宇宙兄弟の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
『宇宙兄弟』とは小山宙哉によって執筆された、夢を諦めた兄が宇宙飛行士の弟と「兄弟で月に立つ」という夢をもう一度実現するべく宇宙飛行士目指して奮闘する、宇宙を題材にした漫画作品である。夢を叶えた弟に劣等感を抱く兄六太(ムッタ)や、ともに宇宙を目指す仲間達、弟の日々人(ヒビト)などが発した名言・名セリフの数々は「もう一度立ち上がろう」という小さなきっかけをくれる原動力を、多くの人々に与えている。『宇宙兄弟』の心にしみる名言・名セリフ、印象深いシーンなどをご紹介する。
月面ミッションに指名する人物を選ぶ目的を兼ねて行われた海底基地での訓練(NEEMO訓練)で、ムッタに先を越されたケンジと新田は、バトラー室長の指示により詳しい情報は与えられないまま日々訓練に励んでいた。何も具体的な道が見えない中で不安に陥っていたケンジだが、NASAで行われたクリスマスパーティーの最中「人類初の小惑星探査」という任務が与えられる。ケンジはすぐに自宅に居るユキに報告をするが、ちょうど妊娠中だったユキの陣痛が始まった。
数時間後元気な女の子が無事誕生しホッとするなか、ユキが任務の詳細を尋ねてきたため資料のタブレットを手渡す。そこには長女の風佳が名前の候補に挙げていた「あん(AN)」という単語が含まれた小惑星が写っていた。ケンジはそこに運命を感じ取り、風佳の意見も取り入れて次女は「安(あん)」と名付けられたのだった。
吾妻滝生(あずまたきお) の名言・名セリフ/名シーン・名場面
「死ぬ覚悟はあるか?」
「日本人最長のISS滞在記録保持者」、「日本で初めて月面軌道を回った男」としてその実力が認められている吾妻は、当然日本人初の月面着陸者に選ばれる人物だと誰もが考えていた。しかし実際には宇宙飛行士になったばかりでまだ経験が浅いヒビトが「日本人初のムーンウォーカー」に選ばれる。マスコミはもちろんのこと、NASAで働く宇宙飛行士や職員までもがこの決定に驚き、「自分を差し置いて選ばれたヒビトの事をアズマが恨んでいる」という憶測が飛び交っていた。
選抜試験の最終審査である現役宇宙飛行士たちとの面接が終了した翌日の夜には、飛行士やJAXA職員を交えたパーティーが盛大に催され、候補者たちはグラスを片手に会話を楽しむ。しかしそれこそが宇宙飛行士選抜試験の最終審査であり、「目の前に居る人間に命を預けることができるかどうか」を細かくチェックされていたのだった。紫はムッタが思いのほか細かく人間観察をしていることを内心評価し、不利な立場に居るムッタに「吾妻さんに話しかけるな」と直接警告する。しかし紫が離れたタイミングでムッタは席を立ち、「誰かから逃げたままで宇宙飛行士になれると思うな」と覚悟を決めると、一人離れた場所で酒を飲んでいた吾妻の元へ挨拶に向かった。
ヒビトのことを話題にして話をつなげる作戦を立てていたムッタだが、不愛想な吾妻には通じず玉砕して離れかける。その刹那吾妻が「一言だけ聞かせてくれ。死ぬ覚悟はあるか?」と問いかけた。不意の質問にムッタが「当然ありますとも」と答えると吾妻はふと顔を曇らせるが、ムッタは一瞬おいた後「すみません。嘘つきました。本当は死ぬ覚悟できてません」と答えなおしたのである。
後日吾妻は屋上で一人壁当てをしながら「本当は死ぬ覚悟できてません。多分もう死ぬなってなった時、ぎりぎりまで生きることを考えます」と答えたムッタのことを思い返す。かつて吾妻はブライアンから同じ質問をされており、「死ぬ覚悟なんていらねえぞ。必要なのは生きる覚悟だ。たいていの奴はYesと答えるが、Noと言える奴は信用していい」と言われていた。そしてヒビトの「死ぬ覚悟ですか?全くないです」という答えを重ね合わせると、満足そうに「兄弟だな」とほほ笑んだのだった。以降吾妻は難波兄弟に対してやや態度を軟化させ、少しずつ打ち解けていく。そのきっかけとなった印象的なセリフだ。
「遠くでボソボソ言っている意見なんて、いつでもそんなもんです」
PD(パニック障害)を乗り越え、ロシアの宇宙飛行士としてムッタの待つ月へ向かう事となったヒビトは、打ち上げ前のインタビューでとある記者に質問攻めにされていた。「パニック障害は実はたいしたことはなく、別の理由で戦力外にされていたのではないですか?」「かつての仲間とトラブルがあったためロシアに移ったのではないかと皆さん心配されているのですが」などぶしつけな内容にヒビトも困惑する。
吾妻はそんなヒビトの様子を見て「ロシアの英雄イヴァン・トルストイからかつて聞かされた小話をしても?」と助け舟を入れた。
その話とは二人の男がキャッチボールをしていると、暴投した相手の球を見事キャッチしたが足元も水たまりに気付かずびしょ濡れになったというものだった。男たちの様子を見ていた周囲の人間は「わざと受けにくいボールを投げて水たまりに入るよう狙ったんじゃないか」、「キャッチした男が足元を見ていなかったから不注意だ」など好き勝手に噂話をする。しかし真相は、ただボールを投げた男がミスをし、水にぬれただけのことで二人は何事もなくキャッチボールを楽しんだのであった。
話終えた吾妻は「遠くでボソボソ言っている意見なんていつでもそんなもんです」ときっぱりと告げ、記者の質問を終わらせる。「何も知らない周囲の噂話など当てにならない。気にする必要はない」と暗にヒビトに伝えた、吾妻なりの優しさが見えるセリフだ。
ブライアン・Jの名言・名セリフ/名シーン・名場面
地球帰還時の事故シーン
二週間に及ぶ長期間の閉鎖環境訓練に挑む前、受験者たちは「ここが自由に飲食できる最後のチャンスです。またここが引き返す最後のチャンスです」と説明され、一本の極秘映像を見せられる。それは帰還時の事故によって死亡したブライアン・Jを含む三人の宇宙飛行士の、最期の瞬間までが写された内部カメラの映像だった。
モニターの様子からパラシュートが開かない状況を確認した三人は、時速600キロメートル以上の速度でぐんぐん地上へと墜落していく。絶望的状況に一人の飛行士が取り乱し始めたが、ブライアンは「それより最期の瞬間まで今できることをしよう。今後の事故調査に役に立つ」と落ち着くよう呼びかけた。
仲間が「やり残したことがいっぱいあった。まだ見ていないドラマの続きが気になる」と呟くと、ブライアンは「そいつはいいとこで見終わったな。6話以降は超つまんないぜ」と笑顔で答える。その数秒後轟音が響き渡り、カメラはブラックアウトして途絶えた。
受験者に映像を見せる理由を、「飛行士にとって安全は百パーセントではないことを認識してもらうためです。どうしようもない状況のように立たされても死を受け入れ、更に行動を続けることができる精神力が必要なのです」とJAXAは説明する。ブライアンは最期の瞬間までできることを考え、仲間を励ますことができる優秀な飛行士であることが分かる、衝撃的かつ印象的なシーンだ。
吾妻の繊細を見抜いていたブライアン
真面目で沈着冷静、仕事も早く一見完璧な人間に見える吾妻滝男だが、周囲の環境の変化にはとても弱い繊細な人物だった。「八年間の間で最も長期間ISSに滞在した日本人」としてマスコミに取り上げられた吾妻は、続くミッションで「初めて月周回軌道を回った日本人」として称賛を浴びる。
しかし地球に戻ってきた自分を持て囃し、家族にまで無理やりマイクを向けるマスコミの態度に嫌気がさした吾妻は「これだけ大勢の人がいるのに、誰一人自分のことを分かってくれない」と悩んでいた。そんな吾妻の性格を見抜いていたブライアンは、一人壁当てをしていた吾妻に「アズマ、お前はパワフルだが人一倍繊細な男だ。日本の歴史に名が残るとか、そんな重圧お前が背負う必要はないぞ。気になって宇宙で楽しめないだろ。俺に任しとけ。日本人初のムーンウォーカーにはヒビトを推薦しておく」と話しかける。自分のことを理解してくれたブライアンに対して吾妻は、悩んだときに答えをくれる兄の様に感じるのだった。
いつも大雑把な性格のブライアンだが、人のことをきちんと観察し適切に声を掛けられる優秀な人物であることが分かる名シーンだ。
「来てやったぞヒビト。この大先輩ブライアン・Jがわざわざ来てやったぞ」
月面バギーで走行中に横転して深い峡谷に落ち込んだヒビトとダミアンは、何とか谷から脱出に成功するものの、それぞれ深刻な問題を抱えていた。ダミアンは宇宙服の体温調整機能が破損し、かつ骨折も見られた為動くことができず、ヒビトはメインタンクの破損により酸素が持たない状況に陥る。通信機能が復活したころNASAとJAXAはようやく二人の位置情報を確認するが、ヒビトが動き回ったため月面の仲間が向かっていたポイントとは外れていた。
ヒビトの酸素がいよいよ底をつき意識が朦朧としたヒビトは倒れこんでしまうが、霞む視界の中に現れたブライアンが「オーッス、ヒビト。来てやったぞ。この大先輩ブライアン・Jがわざわざ来てやったぞ」とにこやかに話しかけてくる。それはブライアンの名にちなんで付けられた移動可能な酸素補給機で、ヒビトの行動の癖を読んでいたムッタが場所を予測し、吾妻の指示によって送られたものだった。
ヒビトは気力を振り絞って「ブライアン」から酸素を受け取って窮地を脱する。死してなおヒビトを救った偉大なブライアンのセリフだ。
エディ・Jの名言・名セリフ/名シーン・名場面
バラバラのチームを穏やかにまとめ上げるエディ
ムッタともに月を目指すことになったメンバーは、宇宙飛行士の中でも特に問題児を集めて作られたバラバラなチームだった。恵まれた体躯で常に無口なため怖がられるアンディや、他者を寄せ付けないため強いバリアを張っている強気な女性ベティ。キザな言動と本当か嘘かわからない態度が信用ならないカルロ、そして陽気な人柄だが人の話をいまいち聞いていないフィリップ。
彼らは日課のランニングですらペースが合わず、ムッタは「本当にこれで大丈夫なんだろうか。チームにはリーダーが必要だ」と内心焦りを覚える。そこへやって来たのがかの有名なブライアン・Jの兄で、ISSでの活動経験が豊富なエディ・Jだった。
エディは一日かけてチームの様子を観察すると、「ランニングの仕方を変えよう」と提案する。夜、何も目印が無い場所にメンバーを連れ出すと「目的地まで、決められた時間ちょうどに戻る。簡単だろ?ただし時計を持っていいのは俺だけ」とにこやかに微笑んだ。
こうしてバラバラに走っていたメンバーはエディにペースをあわせて走り出し、徐々にチームはまとまりを見せていく。それぞれの癖を見抜き穏やかにチームをまとめ上げた、エディのリーダーシップ能力の高さがうかがえるシーンだ。
月で待つブライアン人形を発見したエディ
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目次 - Contents
- 『宇宙兄弟』の概要
- 南波六太(ムッタ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「グーみたいな奴もいて、チョキみたいな奴もいて、パーみたいな奴もいる。誰が一番強いか答えを知っている奴はいるか」
- ヒビトの打ち上げを見守るムッタ
- 「本気の失敗には価値がある」
- 「死ぬまでに宇宙に行けないのはもっと嫌だ」
- 「本当は 死ぬ覚悟……………できてません」
- 「ところが実は……一番なりたがってるのは……俺です」
- 「宇宙服は俺らの味方だ」
- 「ちょっとだけ無理なことに挑戦していこーぜ」
- 「先のこと考えるのやめたんだ わかってたけど…大事なのは結局…”今”だ」
- 「We are ”Space brothers”(僕たちは“宇宙兄弟”です)」
- 南波日々人(ヒビト)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「宇宙に行くの夢なんだろ。諦めんなよ。もし諦め切れるんなら、そんなもん夢じゃねえ」
- ヒビトがムッタに送ったメール
- ムッタを救いに行くヒビト
- 「お待たせ」
- 金子シャロンの名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「今のあなたにとって、一番金ピカなことは何?」
- 「迷ったときはね、どっちが正しいかなんて頭で考えちゃダメ。どっちが楽しいかで決めなさい」
- 「It`s a piece of cake!」
- ムッタの月面着陸中継を聞きながら手術を受けるシャロン
- 伊東せりかの名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「私の名前は伊東せりかです。名前に意味はありません!」
- 宇宙飛行士合格を父に報告するせりか
- 「星加さんおっしゃいましたよね。『チャンスがある方に賭けるしかない』って。チャンスは今ここにあります」
- 真壁ケンジの名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「何の引っ掛かりもなく堂々と言えるか?『これが俺の一生の仕事です』って」
- 次女の命名シーン
- 吾妻滝生(あずまたきお) の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「死ぬ覚悟はあるか?」
- 「遠くでボソボソ言っている意見なんて、いつでもそんなもんです」
- ブライアン・Jの名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 地球帰還時の事故シーン
- 吾妻の繊細を見抜いていたブライアン
- 「来てやったぞヒビト。この大先輩ブライアン・Jがわざわざ来てやったぞ」
- エディ・Jの名言・名セリフ/名シーン・名場面
- バラバラのチームを穏やかにまとめ上げるエディ
- 月で待つブライアン人形を発見したエディ
- 「我々は孤独だ。だが一人ではない」
- ビンセント・ボールド(ビンス)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
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- 北村絵名(きたむらえな)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「一緒に訓練して一緒にごはん食べて一緒にロケット乗ってここまで来たんだから、一緒に実験して一緒に帰ろ」
- 自分の将来の決め方
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