笑いあり涙あり思惑が飛び交うお宝さがし!
「ゴールデンカムイ」はコメディ要素もシリアス要素も含んだ作品です。日露戦争後の北海道を舞台にしており、当時の時代背景やアイヌ文化を積極的にとりいれた骨太なストーリーです。とはいえ、決して堅苦しいマンガではなく、コメディ要素の強い展開が多いです。
少し下品な描写もありますが、ストーリーの中に下品な描写が重要なもの、あるいは笑えるものとしてバランスよく組み込まれています。こちらは男性向けのマンガ雑誌で連載中の作品で、絵柄も男性向けという感じに見えます。しかし、男性だけでなく女性にも十分におすすめしたいマンガです。
主人公の杉元とアイヌの少女アシリパがお互いの目的のために、財宝を探す旅に出発するという場面から物語は動き出します。
全くの他人だった二人が目的のために協力し、絆を深めていく様がこの作品の見所のひとつだと思います。二人とも優れた判断力や行動力のあるキャラクターであるからか、物語のテンポもよく、作品として中弛みがありません。
主人公の杉元という人物は、身の回りの人々や自然に対する優しさを持ち合わせていますが、やむを得ない状況であった場合や敵に対してはあまりにも割り切った対応をします。主人公でありながら、単純に明るく元気なだけのキャラクターではありません。杉元以外にも個性の強いキャラクターが多数登場します。財宝を巡る旅の中での人間関係が複雑で、それぞれの心理描写がこの作品を魅力的にしています。