思い出のマーニー(ジブリ映画)のネタバレ解説・考察まとめ
イギリスの作家ジョーン・G・ロビンソンの古典的名作「思い出のマーニー」をスタジオジブリ制作・米林宏昌監督により2014年に劇場アニメ化。内気な少女杏奈は喘息の療養のため夏休みの間だけ釧路に住む事になった。そこにあった湿っ地屋敷と呼ばれる廃墟で不思議な少女マーニーと出会う。
舞台
映画の舞台は現代日本の北海道釧路が舞台であるが、原作はイギリスのノーフォーク州にある海辺の村リトル・オーバートンという架空の町が舞台になっている。
また原作ではマーニーの父は第一次世界大戦で死んでおり、娘の絵美里(エズミ)もまた第ニ次世界大戦の影響で疎開させられているため、現代ではなく第一次世界大戦(1914年~1918年)と第二次世界大戦(1939年~1945年)の頃と特定できる。
登場人物・キャラクターの名前
舞台が日本になるため、キャラクターの名前がマーニー意外全て日本人名になっている。
一部出番の少ないキャラクター、マーニーの両親・ばあや・メイドなどは名前が振り当てられていない。
登場人物・キャラクターの設定
映画での大岩夫妻は気の良い元気な夫婦で、自分達にも子供が居て(成人していて家には居ない)子供好きで杏奈の味方に位置する設定であるが、原作の大岩夫妻(ペグ夫妻)は子供がおらず、物静かな杏奈を気に入っている。しかし時に杏奈を叱り、時に面倒に思うなど人間らしい面も見受けられる。
また映画の清正は元気であるが、原作の清正(サム)は体が丈夫ではなくベッドで寝ているシーンが多々ある。
映画の信子は、見た目が少々丸っこい個性的な見た目の女の子ではあるが大人びていてサッパリとした性格として描かれている。
しかし原作信子(サンドラ)は見た目は同じように丸っこいが、中身は子供じみていて先に杏奈(アンナ)に嫌がらせをしたり陰口を言うなど、映画とは逆の性格になっている。
映画の彩香は元気で好奇心旺盛夢想家の少女として描かれているが、原作の彩香(プリシラ)は同じく好奇心旺盛な夢想家ではあるが少々内気でなかなか杏奈(アンナ)に話しかけられない様子が描かれている。
杏奈(アンナ)は彩香(プリシラ)を昔の自分のように思い、姉のように接している。
など。
ストーリー構造・演出
・原作はマーニーと別れた後からの話のほうが長い。しかし映画はマーニーの部分をメインにしている。
・映画ではマーニーと会うシーンは三回であるが、原作では毎晩のように何度も会っている。
・映画には彩香と出会い仲良くなっていく殆どシーンはなく、彩香の家族達との交流も全てカットされている。
・映画での杏奈は眠っている間にマーニーと会っているニュアンスが強いが、原作では実際に出向いて独り言を言ったり誰かと遊ぶような仕草をしている様子が描かれている。
・徐々に謎を解いていく原作に対し、映画は最初から匂わせる描写を多数入れている。
など。
杏奈とマーニーの別れのシーン
映画では彩香と出会い、マーニーと三度目に会い別れのシーンと続くが、原作ではマーニーと別れのシーンが終わった後に第二部のような扱いで彩香(プリシラ)と杏奈(アンナ)の出会いが描かれている。
また、杏奈がマーニーを許すと嵐が止みマーニーは笑顔で消えていくが、原作では逆に嵐が強くなり湖で杏奈(アンナ)は溺れマーニーの顔は分からない、という全く逆の演出になっている。
考察要素
原作小説では殆ど全ての出来事に対して明確な答えの提示は無く、読者が考えるものとなっている。
一方ジブリの映画からは独自の考察と答えが入っているような演出がある。
例えばマーニーが出てくる演出が明らかにこの世の物では無いものであったり、マーニーとのやり取りは杏奈の夢や妄想の類であるというニュアンスを強く押し出している。
では映画を読み解けば原作の答えとなるのか?というとそういうことでもなく、あくまでも米林宏昌監督の思う答えであり、原作の答え合わせ映画では無い。
しかし映画も原作も、1から10まで全ての伏線を丁寧に説明していることは無く、考察をする要素を残している。
原作でしか明かされていない部分
杏奈の名前
映画では日本という都合上触れられていなかったが、原作ではマーニーの孫(即ち杏奈)の名前は「マリアンナ」という名前で出てくる。
それ故にその話を聞いていた杏奈(アンナ)は自分に良く似ているが自分の事では無いと思うシーンがある。
自分達の娘として「マリアンナ」という名前を「アンナ」に変えたのは頼子(ナンシー)である。
湿っ地屋敷の犬小屋
映画でもマーニーはいつも屋敷の裏口から出入りしているが、正面玄関にはペットの犬の小屋があり、マーニーはその犬が怖くて表玄関へ近づくのを嫌がっている。
映画ではこの話は出てこないが、杏奈が表玄関から屋敷へ入るシーンで朽ちた犬小屋がチラリと映る。
『思い出のマーニー』の主題歌・挿入歌
主題歌:プリシラ・アーン『Fine On The Outside』
『思い出のマーニー』の予告動画
『思い出のマーニー』の関連書籍
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目次 - Contents
- 『思い出のマーニー』のあらすじ・ストーリー
- 心を閉ざした少女
- 療養先での出会い
- 『思い出のマーニー』の登場人物・キャラクター
- 佐々木杏奈(ささき あんな)
- マーニー
- 杏奈の祖母マーニー
- 彩香(さやか)
- 久子(ひさこ)
- 佐々木頼子(ささき よりこ)
- 大岩 清正(おおいわ きよまさ)
- 大岩 セツ(おおいわ セツ)
- ばあや
- 双子のメイド
- 十一(といち)
- 和彦(かずひこ)
- 絵美里(えみり)
- 信子(のぶこ)
- マーニーの母
- マーニーの父
- 『思い出のマーニー』の用語
- 湿っ地屋敷(しめっちやしき)
- サイロ
- 『思い出のマーニー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 祖母との記憶
- 映画ではカットされた原作エピソード
- マーニーとはなんだったのか?
- 原作と映画の違い
- 舞台
- 登場人物・キャラクターの名前
- 登場人物・キャラクターの設定
- ストーリー構造・演出
- 杏奈とマーニーの別れのシーン
- 考察要素
- 原作でしか明かされていない部分
- 杏奈の名前
- 湿っ地屋敷の犬小屋
- 『思い出のマーニー』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:プリシラ・アーン『Fine On The Outside』
- 『思い出のマーニー』の予告動画
- 『思い出のマーニー』の関連書籍
- 『思い出のマーニー』のDVD/BD
- 『思い出のマーニー』の公式HP