死霊館 エンフィールド事件(ホラー映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『死霊館 エンフィールド事件』とは2016年に公開されたアメリカのホラー映画である。監督はジェームズ・ワン。本作は「死霊館ユニバース」の3作目にあたる。1977年、イギリス北部のエンフィールドで暮らすホジソン一家を怪奇現象が襲った。長女のジャネット・ホジソンに霊が取り憑き、事態は悪化していく。事件はメディアで取り上げられ、世間の注目を集めた。そして彼女に憑依した霊が自ら名乗るテープを入手した教会から、心霊研究家のロレイン・ウォーレンとエド・ウォーレンに事件の真偽を確かめるよう通達が入った。

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心霊現象をジャネットの自作自演に見せかけようとする霊の罠にかかったロレイン夫妻。夫妻は監視カメラに映るジャネットが自分で家具を壊していく様子に、調査の打ち切りを決める。帰り支度を済ませ、モーリスと握手を交わしながら別れを告げるエドに、モーリスは「私は常識を超えて信じる。世間が背を向けた今こそ。」と言い、彼の方からエドたちに背を向け去っていった。その際、モーリスは一度の嘘で全てを嘘と決めてしまうのかとエドを引き止めようともしていた。しかし教会から期限が設けられていることもあり、エドの即断に迷いはなかった。ただでさえ説明のつかない霊的現象に対し、本物の事件を見てきているエドたちが嘘であると言い放つものを信じ切った技術コンサルタントのモーリス。そこには亡くなった娘がどこかに存在していてほしいという願望もあってのことだが、霊に太刀打ちする力が無くとも目の前の一家を見捨てなかったモーリスであった。

ジャネット・ホジソン「私はツイてる。たった1人の味方が奇跡を起こす。私には2人もいる。」

悪魔祓いに成功し、恐怖から解放されたジャネット。彼女は救急車で休む夫妻を訪ねた際に、エドの持っていた十字架のネックレスを託された。ネックレスを受け取ったジャネットは「私はツイてる。たった1人の味方が奇跡を起こす。私には2人もいる。」とウォーレン夫妻を見て話す。ジャネットは以前、ロレインが話した彼女にとってのたった1人の味方がエドであるという話を覚えていた。人と違うために周囲の人が離れていくことをロレインとジャネットは知っている。それでもロレインにはエドがいた。それがジャネットの場合には自身を救ってくれた存在が既に2人いるということになる。1人でも奇跡的なことであるが、彼女にとっては倍になったのだ。これほど心強いことはない。幼くして散々苦しい思いをした少女には、倍の奇跡が訪れることを予感させるセリフである。

『死霊館 エンフィールド事件』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

実際に起きたエンフィールドのポルターガイスト事件

ロンドン北部のエンフィールドで1977年8月から1979年9月にわたって実際に続いた事件。この期間に1500件にも及ぶ異常現象が発生している。事件は多くの調査員が訪れ、ウォーレン夫妻もその中の1組であった。調査員の中には興味本位で訪れる者もいたため、調査の真偽を確かめるためにジャネットが自ら自作自演をしたこともある。しかしその回数は片手で数えられるほどであり、ほとんどがジャネットではないものによって引き起こされた現象であった。長く続いたこの事件であるが、明確な解決には至っていない。

ロレイン家に点在しているヴァラクの名前

ビルを操っていた悪魔のヴァラク。ヴァラクの名前を呼ぶことが悪魔祓いの鍵であるが、その名前が作中で数回映し出されている。場所はウォーレン夫妻の家の中の3ヶ所にあり、1つ目は木製の飾りで名前が表されており、ハート型の飾りに描かれている「LOVE」の「V」のみが赤文字で強調され、その横に「ALAK」の木の飾りが並んで取り付けられている。2つ目はキッチンの窓に沿って並べて飾られている色とりどりな文字の飾り。3つ目はロレインとジュディが過ごしていた本棚のある部屋。本棚に木製の文字の置物が「V」「A」「L」「A」「K」の5つ配置されている。

ジェームズ・ワンが『ワイルド・スピード ICE BREAK』のオファーを断って挑んだ『死霊館 エンフィールド事件』の製作

ワンは『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017年)の監督を、人生が変わるほどの多額の報酬でオファーされた。しかし、彼は2016年公開の本作の撮影をするため、そのオファーを断ったという。そのため『ワイルド・スピード ICE BREAK』の監督はF・ゲイリー・グレイが務めることとなった。その後、ワンが「ワイルド・スピードシリーズ」の監督を務めたのはシリーズ7作目の『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年)である。

『死霊館 エンフィールド事件』の主題歌・挿入歌

ED(エンディング):ジョゼフ・ビシャーラ「Soaring phenomena」

『The Conjuring 2』(2016年)に収録されている楽曲。『死霊館』、『アナベル 死霊館の人形』(2014年)に続き、本作でもジョゼフ・ビシャーラが音楽の担当をしている。本編の終了後、実際に録音された取材の音声が流れる。そこには質問をするエドや答えるジャネットの声に混ざり霊の声も録音されていた。映像には当時の写真と映画の写真が並んで映し出されていく。その背後で流れていたのが「Soaring phenomena」である。残されている当時の証拠や写真と音楽が合わさることで、非常に不吉な恐怖を駆り立てられるエンディングの出だしとなっている。

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