ときめきトゥナイト(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ときめきトゥナイト』とは、池野恋によって1982年から1994年まで『りぼん』で連載された漫画、及びそれを原作とするアニメ作品である。人間界と魔界を主な舞台とし、江藤蘭世、市橋なるみ、真壁愛良の3人の少女が主人公を務める3部作となっている。初期はギャグ要素が強かったが、第1部のヒーロー真壁俊が魔界の王子であったことが発覚する辺りからシリアスな要素が増えた。連載終了後も根強い人気を誇り、スピンオフ作品や前日譚、リメイク版などが発表されている。

『ときめきトゥナイト』の概要

『ときめきトゥナイト』とは、池野恋によって1982年から1994年まで『りぼん』で連載された漫画、及びそれを原作とするアニメ作品である。単行本全30巻と完結編に当たる『星のゆくえ』1巻。文庫版は全16巻、2011年には第1部のみの新装版全12巻が発売された。シリーズ累計発行部数は3000万部を突破。
1982年10月から1983年9月まで、日本テレビ系列でアニメ化される。
2002年から2009年まで一部の設定を改変したリメイク『ときめきミッドナイト』全9巻、文庫版全6巻が連載された他、2021年より、集英社『Cokkie』より続編となる『ときめきトゥナイト それから』が連載されている。
本編のスピンオフに当たる『ときめきトゥナイト 真壁俊の事情』や『ときめきトゥナイト 江藤望里の駆け落ち』、『ときめきトゥナイト 江藤蘭世の宝箱』なども発売された。
人間界と魔界を主な舞台に、江藤蘭世(えとう らんぜ)、市橋なるみ(いちはし なるみ)、真壁愛良(まかべ あいら)という異なる能力を持った3人の少女がそれぞれヒロインを務める3部作から成る。蘭世は噛み付いた対象に変身する、なるみはキスした物に命を吹き込む、愛良は感情で天候を変化させる他時間を戻すといった能力を有する。各人の能力は生まれつき、或いは偶発的に身についたもので、力に振り回されることもあった。とはいえ、蘭世はどこかに潜入する際に動物に噛みついて変身させるなど、うまく活用することで危機を脱する描写も多い。
物語初期はドタバタギャグ要素も多かったが、「王子転生編」辺りから命懸けの決闘などシリアス味が増していった。
第1部のヒーロー真壁俊(まかべ しゅん)と蘭世の恋は、初め彼女の片想いから始まった。人間と魔界人という種族の違いから始まり、俊が魔界の王子ながら抹殺対象と発覚するなど蘭世の恋路は前途多難だった。俊のクールさに憧れ蘭世との恋を応援した読者は多く、連載当時から人気は高い。

『ときめきトゥナイト』のあらすじ・ストーリー

第1部

あけぼの中学校編

吸血鬼の江藤望里(えとう もーり)と狼女の江藤椎羅(えとう しーら)から生まれた少女・江藤蘭世(えとう らんぜ)は、魔界人ながら人間の少年である真壁俊(まかべ しゅん)に恋をしていた。寿命のある人間との恋を反対する椎羅から俊を庇った蘭世は、母に噛みつかれたことで対象に噛みつくと相手に変身し、くしゃみをすると元に戻る能力を得、副作用として丸いものを見ると狼の耳やしっぽが生えてくるようになってしまう。
俊にアプローチをする蘭世だが、「今のところ女に興味はねえな」と言われてしまう。俊の幼馴染であり、彼の通うボクシングジムを経営するヤクザの娘である神谷曜子(かみや ようこ)というライバルの存在や、蘭世に一目惚れした魔界の王子アロン=ルーク=ウォーレンサーの出現もあり、蘭世の恋は中々うまくいかない。
そんな折、江藤夫妻は魔界の大王からある命令を受ける。それは、人間界にいるはずの王子を探し出すことだった。王子の左腕には、星型の痣があると大王は言う。

王子転生編

王子探しが難航する中、望里の小説『スーパーマント』がベストセラーとなり、映画化されることになった。王子探しを催促されていた望里は祖父トーマス=エトゥールの案で、主人公のスーパーマント役を「左腕に星型の痣がある男の子」という条件で募集した。結果、蘭世と同級生の筒井圭吾(つつい けいご)という少年が主役に抜擢される。
圭吾は蘭世に一目惚れをして積極的にアプローチを始める。その上、曜子も圭吾と蘭世が恋人同士であるとのデマをマスコミに流し、圭吾、蘭世共に記者に追われる羽目になってしまう。蘭世は、文化祭の時のアクシデントが元で圭吾が怪我をし、彼の実家である医院に搬送された時俊と共に付き添い、2人きりになった時に想いを打ち明けた。その後、圭吾は蘭世の気持ちを知り身を引いた。
同時期、蘭世の弟である江藤鈴世(えとう りんぜ)は、医院で入院していた少女・市橋なるみ(いちはし なるみ)と出会い仲良くなる。なるみは重い心臓病を患っており、死ぬかもしれない身であった。そのことを打ち明けられた鈴世は、明るくなるみを励ます。
なるみをあの世へと連れ去ろうとした死神のジョルジュを説得し、蘭世たちはなるみの魂に曜子の「殺しても死にそうにないタフな」魂を移植。これにより、なるみは死を免れ生命力も上がった。曜子は一時気を失うが、魂を戻され息を吹き返す。
その年のクリスマス、俊は蘭世に星型のネックレスをプレゼントした。幸せに浸る蘭世だが、鈴世からジョルジュの持つ死亡者リストの中に俊の名があったことを聞く。運命の1983年12月25日、俊は倒れるが、その体が縮んで赤ん坊となった。死亡者リストに名前が載っていたのは人として死ぬとの意味で、俊は魔界の王子として転生したのだ。同時に、俊の母の真壁華枝(まかべ はなえ)も若返り、自身の本名はターナ=フェリア=ウォーレンサーであり、大王の妻であったと語る。探していた魔界の王子とは俊のことであり、「魔界を滅ぼす者」として実父の大王レドルフ=エンバレン=ウォーレンサーにより命を狙われていた。
蘭世はターナと俊を大王たちから守ると決意。江藤家の家族全員が、大王への反逆に当たるのを承知で蘭世に協力。アロンやジョルジュの助けを受け、俊は逃亡生活の中わずかずつ成長する。しかし、完全に元の年齢に成長する前にターナが大王側に捕らえられてしまう。
俊は、母を救うべく魔界へと乗り込む。魔界人としての能力に目覚めた俊は、父や弟のアロンと対決。俊が本来の姿に成長すると同時に、魔界に太陽が出現。大王に仕える魔女メヴィウスの水晶玉は吉兆を告げており、双子の王子伝説は本来魔界に新世紀が訪れることを意味するのではないかと解釈され、江藤家と大王は和解した。

冥王復活編

俊は正式に魔界の王子となったが、人間界に残って江藤家と暮らしていた。蘭世と相思相愛になった俊は、「私のことをどう思っているの」との問いかけにキス未遂ながらも応えるなどした。
近頃奇妙な夢を見ると聞いていた蘭世は俊の夢に入り、様子を見ることにした。ところが、蘭世は夢の中で俊を呼ぶ声の主に捕らえられてしまう。俊の目覚めにより、蘭世は夢の中に閉じ込められてしまった。
真っ白な世界をさまよった挙句、蘭世は俊に似たダーク=カルロという人物の夢に迷い込む。後に、ダーク=カルロは2000年前人間界にやってきた魔界の王子ジャン=カルロの子孫であり、俊はジャンの、蘭世はジャンの妻ランジェ=エトルリアンの生まれ変わりだと判明する。ジャンにはアレンという双子の弟がおり、かつて兄弟は争いを起こしたという。
2000年前に活躍した魔女ヘガーテが現れ、「歴史は繰り返す」と言った。2000年前と同じく双子の王子がいるため、またも争いが起きるかもしれないと魔界に不安が広がる。
そこで、2000年前に双子の王子の戦争から魔界を救った勇者ゾーンを復活させることとなった。ゾーンの正体は、アレンを唆してジャンと対立させて戦争を起こさせた冥王ノーゼであった。俊と蘭世は、ジャンの遺した手記で真相を知り、望里、ジョルジュ、ダークと共に冥界へ向かう。
ノーゼは、自らが作った魂を魔界人に食べさせ、彼らの心を操っていた。アレンと同じく兄への対抗心を持っていたアロンもまた魂を食べ、ノーゼの術中に落ちていた。アロンがノーゼの手駒とされ、彼と戦わせられる俊。しかし、フィラの尽力もありどうにかアロンを正気にすることができた。
俊とダークはノーゼと戦う。辛くも冥王を倒すがダークは戦死し、俊は魔界人の力を失い人間同然となってしまった。俊は江藤家の自室に手紙を残して蘭世の前から姿を消す。
ダークに似た容姿を持つ俊は、ギャングのボスであったダークの影武者としてルーマニアにいた。俊を追ってルーマニアに来た蘭世はギャングの抗争に巻き込まれるが、江藤ファミリーと共に彼を助け出しともに帰国する。

5つの指輪編

平和を取り戻した蘭世たちは、俊、アロン、アロンの婚約者のフィラ、曜子と共に聖ポーリア学園高等部に入学し、普通の高校生活を始める。俊はボクシング部を創設し、生徒会長河合ゆりえ(かわい ゆりえ)の計らいで対外試合を行うこととなった。相手校の陰謀により試合前に右手を亀裂骨折し、俊は右手が使えない状態で出場。魔界の力を借りる術もあったが、それをせずに勝利を収めた。
人間として生きることにした俊は蘭世に別れを告げる。ショックで気を失う蘭世に別れのキスをし、俊は去る。しかし、蘭世は俊を追って自身も人間となった。
生きていた冥王が俊を襲撃する。冥王は世界を司る5つの石を集め、再び魔界を侵略しようとしていた。俊を狙ったのは、石の1つを持っていると踏んだ為だった。俊の危機を察した蘭世が彼を救い、2人は復縁する。
5つの石を巡り、冥王との戦いが始まる。俊と蘭世は、天界にいるジャン、ランジェに呼ばれ彼らと対面。生命の神により、冥王から世界を救う使命を与えられた俊と蘭世は魔界人としての力を取り戻した。
魔界の王位継承のため、アロンは聖ポーリア学園を退学し、魔界に戻る。アロンは俊たちに、王位継承の証である石を取って来なくてはならないと打ち明けた。石は人間界に落とされたが互いに呼び合う性質、各々力の源となる感情があった。愛情を源とする水の石、信頼を源とする地の石、希望を源とする命の石、憎悪を源とする日の石、不安を源とする風の石の5つで、カルロは夢の中で蘭世に冥王の生存の他、石のことを告げた。冥王との奪い合いの果て、アロンは蘭世たちの助けもあって、全ての石の入手に成功する。
しかし、アロンの大王認証式の際に冥王が現れた。既に4つの石を手に入れた冥王の力は圧倒的で、戦いを挑んだ俊と蘭世を庇い、大王レドルフは死亡してしまう。目の前で父を討たれた俊は、アロンと共に冥王に戦いを挑む。2人の王子の力をもってしても、冥王は倒せなかった。
蘭世は「愛、信頼を知らない冥王に、全ての石の力は使えない」と冥王に言い、俊とアロンに愛と信頼の力を使うよう助言する。蘭世の無償の愛の力、兄弟の互いへの信頼もあり、冥王を撃破。冥界は主を失って消滅し、アロンは王位に就いてフィラと結婚した。

第2部

超能力者になったなるみ

蘭世と俊の結婚式が行われた。幼い頃から鈴世と交際していたなるみにとって、彼の姉である蘭世は憧れの存在であった。式でもらった花嫁のブーケの花を紅茶にして飲んだなるみに、超能力が芽生える。鈴世は突如意識不明状態に陥り、月の涙の力で回復はしたものの満月の夜に女好きの軽い性格となり、なるみ以外の少女にもちょっかいを出したり魔界人だとバレかねない所業をしたりといった二重人格者になってしまった。これは花の精チップルがなるみを「故郷を見つけてくれる少女」だと直感し、彼女から鈴世を離すのが目的だった。鈴世の人格は統合されるが、鳴海を呼び捨てにし、蘭世を「姉貴」と呼ぶなどいくらか砕けた性格に落ち着いた。
そんな折、芸能人の安西二葉(あんざい ふたば)が転入し、鈴世を気に入ったのがきっかけで校内にマスコミが押し寄せるようになった。これが元で、鈴世を始めとする江藤家の面々が人間ではないことがバレてしまい、超能力研究所の面々に追い回されることとなる。
鈴世たちはなるみ以外の人間から自分たちの記憶を消し、魔界へと帰って行った。

黒妖精族との戦い

その後、月の花により「もう1つの世界」の手掛かりとなる人物の存在が明らかとなったため、鈴世たちはその人物を探す任務を帯びて人間界に戻ってきた。やがて、もう1地の世界の手掛かりとなる人物が判明した。1人はチップルで、もう1人はなるみの義妹である市橋マナ(いちはし まな)だった。チップル、マナは共に白妖精族の王族であった。かつて黒妖精族に滅ぼされた白妖精族だが、完全な絶滅を防ぐべく王子のチップルを魔界に、彼の許嫁のマナを人間界に逃がしたのだった。
なるみたちは、白妖精族を滅ぼした黒妖精族と戦う。この戦いの中で、鈴世は皆を守るために黒妖精族の王ドゥーサの魔法を受け、なるみに関する記憶を失ってしまう。
目覚めた鈴世は、魔界の王にふさわしい力を持っているとされ、王女ココ=ティナ=ウォーレンサーと婚約。しかし、鈴世の変調は人間界や魔界、地球全体に影響を及ぼすほどになっていた。
鈴世はなるみに関する記憶はないながらも、彼女と過ごす内に心に変化が生じた。「本当に好きなら、たとえ記憶を失くしてももう1度同じように恋に落ちるものよ」となるみは言う。鈴世、なるみは再び相思相愛となる。
ドゥーサとの戦いの中、鈴世はなるみの支えで彼女の記憶を完全に取り戻した。皆との協力で、鈴世はドゥーサを改心させ、妖精界に平和をもたらした。チップルは新たなる妖精族の王となる。

番外編「銀河ロマンスの夜」

なるみたちは聖ポーリア学園の高等部に進学。夏休み、二葉は主演を務める映画の撮影に入った。相手役の俳優は悪評の高いプレイボーイで、共演女優の唇を奪うキス魔でもあった。
ある晩、散歩に出かけた二葉は激しい光に包まれ、自分そっくりの少女と出会う。二葉の仕事が「かなりハード」であることを知ったその宇宙人は、彼女に変身してその撮影に臨むと言う。
二葉と入れ替わりでロケ地の宿泊先にやってきた宇宙人は、相手役の俳優にキスをされそうになり、抵抗。俳優の顔面に歯が折れるほどの強烈なパンチを食らわせた。俳優は傷害罪で訴えると怒る。翌日、安西二葉が共演俳優を殴ったとのニュースが報じられた。鈴世の友人で、二葉のファンである青柳幸太(あおやぎ こうた)はその報道に驚き、相手俳優に怒りを覚えた。
二葉の新たな相手役を加えて撮影が再開され、二葉に化けた宇宙人は目を光らせて敵役の俳優を次々倒していった。二葉を案じてこっそりロケ地に来ていた幸太は、目の前にいる少女が二葉ではないと直感。
そこに本物の二葉が現れる。幸太は何か知っているのかと問い詰め、二葉は事情を説明する。しかし、もともとUFOや宇宙人など信じていないと語っていた二葉であった為、幸太としては半信半疑であった。
休憩中、二葉に化けた宇宙人はバグられた俳優に切りつけられ、傷を負った。病院に搬送され、変身が解けた宇宙人と二葉はこっそり入れ替わる。翌日のスポーツ紙に、「安西二葉宇宙人説」の見出しが躍った。
その後、映画の公開に合わせて二葉のコンサートが行われた。歌を歌う中、二葉は突如現れた宇宙船に幸太もろとも連れ去られる。宇宙船には、二葉となるみに似た宇宙人がいた。
幸太は二葉に告白をし、2人はキスを交わす。地球へと戻った2人を待っていたのは、「宇宙人説再び」、そして「熱愛発覚」だった。

第3部

愛良の力

蘭世と俊の間に、女の子が生まれた。真壁愛良(まかべ あいら)と名付けられたその子が誕生した日、魔界に1000年に1度しか開かない予言花が咲き、「生きとし、生けるもの、すべてのものに愛を与え、救うことになるであろう娘」と告げる。愛良は、生まれた時から7色に光る石を持っていた。
愛良が幼稚園に通う頃、予言花が言ったように潜在能力を見せ始める。愛良が泣くと雨が降り、笑うと周囲の人も朗らかになる。そんな折、なるみが愛良の幼稚園に赴任してきた。なるみは鈴世と順調に交際を続けていたが心臓病が再発し、幼稚園で倒れてしまう。鈴世は入院したなるみに「2人で生きていく」とプロポーズ。愛良と鈴世の力でなるみは一命をとりとめるが、それと引き換えに鈴世は人間になった。
その後、愛良は自分と同じペンダントを持つ少年水上開陸(みなかみ かいり)と出会う。初めは互いに印象の良くなかった愛良と開陸だが、ペンダントという共通点で仲良くなった。

開陸との再会と別離

数年後、小学3年生になった愛良は新しい力に目覚めた。メヴィウスに魔界の大魔女になると言われた愛良は、彼女の下で修業を開始する。そんな中、愛良は夢の中で開陸と再会するが、開陸は魔界人で、父、妹と共に「無の世界」と呼ばれる場所に幽閉されていた。愛良は真相を確かめるべく、自身の兄の真壁卓(まかべ たく)と共に魔界に向かう。
開陸の父はアルドといい、大王の側近であった。俊の父レドルフが王子であった頃、彼の暗殺を企てたとして投獄されたという。愛良はアルドの無罪を信じ、過去への扉で過去に行き、アルドが無実であるとの真相を知る。冤罪により釈放されたアルドたちは、魔界ではなく人間界の海外へ行くこととなった。愛良は、開陸と再会を約束して別れる。

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