ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム

『ゴールデンカムイ』とは、週刊ヤングジャンプにて2014年8月~2022年4月まで連載された野田サトルによる日本の漫画である。
明治末期、北海道のどこかに隠されている大量の金塊をめぐって繰り広げられる命懸けのサバイバルに挑む人々の群像劇である。
日露戦争で鬼神のごとく活躍した「不死身の杉元」とアイヌの少女「アシリパ」を中心に、アクの強い登場人物たちがそれぞれの行動原理に従い、時に戦い、時に手を組み、敵味方が入れ替わりながら物語は進む。作中にはアイヌや北方少数民族の伝統的な食や生活の描写が多く含まれており、その精神性や歴史を分かりやすく伝えている。
本作品は、「マンガ大賞2016」「手塚治虫賞マンガ大賞(2018年)」など数々の受賞歴があり、アニメ化もされた。
連載最終回の公開を3週間後に控えたタイミングで、公式マンガアプリ『ヤンジャン!』にて最終話を含む全話を無料公開するという、斬新なマーケティングも大きな話題となった。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カムのレビュー・評価・感想 (2/3)

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
9

変態×北海道アイヌ史×グルメのインパクト!!

ゴールデンカムイは、日露戦争帰りの兵士・杉本と、アイヌの少女・アシリィパが、アイヌの金塊の謎を印した入れ墨人皮をめぐって、北海道全土から樺太を旅していく物語です。

が、それだけでは、この漫画の魅力と濃ゆさは、語りつくせません。

まずは、この作品に登場する、数々の変態。

現在の貨幣価値に換算すると、3千億円にものぼるといわれるアイヌの金塊の在りかを、囚人たちに入れ墨として彫った…というだけでも、戦前の乱歩などの推理小説を彷彿とさせます。

ですが、入れ墨を彫られている囚人たちが、濃くて、魅力的な変態!!ばっかり!!なんです。

女好きでちゃらんぽらんな脱獄王の白石。
不敗の柔道王、なぜか額にはんぺんをつけてる牛山。
女装の食人老人医師・家永。
「勃起!」と連呼する200頭以上の熊を撃ち殺してきた猟師・二瓶。

ほかにも、ヤングジャンプで連載していいのか…!?と心配になるくらい、際どい変態ぞろい。

もちろん(?)変態は囚人だけではありません。
杉元・アシリィパたちと入れ墨人皮を奪い合うのは、新選組の生き残り・土方歳三一派と、第七師団の鶴見中尉とその配下たち。

息もつかせずストーリーがどんどん進んでいきますが、きっちりしっかりアイヌと北海道史を押さえてあって、そのあたりも読みごたえがあります。

また、アイヌ文化、とりわけ食べ物についての描写が多く、この作品を読んで、「アイヌ料理食べたい〜〜!」と思った方は少なくないはず(笑)。

昔の小説とかマンガってこれくらいぶっ飛んでましたよね。
いつからこんなにお上品になっちゃったんでしょうね?

ちなみに、史実のキャラクターがモデルになっていることが多いので、探してみると、さらに作品を楽しめるかもしれません。

おススメです!

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
10

ゴールデンカムイについて

アイヌが北海道のどこかに隠した金塊を巡って、たくさんのキャラクターが奔走する漫画です。
金塊のありかは暗号化されて、囚人達の背中に刺青として彫られており、その刺青の写しを全員分手に入れることが金塊への道標となっています。
アイヌのために金塊を手に入れたい主人公たち、野望のために金塊を手に入れたい軍人たち、そのほか様々なキャラクターが時に協力し合ったり裏切ったり…。その時々の状況によって敵味方が変わっていくのが面白いです。
なかでも主人公杉元とヒロイン・アシリパの絆は強く、強い信頼関係で結ばれていて、ただの恋愛関係ではないところが良いと思います。
明治時代末期の北海道が舞台ですが、時代考証がかなりしっかりされていて、建築物から細かい小物に至るまでこだわりを持って描かれています。読み終わった後に北海道へ聖地巡礼をすると、よりいっそう物語を楽しめると思います。
また、アイヌの文化や考え方についても作者が付け焼き刃ではなく相当勉強しており、物語の中心に組み込まれています。漫画を通してアイヌの文化に触れられるので、そういう点でもたくさんの人に読んでほしい漫画です。
男性にまつわる下ネタが多めなので、それが平気な人、もしくは好きな人にはとてもおすすめの漫画です。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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無料だったので、第69話の途中まで読んでみた。

「ゴールデンカムイ」の第69話まで読んでみた。休職中だったし、良い暇つぶしにはなったかな。舞台は、北海道でアイヌの女の子と元軍人さんのお話。日本史のことは多少は知識があったほうが読みやすいかな。北海道やアイヌの料理や衣装の話も出てくるが、解説があるので、わかりやすい。アザラシって食べられるんだと思った。最初の方は話が読みやすい。途中で、中だるみするのと、戦闘シーンが続くと正直読んでいてきつい。主人公の元軍人の男性の過去については現時点ではあまり触れられていない。しかし、なんとなく主人公はアイヌの女の子の方を選びそうな気がする。体に刺青のある囚人太刀のキャラクターが変わっていて結構面白い。北海道の歴史についての漫画って意外とありそうでないので、今までのジャンルに飽きてしまったという方や、恋愛ものやスポーツや囲碁将棋やロボットやSFはあんまりなあ…って人にはおすすめできる作品である。もう片方の主人公でヒロインでもあるアイヌの女の子は、最初よりもだいぶ美人になった。どうやら彼女の父親は実は生きているようだが、そこについても未だに明かされていない。どういった最終回を迎えるのだろうか。

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謎解きアリ、ギャグあり、飯テロあり!北の大地で繰り広げられる金塊争奪戦!

日露戦争後の北海道で繰り広げられる金塊争奪戦を描いたマンガ、『ゴールデンカムイ』。謎解きあり、サバイバルあり、ギャグあり、飯テロありと、様々な魅力がぎゅっと詰まった作品です。
物語のあらすじは、戦地で”不死身の杉元”と呼ばれた主人公・杉元佐一が、莫大なアイヌの埋蔵金を手にする為、アイヌの少女アシリパと共に金塊探しに乗り出すというもの。埋蔵金の在りかを知る為には、暗号が彫られた囚人たち全員の皮を剥ぎ、その謎を解かなければならない。
ゾッとする怖さや痛い描写も多いですが、敵対する第七師団率いる鶴見中尉の仕掛ける頭脳戦や人心掌握術、クセの強すぎる囚人たちとの戦い、ストーリー展開の上手さ、そしてギャグの破壊力に心掴まれ、物語にぐいぐいとのめり込んでしまいます。伏線もあちこちに仕掛けられているので、ちょっとしたセリフや描写にも注意しながら読んだり、何度も読み返して伏線回収をする楽しみ方もできます。
また北海道の自然の美しさや、自然と共存するアイヌの生き方が描かれているのも、『ゴールデンカムイ』をお薦めしたい理由の一つ。特にアイヌの知恵で捕らえた獲物が、美味しそうな料理となって登場する飯テロシーンでは、アシリパの食へのこだわりや、杉元の反応にも注目して読んで欲しいです。

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8

ゴールデンカムイ~文化に留まらない魅力~

日本は、単一民族が多数派であり、興味を持たない限りは他文化に触れにくい国である。そんな他文化に触れる、ひとつのきっかけとなる漫画作品が『ゴールデンカムイ』だ。
作中でヒロイン・アシリパは、アイヌ人として暮らし、成長してきた。主人公・杉元佐一や他の登場人物へ、多くのアイヌ文化を語り、アイヌ料理を作って食べさせる。その姿は、自然と読者にまでアイヌ文化への親しみを持たせている。
アイヌ文化が発展していた頃、たとえ北海道であれ、その文化は本州と大きく異なり、実質、本州の文化とはかけ離れたものだった。
そして、この作品の素晴らしいところは、文化の紹介に留まらず、エンターテイメントとしての魅力に溢れているところだ。
登場人物たちは、家庭環境に問題を抱えて育ってきた者が多く、そうでない者も、何らかの悲哀を感じざるを得なかった人生経験がある。
『ゴールデンカムイ』の舞台は明治時代であり、令和を生きる私たちには大昔のことにも思えるが、読み進めていくと、どこか登場人物たちの人生経験が、他人事とは思えなくなってくる。
親子関係の歪み、行き違いによる人間関係のもつれ。登場人物たちの苦悩は、いつしか読者の悩みとリンクし、感情移入してしまう。
大人の登場人物たちが、複雑な事情に揉まれる中、ヒロイン・アシリパもまた、悲しみを抱えることとなる。だが、常に真っ直ぐ前を見据えて歩む。その姿には大いに勇気づけられる。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
10

ストーリーとキャラクターが最高です

明治期の北海道が舞台です。日露戦争から帰還した青年とアイヌの少女の出会いからスタートします。
決して難しい歴史の話ではなく、むしろかなり新しさを感じる内容です。
日本史や北海道の知識は必要ありません。
一方で歴史に興味のある方や北海道の土地勘がある方は、それはそれで楽しく読めると思います。
ミステリー要素がありますが、展開が早いためずっと面白いです。
戦闘シーンは特殊な能力などが使われる訳ではないので、普段バトル漫画を読まない方にも分かりやすいと思います。
キャラクターに強烈な個性があり、悪役でも嫌いになれません。
それぞれ実在したモデルがいるともいわれていて、その人物を調べながら読むのも面白いです。
話の展開によって敵・味方が入れ替わるのもこの漫画の魅力です。
敵も応援してしまいます。
また、シリアスな場面とギャグ的な場面が混在しているので、気分が暗くなりすぎずに読み続けられるのも特徴だと思います。
アイヌの文化が紹介されている部分も非常に面白いです。取材や資料の多さに驚きます。
この漫画が多くの人に親しまれ、日本国内だけでなく海外でもアイヌ文化への関心が高まったと感じている人は多いと思います。
他方で、それよりも歴史に興味が湧いたという読者や、北海道に行ってみたくなったという読者もいると思います。
色々な方面に関心の湧く漫画です。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
8

舞台は明治時代の北海道。金塊を巡ってそれぞれの思惑が交錯する。

時代は明治、日露戦争終結後、主人公「杉本佐一」は故郷にいる幼馴染み「梅ちゃん」の目の病の治療費を稼ぐため北海道で砂金を採っていた。そんな中、北海道アイヌが何処かに隠した大量の金塊の情報を得る。隠した金塊の鍵を握るアイヌの少女アシリパと協力して金塊を探す物語。
アイヌ民族についてやその当時実際にあった歴史的な出来事など時代考察がしっかりされていて、普通に勉強になる。狩猟の得意なアシリパが動物を狩ったり、捌いたりするシーンがありそのような表現が苦手な人は注意。ジビエ料理についても細かく描かれていて本当に美味しそう。
金塊探しについては網走監獄の囚人や帝国陸軍として実在した第七師団など非常に多くの人間が絡んでおり、一度味方になったかと思えば裏切ったり、また仲間になったりと関係性が目まぐるしい。アシリパについては最初は金塊を探すパートナーだった杉本に対しだんだんと仲間以上の感情を持つようになり、それと同時に時代とともに淘汰されつつあるアイヌ民族の行く末を背負う立場にもなっていく。ただの少女からどんどんと成長していく過程が見える。
作中に登場する監獄の囚人や第七師団メンバーの中にはある意味変態的、偏愛的な尖ったキャラクターが多い。物語じたいも謎が謎を呼び、続きが気になってしまう。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
9

シリアスの中にも笑いあり

ゴールデンカムイは明治末期の北海道・樺太を舞台に、主人公の杉元佐一がアイヌの少女アシリパとともに隠された金塊を巡るお話です。金塊を見つけ出すには暗号が必要で、その暗号は網走監獄の脱獄囚の体に刻まれた地図を集め暗号を解かなくてはなりません。
勿論大量の金塊が欲しいものは二人だけでは無いので主人公を邪魔する刺客や暗号を回収されるのを阻止する脱獄囚とのバトルシーンが見どころです!主に近接戦で迫力と臨場感がありバトルシーンがかっこいいです。惚れます。
目的を達成するために数秒前までは敵だった人と手を組むのもアツいシーンです!裏切りや仲間の死など苦しいシーンもありますが、そんなシリアスな場面でも笑わせにくるのがこの作品の良いところです。おふざけ回もあり登場人物がすっぽんぽんになりがちです(笑)。さっきまで人が死んでたとは思わせないくらい突然おふざけが始まるのでバランスが取れて精神が安定します。
そんな変態でサイコパスで個性豊かな登場人物だからこそバトルシーンがカッコいいんです。所謂ギャップですね。主人公は「不死身の杉元」という異名持っており、その名の通り全然死にません。本当に不死身というわけではありませんよ!どんな敵にも勇敢に立ち向かって行く姿は男女問わず惚れると思います。バトル漫画には欠かせないヒーラー的人物があまりいないので、バトルシーンはドキドキです。
漫画、アニメともに作画が素晴らしいです。ですからどちらもオススメです。アイヌの文化や暮らし、食事についても勉強になる作品です。話数も多過ぎず少な過ぎないのでとっかかりやすいと思います!まさに笑いあり涙ありで男達のアツい物語です。是非ご覧下さい!

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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巧みなストーリー構成・魅力的なキャラクター

主人公を始めとして各キャラクターの行動原理や動機が明確でわかりやすく物語に入りやすい。
史実やその土地の文化について入念に調べたうえで時折大胆なフィクションを挟んでおり世界観や物語における
説得力と外連味が程よく両立できている。
主人公たちの目的は、かつてアイヌ達が集めた金塊を見つけ出すことで、その在りかを示す手掛りとなる刺青の暗号を集め解読するため
刺青に暗号を彫られた24人の脱獄囚を捕まえるため北海道各地を渡り歩くことになる。
その道中で語られるアイヌの文化や食生活、当時の北海道の自然や暮らしは本当にリアルに描かれており歴史や文化の勉強にもなる。
また、脱獄囚たちのキャラクターも非常に魅力的で、それぞれが独自の美学や人生観などを持っておりそれぞれが凶悪な犯罪者であるにも
かかわらず読み進めているうちにいつの間にか彼らを好きになっていることも多い。
物語の主軸となっている金塊争奪戦も非常に面白い。主人公勢を含め3つの陣営が入り乱れて刺青の暗号を奪い合い、時には協力しある時は裏切る
2点3点する勢力図やその中で明らかになるキャラクターの過去や変化していく人間模様から目が離せない。
最初は敵側として描かれていたキャラクターとも一時的に共闘する場面があったり、争奪戦の中で主人公以外のキャラクターも様々なことを経験し
変わっていく。
要所要所で明かされていく新事実と合わせて各キャラクターの心情や最後がどうなるのかが気になり読んでいる間ページを捲る手が止まらなかった。
多少癖のある作風だが、画力・ストーリー・キャラクターどれも高い水準で描かれており非常に面白い。おすすめの一作。

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ゴールデンカムイはなぜ面白いのか。

「ゴールデンカムイ」は、野田サトルが2014年から「週刊ヤングジャンプ」で連載しているマンガです。

今回は「ゴールデンカムイ」の面白さについて、解説します!

まずこのマンガのストーリーを説明します!

このマンガは、
「明治末期の北海道で、北海道のどこかにあるアイヌ民族が残した金塊を奪い合う」
お話です。

主人公の杉本佐一は元恋人の病気を治すために、
陸軍の軍人 鶴見中尉は北海道に軍事政権を樹立するために、
元新選組副長の土方歳三は北海道を独立国家にするために、、、

金塊を狙い、お互いが武力と知恵を持って戦います。

この「ゴールデンカムイ」の魅力は、何といっても
「格闘バトルに加え、頭脳戦の要素も加わっていること」です。

相手陣営を倒すために、銃で撃ち合ったり、素手で応戦したりしますが、
それに加えて、相手をだましあう頭脳戦の要素も含まれています。

各登場人物の「全身全霊をもって戦っている姿」が、
ハラハラドキドキして、非常に面白いです!

また作中で「アイヌ民族の文化」を学べることも魅力的な要素です。

主人公の杉本佐一は、アイヌ民族の女の子と共に行動しますが、
その中でアイヌ民族の猟の方法や宗教観が登場します。

アイヌ民族の暮らしを理解し、知的好奇心がくすぐられるのも
魅力の一つです。

「ゴールデンカムイ」は非常に面白い作品です!

マンガ好きな方はもちろん、歴史好きも楽しめる一冊です!

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話題の金塊争奪サバイバル、波乱の札幌混戦 幕開け!!(コミック25巻)

ヤングジャンプで話題の金塊争奪サバイバル・アドベンチャー、波乱の渦に飲まれていく第25巻です!
残りの刺青暗号を追って札幌に辿り着いた杉本・土方・第七師団。到着早々、杉本らは刺青囚人の一人・上エ地圭二と土方一派の逃走劇に巻き込まれ大乱闘に…!!
先読みできないスピードで展開されるアクションシーンと、殴り合いの合間に前触れもなくぶっ込まれるコメディシーンは、もはやお家芸とも言えるでしょう。
物語が佳境に入るも、アクションとコメディは最初からフルスロットルです!!
かくして、杉本らは道中手にした新たな刺青人皮を差し出し暗号を共有することで、再び土方一派と手を組むことに。
ここでいよいよアシㇼパが取り戻した記憶が暗号を解くカギになるのかが明らかになりますが、全ての刺青が揃っていない現段階では解読は不可能だと分かります。
一行は改めて残りの刺青囚人探しに戻ることに。
残る刺青囚人のうち、手掛かりの期限が差し迫る娼婦殺しの犯人に狙いを定めた土方一派ですが、次の犯行手掛かりを掴んだ石川が宇佐美上等兵に狙われてしまいます!
命からがら戻ってきた石川から次の犯行現場を絞った一行は、師団より先に刺青囚人を抑えるべく札幌ビール工場へ侵入し、四組に分かれて囚人を探します。
土方組の元へ囚人が姿を現した一方、門倉がオトリをしている牛山組が、先回りして現場にやってきた宇佐美上等兵とかち合い大パニックに…!!
互いの刺青暗号、そして暗号解読のカギを握るアシㇼパを巡り、ビール工場で大乱闘の幕開けです!!
また、24巻で房太郎が嗅ぎつけた「アシㇼパの杉本への思い」もさらに深く描かれています。
金塊が見つかった後も、杉本と一緒にいたいと思いは果たして届くのか?!
サバイバル・アクションの中に芽生えた恋の行方も、これから注目していきたいポイントの一つです。
そして三組混戦の中で、忘れてはいけないもう一つの戦いがあることもお忘れなく!
尾形を追って遥々ロシアからやってきたスナイパー・ヴァシリは、今回やっと尾形に追いつきます!
尾形が近くにいると知った時のヴァシリの興奮ぶりたるや…。
これから始まる緊迫した戦闘の中で、箸休めにもなる日・露のスナイパー対決もお見逃しなく!!

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笑いあり涙あり思惑が飛び交うお宝さがし!

「ゴールデンカムイ」はコメディ要素もシリアス要素も含んだ作品です。日露戦争後の北海道を舞台にしており、当時の時代背景やアイヌ文化を積極的にとりいれた骨太なストーリーです。とはいえ、決して堅苦しいマンガではなく、コメディ要素の強い展開が多いです。
少し下品な描写もありますが、ストーリーの中に下品な描写が重要なもの、あるいは笑えるものとしてバランスよく組み込まれています。こちらは男性向けのマンガ雑誌で連載中の作品で、絵柄も男性向けという感じに見えます。しかし、男性だけでなく女性にも十分におすすめしたいマンガです。
主人公の杉元とアイヌの少女アシリパがお互いの目的のために、財宝を探す旅に出発するという場面から物語は動き出します。
全くの他人だった二人が目的のために協力し、絆を深めていく様がこの作品の見所のひとつだと思います。二人とも優れた判断力や行動力のあるキャラクターであるからか、物語のテンポもよく、作品として中弛みがありません。
主人公の杉元という人物は、身の回りの人々や自然に対する優しさを持ち合わせていますが、やむを得ない状況であった場合や敵に対してはあまりにも割り切った対応をします。主人公でありながら、単純に明るく元気なだけのキャラクターではありません。杉元以外にも個性の強いキャラクターが多数登場します。財宝を巡る旅の中での人間関係が複雑で、それぞれの心理描写がこの作品を魅力的にしています。

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大人に読んでほしい緻密なストーリーと人物描写が光る作品

徹底的に練りこまれたストーリーと、人間ドラマから目が離せません。
舞台は明治時代の北海道で、アイヌ民族が隠したとされる金塊の山を主人公たちが探し求めるストーリーです。
金塊を探す手掛かりは金塊を隠した本人と噂されるアイヌの男性の娘アシパと、男が網走監獄に収監されていた間に囚人の体に刺青として彫った暗号の地図のみ。しかし囚人はすべて脱獄しているため、ストーリーのほとんどは地図を入手すべく囚人を探すことに重点が置かれています。
金塊は主人公たち以外にも狙っている勢力があり、大きく3つの勢力が金塊争奪戦にエントリーしているのですが、魅力的なのは状況によって勢力同士で結託したり時にはスパイを送るなど、敵味方が明確に分かれていないです。誰が見方で誰が敵なのか、各登場人物の真意は何なのかを想像しながら楽しめますし、伏線も多数張られています。話が進むと「こういうことだったのか」と思わず前の話を読み返したくなることがきっとあるはずです。
また、各登場人物の描写が丁寧に描かれているため、キャラクターの性格や、登場人物間の愛情や対立、信頼などの繊細な人間関係が伺えてストーリーがよりドラマチックに仕上がっています。
文化や歴史的な側面については他の多数の記事で絶賛されているので割愛しましたが、時代考証など学術的な描写を抜きにしても大変面白いので、お勧めです。

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隠された金塊を探す、サバイバルドラマ!

「ゴールデンカムイ」は集英社刊行の週刊誌「ヤングジャンプ」にて、原作者で漫画家の野田サトシにより2014年8月21日(38号)から連載中の、隠されたアイヌの金塊を探すサバイバル漫画です。
時代は明治、日露戦争後の北海道が舞台です。
主人公は日露戦争帰りの元軍人で一等卒だった杉元佐一です。杉元はある事情から、大金を目当てに北海道で砂金取りに勤しむなか、酔っ払いの男から偶然にアイヌの隠された金塊の話を聴くことから物語は始まります。
作中では、一癖も二癖もある個性的なキャラクターたちが数多く登場します。日露戦争の最中のキャラクターたちの描写も多く、服装も軍服を着たキャラクターや軍人も登場します。
その他にも、読者から人気のあるキャラクターである尾形百ノ助など、個性的なキャラクターたちがこの漫画の魅力でもあります。
中でも、作者が作中トップレベルの変人であるという宇佐美時重は、自身の口の左右にあるホクロに崇拝する上官、鶴見中尉にされた落書きである走る棒人間をそのまま刺青にするなど、たびたび常軌を逸した内容もあります。
主人公の杉元は、助けられた事から出会う蒼い目をしたアイヌのアシリパという名の少女と、キャッチコピーが愛されて脱獄王の白石由竹らとともに、アイヌの金塊を探すための手がかりである金塊の場所を示した入れ墨を入れた囚人たちを探すため、北海道中を動き回ります。
本作には金塊などにまつわる隠されたエピソードが多くあり、杉元たちが金塊を探す中で金塊の在処を知るアシリパの父親についてなど、物語が進むにつれ謎や憶測が解かれていきます。
作中で、モブキャラクターを含め主要キャラクターが死ぬ場面もあり、注意が必要です。
2021年3月現在の連載中の内容では、入れ墨の暗号を解く鍵を思い出したアシリパが同じく金塊を狙う鶴見中尉に暗号の鍵を溢してしまいます。
物語がどんどん進む中、果たして金塊を手に入れてる事は出来るのか、連載はヒートアップしています。
また、ゴールデンカムイは漫画として様々な賞を受賞しています。第22回手塚治虫文化賞の大賞を受賞、2019年に開催された大英博物館マンガ展の象徴にアシリパさんが選ばれるなど、日本国内ばかりではなく海外の漫画界にも影響を与えています。2021年では、第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門ソーシャル・インパクト賞を受賞するなど、各方面で注目されています。

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意外と知られていない日本の姿を知る

日本に古くから少数民族が存在していること自体を知らない人が多いのではないだろうか。
アイヌという言葉を知ってはいてもどんな民族か、生活を送っていたのか。
波乱に富んだストーリーだけでなく、アイヌという民族を深く知ることができ、
また、樺太編において、樺太が日本の領土であったこと、
そこにも樺太アイヌやオロッコといった少数民族が存在したこと。
これも全くと言っていいほど知られていない事実。
これは、マンガを超えて歴史教科書と言っても過言ではない。
実在の人物が多く出ることで物語にリアリティがある。
函館で滅んだはずの新選組。
実際に、永倉新八は月形監獄で剣術師範をし、小樽に居住。
これに、死んだはずの土方歳三が加わる。
土方は遺体の行方が分からないため、もしかしたらと思わせてしまう。
そして、常に虐げられてきたアイヌの人達。
北海道にはアイヌの人達がおり、自然の中で生きてきた。
ヒグマとのかかわり、自然への感謝、
今見直さなければならない生き方が100年前の北海道にはあった。
何と言っても、北海道独立の夢が叶うかどうか。
榎本武揚が成し遂げられなかった蝦夷共和国の夢。
これらを巡って、まさかロシアのアレクサンドル2世の暗殺まで絡めてくるとは思わなかった。
個人的にはロシア革命まで突き進んで欲しいとさえ思っている。
我々が知らなかった北海道、日本、極東、ロシアの歴史とロマンを十分に堪能できる、
何よりも性別、世代を問わない作品、教科書であると思う。

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アイヌについて勉強にもなるアニメ

2018年4月よりアニメ放送され、2019年7月には第三期のアニメ化も発表されたり、コミックは18巻(2020年1月では20巻まで発売されています)の発売時点で累計発行部数1000万部突破しており大人気作品になります。
また、2015年にコミックナタリー大賞で二位と成績を残し、翌年にはマンガ大賞も受賞したり、その後もいくつものマンガ賞を受賞しています。
作品の内容と見どころとしましては、主人公、杉元佐一がとあることから、アイヌが金塊を隠していることをしり、この金塊をめぐる戦いに巻き込めれていくのですが、その道中に金塊の在処を示した入れ墨のある囚人たちとの戦いや、共闘して共に目的を果たそうとしたり、日本で革命を企てる日本軍とも戦いになったり、かなり濃い内容になっています。
また、出てくる敵もモブキャラですら強かったりと、主人公だから苦労せずに勝てるっと言うこともなく頭脳戦が行われたり、肉弾戦になったりと、バトルシーンは見ていて本当に飽きません。
他にも、シリアスなシーンなのにシュールなボケを入れてきたり、色んなアイヌの伝統や食事(食事に関してはグルメマンガ顔負けレベル)を開設したりとたくさんの見どころある作品です!!

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怒涛の展開に魅力的なストーリー。加えてシリアス&コメディとのバランス感覚の優れた良作

アイヌ文化に明治時代末期、戦争という実際の歴史に金塊争奪サバイバルというオリジナルストーリーをうまく加え、観る人を引き込むとても面白い作品となっている。また設定から重い内容な気がして観るのを躊躇してしまいがちだかそれは勿体無い。張り詰めたシリアスシーンかと思いきやほっとするようなコメディ展開といった具合に重くなり過ぎず展開も良く、観ていて飽きないバランス感覚に優れた作品でもあるのだ。
またアイヌの文化や魂について良く研究した上で魅力的に表現しているので、そういった点でも感心させられるので見所はとても多い。
主題歌にはMAN WITH A MISSIONのWinding Roadという曲が採用されており、疾走感と深みがある曲調で歌詞も良くかっこいいナンバーである。
またストーリーにもとてもマッチしており、一話目で流れた時にはとてもグッときた。
そして一番はどのキャラクターもとても魅力的だというこだ。
主人公の生きる事への執着のようなものをとても美しくクールに表現していたりら、ヒロインの聡明かつ芯の強いキャラクターはこういう人間でありたいと思わされる。
他のキャラクターもそれぞれの信念やプライド、ロマン、哲学を持っておりとてもかっこよい。

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ゴールデンカムイ

時代は日露戦争終戦後で、舞台は北海道。アイヌの埋蔵金を狙う主人公達と、埋蔵金の鍵を握る極悪で癖の強い脱獄囚たち、同じく埋蔵金を狙う日本陸軍。登場人物は異常に多いですが、それら三勢力が脱獄囚の身体に刻まれた埋蔵金のあり方に繋がる刺青(刺青人皮、というらしいです)を狙うという分かりやすい構成で、途中から読んでも大体頭に入るストーリーになっています。三つ巴の戦いは、裏切りや仲間の犠牲を経ながらまさに血で血を洗う様相となります。そして物語終盤の主人公とアイヌ娘が埋蔵金を見つけた後どうなるのかは必見です。こんなバトルは見たことないというくらい、何でもありの殺人やり過ぎ演出で、人間ってこんなに躊躇なく人を殺せるんだと驚かされるシーンの連続です。殺人犯が殺される場面では、殺人犯に現在の私たちが共感できるかはさておき、これらの人にも一人一人にストーリーがあり全く飽きることなく独特の世界観に引き込まれます。一方で、アイヌの信仰や文化を知る、和やかな日常に触れ、アイヌ民族のヒロインの美しい心に癒されたり、笑っていいのか分からないシュールなギャグ展開があったり、これまで見たことのないテンポ感の漫画であることは間違いないです。血生臭い展開も多く、ギャグについて行けない場合は、読む人が限られるかも知れませんが、一本の時代小説を読んでいるようで間違いなく名作でお勧めです。

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弱い奴は食われる。北海道を舞台に繰り広げられる金塊争奪サバイバル

作品の舞台は日露戦争終結後、明治時代末期の北海道です。アイヌが残したといわれる金塊の在り処を巡って壮絶なサバイバルが繰り広げられます。サバイバルというと殺伐とした印象がありますが、本作は殺し合いのシーンばかりではなく、仲間との食事シーンや独特なギャグパートなどが組み込まれ、緩急のある作品に仕上がっています。作者の丁寧な取材に基づいて制作されており、アイヌの生活や料理・考え方なども作品を通して学ぶことができます。また、登場キャラクターたちが非常に魅力的です。それぞれの生い立ちや、内に秘めた思いが細かく描かれており、一度読み始めるとどのキャラクターも好きになってしまうこと間違いなしです。「弱い奴は食われる」は作品序盤でのセリフなのですが、本作の根底にはずっとこのセリフがあるような気がします。「弱い奴は食われ、強いものが生き残る」という考え方があるからこそ、殺し合いのシーンも悲壮感なく淡々とした気持ちで見られるのだと思います。自分の目的のために生き、戦う。非常に単純明快で、読むとスッキリした気持ちになれます。歴史・軍隊・アイヌ文化・グルメなどさまざまな要素が詰め込まれているので、読者の層が幅広く、男女関係なく楽しめる作品です。

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モブにも犬にもそれぞれの人生がある

大英博物館のマンガ展のポスターになっていたので、ずっと気になっていた作品でした。なぜナルトやワンピースなど、商業的にすでに成功している作品ではなく、ゴールデンカムイなのか、と。
私は漫画よりも先にアニメから入りました。冒頭は、男性主人公である杉元が日露戦争で戦っている場面から始まるので、明治の軍隊もの、バトル系なのかな、そして、アイヌの女の子が出てくるので、ヒーローヒロインものかな、と思いましたが、本作はそんな既存のジャンルには収まりません。
明治の軍隊ものではあるけれど、明治の北海道に駐屯する軍隊がどういう人たちの寄せ集めなのかというドラマが動き、バトルはあるけれども白黒善悪はもっと複雑で、軍人の話、ヒーローの話、というよりも、人間の物語になっています。二話、三話と見て行って、和人の男性である杉元が与えたり助けたりするばかりでなく、アイヌの女性であるアシリパさんに平等に与えられ助けられることによっても、この物語が型にはまらないものであることが分かってきます。
また、アニメ2エピソードくらいで死んでしまう人にも、生い立ちが語られ、その人の死が居合わせた登場人物の心情に爪痕を残していたことが後々になってわかることや、主人を亡くした猟犬にも新しい自己実現の道が後になって見つかるなど、作品の中で生きた時間が流れていることが分かります。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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名場面のオンパレード!これはすごい漫画

とにかく名場面、名台詞が多いです。巻数を重ねると失速する漫画もありますが、これは勢いが衰えません。ギャグとシリアスの二面性が心地よいタイミングで交代し、会話のテンポやストーリー展開の速度は読むのを疲れさせず、とにかく飽きさせません。とくにシリアスシーンの描き方は迫力満点です。
行動やセリフは当然のことながら、絶妙な表情から各キャラの背負う人生が垣間見えます。金塊争奪戦というストーリー上、死人が出ますが、死に様すら今までのキャラクターの生き様をそのまま体現した鮮やかなものです。一見無様に死んだように見えるキャラも、他のキャラの生き方を補正するように描かれているため、モブすら無駄死にしていません。キャラのひとりひとりから、壮絶なエネルギーを感じる作品です。
ギャグシーンでは、コミカルな顔芸が丁寧に緻密に書き込まれており、初見ではあまりの顔面崩壊っぷりに圧倒され、「やべえ」しか感想が出ませんでした。どのギャグシーンもインパクトのあるもので、誰かに見せびらかしたくなります。話が進むにつれ新キャラが続々出てきますが、それぞれのエピソードや人格が強烈なので、皆きちんと個性が出ています。こんなに楽しい人間模様は久しぶりです。非常に興奮しています。わたしは自信をもって、この漫画をおすすめします。

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時代背景とアイヌの歴史が面白いくらい分かる

友人おすすめで無理やり渡されたマンガだったので、はじめは気乗りがせず、絵があんまり好きじゃないかも…日露戦争後の北海道の歴史なんて全然興味がないと思って読んでいたのですが、敵味方問わず出てくる変態とよぶべき愛すべきキャラクター達が全裸で戦ったり変顔をしたり、銃を打ちながら「勃起!!」と叫ぶようなシーンも多く含まれておりプッと吹き出してしまうような事が多々ありました。
戦いのシーンこそ血が出たり、腸が出たり、耳が削がれたりとありますが、キャラクター一人一人の個性が立っていて全くグロテスクに感じることはありませんでした。また、作品の中ではさまざまなアイヌの伝統料理を紹介をしていてこれも興味深く、例えばチボプサヨ(ジャガイモとイクラのお粥)鮭のチタタプ(顎の肉をネギトロにしたようなもの)等、本当に美味しそうな料理が出てきたと思うと、猟の場面では愛らしいリスや、ネズミ、ラッコ等本来愛でるべき動物を捕獲し新鮮な脳みそを生で食べたり、皮を剥ぐなど調理の詳しい工程も丁寧に載っていて勉強になりました。どの食べ物を食べるときも「ヒンナヒンナ」=食事、食べ物、生き物に感謝というアイヌ語が用いられていてアイヌの人たちの自然への感謝の気持ちが要所要所に散りばめられていてスーッと頭に入ってくるようになってます。北海道の主要都市や網走監獄など私たちが耳にしたことのある場所が舞台になっているためその町の歴史なども学べるようになっています。今は北海道を出て樺太を旅しているので今後の展開にも目が話せないです。

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シリアス・グルメ・爆笑!多彩な要素に圧倒的な世界観に脱帽!

過去に漫画賞を受賞した作品で、舞台は明治時代の北海道。日露戦争帰りの主人公「杉本佐一」とアイヌ民族の少女「アシリパ」、それを取り巻く強敵たちが金塊を求めて戦うストーリー。
一見シリアスな漫画と思いきや、他の作品ではまず見られないヒロインの堂々とした顔芸、アイヌ文化や、濃厚なホモ展開、グルメ漫画のような思わず食べてみたいと思わせるヒグマやウサギなどの獣料理の数々。”なんでもあり”なゴールデンカムイの世界観にすぐに魅了されてしまいました。
作中に出てくる武器には、実際にこの時代に使用されていた三十八年式歩兵銃や村田銃などが登場。レトロな武器が多数登場し、ガンマニアにもたまらないポイントになっています。この金塊争奪戦を指揮した「土方歳三」や、金塊のヒントを入れ墨にいれた変態囚人たちも数多く登場し、濃すぎるキャラクターたちも人気の秘密だと思います。
今回鍵を握る少女・アシリパのいるアイヌ民族の独特な伝統や考え方は、今の現代では忘れがちな心も教えてくれます。食べ物に感謝する言葉「ヒンナ」などなど。この作品の他の漫画にはない知恵と魅力が満載の作品です。2018年にはアニメ化もされ、第二期の網走監獄編で終了を迎えました。本誌の方では樺太編へ突入し、杉本たちは金塊を手に入れられるのか?今後の展開が見逃せません!

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知ってるはずなのに全く知らない世界観!

日露戦争、新選組、アイヌ、北海道、熊とどれも皆知っているワードであり、実際の日本の歴史をベースにした話なのに、今までされてない所にフォーカスされており、とても新鮮な漫画作品です。
あらすじは、金塊の隠し場所を見つける為に暗号化した刺青を入れた脱獄囚達を探し出す、という明治時代末期が舞台のもの。仲間になる者、裏切る者、邪魔する者と様々な思惑を持ったキャラクターが出て来ます。

この作品で印象的なのは、細かな描写のアイヌの文化です。
ヒロインのアイヌの女の子が語るアイヌ文化は、信仰・食事・生活様式など多岐に渡り、その神秘的で目から鱗の内容に興味がつきません。
この作品を知る前に阿寒湖周辺に旅行をしたのですが、当時はアイヌ文化に興味が無く立ち寄らなかったので、今度改めて阿寒湖のアイヌコタンに行きたくなりました。
単行本の巻末には多くのアイヌに関する参考文献が載っており、作者の勉強っぷりが窺えます。
そして、何よりキャラクターが皆魅力的です。

それぞれ理想を持った芯の強い人物達で、簡単に善悪では分けられない所が物語に深みを与えています。
主人公の杉元は、普段は三枚目キャラですが戦いに強く男気があり優しさも持ち合わせて文句なしにカッコイイ!
そんな主人公は、日露戦争に出征した作者の曽祖父と同じ名前だそうです。
脱獄王や凄腕スナイパー、マタギなどバラエティ豊かなキャラが出て来ます。その上を行く脱獄囚達のキャラも必見です。