パオフゥ/嵯峨薫(ペルソナ2)の徹底解説・考察まとめ

パオフゥ/嵯峨薫(さが かおる)とは、株式会社アトラスのジュブナイルRPGシリーズ『ペルソナ』の2作目に登場するキャラクターである。掲示板サイトを運営し、『ペルソナ2』の舞台である珠閒瑠市で流れている噂を集めている。『ペルソナ2 罰』では「盗聴バスター」をしている事も明かされている。政治家・須藤竜蔵(すどう りゅうぞう)と何やら因縁があるようで、珠閒瑠市内で起こる異変と竜蔵に関連があると推測した事から、異変について探っていた舞耶達の仲間になる事を決める。

パオフゥのかつての「相棒」。パオフゥと共に竜蔵と天道連の癒着について調べている最中に、パオフゥが仕向けてきた殺し屋・云豹によって亡くなってしまう。死因は「事故」として片付けられてしまっている。

パオフゥ/嵯峨薫の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「死んで正解だぜ…。こんな世の中じゃな」

PS版『ペルソナ2 罰』の戦闘画面。戦闘終了時にキャラクターが戦闘勝利ボイスを喋ってくれる。

パオフゥを代表するセリフ。
パオフゥが悪魔やボスキャラクター達との戦闘終了時に発する事があるボイスである。

戦闘終了=戦闘に無事に勝利したという事なのだが、そんな嬉しい場面とは真逆にパオフゥは「死んで正解だぜ…。こんな世の中じゃな」とマイナス的な発言を行う。嬉しさから程遠いセリフではあるが、「相棒」を失い、職場からは「殉職」という形で追い出され、社会的地位も失ってしまったパオフゥの人生の事を考えると、彼らしいセリフだといえるだろう。パオフゥの己の人生に対するやるせない想いが垣間見える戦闘勝利ボイスである。

「ペルソナのせいじゃねぇ…。法が無力なんじゃねぇ…。てめぇの事しか考えてなかった…俺が無力だったんだ…」

ニャルラトホテプが「ゲーム」の為に用意したラストダンジョン「モナドマンダラ」にて、目にする事になったかつての相棒・美樹の姿を前に、パオフゥが述べた懺悔の言葉。
美樹を殺した犯人である云豹と竜蔵を恨んでいたパオフゥだが、心の底では周囲の事など構わずに自分の正義を貫こうとした若い頃の自分の行動にも、彼女を殺す原因があった事に気づいていた。だが、そんな自分を認める事ができなかったパオフゥは、以降、法や社会、人間や世界の不完全さそのものが全て悪いのだと、周囲に当たり散らす人間になってしまう。
しかし舞耶達仲間との戦いの日々を通して、自分自身と向き合う勇気を手にしていたパオフゥは、認めたくなかった自分自身の過ちを受け入れ、自分の後悔から生み出した亡霊の美樹に「ペルソナのせいじゃねぇ…。法が無力なんじゃねぇ…。てめぇの事しか考えてなかった…俺が無力だったんだ…」とその胸の内を吐露する。
作中の出来事を通してパオフゥが大きく変わった事がよくわかるセリフである。

「大人になっても良いことはあるぜ、ちっとはな」

むこう側に帰る事を決めた達哉に向かって、パオフゥが述べたセリフ。
相棒と社会的な立場を失った事から人生や世界に失望していたパオフゥだったが、舞耶達ペルソナ使いの仲間達と出会った事で、彼のその価値観は変化する。そうしてその変化の結果が、達哉に向けた「大人になっても良いことはあるぜ、ちっとはな」というセリフに込められている。
またこのセリフを述べるずっと前に、達哉とのやりとりの中でパオフゥが「大人も子供も同じく辛いだけ」と述べるシーンが存在する。しかしこのセリフはその真逆を説いた内容となっている。パオフゥの心情の変化がわかるセリフだといえるだろう。
さらに『ペルソナ2』が扱う題材の1つに「大人と子ども」というものが存在するといわれている。大人であるパオフゥが子どもである達哉に向けて述べた「大人」に纏わるセリフ。このパオフゥのセリフは、正しく「大人と子ども」という題材を体現したセリフだといえる。

パオフゥ/嵯峨薫の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

パオフゥ/嵯峨薫の宿敵「云豹」が所属する「天道連」の元ネタは台湾三大マフィアの「天道盟」

パオフゥの宿敵である台湾マフィアの殺し屋・云豹。

パオフゥの過去の因縁相手の1人、云豹。台湾マフィアの殺し屋である彼の所属先「天道連」は、実際に台湾に存在するマフィアをモデルに制作がされたという。そのマフィアというのが、台湾三大マフィアの1つ、「天道盟(てんどうめい/ティエン・ダオ・メン)」である。日本の暴力団体との交流や、密航ビジネス絡みで日本にも進出してきていたりと、それなりに日本とも縁のある組織だという。
天道連は、『ペルソナ2 罰』の作中にて、法務大臣を務めている竜蔵と癒着している。法務省は出入国管理を管轄している行政機関だ。日本の組織を相手に、密航ビジネス等を行っていた天道盟の話を踏まえた上での癒着設定だったのかもしれない。

『ペルソナ3』にパオフゥ/嵯峨薫が登場

パオフゥらしき人物が登場する『ペルソナ3』のジャケット。

『ペルソナ2』の次作にあたる作品『ペルソナ3』に、パオフゥしい人物が登場している事が確認されている。とはいってもテキストのみでそれらしき人物の存在が確認できるものとなっている。
「カレンダーシステム」と呼ばれるシステムが導入された『ペルソナ3』では、主人公達が過ごす1年間を1日ずつ実際に過ごしながらゲームを進めていく流れになっている。その中で物語中盤にあたる6月13日にて、主人公達が生活している学生寮「巌戸台分寮」のロビーにあるテレビを見ると「サングラスと腰まで伸びた長髪のいかついおじさん」が街頭インタビューを受けている姿が映っている事がテキストで表示される。
この「いかついおじさん」というのが、パオフゥではないかといわれている。
『ペルソナ3』は、『ペルソナ2 罰』の世界線から続く世界を舞台に展開された物語である。その為、パオフゥを連想させる特徴を持つこの人物がパオフゥ本人だと推測されている。
またパオフゥ以外にも『ペルソナ2』、さらには『女神異聞録ペルソナ』のキャラクターだと思われる人物達もテレビに映し出されている。『ペルソナ3』をプレイする際には、毎日のテレビチェックは欠かさずに行った方が良いだろう。

パオフゥ/嵯峨薫役の声優・中田譲治は『ペルソナ5』にも佐倉惣治郎役として出演

『ペルソナ5』で中田譲治が声を演じたキャラクター・佐倉惣治郎。

『ペルソナ5』に、パオフゥの声を務めた声優・中田譲治が出演している事が判明している。キャラクターの名前は、佐倉惣治郎(さくら そうじろう)。P5主人公が居候する事になる喫茶店「ルブラン」のマスターである。ペルソナ使いではないが、P5主人公とよく関わる事から本編にも多く登場するサブキャラクターとなっている。無愛想な人間だが心根は優しく、世話焼きなイケオジ(イケてるオジさん)キャラクターとなっており、ファンからの人気も高いキャラクターの1人だ。
パオフゥとの直接的な繋がりはないが、惣治郎の養女であり『ペルソナ5』に登場するペルソナ使いの1人でもある佐倉双葉(さくら ふたば)は、「長髪眼鏡のハッカー」というどこかパオフゥに似た設定のキャラクターとなっている。

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