

怪人との出会い

鏡の中へ

楽屋に戻ったクリスティーヌは、マダム・ジリーから黒いリボンのついた一輪の赤いバラを渡される。誰からの物かと訝るうち、ラウルがやってくる。
二人は再会を喜び、すぐに幼いころと同じように恋に落ちる。ラウルはクリスティーヌを食事に誘うが、クリスティーヌは「音楽の天使」のレッスンがあるからと、これを断る。しかしラウルは聞く耳を持たず、馬車を取りに楽屋を出て行ってしまう。
戸惑いながらも楽屋に残ったクリスティーヌだったが、そこにマダム・ジリーが鍵をかけ、彼女を閉じ込めてしまう。その直後、クリスティーヌはどこからともなく聞こえる「音楽の天使」の声に導かれて、壁の鏡の中へと入っていく。

怪人の住処

ファントムの住処

鏡はオペラ座の地下深くに繋がる道の隠し扉になっていた。
クリスティーヌが仮面をかぶった男に手を引かれ、途中馬や船を用いて進んだその先には、無数の蠟燭がともる神秘的な空間があった。仮面をつけた男・ファントムはそこに住み着き作曲活動をする天才音楽家であり、人々が噂する「オペラ座の怪人」の正体であった。
怪人はクリスティーヌの才能に気づき、彼女こそが自分の音楽に翼を与えられる唯一の存在であると確信し、「音楽の天使」として彼女の心に深く入り込んでいったのである。

怪人の愛

誰も踏み入れたことのない自分の住処にクリスティーヌを招き入れた怪人は、彼女への愛を明かし、また愛されたいと願った。怪人の歌声に半ば恍惚状態になっていたクリスティーヌだったが、怪人の住処にあった花嫁姿の自分の蝋人形を目撃し、失神してしまう。
翌朝、地下室でクリスティーヌが目覚めると、怪人は作曲に没頭していた。
長年慕い続けた「音楽の天使」の顔を見たくなったクリスティーヌは、彼の付けていた仮面を外してしまう。すると仮面の下にあったのは、醜く潰れた顔だった。怪人は激昂し、呪いの言葉を口にするのと同時に、美への憧れを吐露する。その様子にクリスティーンは怯えたが、同時に人間として必要な愛情を受けず、忌み嫌われて育った怪人の絶望と孤独を理解しようとする。そして怪人はクリスティーヌをオペラ座に返すことにする。

イル・ムートの怪事件

プリマドンナ

オペラ座は大騒ぎになっていた。クリスティーヌの失踪のみならず、支配人、ラウル、カルロッタに対して「ゴースト」からの脅迫状が送られてきたのである。支配人には自分に対する給与を支払うように、ラウルに対してはクリスティーヌに近づかないように、そしてカルロッタに対しては引退するようにという内容が書かれていた。
そしてマダム・ジリーが共有した手紙には「新作の『イル・ムート』ではクリスティーヌに主役をやらせ、カルロッタをセリフの無い小姓役にするように。警告を無視すれば想像を超える災いが降りかかる」と書かれていた。カルロッタはこれを「パトロンのシャニュイ子爵の恋人贔屓」だとして激怒。カルロッタの機嫌を取るために、支配人たちは怪人の警告を無視し、カルロッタを主役にすることを決めてしまう。

事件

1tataru_nagai188
1tataru_nagai188
@1tataru_nagai188

目次 - Contents