ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章(漫画・劇場アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』とは、原作・川又千秋、作画・藤原カムイによる漫画作品。雑誌『月刊少年ガンガン』で1991年から1997年まで連載された。エニックスより発売されたゲーム『ドラゴンクエストIII』から初代『ドラゴンクエスト』の間の時代を舞台としており、ロトの血を引く主人公アルスが3人のケンオウとともに異魔神(いまじん)を倒す物語。単行本が全21巻、完全版が全15巻、ほか外伝として『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 Returns』が発売。また、1996年に短編映画化されている。

異魔神(いまじん)

本来は魔界の存在であり、異空間に幽閉されていたところを1万2千年前にゴルゴナによって召喚され、ムー帝国を崩壊させるもととなった。ルビスによって精神を飛ばされ、肉体を闇のオーブに封じられていたが、再びゴルゴナの手で現代に精神のみが蘇ることとなった。実際、終盤で肉体を取り戻すまでは念象投影器(ねんしょうとうえいき)を通して指示を出すだけの存在であったが、それでも四魔王が逆らうことはできなかったため、恐ろしい力を持っていることがわかる。
肉体復活後は周囲のあらゆるものを取り込みながら成長し、その過程でジャガンに流れるロトの血も吸収した。勇者の血を得たことでオメガルーラに対する耐性もできてしまい、再び封印されることを防いだ。その後、勇者として覚醒したアランによってロトの血を奪い返され、オメガルーラで封印されてしまう。しかし、アランがロトの血を吸収した際にその肉体に自身の精神を移動させており、完全な封印を回避。アランを利用して自ら闇のオーブの封印を解いて完全体となった。世界樹のエキスをもとに生み出された肉体は、世界樹の特性によって高い再生能力を持っており、これがアルスたちを苦しめることになる。しかし、死者の魂を使って作り上げた5つの幻の月のうちの2つがタオ導師のニフラーヤによって消滅したことで徐々に再生が追いつかなくなり、形成が不利になり始める。決戦の地にはアルスがこれまで旅の中で縁してきた世界中の人びとが応援に駆けつけ、アルスが放った渾身のミナデインの前に異魔神は初めて恐怖し、敗れ去った。

竜王(りゅうおう)

魔王軍四魔王の1人であり、竜兵団(ドラゴンへいだん)を率いる。その正体は聖なる血を引く竜神の末裔であり、かつて勇者アレルに光の玉を渡した竜の女王の忘れ形見。アランと同じように呪われた名を与えられて異魔人の配下となり、数々の悪行を働いてきた。異魔神に忠誠を誓っているとはいえ、その全てに理解を示しているわけではなく、異魔神のために戦って散っていった他の魔王たちにねぎらいの言葉1つかけない異魔神を前に、自分たちを捨て駒としてしか見ていないのではと疑いを持つなどの一面もあった。
竜王本人は長らく自分の出自を知らずに来たが、自身が竜神の末裔であることをタオ導師から聞かされ、彼から渡された竜の女王の杖を手にしたことで記憶が一気に流れ込む。その記憶の懐かしさと愛おしさに戸惑い、母親というものの存在を初めて意識する。しかし、これまで100年にわたって異魔神に忠誠を誓ってきた自分と、本当の自分の姿とのギャップを受け入れることができず、力を暴走させてしまう。自分が何者かを見失い、異魔神からも裏切られてその体内に吸収されかかったところを、ポロンの機転でラダトーム城へと送られた。そこでアステアと対峙することになるが、異魔神から受けた傷によってもはやまともに戦うことのできない状態の竜王はアステアから回復呪文ベホマをかけられる。これにより竜王は自身の敗北を認め、もはや生きとし生けるもの全ての敵となった竜王を倒すべく、光の玉をアステアに託した。

冥王ゴルゴナ(めいおうゴルゴナ)

中央上から時計回りにツークーマン、オティカワン、キアーラ、トピアポ、フロレンシア、ポポルヴー、中央に空いた2つの穴部分にゴルゴナがいる。

異魔神配下の四魔王の1人であり、妖兵団(ファントムへいだん)を率いる。黒衣で全身を覆った不気味な姿が特徴。その正体は、古代ムー帝国の支配者ラ・ムー(タオ導師)の実弟ゴルゴナが、彼の同僚であるツークーマン、オティカワン、トピアポ、フロレンシア、キアーラ、ポポルヴーという6人の科学者とともに大蜘蛛と融合した存在である。科学者たちの顔がゴルゴナを囲むように並んでいる。非常に自己中心的な性格で、異魔神を召喚しただけでは飽き足らず、その強大な力を利用して世界征服を目論んでいた。これがムー帝国を崩壊に至らしめることになり、その責任を負わされて6人の科学者たちとともにムー大陸に残るよう兄ラ・ムーから命じられた。この時に大蜘蛛を召喚して契約を交わし、1万2千年もの時を生きながらえる。兄ラ・ムーとは魔州湖で1万2千年ぶりに相まみえ、積年の恨みを果たそうと戦うが、その自分勝手な性格が災いして仲間割れを起こし、最期はラ・ムーの手によって消滅させられた。

獣王グノン(じゅうおうグノン)

異魔神配下の四魔王の1人で、獣兵団(ビーストへいだん)を率いる。非常に冷酷かつ残忍な性格で、自分に逆らう者はたとえ部下であっても容赦なく殺す。ただし、竜王同様、異魔神のやり方の全てに納得しているわけではなく、疑問を投げかけたこともあった。
アルスを葬り去るため、自身の率いる獣兵団の魔物10万をアリアハンに差し向ける。その狙いは、アルス一行のことを「災いを呼ぶ存在」だと認識させて、アリアハンの人々を彼らの敵に回すことであった。10万の大群を前に激闘を繰り広げるアルスたちは、グノンの側近たちを次々に撃破。ついにグノン自らがアルスと対峙することになる。優勢を誇っていたグノンだったが、魔法力が尽きたタルキンが最後の手段としてメガンテで自分もろとも獣兵団を全滅させたことや、ポロンが賢王へと覚醒したことが重なり、形勢が逆転。真の姿となって最後の戦いに臨む中、アルスたちの姿に勇気を取り戻したアリアハンの人びとが集結して魔法力を集め、ミナデインによって絶命した。

獣魔将軍リカンタス(じゅうましょうぐんリカンタス)

グノンの側近である獣兵団四天王の1人で、剣術の達人。アルスの窮地に間一髪で駆けつけたキラと対峙するが、キラの幻魔剣の前に右腕を使用不能にされてしまう。最後の手段としてキラを片腕で押さえ込み、自分もろともキラをハーケンで叩き斬るようグノンに頼む。しかし、敗者の弁を好まないグノンによって結局自分だけが落命することになる。

魔猿将軍エイプス(まえんしょうぐんエイプス)

獣兵団四天王の1人で、魔物の中でも珍しい拳法の使い手。同じ武闘家であるヤオと対戦することになる。触れたもの全てを腐らせる「瘻瘡邪骸拳(ろうそうじゃがいけん)」という名の拳法を使い、これがヤオを苦戦させた。ヤオとは互角の戦いを見せるが、気を極限まで高めたヤオの波動拳によって敗れ去る。

怪鳥将軍バークート(かいちょうしょうぐんバークート)

獣兵団四天王の1人で、呪文の力を込めた弓矢や槍を使用して戦うのが特徴。羽根を武器として使うこともできる。タルキン、ポロンとの戦闘を繰り広げ、その独特の戦闘スタイルで2人を圧倒し続けた。エイプスを撃破したヤオが戦闘に加わったことで形勢逆転し、ヤオの放った技の前に敗れた。

金羊将軍ミナトン(きんようしょうぐんミナトン)

獣兵団四天王の1人で、斧を武器として戦う。自分自身に灼熱呪文ギラを放つことで、ギラの最上位呪文ベギラゴン以上の威力を持つ体当たり攻撃を得意としており、これがアルスを苦しめることになる。しかし、アルスの咄嗟の機転で形勢が逆転し、アルスの剣を真っ正面から受けて死亡した。魔物としては非常に珍しく武人肌の性格をしており、その死の直前、敵とはいえ見事な機転で戦いに勝利したアルスを讃え、誇りとした。

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