周防達哉/P2罪主人公(ペルソナ2)の徹底解説・考察まとめ

周防達哉(すおう たつや)/P2罪主人公とは、株式会社アトラスのジュブナイルRPGシリーズ『ペルソナ』の2作目に登場するキャラクターである。本作の舞台「珠閒瑠市」にある「七姉妹学園(通称:セブンス)」に通う、男子高生。刑事の兄がいる。文武両道の完璧人間だが、とある過去がきっかけで他者と馴れ合う事を嫌っている。何故か巷で噂の「ジョーカー」に恨まれており、その原因を探る為、ジョーカーからの「復讐」に立ち向かっていく。

ニャルラトホテプとの戦闘、待ち受けていた衝撃の終わり

シバルバーの秘密を知り、驚愕する達哉、ギンコ、ミッシェル(青髪の少年)、淳(黒髪の少年)。

全てのイデアルエナジーを解放した後、達哉達はシバルバーに乗り込む。シバルバーの中は「人の思考」に左右される作りになっており、道が長いと思えば道が長くなり、罠があると用心すれば罠が生まれる、といった仕組みになっていた。さらには「イン・ラケチ」に記載されていたコールドスリープ中の宇宙人ボロンティックや、神の力を手に入れるべく「噂」の力でもって復活したヒトラーが、達哉達の前に立ちふさがる事態が発生。彼らを撃退しながら、なんとかシバルバーの奥にやってきた達哉達は、そこで自分達が訪れるのを待っていたニャルラトホテプとの戦闘を開始する。

激闘の末、達哉達はニャルラトホテプに勝利。するとそこへフィレモンが現れる。フィレモンはニャルラトホテプが自分の半身であり、「人は完全な存在となり得るか」という命題について常々議論を続けていた事を教える。フィレモンはその命題に対して肯定派で人類の営みを見守り続けていたのだが、ニャルラトホテプは反対に否定派だった。そうして人類を破滅に導くことで、人は完全な存在になどなり得ないことを証明しようとして、淳の心に付け入り、今回のような事態を引き起こしたのだった。

するとそこへ突然、イデアルが現れる。イデアルの手には「イン・ラケチ」によって、アンチ・ペルソナ能力を身にまとった聖槍が握られており、「イン・ラケチ」に記載されていた世界の滅びの予言を現実化させようと、それを使ってペルソナ使いである舞耶の胸を貫く。舞耶はその身体を支えようと手を伸ばした達哉の腕の中で亡くなってしまう。その光景を前にしたニャルラトホテプは、「お前達は一つ大きな事学んだ」「どうにもできない事もあるという世の中の理だ」と笑いながら、その場を去っていく。

舞耶を死なせてしまった事に絶望する達哉達。するとそんな彼らへ、フィレモンが「一つだけこの現実をどうにかする方法がある」と告げてくる。それは時を戻し、10年前の出会いをなかった事にする、というものだった。そもそもの出来事は、10年前の夏の出来事にあり、それがきっかけとなって淳がニャルラトホテプに取り憑かれる事となってしまった。つまり、あの日の出来事をなかった事にすれば、今までの出来事は起きなかった事になる。しかしそれは、達哉達が共に戦った日々も消えるという事だった。

達哉達は迷った末に、フィレモンの提案を受け入れる。そうして、フィレモンの力を使って10年前の出来事をなかった事にするのだった。

『ペルソナ2 罰』

思い出す筈のない記憶を思い出してしまった達哉

思い出す筈のなかった『ペルソナ2 罪(通称:むこう側)』の世界での事を思い出してしまい、絶望する達哉。

フィレモンの提案を受け入れ、仲間と過ごした日々を犠牲に世界をリセットした達哉達。しかしリセットで生み出したパラレルワールドの世界(通称:こちら側)でたまたま舞耶と再会してしまった事から、達哉は『ペルソナ2 罪』での世界(通称:むこう側)での記憶を全て取り戻してしまう。本当なら起きる筈もなかった現象に驚く達哉だったが、直ぐにそうなってしまった原因が自分にある事に気づく。

世界をリセットする前、フィレモンは達哉達に「あるべき世界の姿を強く願うよう」に告げていた。しかしむこう側で孤独な生活を続けていた達哉は、一連の事件を通して手にした「仲間」と呼ぶべき皆との日々を忘れてしまう事を恐怖し、忘れたくないと願ってしまう。その結果、むこう側の記憶を保持したまま、達哉はこちら側に来てしまう。そうしてこちら側の達哉が舞耶と再会した事をきっかけに、こちら側の達哉の中にいたむこう側の達哉の意識が浮上し、こちら側の達哉の身体を乗っ取るような状態になってしまったのである。

本来ならば起こる筈のない現象。その影響からか、むこう側とこちら側の境界が曖昧になり、こちら側にいるかつての仲間達がむこう側での出来事をデジャヴとして感じるようになってしまう。特に達也と物語冒頭で出会った舞耶は、かつての出来事を夢で見るようになり、達也の事を気にかけるようになる。このままでは、こちら側とむこう側の境界がさらに曖昧になり、こちら側がむこう側に統一されてしまう。さらに同時期、こちら側の珠閒瑠市内で怪人・JOKERの噂が流行っていた。JOKERは、「自分の携帯から自分の携帯にかけ、出た相手に殺して欲しい相手の名前を告げると代わりに殺してくれる」と噂される怪人で、実際に珠閒瑠市ではJOKERのものと思しき連続殺人事件が発生していた。噂が現実になっている現象や、むこう側の世界の「ジョーカー」を連想させる「JOKER」の存在に、この世界でもむこう側で同じ異変が起こり始めている事を知った達哉は、再びニャルラトホテプが世界を滅ぼそうとしている可能性に気づく。達也が起こした現象があろうとなかろうと、このままではこちら側はニャルラトホテプによってむこう側と同じ末路(この時点でむこう側は、ニャルラトホテプの策略により、珠閒瑠市以外の場所は全て滅びてしまっている)を辿る事になる。そこで達也は1人でニャルラトホテプの策略を止める戦いに身を投じる事を決める。

舞耶とこちら側のペルソナ使い達との遭遇

こちら側の仲間と共にJOKERを追いかけ始めていた舞耶の行動を止める為、舞耶の前に現れた達哉(デジャ・ヴュの少年)。

達哉がJOKERを追いかけ始めた一方で、こちら側の舞耶もこちら側の仲間達と共にJOKERを追いかけていた。雑誌記者の仕事で怪人・JOKERについて調査していた最中、本物のJOKERに遭遇し、彼が召喚した悪魔との戦闘をきっかけにペルソナ使いに覚醒した舞耶。JOKERは舞耶の事を狙っているらしく、舞耶はその理由を知る為に自分と同じくペルソナ使いに覚醒している仲間達と共にJOKERを追っていたのである。

その事を知った達哉は、以降度々舞耶達の前に現れては、「JOKERから手を引け」と彼女達に忠告をする。しかし舞耶達が手を引く様子は一向に見られず、最後には達哉の方が舞耶達に捕まる形で、知っている事を全て話すように問い詰められる事になってしまう。逃げ場を失った達哉は仕方なく、彼らが事件から手を引くことを条件に全てを話す事にする。

舞耶達は達哉の条件を飲み、彼からこの世界で起きている異変の原因について話を聞く。自分の知っている事を全て話終えた達也は、改めて舞耶達に「手を引いて欲しい」と頼む。だが舞耶達は「なんの話だったか」とそれをぼやかし始める。そこで達哉は彼らが端から自分の条件を飲む気などなかった事に気づき、「騙したな」と怒る。だがその時、舞耶が達哉を抱きしめる。舞耶からの優しい抱擁に達哉は「自分はそんなことをして貰える資格はない」と突き返そうとするが、それでも自分を抱きしめてくる舞耶に負け、彼女の抱擁を受け入れる。そうして落ち着いた後、達哉は改めて彼女達と共に協力して戦っていく事を決意。孤独な戦いの日々は終わり、以降は、舞耶達と共にニャルラトホテプに立ち向かっていく事になる。

達哉の「罪の意識」から生まれた敵との戦い

むこう側の仲間達を模した姿で現れた敵(画面真ん中、金色の人間)に驚愕する達哉。

舞耶達と共に戦う事になった達哉は、ひとまず秘密結社「新世塾」が流行らせた噂から生まれたダンジョ「アメノトリフネ」へ向かう事になる。新世塾は、ニャルラトホテプが世界破滅の為に利用している法務大臣兼外務大臣である男・須藤竜蔵(すどう りゅうぞう)が幹部を務めている秘密結社だった。

アメノトリフネは、むこう側でいうところの巨大宇宙船シバルバーにあたるものだった。むこう側通りでいけば、このままでは珠閒瑠市を乗せて空を飛ぶ事になる。それを食い止める為、達哉達はシバルバーに乗り込む。
シバルバーの「思考が現実になる」仕組みは向こうと変わらず、達哉達はその仕組に気をつけながら進もうとするが、意識しすぎたあまり逆に罠に引っかかってしまい離れ離れになってしまう。さらには、離れ離れになった先で達哉は自分の中にあった「罪の意識」から、ギンコ、ミッシェル、淳の姿をした敵を生み出してしまう。彼らは達哉を捕らえると、達哉を「罪の意識」から解放する為に達哉を殺そうとする。達哉が彼らの攻撃をなんとか食い止め、臨戦態勢に入った時、達哉を探していた舞耶達が達哉のもとにたどり着く。舞耶達と合流した達哉は、彼らと共に敵を倒す。自分の「罪」を再認識した達哉は、この世界を守る為、ニャルラトホテプの策略を止める事を改めて心に誓い、舞耶達と共に再びアメノトリフネのダンジョン攻略に挑むのであった。

「心の闇」から生まれたシャドウとの対峙、ニャルラトホテプとの戦闘

竜蔵と彼に力を与えていた「御前(ニャルラトホテプが化けたもの)」を倒した達哉達の前に現れた、達哉の姿をしたニャルラトホテプ。

アメノトリフネをなんとか攻略した達哉達は、世界を滅ぼす神事を行おうとしている竜蔵のもとへ向かう。そこには神事の為に生贄として捧げられてしまった新世塾の幹部達の姿もあった。

達哉達が見ている前で竜蔵は神事を開始。己が盲信している「御前」に化けたニャルラトホテプの力を借りて、神事を成功させるが、その直後、自分自身も生贄として御前に取り込まれ、化け物に変化させられてしまう。達哉達とは化け物となった竜蔵との戦闘を開始。なんとか勝利をした後、この神事の元凶である「御前」との戦闘を行い、どうにか勝利し、神事をなかった事にさせる。結果、世界は破滅する寸前で留まる事となったが、次の瞬間、達哉達はニャルラトホテプに呼ばれて彼がいる「普遍的無意識の世界」へ連れて行かれる事となる。

「普遍的無意識の世界」で達哉達が来るのを待っていたニャルラトホテプは、彼らにある「ゲーム」をけしかけてくる。実はこの時、竜蔵の件が失敗する可能性を見越していたのか、ニャルラトホテプは世界破滅の為に必要な人物、ギンコ・ミッシェル・淳の3人を捕らえていたのである。

ニャルラトホテプは達哉達にこの世界のどこかに居る、自分たちの「心の闇」から生まれたシャドウと対峙し、それらを見事抑えつける事ができたら、3人を返してやろうと告げる。しかし失敗したら、1人ずつ記憶を取り戻させるという。達哉達は3人を救う為、ニャルラトホテプの用意したゲームに参加する。

シャドウ達は、舞耶達が持っていた誰にも見られたくない「心の闇」を次々と暴露していく。しかしこれまでの戦いの経験を通して成長してきた仲間達は、彼らの言葉を跳ね返し、シャドウを撃退する。だが達哉はそこで、仲間の1人であり自分の兄である克哉(かつや)が、本当はパティシエになりたかったが、父の濡れ衣を晴らす為、そしてグレてしまった弟を更生させる為、刑事になったという経緯を知ってしまう。自分の為に夢を諦めた兄の姿に達哉は罪悪感を抱くが、そんな達哉に克哉は「そんな顔をするな。お前は俺の弟なんだぞ」と優しい言葉をかける。むこう側からずっと兄とは緊迫した関係にあった達哉だが、こちら側で克哉の本音を知った事から、彼が本当は自分(弟)を大事に想っていた事実を知り、ようやく兄との和解をはたす事になる。

その後、全てのシャドウを倒し、ギンコ・ミッシェル・淳を助ける事に成功した達哉達は、ニャルラトホテプと最後の戦いをする。激闘の末、なんとか彼に勝利する達哉達。全ての戦いを終えて安堵した達哉は、そこで仲間達に「自分(むこう側の達哉)は、むこう側の世界に帰る」と告げる。
仲間達は達也の帰還を止めるが、しかし達也が居ては2つの世界の境界が曖昧になっていくのを止められない為、彼は仲間達を説得してむこう側へ帰還しようとする。だが舞耶だけは最後までそれを拒み彼を止め続ける。そんな舞耶を達哉は抱きしめると、彼女を手刀で気絶させる。そうして仲間達に舞耶とこちら側の世界の事を頼んだ後、1人むこう側へ帰っていくのだった。

周防達哉/P2罪主人公の関連人物・キャラクター

天野舞耶(あまの まや)/P2罰主人公

2枚ディスクで構成されている『ペルソナ2』において、両ディスク共にメインキャラクターとして登場するペルソナ使いの女性。2枚目のディスク『ペルソナ2 罰』では、主役を務めている。
珠閒瑠市にある「キスメット出版社」で発行されているティーンズ向け情報誌「クーレスト」の編集記者。非常に明るい性格の女性で、「レッツポジティブシンキング」を合言葉に、どんな事にも前向きに取り組んでいる。ただし家事だけはどう足掻いても上手くいかないらしく、珠閒瑠市探索中に彼女が住むアパートに訪問すると荒れ放題となっている部屋を見る事ができる。
『ペルソナ2 罪』の世界線では、本編開始より10年前に放火事件に巻き込まれた経験があり、炎に対して強い恐怖心を持っている。この時の事件には幼い達哉も深く関わっていたのだが、達哉自身は物語中盤までその事を忘れてしまっていた。どんな時でも前向きな舞耶の姿勢に惹かれるものがあったのか、『ペルソナ2 罪』での出来事を通して達哉は次第に彼女に惹かれていく事になる。

renote.net

ギンコ/リサ・シルバーマン

2枚ディスクで構成されている『ペルソナ2』において、1枚目のディスク『ペルソナ2 罪』に登場するペルソナ使いの少女。2枚目のディスク『ペルソナ2 罰』でもサブキャラクターとして登場する。
達哉と同じ七姉妹学園に通う高校2年生。年は17歳。人種は生粋の白人であるが両親が日本に帰化してしまっている為、生まれや育ちは日本となっている。その為、見た目に反して英語が喋れない事にコンプレックスを抱いている。日本びいきな両親、特に父親の事が嫌い。カンフー映画が大好きで、自我流で学んだ広東語を織り交ぜて喋る。作中では時折、「リサの広東語講座」と称して、達哉に広東語の意味を教えていたりする。
達哉に惚れており、達哉の事を「恋人」の意味を持つ広東語「情人」と呼んでいる。

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