ガラスの仮面(美内すずえ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

「ガラスの仮面」は美内すずえによる日本の少女漫画作品。1976年から白泉社「花とゆめ」に40年以上も長期連載されている。2014年9月の段階で累計発行部数が5,000万部を超え、少女漫画の金字塔とも言われる大ベストセラー。
平凡な1人の少女・北島マヤが演劇への熱い情熱を滾らせ、演劇に全てをかけ、才能を開花させる。演劇界のサラブレッド・姫川亜弓と競いながら幻の名作「紅天女」を目指す超人気大河ロマン。

【背景】

マヤが主演を務めるはずだった舞台。
しかし、母の死により、演技に身が入らなくなり、さらに、精神的に弱ったマヤを陥れようと乙部のりえが罠を仕掛け、それにまんまと嵌ってしまったマヤは、舞台初日をすっぽかしてしまった。

【配役】
不老不死の巫女リーラ:北島マヤ→乙部のりえ

黄金の実

【背景】
乙部のりえによる策略で、「シャングリラ」の巫女役も「天の輝き」の沙都子役も奪われてしまったマヤ。
大都芸能の速水がマヤのために次に用意した舞台。
ここでも、観客に乙部のりえの息のかかったものが潜んでいて、マヤが演技をしようとすると客席から母のことを大声でやじって、マヤの精神を壊し、演技をできないようにさせた。
マヤは、舞台上で演技ができなくなり、一日でクビになってしまった。

【あらすじ】
1800年代中期のイギリス片田舎が物語の舞台。
2大勢力を握る2組の農園主とその中心にあるちっぽけなりんご農園を営む一家。そこに男ばかりの伯爵家が絡んできて巻き起こる悲喜劇。

【配役】
りんご園の孫娘・マージ:北島マヤ

カーミラの肖像

【背景】
マヤの芸能界失脚は、乙部のりえによる策略だったと知った亜弓は、自身のライバルであるマヤを貶めたのりえの卑怯な行いに怒り、のりえ主演の舞台に父の力を借りて無理やり出演することにした。
稽古では抑えた演技を見せのりえを欺き、いざ本番、亜弓はその実力をいかんなく発揮し、主役の座を奪い取るような格の違いを知らしめる名演技を見せた。舞台を見ている観客は、主演はのりえではなく、亜弓であると認識。劇評家からものりえの演技は酷評され、のりえは亜弓からの制裁を受けた。

【あらすじ】
主人公マリアが幼い頃に出会った吸血鬼カーミラ。成長したマリアは、馬車の事故で困っている少女・カーミラと出会った。そのままマリアの古城で過ごすことになったカーミラとマリアは仲睦まじく楽しく過ごす。しかしカーミラは昼間はうまく体を動かすことができず、食事もチョコレートしか取ることしかできない。古城にある古い絵画からカーミラの正体が知られることになり、次第にカーミラは追い詰められていく。

本来の内容では、主人公・マリアが吸血鬼に襲われる恐怖を描く物語だが、亜弓演じる吸血鬼カーミラは、それまでの怖いだけの吸血鬼ではなく、かつては大勢の人々に愛され、明るく幸せだったにも関わらず、吸血鬼になってしまったために、人間としてのあらゆる幸せから目を背け、生きなければならなくなった吸血鬼の悲劇となった。
もはや主人公はマリアではなく、吸血鬼カーミラだった。

【配役】
マリア:乙部のりえ
吸血鬼カーミラ:姫川亜弓
乳母:田中照恵
家庭教師:野村幸子・中原洋子
カルンスタイン男爵:広畑英一
ギルド神父:中村正剛

夜叉姫物語

【背景】
母の死にショックを受け、演技ができなくなり、さらに乙部のりえに仕組まれた罠にはまり、主演舞台「シャングリラ」初日、舞台を欠席したマヤ。その後も速水はマヤを立ち直らせるため、様々な舞台に立たせようとするが、またもや乙部のりえが仕込んだ観客の酷いヤジが胸に突き刺さり、マヤは演技が全くできなくなってしまった。母が死んだのは速水のせいだと知ったマヤは、大都芸能から離れたいと思うようになっていた。
何度も速水の下から逃げるマヤだがその度に連れ戻されてしまう。速水は連れ戻したマヤが生気の抜けた抜け殻のような状態でそれでも涙を流す様を見て、後ひとつだけ舞台に立ったら大都芸能から解放すると約束した。
マヤは、大都芸能との契約を終わらせるために、舞台に立つことに決めた。

しかし、その舞台でもマヤへの嫌がらせが始まり、本物の石を投げつけられたり、マヤが食べるまんじゅうが泥まんじゅうにすり替えられていた。そのシーンではマヤが美味しそうにまんじゅうを食べなければいけない。切羽詰まった状況でマヤの消えかけていた芝居への情熱が蘇り、マヤは泥まんじゅうを美味しそうに口に運ぶのだった。

【配役】
玉姫:姫川亜弓
乞食の子供・トキ:北島マヤ

ロミオとジュリエット

劇団一角獣が全国行脚をして公演した物語。
全編大阪弁でセリフを言ったため、真面目にやればやるほど笑いが取れる舞台となった。

【出演】
劇団一角獣

女海賊ビアンカ

【背景】
大都芸能を離れ、月影のもとに戻ったマヤだったが、劇団つきかげの芝居に出るためには、汚名を返上しなければならないと月影に言われてしまった。劇団つきかげでの活動はできず、高校の演劇部にも入部できない状況で、どうすれば良いのか、考えあぐねていた。
高校の文化祭で、図書委員・草木広子が持っていた「女海賊ビアンカ」をビアンカの告白という形にして、一人芝居をすることを思いついたマヤは、文芸部の吉沢ひろしに脚本を頼み、2人に手伝ってもらいながら、舞台を整えた。
体育倉庫で行われた一人芝居は、芸能界を失脚したマヤを見に来る野次馬も多くいたのだが、マヤの巧みな演技で、一人芝居は大好評を得て、再演まですることになった。

【あらすじ】
地中海でジェノバの海軍によって捕らえられた海賊船上で裁判が行われていた。裁判の途中、海賊の中に男装の女性がいると声が上がった。彼女は、ビアンカ・カスターニ。ジェノバとは敵対する大貴族の一員だった。かつてビアンカは、和平を結ぶため、ジェノバに嫁ぐはずだったのだが、反対派に陥れられ追われる身となってしまった。
逃げる途中、海賊に襲われたビアンカは捕らえられ、海賊となることを余儀なくされた。
姫であったビアンカが、なぜ海賊になったのか、女海賊ビアンカの告白。

【配役】
ビアンカ:北島マヤ
脚本:吉沢ひろし

通り雨

【背景】
一ツ星学園の体育倉庫で行った「女海賊ビアンカ」が大好評を得て、再演の運びとなり、それも大成功をおさめたマヤに、他の芝居をやって欲しいとの依頼がきた。
草木や吉沢に協力してもらい、次の芝居の題材を探すマヤの目に、一冊の台本が目にとまった。みんなから「つまらない台本」と言われたそれは、「通り雨」という台本で、「女海賊ビアンカ」のような波乱に満ちた人生ではなく、平凡な女子高校生に起こった一つの出来事を描いた作品だった。
つまらない、と思われていた物語だったが、マヤの完璧なパントマイムと演技力で観客の目を引きつけ、舞台は大成功に終わった。

【あらすじ】
好きな歌手は田原俊彦、サッカー部の島本君が好きで、イニシャル入りのタオルを作ったのになかなか渡せずに持ち歩いてしまう、そんなどこにでもいる平凡な女子校生・佐藤ひろみ。
ある日、貧血で倒れた友人を家まで送った帰り、通り雨に降られて雨宿りをしていた喫茶店の軒先で父と女性が真剣な表情で話している姿を見てしまった。
その女性は、父の浮気相手で、自分か家族かどちらを取るか決断を迫っていた。泣き崩れる女性の言葉に、父は静かに頷いていた。
父を浮気相手から取り戻すために、悩んだひろみは1人で女性の家に向かった。そこで、自分たち家族が父をどれだけ愛しているのか、必要としているのか思いをぶつけると、女性は故郷に帰ってお見合いをするつもりだと語った。
女性の家を出たひろみは、これは父にとってただの通り雨だったのだ、と自分を納得させて、いつもの自分に戻り家路に着いた。

【配役】
佐藤ひろみ:北島マヤ
脚本:吉沢ひろし

フランケンシュタインの初恋

全国行脚を終えて東京に戻ってきた劇団一角獣と劇団つきかげの合同公演の演目。ちょっぴりほろ苦いコメディ作品。

【配役】
フランケンシュタイン:堀田太一
フランケンシュタインの恋人:沢渡美奈

わが作品No.707愛しのオランピア

【背景】
マヤの実力を恐れ、部員たちにマヤを見張らせていた演劇部部長が、「通り雨」公演後にマヤに演劇部の芝居に出ないかと誘ってきた。
演劇部の部長は、マヤが演劇部の役に立つと思い、利用としようと考えたのだ。
普段は平凡なマヤが、芝居に入ると別人のように変化する。マヤの演技に引きずられ、演劇部の部員たちも素晴らしい演技をみせ、芝居は大成功をおさめた。
公演後に紫のバラが届き、芸能界を追放された自分を見捨てずに見守ってくれている紫のバラの人への感謝の気持ちが強く湧いてくるのだった。
そんな中、紫のバラを持った人を見たという生徒に案内してもらい、ようやく紫のバラの人を見つけた。しかし、その人は、ある人に依頼されてマヤにバラを届けたという聖唐人と名乗る青年だった。
聖は、マヤの強い希望を聞き、紫のバラの人とマヤとの橋渡しをすることになった。

【あらすじ】
おかしな発明ばかりする変わり者の工学博士・コペリウスのもとに死んでしまったラインホルト伯爵令嬢オランピアとそっくりの機械人形を作って欲しいという依頼が来た。
オランピアの祖父であるラインホルト伯爵は死の間際にあり、孫娘・オランピアの死は自分のせいだと自分を責め続けていた。死の床にある伯爵を安らかな気持ちにさせてあげたいという気持ちから、機械人形を依頼したのだ。
コペリウスは依頼を受け、機械人形を作ったのだが、歯車を一つ入れ忘れてしまった。
直す時間もなく、そのまま伯爵の前に連れてこられた機械人形のオランピアに伯爵は驚き、奇跡的に全快してしまった。
しかし、目の前にいるオランピアが機械人形だと知られたら、今度こそ伯爵は死んでしまう、と秘密がバレることを恐れたコペリウスはお手伝い人形のルルを連れて、ラインホルト家に入り込んだ。
やがて、歯車が一つ足りないオランピアは本物とは似ても似つかない動きをするようになり、お手伝い人形・ルルとともに大騒ぎを起こす。

【配役】
お手伝い人形:北島マヤ
他:一ツ星学園演劇部

ジュリエット

【背景】
マヤが一ツ星学園で一人芝居を演じたと知った亜弓は、自分も一人芝居に挑戦することに決めた。亜弓が選んだ題材は「ジュリエット」
「ロミオとジュリエット」のジュリエットが何を思い、どう感じたのか、恋のためにどう変貌するのかに焦点を当てた物語。
難しいパントマイムを取り入れた自分自身への挑戦だった。

【あらすじ】
鳥として舞台に現れた亜弓は、舞台上で軽やかに華麗に舞う。そのまま自然とジュリエットとなり、話は進んでいく。
舞踏会の会場で、敵対するモンタギュー家のロミオと出会い、2人は激しく惹かれあっていく。

【配役】
ジュリエット:姫川亜弓

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