天使なんかじゃない(天ない)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『天使なんかじゃない』とは、1991年から1994年まで集英社『りぼん』にて連載された矢沢あいによる学園ラブストーリー漫画。単行本は全8巻、完全版は全4巻、文庫版が全6巻発行されている。高校生の冴島翠を中心とした生徒会役員の仲間たちの恋愛や葛藤を経験する様子が描かれた作品。作者・矢沢により登場人物たちの心情が丁寧に描かれ、恋愛や青春の切なさを感じさせる名セリフも多く、連載終了後も多くのファンに愛されている。

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「あんたが何しようと勝手だけど 侮辱しないで… 瀧川くんのこと侮辱しないでよ!」

翠とカラオケで遊んでいた麻宮。そこで瀧川とうまくいかず自暴自棄になりつつあった志乃が、数人の男友達を引き連れて遊びに来ているのに遭遇する。自暴自棄を極め「彼氏とは適当に付き合っていて、暇つぶしにもならない」と嘯いた志乃の言葉に激昂した麻宮は、泣きながら彼女の頬を引っ叩き「あんたが何しようと勝手だけど 侮辱しないで… 瀧川くんのこと侮辱しないでよ!」と強い言葉を投げかける。5年間、ずっと一途に瀧川を想い続けてきた彼女は、その場限りの嘘でも瀧川への侮辱を許すことができなかったのだ。
普段はクールな麻宮だからこそ、この怒りと瀧川への想いの大きさが窺える。

「須藤くん… 早く… 帰ってきてくれないかな そしたら 翠… 今度こそ幸せになれるよね?」

晃と離れ、落ち込む翠を励まそうと画策して、彼女がなくしてしまった晃からのプレゼントのネックレスを総出で探す、生徒会の役員たち。やっとのことでネックレスを見つけた麻宮は思わず「須藤くん… 早く… 帰ってきてくれないかな そしたら 翠… 今度こそ幸せになれるよね?」とこぼし、瀧川はそんな彼女を愛おしげに見つめながらうなずくのであった。
実は麻宮が「翠」と口に出して呼ぶのはこれが初めてで、彼女たちが築いてきた友情の強さがハッキリと見えたシーンでもある。

「噂になんか 負けたりしないわ」

志乃と別れて間もない瀧川と付き合いだしたことで、麻宮には事実と異なる「後輩の男を取った女」という汚名が付きまとい、後ろ指を指されるようになってしまう。
それを気遣う瀧川に対し、彼女は「噂になんか 負けたりしないわ」と返し、五年間にわたっての片思いで育った気持ちが、どれほど強いものだったかを語る。
愛らしい外見とは裏腹に、彼女が真の意味で強く一途な女性である理由が詰まった名セリフだ。

「うれし… 夢みたい」

「晃とやり直すことになった」という翠の報告を瀧川と共に聞いた麻宮は、「うれし… 夢みたい」と呟きながら大粒の涙を零して喜んだ。始めはその様子を見て笑っていた翠だが、瀧川の優しい笑顔を見て自分も涙を零す。
普段は素っ気なくとも、常に翠を案じてきた麻宮の涙。多くの読者から「もらい泣きした」という声が上がった名場面である。

瀧川秀一の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「これでいい?消したことが現実になる魔法の消しゴム」

瀧川がくれた「魔法の消しゴム」

生徒会室に一番乗りでやってきた翠は、他の役員たちを待つ間、机に何気なく落書きをする。自分と晃が相合傘に入っているイラストだ。みんなが来る前に落書きを消そうとしたものの、消しゴムを忘れたことに気づく。仕方なく置いてあった誰かのカバンを探り、筆箱らしきものを取り出すがそれはプレゼントの箱だった。そしてそこには「DEAR HIROKO FROM AKIRA」と書かれたバースデーカードが差し込まれたいた。晃との距離が縮まっていたことに喜んでいた翠は衝撃を受ける。そこへ瀧川がやって来て、落書きを見られてしまう。翠は晃への恋心を知られてしまい最悪だと思いながらも「消しゴム貸してくれない?忘れちゃって」と瀧川に言うと、彼は笑顔で「これでいい?消したことが現実になる魔法の消しゴム」と言って翠に消しゴムを渡した。翠は笑顔で「ありがとう」と受け取り「見られた相手が瀧川くんでよかったな」と思うのだった。瀧川の優しい性格が表れた名言である。

瀧川秀一からマミリンへの告白

みんなで温泉旅行に行った時、寝言で自分の名前を呼ぶ麻宮を見てから彼女を異性として意識してしまっていた瀧川。これまでは志乃と交際していたことから、彼女と距離を置きつつも自分の気持ちにブレーキをかけている状態だった。
そして破局した瀧川は、とうとうその想いの丈を麻宮に伝え、彼女の五年にわたる片思いには終止符が打たれるのであった。
ストレートな愛の言葉は多くのファンの心に残り、作中屈指の名場面として語り継がれている。

「行って来いよ 待ってるから がんばって来いよ 麻宮なら 夢も絶対形にできるよ おれもおまえにつり合う男になれるように がんばるから」

四年間の海外留学に不安を覚える麻宮に、瀧川は「行って来いよ 待ってるから がんばって来いよ 麻宮なら 夢も絶対形にできるよ おれもおまえにつり合う男になれるように がんばるから」という言葉をかけて激励する。当初は不安を覚え、止めたい気持ちを隠せていなかった瀧川だが、彼は麻宮の背を押し、日本で彼女の帰国を待つという選択を取った。瀧川の優しさと男気が溢れた一言。

原田志乃の名言・名セリフ/名シーン・名場面

志乃が「秀一命」の特攻服で登場したシーン

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