Coo 遠い海から来たクー(アニメ映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『Coo 遠い海から来たクー』(クー とおいうみからきたクー)とは、景山民夫による小説『遠い海から来たCOO』を原作とした劇場版アニメ映画。1993年に東映洋画系で全国公開された。相次ぐ製作関係者の不祥事の影響か、公開から30年以上経ってもDVD・Blu-ray化されていない。
主人公の小畑洋助は、父・徹郎と共にフィジー諸島のパゴパゴ島で暮らす12歳の少年。ある時、洋助は海で生まれ落ちたばかりのプレシオサウルスの子供を拾いクーと名付けて育てることになった。この物語は洋助とクーの絆の物語である。

『Coo 遠い海から来たクー』の概要

『Coo 遠い海から来たクー』(クー とおいうみからきたクー)とは、景山民夫による小説『遠い海から来たCOO』を原作とした劇場版アニメ映画。原作である『遠い海から来たCOO』は、『野性時代』という雑誌で1987年6月号から1988年2月号までの間連載していた。単行本は1988年3月に刊行されている。その後第99回直木賞受賞し、1992年に角川文庫から文庫本が出た。

劇場版アニメ映画『Coo 遠い海から来たクー』は、1993年に日本テレビ開局40年記念作品として製作され、1993年12月11日に東映洋画系で全国公開されたもの。作画監督補佐として、『時をかける少女』や『サマーウォーズ』で有名な細田守が参加。主題歌を松任谷由実(ユーミン)が手掛け、挿入歌はビートルズのジョン・レノンの長男であるジュリアン・レノンが歌っている。声優は令和に入ってレジェンドと謳われる神谷明、千葉繁、大塚芳忠、若本規夫、青野武、家弓家正、石田太郎など、大物声優が多数参加しており、公開から30年以上経って考えると、豪華な顔ぶれが揃った映画だ。美しいフィジー諸島の風景や生き生きと動くキャラクター作画など、各部評価が高い。

しかし日本テレビ開局40年記念作品でありながら、公開から30年が経ってもDVD・Blu-ray化などがされていない(VHSはある)。DVD・Blu-ray化がされない理由については、「原作者の景山民夫が宗教団体「幸福の科学」を盲信したから(その後の景山民夫の死については自殺という噂もある)」や、「製作総指揮だった元角川書店(現:株式会社KADOKAWA)社長の角川春樹が映画の製作途中に麻薬取締法違反などで逮捕されたから」など、インターネット上でさまざまな憶測が飛び交っている。ただ本当のところはわかっていない。

主人公の小畑洋助(おばた ようすけ)は、父・徹郎(てつろう)と共にフィジー諸島のパゴパゴ島で暮らす12歳の少年。ある時、洋助は海で生まれ落ちたばかりのプレシオサウルスの子供を拾った。産まれて初めて見た洋助を母親だと思ったその子供を、洋助はクーと名付けて育てることにした。しかし現代を生きるプレシオサウルスの子供を手に入れれば、学会で一躍有名になれると考えたフランスの研究機関がクーを狙い始める。洋助はクーを守るために家族と共に研究機関へ立ち向かうのだった。

『Coo 遠い海から来たクー』のあらすじ・ストーリー

産まれたばかりのクー

初めて目を開けたクー(右)とそれを見つめる洋介(左)。

主人公の小畑洋助(おばた ようすけ)は、父・徹郎(てつろう)と一緒にフィジー諸島の1つ・パゴパゴ島に住む12歳の少年である。父の他にも犬のクストーやイルカのブルーとホワイトチップも一緒。洋助は美しい景色の島で、穏やかな日々を送っていた。

ある日、洋助は1人用のジェットスキーで学校へと登校する。その途中にブルーとホワイトチップが洋助の進路を妨害してきた。普段はそんなことをしない2匹の行動に疑問を思いながら、洋助は導かれるままにブルーとホワイトチップについていく。するとそこには見たこともない生き物が眠っていた。洋助が抱えられるぐらいの大きさのそれは、パッチリと目を開けて洋助を見上げる。その生き物と目が合った洋助は、その子を連れてあわてて家へと帰る。そして海洋学者である徹郎にその生き物を見せ、育てることになった。”クー”と鳴くその子供に、洋助はクーという名前をつけた。クーを保護した時の状況を洋助は徹郎に話す。徹郎はその状況から洋助がクーの母親に選ばれたのだと言う。生まれたばかりの個体が最初に見た動くものを親と認識するという「インプリンティング」という現象があり、クーはおそらく産まれて初めて洋助を見たのだ。そうして洋助と徹郎はクーが何を食べるのか、クーを育てるためにはどのような環境が必要なのか。それらを話し合いながら洋助と徹郎は力を合わせてクーを育てていく。その過程でクーが、既に絶滅したはずのプレシオサウルスの子供だということがわかった。

狙われたクー

クーが産まれたばかりの幼体だったということは、当然母親が近くにいたわけで。その母親は嵐の夜にサメなどの海の生き物に襲われて、死んだ状態でとある島に打ち上げられていた。その死体を回収した機関は、そのプレシオサウルスが赤ん坊を出産したはずだとう結論に至った。そしてその幼体が生きていたとすれば。その幼体を捕まえて解剖すれば、想像以上の功績や栄誉、富が手に入るかもしれない。さまざまな機関がクーを探して狙い始めた。

そんなことも知らず、洋助はクー達と一緒に遊んだりして平和に過ごしていた。すると突然そこにフリーのカメラマンらしい女性がやってきた。キャシー小野(通称:キャシー)と名乗った女性は、半ば押しかけるようにパゴパゴ島に滞在。その間にまた別の観光客がやってきた。しかしそれは観光客を装った組織の傭兵だった。傭兵達の狙いは洋助といるクーだ。戦闘素人の徹郎や洋助はピンチに陥りそうになるが、キャシーに助けられて事なきを得た。キャシーはクーの存在を察知した環境保護団体の兵士で、クーを守るためにパゴパゴ島にやってきたのだという。徹郎は戦って誰かを、何かを傷つけることを極端に嫌うため、クーを守るためだとしても戦うのは反対だった。しかしそんな徹郎とは反対に洋助はクーを守るためなら戦うことを決める。

その日の晩、傭兵達は再び洋助達を襲撃した。昼間よりも多い人数が投入され、しかも全員暗闇でも視界を明るくすることができる暗視ゴーグルを装着している。多勢に無勢であわやというところだったが、徹郎の機転などのおかげで、傭兵達を食い止めることができた。しかし相手は軍用ヘリコプターを持ち出してきて、機関銃で洋助達を脅し始める。これには降伏するしかなく、洋助達は武器を捨てた。ヘリコプターから降りてきたのは、ノルベール大佐という白いスーツを着た将校で、家の中で話そうと洋助達を誘う。その間にクーはDr.ダヴァルに連れいていかれてしまった。洋助は隙をついてノルベール大佐の手を逃れ、1人でジェットスキーに乗り、クーが乗せられたボートを追いかける。そばにはイルカのブルーとホワイトチップも一緒だ。あと少しでクーに追いつけるというとき、ノルベール大佐が乗ったヘリコプターが洋助に向けて機関銃を発砲。撃たれると思って目をキツく瞑った洋助の前にブルーが飛び出した。ブルーは洋助をかばって機関銃の大きな弾を数発被弾。ジェットスキーも壊れてしまい、ブルーも死んでしまう。その間にクーは連れされてしまうのだった。

プレシオサウルスの群れ

連れ去られたクーを取り戻すため、洋助と徹郎はパゴパゴ島を離れて、キャシーの仲間の待つ島へと向かった。その時、洋助とクーがテレパシーで繋がっていることがわかる。そのおかげでクーがどこかの船にいるらしいことが判明した。クーの繋がりを頼りに洋助達はクーがいる船がどこにいるかを突き止める。一旦様子を見るつもりだったが、洋助は1人船に侵入するという行動に出た。洋助はクーを助け出すことに成功し海に逃がすことができたが、洋助は船への不法侵入の罪で捕まってしまった。

後日、船を取り仕切るルースラン艦長は、徹郎の乗る船長・マクドネルに無線で連絡を取り、迎えに来るのであれば洋助を解放すると行ってきた。しかし同時に自分達の任務をこれ以上邪魔しないようにという警告もしてきた。ルースラン艦長の乗る船はとある海域で核実験を行う船の護衛のために派遣されていた。キャシーや仲間達は自然保護団体であるため、クーを助けるのはもちろんだが、この核実験を阻止するという目的もあった。しかし洋助を助けるためにマクドネル船長はルースラン艦長の要求を飲み、洋助を迎えに行き一旦退くことにする。洋助は解放され、クーと再会。しかしクーはその直後、どこかへ消えてしまった。

洋助がクーに呼びかけてもクーからの返事はない。そんな状態で、ついに核実験が行われる時が来てしまった。その時、ルースラン艦長の乗る船はその海域に無数の潜水艦の影を確認する。ルースラン艦長は、こんな時期にこんなところに潜水艦がいるはずがないと目を疑った。しかし次の瞬間、さらに信じがたいことが起きたのだ。ルースラン艦長や洋助が乗る船の周りに突然プレシオサウルスの群れが現れたのだ。数匹の群れではない。何十匹ものプレシオサウルスが現れたのだ。それはクーが呼びにいったプレシオサウルスの仲間達。プレシオサウルスは核実験をやめさせようと現れたのだ。プレシオサウルスが悠久の時を経て生存していることを多くの人間が目撃。それは各国の大統領など、世界のトップにまで遠く伝わった。核実験は中止の方向に進み始めた。

プレシオサウルス達もそれがわかったのか、次々とその場を去っていく。そしてクーもまた洋助と別れる時がきた。もともとクーが大きくなったら海へ帰すと洋助は徹郎と約束していた。大人のプレシオサウルスと比べれば、クーはまだまだ小さいが、群れに戻ることができるタイミングがあるのなら、それがクーを海に帰すにふさわしいタイミングだ。洋助とクーはしばし見つめ合い、言葉なく互いに別れを告げる。そしてクーは洋助に背を向けて泳ぎだした。洋助は涙を浮かべて去っていくクーの名を呼ぶ。クーはそれに応えて一度だけ、「Coo!」と鳴いた。

『Coo 遠い海から来たクー』の登場人物・キャラクター

主人公

小畑洋助(おばた ようすけ)

CV:山崎裕太

本作の主人公の少年。年齢は12歳。父・徹郎と共にフィジー諸島の島の1つ・パゴパゴ島に住んでいる。海洋学者である徹郎の影響か、海の生き物に詳しい。イルカ夫婦のブルーとホワイトチップや、犬のクストー達と穏やかな生活をしていた。

ある日ラグーンでプレシオサウルスの赤ん坊を拾う。それが本作のタイトルにも入っているクーである。クーは産まれて初めて目にした洋助を母親として慕うようになり、洋助もまた拾ったものの責任としてクーに愛情をかけて育ててやる。大きくなったら海に帰すという徹郎との約束のもと、クーや家族と暮らしていたが、やがてクーの存在がフランスの研究機関にバレてしまい、狙われるようになってしまう。一度はクーを奪われてしまうが、その後無事にクーを取り戻し、作中の最後にはクーを海に帰した。

クー

本作のタイトルにも名前があるプレシオサウルスの子供。”Coo!”と鳴くため、クーと名付けられた。

瀕死の母親から産み落とされて、産まれて初めて目にした洋助を母親と思うようになる。やがてその存在がフランスの研究機関にバレて、無理やり誘拐されてしまう。洋助に助け出された後は、仲間の元へ赴き、大勢の仲間を引き連れて洋助の元へと戻ってきた。そして核実験の阻止に協力。最後には洋助と別れて海へと帰っていった。

小畑洋助の家族

小畑徹郎(おばた てつろう)

右の男性が徹郎。

CV:伊武雅刀

洋助の父親。海洋学者博士号を持っており、海の生き物に詳しい。酒に弱く、ちょっと天然で間抜けな一面もあるが、基本賢く冷静。クーを初めて見た時は二日酔いで頭が回っていなかったからか、アザラシの赤ちゃんだと言い張っていた。しかしすぐにクーを研究資料価値のある”何か”だと気づき、態度を改める。暴力が嫌いで、クーを守るためとはいえ戦うことに抵抗を覚えていた。

洋助の母親

洋助の母親。作中では故人。洋助が幼い頃に車との事故に遭い、死亡した。その事故を起こした大学生は、父親がどこかのおえらいさんだということであまり大きな罪に問われなかったとのこと。それをきっかけに徹郎は勤務していた大学を辞めて家を売り、洋助を連れてパゴパゴ島に移住した。

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