アニメ映画「時をかける少女」の考察まとめ
筒井康隆の小説を原作としたアニメ映画「時をかける少女」の考察まとめです。タイムリープのことを知る「魔女おばさん」や美術館に飾られていた絵が示す意味など、映画の中で気になったものについて徹底的に解説していきます！
Time waits for no oneと書かれた掲示板
出典： people.zozo.jp
正しくは
Time and tide wait for no one.
ことわざです。
「歳月人を待たず。」と一般的には言います。
「歳月人を待たず」という言葉の持つ意味は、高校生ぐらいの年代には
実感できない、ということで書いてあるのだと思います。
なので、下の「ハァ？」は「意味不明～」みたいなニュアンスですね。
ではこれを書いたのはだれ？
千昭でなければ最後の場面で二人が交わした台詞（約束)が生きてこないから
魔女おばさんの言った「あなたは遅れてくる人がいたら 走って迎えに行くでしょ。」の意味
魔女おばさんは原作というか昔の小説や実写映画の『時をかける少女』の主人公です。
つまり学生時代にまことと同じように、未来の人と過ごした経験があります。その時自分は『待つ』ことしかできなかったが、まことなら自分から前向きに行動できるでしょ？と言っているのだと思います。
なぜ最後のキスを避けたのか
真琴にはもう会えないと知っていながら、愛情と現実の狭間でギリギリのウソをつく千昭に、「いつか必ず戻ってくる」と言ったまま帰ってこなかった魔女おばさんの初恋の人（未来人）がダブる。
しかし、それでも、千昭に再び会える未来を信じる真琴の気持ちに対して、敢えてキスを避けた千昭に、僕は、最後の優しさを見てしまう。
出典： www.ippongi.com
「未来で待ってる」あの言葉の解釈
出典： blog.goo.ne.jp
千昭は真琴が好きですし、真琴も最終的には千昭への恋心を自覚するので、質問のシーンは恋愛感情があったと思っていいと思います。
ただ、真琴が生きているうちにタイムトラベルの技術が確立されるのは難しい（作中の時代での科学技術が、実際の世界と同じだとして）と思いますので、千昭が言った「未来で待ってる」は真琴が未来に残すと言った絵の方だと個人的に解釈しました。
千昭が未来であの絵を見ることが出来れば、それは真琴と再会したことと同義かな、と。
もちろん生きて再会することが出来ればいいと思いますけどね。
“絵”を待つ、と言うチアキの私欲的な感情より、恐らく二度と会えなくなる真琴と“約束”を交わす事が重要だったのだと私は思います。
二人の別れはチアキが過去にやって来た時点から明白なことです。最後に「好き」などというただの言葉を語っても二度と会えないのであれば、別れた後に泣きじゃくっていた真琴をより悲しませるだけです。「未来で待ってる」「走って行く」、この約束が離れ離れの二人を繋ぐ唯一の絆になり、「さよなら」よりも「好き」よりも最適な別れの言葉だったのだと思います。
時をかける少女、というタイトルのように主人公が作中では何度もタイムリープをしますが、本来の意味は「時をかける」＝「今を生きる」なのでしょう。なので、自分の居なくなった時代を生きる真琴にチアキが残したい言葉が「未来で待ってる」＝「ずっと想ってる」などだと私は解釈しています。その方が見ている人にも微かな希望を残してくれて、とても印象的になります。
また、もし絵を守る事が出来たなら、真琴の心も未来に居るチアキには届ける事ができるでしょう。チアキが帰ったその瞬間に二人の心はもしかしたら「会える」のかも知れません。
千昭が戻る未来は、きっともう真琴が生存している間にたどり着く未来ではないですが、
真琴が切り開く未来が、
千昭のいる未来を変えてくれる、
焼失することなく、守られた絵を未来で見ることができる…
と、真琴を信じた気持ちからの
「未来で待ってる」
ではないかと思います。
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