
『死霊館』とは2013年に公開されたアメリカのホラー映画である。監督を務めるのはジェームズ・ワン。超常現象研究家のウォーレン夫妻が調査にあたった実話を基に作られており、数々の事例の中で最も邪悪で恐ろしい事件とされている。死霊館ユニバースの1作目にあたる作品。ある日、ウォーレン夫妻の元に5人の娘をもつペロン夫妻からの依頼が入った。次々と起こる怪奇現象に怯える一家を救う為、ウォーレン夫妻は悪霊に立ち向かっていく。悪魔の恐ろしさに震え上がるサスペンス・ホラー。
『死霊館』の概要
『死霊館』とはアメリカのホラー映画である。原題は『The Conjuring』。アメリカで2013年7月19日、日本では同年の10月11日に公開されている。監督を務めるのはジェームズ・ワン。脚本をチャド・ヘイズと双子のケイリー・ヘイズが手がけた。数々の超常現象を調査してきたウォーレン夫妻が、もっとも恐ろしいと判断した1971年の事件を基に制作されており、死霊館ユニバースの1作目にあたる。制作費2000万ドルから、世界で3億1900万ドル以上の興行収入を得た大ヒット作である。また本作の公開から3年後には続編の『死霊館 エンフィールド事件』が公開。死霊館シリーズは本編の他に、呪われた少女の人形アナベルに纏わる事件を描いたスピンオフ作品も存在。それらも実話を基にした映画となっている。
5人の娘をもつペロン夫妻。田舎の家に引っ越した翌日から一家を不可解な現象が襲っていく。愛犬の突然死、家の時計が全て3時7分で止まる他、妻のキャロリン・ペロンの体に覚えの無い痣が浮き出てきていた。霊的な現象はこれだけに留まらず、日に日に事態は悪化していく。恐怖に耐えかねたペロン夫妻は「アナベル事件」で名を馳せていた超常現象研究家のウォーレン夫妻に真相解明の協力を仰いだ。ウォーレン夫妻はすぐに調査を開始。家に纏わる恐ろしい過去が明らかになっていき、現象の全てが悪霊によるものであることが判明。ウォーレン夫妻は一家を守る為、悪霊と戦うことを決意する。
『死霊館』のあらすじ・ストーリー
ウォーレン夫妻の活躍が世間に広まった「アナベル事件」
超常現象を専門に調査、解明をしているエド・ウォーレンとロレイン・ウォーレンの夫妻は1968年に「アナベル事件」を解決した。事件は学生看護師の所有していた少女の人形に悪魔が宿っていたことで発生したものである。人形による不審な現象が続き、恐怖のあまり霊媒師に相談した看護師たち。そこで霊媒師にアナベル・ヒギンズという7歳の少女の霊が憑依していると告げられる。そんなアナベルを不憫に思った看護師らは、霊が人形に取り憑くことで共に過ごすことを許可した。しかし実際に憑依していたのは霊ではなく悪魔であり、事態は深刻化。そこで看護師らはウォーレン夫妻に助けを求めることにした。エドはカトリック教会公認の悪魔研究家であり、ロレインは霊視や透視能力をもつ女性である。ウォーレン夫妻の介入により人形は教会で除霊され、事件は無事に解決。その後、人形は夫妻のコレクションルームで厳重に保管されることとなり、看護師たちは元の生活を送れるようになった。ウォーレン夫妻はこの事件を機に超常現象研究家として一躍有名になる。彼らの活動の中で有名な事件の1つとして知られていた。
魔女の呪いによって襲われたペロン一家
それから3年が経った1971年、アメリカ・ロードアイランド州ハリスヴィルにある古い家にペロン一家が引っ越してくる。夫のロジャー・ペロンと妻のキャロリン・ペロンは5人の娘を連れていた。長女はアンドレア・ペロン、次女にナンシー・ペロン、三女クリスティーン・ペロン、四女シンディ・ペロン、五女エイプリル・ペロンの5人姉妹である。新しい生活に期待を寄せていた一家だが、引っ越しから早々に彼らを説明のつかない恐怖が襲う。家に入ろうとしない愛犬の突然死、家にある全ての時計が3時7分で止まり、キャロリンの体には原因不明の痣が浮かび上がってきていた。現象は娘たちの部屋でも起きていく。ある晩にクリスティーンは足を引っ張られ、部屋のドアが勝手に開閉、更には異臭がするなど不可解な怪奇現象が多発。その後シンディは夢遊病になり、アンドレアの部屋にあるクローゼットに頭をぶつけ続けるようになる。そしてエイプリルには見えない友達ができていた。
相次ぐ現象に耐えかねた夫妻は、とうとうウォーレン夫妻に助けを求める。相談を受けたウォーレン夫妻はすぐさま調査にあたった。その結果、この家の悍ましい過去が明らかとなる。家は農夫のジェドソン・シャーマンが1863年に建てたものであること、そして彼の妻バスシーバ・シャーマンが悪魔崇拝の魔女であったことが判明した。彼女は生後7日の息子を悪魔に捧げようとしていたところをジェドソンに目撃され、逃げ出した先の庭で首を吊って自殺。その際に土地を奪うものへの呪いを残し、その呪いが今もなお家に影響を及ぼしていたのであった。またバスシーバが首を吊った時刻は3時7分。家にある時計にも彼女の呪いの影響が見受けられる。そしてバスシーバの死後も家では不気味な事件が相次いでいた。1つは1930年代の住人であるウォーカー夫人の息子ローリーの失踪と、ウォーカー夫人の地下室での自殺。そのローリーは今ではエイプリルの見えない友達となり、彼女と遊んでいた。他にも近隣ではメイドや少年が不審な死を遂げている。
キャロリンに取り憑いた悪霊の暴走
悪霊の存在を突き止めたウォーレン夫妻はヴァチカンから悪魔祓いの許可を得るため、調査チームを集めて怪奇現象の証拠収集を開始する。怪奇現象の原因となっているものの正体を暴く為、家にはビデオカメラや赤外線センサー、温度探知機などを設置して調査を進行。最新の科学機器も用いられ、心霊現象を科学的に解明しようとする手法がとられていた。しかし調査を進めている間にも現象は激化。そこでウォーレン夫妻はペロン一家をモーテルに避難させ、ヴァチカンに悪魔祓いの許可を求めようとした。しかし許可を得るためには時間を要する。その間にも悪霊は最終段階に入ろうとしていた。悪霊は娘たちを生贄に捧げる為、ウォーレン夫妻が目を離していた隙にキャロリンへの憑依に成功する。やがてキャロリンは正気を失い、自分の娘にハサミを突き刺そうと襲いかかっていた。取り憑かれたキャロリンは化物のような形相に変貌していく。キャロリンの異変に気付いたウォーレン夫妻はヴァチカンからの許可を待つ猶予が無いと判断し、悪魔祓いを決行する。エドが神父に代わり聖書を唱えた。一方のロレインは霊能力を使い悪霊に立ち向かう。彼女は暴走するキャロリンの頭に手を置き、彼女に家族との思い出のビジョンを見せようとした。反発する悪魔の断末魔と、抵抗するキャロリンの叫び。必死にキャロリンに呼びかけるロレインらを前に、一行は見守る他なかった。やがてキャロリンは家族への愛を思い出し、自我を取り戻す。激闘の末、悪霊を地獄に追い払うことに成功。キャロリンは自身に取り憑いた悪霊に打ち勝ったのだ。こうして事件は落着し、ペロン一家とウォーレン夫妻は元の生活を取り戻したのであった。
『死霊館』の登場人物・キャラクター
ウォーレン一家
ロレイン・ウォーレン(演:ヴェラ・ファーミガ)
吹替:小林さやか
さまざまな超常現象を調査・解明してきた超常現象研究家の夫婦であり、エドの妻。透視や霊視能力をもつ霊能力者。エドと力を合わせて数々の超常現象に関する事件を解決させてきた。娘のジュディの写真が収まっているペンダントを身につけ、離れていてもいつも彼女を想っている。霊視による精神的な負担は非常に大きく、以前にそのショックが原因で1週間ほど食事ができなくなることがあった。その時見たものを彼女はエドにも伝えていない。その為エドは彼女の状態をよく気にかけていた。
エド・ウォーレン(演:パトリック・ウィルソン)

出典: happyeiga.com
右の男性。
吹替:咲野俊介
さまざまな超常現象を調査・解明してきた超常現象研究家の夫婦であり、ロレインの夫。カトリック教会公認の非聖職者である悪魔研究家。どのような怪奇現象に遭遇しても調査を中断することなく、依頼人の為に命懸けで挑んでいく勇気をもった人物。ロレインことを信頼しており、彼女の霊視を頼りに現実的な面でエドがサポートをしていく。キャロリンに取り憑いた悪霊を祓う際には、彼が聖書を唱えた。ロレインの霊視による精神的な負担を案じており、彼女に調査を休み本の執筆を始めるよう勧めている。
ジュディ・ウォーレン(演:スターリング・ジェリンズ)
吹替:早見沙織
ロレインとエドの一人娘。両輪の留守中はロレインの母であるジョージアナと2人で留守番をしている。両親といつも一緒にいたいがそれが叶わないことを理解しており、2人の写真が入ったペンダントをいつも身につけている。ロレインには自分の写真の入ったペンダントを渡していた。2人がペロン家の調査中に悪霊の逆鱗に触れ、ジュディの命が狙われる。そのことに気付いたロレインとエドは早急に自宅に向かい、悪霊がジュディを殺そうとした間一髪のところで彼女の救出に成功する。
ペロン一家
キャロリン・ペロン(演:リリ・テイラー)

出典: happyeiga.com
吹替:藤貴子
ペロン家の5人姉妹の母親であり、ロジャーの妻。自分の息子を悪魔への貢ぎ物として殺そうとした魔女であるバスシーバの話をロレインから聞いた後に、自身にとって家族がどれだけ大切であるかをロレインと話していたキャロリン。彼女にとって家族は自分の全てであった。家族への愛から海辺に家族全員で出かけた思い出話をロレインにしていたことが、後々悪霊に憑依された自身を救うこととなる。
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目次 - Contents
- 『死霊館』の概要
- 『死霊館』のあらすじ・ストーリー
- ウォーレン夫妻の活躍が世間に広まった「アナベル事件」
- 魔女の呪いによって襲われたペロン一家
- キャロリンに取り憑いた悪霊の暴走
- 『死霊館』の登場人物・キャラクター
- ウォーレン一家
- ロレイン・ウォーレン(演:ヴェラ・ファーミガ)
- エド・ウォーレン(演:パトリック・ウィルソン)
- ジュディ・ウォーレン(演:スターリング・ジェリンズ)
- ペロン一家
- キャロリン・ペロン(演:リリ・テイラー)
- ロジャー・ペロン(演:ロン・リビングストン)
- アンドレア・ペロン(演:シャンリー・カズウェル)
- ナンシー・ペロン(演:ヘイリー・マクファーランド)
- クリスティーン・ペロン(演:ジョーイ・キング)
- シンディ・ペロン(演:マッケンジー・フォイ)
- エイプリル・ペロン(演:カイラ・ディーヴァー)
- その他
- ドルー(演:シャノン・クック)
- ブラッド・ハミルトン巡査(演:ジョン・ブラザートン)
- ジョージアナ・モラン(演:マリオン・ギュヨ)
- ゴードン神父(演:スティーヴ・コールター)
- 『死霊館』の用語
- 悪魔祓い
- カトリック教会
- 透視能力
- 『死霊館』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ロレイン・ウォーレン「私たちが結ばれたのには理由がある。」
- ロレイン・ウォーレン「神からの授かりものを殺すのは究極の冒涜。」
- 悪魔をも打ち破った家族の愛や絆
- 『死霊館』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 映画に収まりきらない量の怪奇現象に襲われていたペロン一家
- 映画の制作中にキャストやスタッフの身に起きた怪奇現象
- 今では観光地となっている死霊館
- 『死霊館』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:Joseph Bishara「The Conjuring」