ハッピーピープル(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ハッピーピープル』とは、釋英勝によって描かれた青年漫画。1983年から1992年頃まで集英社『週刊ヤングジャンプ』にて、1993年から1994年まで集英社『月刊ベアーズクラブ』にて連載された。1997年には映画化され、VHSビデオ化もされている。少年犯罪やストーカー、詐欺や人身売買などの人間の闇を色濃く描いている反面、心温まるストーリーも何話か含まれている。人間社会が抱える様々な問題を皮肉なストーリーと独特なイラストで描いた、1話完結の短編集である。

『ハッピーピープル』の概要

『ハッピーピープル』とは、釋英勝によって描かれた青年漫画である。1983年から1992年頃まで集英社『週刊ヤングジャンプ』にて、1993年から1994年まで集英社『月刊ベアーズクラブ』にて休載を挟みながらも連載された。その後、『月刊ベアーズクラブ』の休刊により、連載終了となった。単行本は全12巻発刊されている。1997年には映画化、VHSビデオ化もされており、篠原涼子や高岡早紀などの役者が出演している。また、2021年には電子書籍として復活している。
本作の物語の中には、フジテレビ『世にも奇妙な物語』や日本テレビ『週刊ストーリーランド』で起用されたものもある。しかし『世にも奇妙な物語』では、作者に無断で利用した物語があるとして裁判沙汰になった事がある。

物語は基本的に1話完結の短編集であり、少年犯罪や詐欺、動物実験など様々な人間の闇が描かれている。そのため、残酷な描写や衝撃的な内容の話が多い。また、独特な絵柄から苦手意識を感じる読者もおり、トラウマになった漫画として挙げられることも多々ある。その反面、心温まるヒューマンドラマやラブコメのような物語も何話か含まれている。いずれにせよ、読者に強い印象を与える作品であり、作者の社会問題に対するメッセージが色濃く表れる作品だ。読む者を惹きつけて、深く考えさせる漫画であると言えるだろう。

『ハッピーピープル』のあらすじ・ストーリー

意味もなくみんなで笑おうハッピーに!!

ある中学校の男性教師は、問題児である3人の不良生徒に毎日のように殴られているが、いつも笑顔を崩さない。しかしある日、男性教師は3人に襲い掛かり殴り殺してしまう。彼は2年前に骨折するほどの大怪我を負わされて以来、いつか復讐するために用意周到な殺害計画を立てていたのだ。しかし、その殺害現場を同僚である中年教師に目撃されてしまう。男性教師が落とした殺害日時等を書いたメモを見つけて、やって来たのだ。翌日、男性教師はいつもの笑顔で登校する。中年教師は、その姿を怯えた様子で見ていた。

幸ちゃんはちょっとイカした憎い奴

小学生の幸ちゃん(こうちゃん)は、勉強が嫌いで掃除もよくサボるような少年である。連続で0点を取ったことが父親にバレて、次回も0点を取ったらスパルタで有名な子塚ヨットスクールへ入学するという条件を出される。幸ちゃんは、教員のごみ箱からテスト用紙を探し出し、クラスの秀才に解答させて丸暗記した。しかしテスト当日、秀才の解答はデタラメであったことが分かり、自力で問題を解くことになる。結果、35点を取って喜んだものの、次は50点を条件に出される。幸ちゃんはテストの問題を父親に見せる。解答できずに誤魔化す父親に、「子塚ヨットスクールは大人でも入れるんだヨ」と不敵な笑みを浮かべた。

卒業写真

西田雅也(にしだまさや)には、美人で性格が良くて自慢の彼女がいる。名前を高島由美子(たかしまゆみこ)と言い、ユコと呼んでいた。雅也の友人達は、ユコが中学時代のクラスメイトでブスと呼ばれた高島由美子ではないかと言い出す。雅也は否定するも、気になってユコの身辺を調べ、同一人物であることが分かる。雅也に気付かれたことを知ったユコは、彼の下を去ろうとする。雅也は騙されたと怒り嘆くが、ユコの手紙を読んで自分への純粋な想いを感じ取る。雅也はユコを追いかけ、騙した責任としてずっと一緒に暮らすことを命じる。ユコは笑顔で涙を流した。

ムズムズ

少年田村は、常に危ない衝動に駆られていた。友人とモリ突きに行った際は、友人に当たるギリギリのところにモリを撃ってしまう。ダーツをしていた時は、友人の足ぎりぎりにダーツを撃ってしまう。いつも笑って誤魔化していた。そんな少年が大人になって、警察官となる。手がムズムズして、拳銃を撃ちたい衝動が抑えられない。そして遂に、一般市民を撃って怪我をさせてしまう。しかし偶然にも相手は強盗犯であり、世間から賞賛を得る。後日、衝動を抑えられなくなってきた田村巡査は退職を申し出る。そのままムズムズと震える手で拳銃を取り出し、冗談と思って笑う先輩警官を撃ち殺す。そして「助けてください」と呟いた。

残心

江戸時代、ある坊主が町を訪れると1人の町人が数人の男に暴行されていた。返り討ちに合うのが怖くて、誰も仲裁に入らない。男達が去った後、坊主と周りにいた人々は町人に駆け寄る。しかし町人は倒れ込み、「偽善者め…」と吐いて死んでしまった。何年も経ち、坊主はこの時の事を思い出しては悪夢にうなされていた。その日、抜け忍が寺に逃げ込んでくる。坊主は男を助けるが、「やっかい者を助けたと後悔してるだろ」と暴行を受ける。その時、追手の忍者が現れ、坊主は男を庇って腕を斬られてしまう。しかし男は急所を刺され、追手は去った。男は死の間際に坊主に感謝する。坊主は死にゆく男の顔に、あの時の町人の笑った顔が写り涙を流した。

仲よしこよし

幸一(こういち)には鉄也(てつや)という幼馴染の親友がいる。鉄也は時折、冗談が過ぎることがあった。ある日、鉄也は冗談で幸一を叩き続け、本気で痛がる幸一を無視して腕を怪我させてしまう。病院に行った幸一は、腕にひびが入ったことを知る。鉄也は謝罪に訪れるが、またも悪気無く幸一の腕に触れる。怒りを抑えきれなくなった幸一は、包丁を手に取りスーツ姿のダッチワイフを串刺しにする。幸一は赤いポスターカラーに染まったダッチワイフを見つめ、「友情を壊すのは簡単だけど、それなりに維持するにはやっぱりフラストレーションのはけ口と努力が必要だもんな…」と呟いた。

ごめんネ

地球からある惑星に降り立った調査員たちは、人を襲う虫の大群に襲われていた。戦車に乗って逃げている途中で、燃料が切れてしまう。予備のタンクを探すが、1人の男性乗組員は乗せ忘れたことに気付く。仲間たちが絶望を感じる中、男は笑って誤魔化すしかなかった。虫が扉を破って入り、1人また1人と食い尽くされる。責任を感じた男は囮となって戦車の外へと飛び出し、気付け薬として持ち出した酒を虫たちに投げつけた。すると大量の虫たちは死んでしまった。生き残った仲間2人が駆け寄ってくる。仲間の死体を見て「俺さえ…」と呟く男の口を2人は塞ぎ、「よかったな、生きてて」「ほんとよかったよ、生きててくれて」と涙を流して喜びを分かちあった。

訪問者

会社員の田中正昭(たなかまさあき)は、正昭の友人岡島一二三(おかじまひふみ)が夜逃げしたことで、保証人としてヤクザに5,000万円の返済を命じられる。返済の目途が付かない正昭は、腎臓を売るよう命じられる。途方に暮れる正昭は、偶然にも一二三を見つける。一二三は謝罪するも「絶対体は売るな」と言って逃げ去った。その夜、正昭は手術室へと運ばれるがすんでのところで、警察が突入してヤクザは逮捕された。警察から遺書を渡された正昭は、自らの生命保険を返済に充てるために一二三が自殺したことを知る。正昭は怒りと悲しみで泣き叫ぶのだった。

女の子にモテるため、ボクは車を買いました

忍穂井純二(おしほい じゅんじ)はモテたい一心で、中古の外車を購入する。女性をナンパしてドライブをするが、衝突事故を起こして死亡させてしまった。後日、女性の日記から、同じ純二という交際相手の名前が見つかり、妊娠していたこと分かる。忍穂井は、自分が交際相手ではないことを必死に伝えるも、指紋検証で女性の部屋にあった指紋と一致したとして、逮捕されてしまう。毎日、刑事から執拗な尋問を受け、自分が殺したのかもしれないと思うようになる。しばらくして、女性の遺書が見つかったことで、警察のずさんな捜査で誤認逮捕であったことが判明する。刑事たちは必死に無実を伝えるが、忍穂井の耳に届くことはなかった。

ハッピーハイスクールベースボール

甲子園決勝戦、名門家城商業は集英高校に圧されていた。今大会で注目される集英高校の川野(かわの)の存在が大きかった。家城のピッチャー古田(ふるた)は、チームメイトに「あの頭にぶつけてやろうか」と冗談を言う。乗り気になる仲間たちに、古田は苦笑し否定する。しかし、古田の打球は川野の顔面に直撃した。「ワザとじゃないんだよ」と古田は焦るが、その後も度々デッドボールになりかける。そして川野の不調が続き、古田がホームランを打って家城高校が優勝する。素直に勝利を喜べない古田に、川野は励ましの言葉をかける。気を取り戻した古田は、バットを投げ捨てた。バットは川野やチームメイトのすれすれを飛び跳ねていき、古田は笑顔でグラウンドを回った。

鬼退治

扇木コウ
扇木コウ
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