『アナベル 死霊館の人形』とは2014年に公開されたアメリカのホラー映画である。監督はジョン・R・レオネッティ。出産を控えたミア・フォームに夫のジョン・フォームから人形が贈られた日の晩、隣家の夫婦が惨殺された。犯人は夫婦の娘、アナベル・ヒギンズとその恋人である。2人はフォーム宅にも侵入し、ミアは腹部を刺され病院に搬送。男は射殺され、アナベルは人形を抱えたまま自殺。この事件を皮切りに様々な怪奇現象がミアたちを襲っていく。実話を基に制作された悪霊の取り憑く人形がもたらすサスペンスホラー。
『アナベル 死霊館の人形』の概要
『アナベル 死霊館の人形』とはアメリカで2014年10月3日に公開されたPG12指定のホラー映画である。日本での公開は2015年2月28日。「死霊館ユニバース」の2作目にあたる。1作目は2013年公開のジェームズ・ワンが監督、チャド・ヘイズとケイリー・ヘイズが脚本を務めた『死霊館』。本作の監督はジョン・R・レオネッティ。脚本はゲイリー・ドーベルマンとサンライズ・ダンゴ。製作では『死霊館』でも担当したピーター・サフランと、「死霊館ユニバース」の創作者であるジェームズ・ワンが担っている。そして主演に抜擢されたのはアナベルの名前を持つアナベル・ウォーリス。撮影は2014年1月27日にカリフォルニア州コヴィナにある書店で開始。同年2月25日から数日間はロサンゼルスのサウス・ノーマンディーにあるアパートで、55人のクルーにより撮影が行われた。「死霊館シリーズ」は実在する超常現象研究家のエド・ウォーレンとロレイン・ウォーレンによって調査された実話に基づいたストーリーの作品。本作はジェラルド・ブリットル著の『悪魔学:エドとウォーレン夫妻の驚くべきキャリア』の第3章から引用されている。また本作の続編である『死霊館 エンフィールド事件』は2年後の2016年に公開された。
1970年代初期、研修医のジョン・フォームと妻のミア・フォームは第一子の誕生を間近に控え、幸せに暮らしていた。ある日、ジョンはミアにアンティークのビンテージ人形であるアナベル人形をプレゼントする。喜びに浸っていたミアであったがその日の晩に、隣人のヒギンズ宅で殺人事件が発生。犯人はカルト教団に属するアナベル・ヒギンズと、その恋人であった。彼女は自身の両親を殺害した後にフォーム宅も襲い、アナベル人形を抱いたまま自殺。また共犯の恋人によりミアは腹部を刺され気を失った。幸いミアとお腹にいた赤ん坊は助かり無事に娘のリアが誕生するが、次々と奇妙な現象や悪霊の襲撃に見舞われていく。ミアの精神はすり減り夫婦はペレズ神父に助けを求めるが、人形の呪いが消えることはなかった。
『アナベル 死霊館の人形』のあらすじ・ストーリー
アナベル・ヒギンズとその恋人による襲撃
1967年初期、研修医のジョン・フォームとその妻のミア・フォームは出産を間近に控えていた。幸せに暮らしていたある日、ジョンはミアの欲しがっていたアナベル人形をプレゼントする。ジョンのサプライズに彼女は喜んだ。その日の晩、隣に住むヒギンズ夫妻の家から聞こえた叫び声にミアが目を覚まし、ジョンが様子を見に行った。そして惨殺された夫婦を見つけたジョンはミアに警察を呼ぶよう促す。しかし犯人は既にミアのいる家に侵入しており、彼女のそばに潜んでいた。直後に男がミアの腹部に刃物を突き刺す。彼女はそのまま倒れ込むが、駆けつけた警察が男を射殺。そしてアナベルの人形を抱えたもう1人の犯人の女は、壁に血で印を描き自殺していた。その後、犯人がヒギンズ夫妻の娘、アナベル・ヒギンズとその恋人であることが判明する。彼らはカルト教団員であった。こうしてミアは人形を捨てるようジョンに頼んだ。腹部の傷は羊膜まで達していなかったため、ミアと赤ん坊は事なきを得る。だが家の中では深夜にミシンが勝手に動き出すなどの怪奇現象が起きていた。事件が落ち着いた頃、ビギンズ夫妻の事件を担当するクラーキン刑事による事情聴取が入る。そこでミアはアナベルが悪魔への崇拝を証明するために両親を殺害したことを知った。
アナベル人形に取り憑いた悪魔によって蝕まれていくミアの精神
人形を捨てた後にもミアを恐怖が襲う。ジョンが会議で留守にしていた間に、ガスコンロが勝手に点火し火災が発生。避難しようとしたミアの足が見えないものに引っ張られ、燃えているキッチンへと引きずられかけた。必死に這うミアの元に近隣住民が駆けつけ脱出し、そのまま入院。その後ミアは無事に女児を出産し、リアと名付けた。出産を機にミアたちはカリフォルニア州パサデナに引っ越す。そこで彼女が荷解きをしていた際、捨てたはずのアナベル人形が荷物に混ざって出きてたのであった。再び捨てようとするジョンを止め、ミアは部屋に飾ることにする。結局住居を変えても怪奇現象は止まず、とうとう部屋の中にアナベルの姿をしたものが現れ始める。そしてリアまでもが襲われかけた。恐ろしい事件と決別するために引っ越したはずが、現象は酷くなるばかりであった。彼女はジョンに訴え、彼はミアを連れてペレズ神父のいる教会へと向かう。しかしミアが体験した恐怖はジョンにもペレズにも伝わることはない。そうしている間にもジョンがいない時にミアを襲う怪奇現象は続き、アナベルの姿をしたものだけでなく悪魔が姿を現し始めていた。部屋の中だけで起きていた現象も、アパート全体に広がっていく。そこで悪魔と接触した際に、黒い手に腕を掴まれたミア。触れられた部分にはアナベルが自殺した際に、彼女が血で描いた印と同じ傷がつけられていた。
絶望の中で体現された最も尊い愛
ミアは書店で知り合ったエブリンの協力を得て教団の調査を開始。これを機に2人は親しくなっていく。エブリンはミアと同じくらいの年であった娘のルビーを亡くしていた。エブリンは生きる気力を失い自殺を図ったが、まだ死ぬ時ではないというルビーの声が聞こえ、思いとどまったことをミアに打ち明ける。そして書籍を調べていくうち、悪魔がリアの魂を奪うために、次々と恐ろしい出来事をミアの周囲で起こしていたことに気付くのであった。ミアとジョンはペレズを呼び、人形を教会で引き取ってもらうことにする。しかしペレズが人形を持って教会に入ろうとした際、悪魔が彼を襲った。ペレズは重傷を負い、悪魔はそのまま人形を持ち去った。病院に運ばれたペレズは、そこて勤めていたジョンに悪魔のことを話す。ジョンは急いでミアの元へ向かった。アパートではミアとリア、エブリンが共に過ごしていたところだ。その時インターホンが鳴り、外にいたのは背を向けて立つペレズ。しかしそれはペレズに化けた悪魔であった。ミアがドアを開け、悪魔が部屋に侵入したことで異変が起き始める。そして姿を現した悪魔によってエブリンは締め出され、リアも姿を消し、ミアだけが部屋に取り残された。悪魔はミアが自ら命を差し出すよう仕向けていく。リアの魂を悪魔は求めていた。そうして彼女が追い詰められている間に駆けつけたジョンとエブリンはドアをこじ開けて部屋に潜入。子供部屋に入った時には、ミアが人形を手に窓から飛び降りようとしていた。リアを助けるにはミアが死ぬしかないのだとミアは言う。ジョンが説得をしようとしている間に、2人のやり取りを聞いていたエブリンが人形を手に窓際に立っていた。彼女はこれが自身の務めだと言い、犠牲になることを選ぶ。そして窓から飛び降りた。エブリンの命と引き換えにベッドの上にはリアが戻り、一家は再会を噛み締める。そうしている間にエブリンの遺体の横にあった人形は消失していた。それから半年が経ち、ミアたちは引越しを決める。一家は平和を取り戻したが、同じ頃あるアンティークショップでは、アナベルの人形が女性に購入されていた。
『アナベル 死霊館の人形』の登場人物・キャラクター
フォーム家
ミア・フォーム(演:アナベル・ウォーリス)
出典: ameblo.jp
吹替:岡田栄美
ジョンの妻。長女のリアを出産する。普段からミシンを扱い、人形を集める趣味を持つ。アナベル人形を以前から探していたが見つけることができずにいたため、ジョンからのプレゼントに非常に喜んだ。出産を控えて感情が不安定になっているところで殺人に巻き込まれては次々と不可思議な現象に襲われ、精神的にも追い詰められていく。しかしエブリンと出会ったことで、母としてリアを守ろうとする決意が固まる。
ジョン・フォーム(演:ウォード・ホートン)
吹替:高橋英則
ミアの夫である研修医。リアが生まれてくるまでは、父親になる適切なタイミングではないと考えていた。しかし父親になったことで彼の様子は変わっていく。ミアがアナベル人形を探していたことを知っており、奥の手を使い購入。その奥の手が何であるかは明かされていない。出産後に人形をプレゼントする予定でいたがミアを怒らせた罪滅ぼしとして、予定より早く人形をプレゼントした。その晩から、ジョンとミアは事件に巻き込まれていく。ミアが悪魔に襲われるのはいつもジョンが外出中の時であった。彼が人形について不審に思ったのは、捨てたはずの人形が引っ越した先での荷解きの最中に出てきたことくらいである。そのためミアが襲われジョンに助けを求めでも、ミアの精神的なものからきているのではないかという疑念を抱くことがあった。
事件関係者
ペレズ神父(演:トニー・アメンドーラ)
出典: ameblo.jp
吹替:野島昭生
ミアとジョンが度々訪れている教会の神父。2人が助けを求めた際、ペレズは断ることなく2人に応じた。ミアたちはペレズの話から、悪魔が人形を媒体にしてリアの魂を奪おうとしていることを知る。しかしそのためには人間の承諾が必要であった。絶対に承諾しないという意志を示すジョンに対してペレズは続ける。悪魔は人間が自ら差し出すように仕向けるのだと。そこで人形を暫くの間預かることを自ら提案し、教会に置けば悪魔の力が弱まるかもしれないと考えたのであった。しかしその後、教会に入る寸前で悪魔に襲われ、ジョンの務める病院へと搬送される。
エブリン(演:アルフレ・ウッダード)
吹替:伊沢磨紀
教会に入っていくミアたちを以前から知っていた女性。それでもミアが書店に行くまで会話をするなどの接点はなかった。書店で働いておりミアと対面した際、娘のルビーが好きだった本をミアとリアにプレゼントする。その後、ミアの口からカルト教団や悪魔の名前を聞いても、親身になって協力をしようとした女性。その理由にはミアがルビーと近い年齢であったことが関係している。親しくなって間もないミアに、エブリンは自身の経験からくるアドバイスをするなどして、彼女なりに力になろうとした。エブリンのミアに対する愛情は、ただの友人の関係を超えたものとなっていた。
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目次 - Contents
- 『アナベル 死霊館の人形』の概要
- 『アナベル 死霊館の人形』のあらすじ・ストーリー
- アナベル・ヒギンズとその恋人による襲撃
- アナベル人形に取り憑いた悪魔によって蝕まれていくミアの精神
- 絶望の中で体現された最も尊い愛
- 『アナベル 死霊館の人形』の登場人物・キャラクター
- フォーム家
- ミア・フォーム(演:アナベル・ウォーリス)
- ジョン・フォーム(演:ウォード・ホートン)
- 事件関係者
- ペレズ神父(演:トニー・アメンドーラ)
- エブリン(演:アルフレ・ウッダード)
- クラーキン刑事(演:エリック・ラディン)
- ヒギンズ家
- シャロン・ヒギンズ(演:ケリー・オマリー)
- ピート・ヒギンズ(演:ブライアン・ホウ)
- アナベル・ヒギンズ(演:ツリー・オトゥール)
- 幼き頃のアナベル・ヒギンズ(演:ケイラ・ダニエルズ)
- アパートの住民
- ロバート(演:ガブリエル・ベイトマン)
- ナンシー(演:シャイロ・ネルソン)
- 医療関係者
- デビー(演:モルガンナ・メイ)
- メアリー(演:ミシェル・ロマノ)
- フラー(演:クリストファー・ショー)
- バーグアー医師(演:イヴァル・ブロガー)
- 『アナベル 死霊館の人形』の用語
- 死霊館ユニバース
- チャールズ・マンソン
- ヘルター・スケルター
- 『アナベル 死霊館の人形』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ペレズ「恐れを抱くのは目を背けているから。自分の不安に立ち向かいましょう。恐怖を創りだすのは自分自身だからです。」
- エブリン「あなたにも務めがある。家族を守ること。バカげてなんかいない。自分を信じなさい。務めを果たすの。」
- ペレズ「神が全霊を傾けた傑作。それは母の愛です。」
- 『アナベル 死霊館の人形』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 映画の撮影用の窓にできた3本の指跡
- 優れた人材で構成された集団を目指す死霊館ユニバースの制作チーム
- アナベル人形にまつわる実話と創作内容の違い
- 『アナベル 死霊館の人形』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):Joseph Bishara「Annabelle Opening」
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