ゴジラの生まれた理由と原爆問題について

1954年に映画『ゴジラ』が初めて上映されてから現在まで、ゴジラは幅広い年代に親しまれている。
個体は複数居てその誕生の理由ははどのシリーズにおいても環境破壊が原因となっている。
それぞれの個体の特徴と、ゴジラ誕生の原因の変遷をシリーズごとに解説。
なぜ人間を襲うのかという疑問と、初代ゴジラ誕生の原因に込められた監督の思いを解説する。

ゴジラVSデストロイアで、赤く発光しているゴジラ

太平洋上のラゴス島に生息していたゴジラザウルスという恐竜の生き残りで、水爆実験で放射能を浴びた影響で変異して生まれ、人類の叡智を超えた生命力を身に付けて誕生した生物と言われている。
強大な生命力により、何度も活動休止状態に陥るも、その都度復活した。
最終的には日本海で休眠状態になり、23世紀になっても眠り続けている。

4代目ゴジラは強力な放射能を浴びて誕生した

メルトダウンを起こし、炎を噴き出している様子

ビキニ岩礁での核実験で放射能を浴びる前に未来人のタイムスリップ技術によってゴジラザウルスをベーリング海の海底にテレポートさせ、ゴジラへの変貌を未然に防ぐ作戦がとられた。
だが、それによって従来のゴジラの存在はなくなったものの、転送された海底に多くの放射性廃棄物が不法投棄された影響で、現代まで生き残ったゴジラザウルスは結局ゴジラとなってしまう。
さらに、調査に訪れた原子力潜水艦を撃沈して潜水艦が有している放射能までも吸収した結果、強大なゴジラが誕生した。
人類と熾烈な争いを繰り広げるも、最後は体内の核物質が暴走し、メルトダウンを起こして放射能をまき散らしながら消滅していった。

シン・ゴジラは深海で放射能浴びたことにより誕生した

最後のシーンで凍結した尻尾からヒト型が出ている様子

太古の海洋生物が深海に投棄された放射性廃棄物を取り込み、放射能の毒性も克服した強大な生物となったゴジラが「シン・ゴジラ」である。
人類を恐怖に陥らせたものの、体内の原子炉から発せられる熱を背びれなどから放熱して体温を下げているということが判明。
そのため大量の血液を循環していると分かり、最後は血液凝固剤を打ち込まれて循環を停止させたところ、ゴジラが自身を凍結状態にさせたことにより人類対ゴジラの戦いに終止符がうたれた。

何故ゴジラは人間を襲うのか

そもそも何故ゴジラは人間を襲うのか。
人間を襲おうとしなければ、ゴジラは戦うこともなく、生き残ることができたのではないかという意見もある。
それに関して、公式な理由がある。

核というエサを求めている説

84年公開の『ゴジラ』

ゴジラは核実験や、放射性物質が原因で誕生した。
ゴジラのエネルギーの源は核エネルギーであるため、原発を襲ってさらにエネルギーを得ようという理由である。
実際、84年に公開された『ゴジラ』で登場する3代目ゴジラはこの理由だと明言されている。

人間に対する憎悪説

ゴジラが自分を生み出した人間に対して、何らかの理由で憎悪を抱えているという説。
いくつかのシリーズでは人間の作るエネルギーにたいする憎悪から原発やエネルギー施設を襲撃している。
また、2001年に公開された『ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃』では、ゴジラが戦没者の怨念から生まれたとされていて、戦争を忘れた現代人に復讐に来ているとされている。

ゴジラ自身が自然災害だという説

ゴジラが日本にやって来るのは、地震や台風が日本に来るようなものだという説。
「ゴジラに限らず、巨大生物が歩くだけで甚大な被害が出る」というのが重要で、やって来るのがゴジラでなくとも被害が大きいという考え方である。
昭和のゴジラシリーズの中盤作品や、平成ゴジラシリーズの初期ではゴジラを自然災害という捉え方をしている。

人間の捕食シーンは無い

人間を襲うといっても、実はどの作品でも人間がゴジラに食べられているというシーンは無い。
ゴジラが意図して人間を襲うというよりも、ゴジラが街を破壊しながら行動していく過程で多くの人間たちが亡くなってしまうという表現が的確である。

初代ゴジラの誕生に込められた監督の思い

本多猪四郎監督

最初のゴジラが放映された1954年は、ビキニ岩礁沖で水爆実験が行われ、遠洋マグロ漁船の第五福竜丸が被曝した年だった。
多くのゴジラ作品の監督を務めた本多猪四郎氏は、原爆が投下された後の広島を列車から見て、原爆や放射能の凄惨さを感じたという。
終戦から約10年、放射能が原因で生物の生態系を崩したという設定の『ゴジラ』が作られ、そのゴジラが再び日本を襲い、人類を恐怖に陥れる様子に当時は反戦映画だと話題になった。
本多氏自身、戦後日本の惨状を見た経験から「ゴジラの本質は原爆の恐怖である」と繰り返し語っている。

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