ゴールデンカムイ
時代は日露戦争終戦後で、舞台は北海道。アイヌの埋蔵金を狙う主人公達と、埋蔵金の鍵を握る極悪で癖の強い脱獄囚たち、同じく埋蔵金を狙う日本陸軍。登場人物は異常に多いですが、それら三勢力が脱獄囚の身体に刻まれた埋蔵金のあり方に繋がる刺青(刺青人皮、というらしいです)を狙うという分かりやすい構成で、途中から読んでも大体頭に入るストーリーになっています。三つ巴の戦いは、裏切りや仲間の犠牲を経ながらまさに血で血を洗う様相となります。そして物語終盤の主人公とアイヌ娘が埋蔵金を見つけた後どうなるのかは必見です。こんなバトルは見たことないというくらい、何でもありの殺人やり過ぎ演出で、人間ってこんなに躊躇なく人を殺せるんだと驚かされるシーンの連続です。殺人犯が殺される場面では、殺人犯に現在の私たちが共感できるかはさておき、これらの人にも一人一人にストーリーがあり全く飽きることなく独特の世界観に引き込まれます。一方で、アイヌの信仰や文化を知る、和やかな日常に触れ、アイヌ民族のヒロインの美しい心に癒されたり、笑っていいのか分からないシュールなギャグ展開があったり、これまで見たことのないテンポ感の漫画であることは間違いないです。血生臭い展開も多く、ギャグについて行けない場合は、読む人が限られるかも知れませんが、一本の時代小説を読んでいるようで間違いなく名作でお勧めです。