Paradise Kiss(パラダイス・キス)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『Paradise Kiss(パラダイス・キス)』とは、雑誌『Zipper』にて連載された矢沢あいの漫画作品である。進学校に通う早坂紫が、矢沢芸術学院生「パラダイス・キス」のメンバーからファッションショーのモデルになるよう誘われる。夢を追う彼らに刺激を受け、紫も人生への考え方に変化が表れてゆく。ファッションへの情熱やキャラクター達の人生観、恋愛模様が凝縮され、今でも人気の高い作品。ファンの心を射抜く矢沢あいの名言や名シーンを紹介する。

『Paradise Kiss(パラダイス・キス)』の概要

『Paradise Kiss(パラダイス・キス)』とは、ファッション雑誌『Zipper』にて1995年から2003年に連載された、矢沢あいの漫画作品である。夢を追い、恋愛に苦悩するキャラクターたちに、心に刺さるセリフを添える作者・矢沢あい。彼女の言葉選びの巧みさ、そしてキャラクター達の心を表情に描き出して生まれた数々の名シーンは、今も多くのファンの心を掴んでいる。

進学校に通う早坂紫(はやさかゆかり)が、矢澤芸術学院生「パラダイス・キス」のメンバーから、ファッションショーのモデルになるよう誘われるところから物語が始まる。受験勉強で忙しく、常にイライラしていた紫は 「パラダイス・キス」のメンバーのお遊びに付き合っている暇はないと悪態をついてしまうが、服作りに情熱を注ぐ彼らの姿を目にして考えを改める。「パラダイス・キス」のモデルを引き受ける決意をした紫。メンバーたちの真剣さに刺激を受けて、人に言われるままだった人生を脱却し、「モデルになる」という自分の夢を持つようになるのだ。「パラダイス・キス」のメンバーでファッションデザイナーを目指す小泉譲二(こいずみじょうじ)と恋人になった紫だったが、真剣に自分の夢と向き合うほど、譲二との愛を諦めなければならないことに気付かされるのだった。

ファッションへの情熱やキャラクター達の人生観、恋愛模様が凝縮された『Paradise Kiss(パラダイス・キス)』は、今でも人気の高い作品である。主人公が恋人と結ばれず、ハッピーエンドではない終わりをするが、恋愛よりも夢を追う決心をした紫の複雑な心境や、自分の夢を叶えるために紫の夢を諦めさせたくないというジョージの紫への想いが細やかに描かれている。連載当時では場人物たちのその後が明らかにされなかったが、最終回が加筆修正されて単行本化され、紫の婚約者や「パラダイス・キス」メンバーのその後が明らかにされた。2005年にテレビアニメ化、2011年には実写映画化もされた。ファンからは「パラキス」の愛称で親しまれている。また、矢沢あいのヒット作『ご近所物語』の続編にあたり、一部のキャラクターは『ご近所物語』から引き続き登場している。

早坂紫(はやさかゆかり)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「なんであたしの胸はこうもドキドキするんだろう」

ジョージの思惑通り、モデルを務めることになった紫。それまでの自分からは考えられないような、刺激的な日々を過ごすことになる。

生徒手帳をダシにしてジョージに連れ回された紫だったが、「パラダイス・キス」の服を身に着けた際に、改めてジョージにモデルの依頼をされる。返事は待つと言われ、いつも通りの生活に戻った紫だったが、「パラダイス・キス」のアトリエでの出来事が頭から離れないでいた。図書館で受験勉強していると、突然ジョージが現れる。ジョージを意識してしまう紫は、それまで想像もしなかった世界に自分が踏み込むチャンスを与えられ、胸の高鳴りを止められないことに気付く。頭では受験勉強に集中しなければならないと分かっていても、モデルに挑戦したいという衝動は大きくなっていく。図書館の窓から外を見つめる紫が、「なんであたしの胸はこうもドキドキするんだろう」と考えるこのシーン。何か新しいことが始まる、そんな期待感が感じられる。

「この会場の全ての人をあたしが楽園に連れて行く」

矢沢芸術学院のファッションショーの日が訪れたた。「パラダイス・キス」のメンバーが仕上げたドレスを見に纏い、ステージに向かう紫。最高のメンバーが作り上げた、最高のドレスの魅力を全て引き出す。作り手の熱意に負けない堂々としたウォーキングを披露した紫は、「この会場の全ての人をあたしが楽園に連れて行く」という決意通り、会場中の人々を魅了した。彼女の自信に満ち溢れた姿、質感までも伝わってくるような美しく繊細なドレスの描写に圧倒されるシーンである。

二人の進む道

文化祭も終わり、ますますジョージへの想いが募る紫だったが、ジョージが卒業後どうするかを話してくれないことにやきもきしていた。そんな状態のまま年末を迎え、紫はジョージに初詣に誘われる。そして初日の出を眺めながら、「おれ卒業したらパリに行く事にしたよ 」と告げられたのだ。モデルの仕事を始めたばかりで、大学進学も考えている紫にとって、ジョージのこの一言は「二人の別れ」を意味していた。この後「一緒にくる?」と言葉を続けたジョージだったが、紫はジョージではなく夢を選ぶ。ジョージの言葉に身を貫かれたような、紫の表情が印象的なこのシーン。切ない別れだが、相手の夢を尊重した「前向きな別れ」を選択した紫とジョージは、それぞれの道を進んでゆくのだった。

紫の心

ジョージの送別会の日。ジョージの前では気丈に振る舞い、笑顔で別れを告げた紫だったが、一人になるとそれまで我慢していたものが溢れ出す。大粒の涙を流しながら、紫はジョージへの想いの深さとずっと一緒にいたいという気持ちを止めることができない。涙の描写が夜空の星の描写と相まっており、紫の切ない胸の内がエモーショナルに描かれている。

小泉譲二(こいずみじょうじ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「早坂紫さん おれ達のショーのモデル 引き受けてくれませんか」

矢澤芸術学院に通う「パラダイス・キス」のメンバーを「バカばっかり」と心の中で見下していた紫は、彼らのショーのモデルにスカウトされた時に「お遊びに付き合う暇はない」と暴言を吐き、「パラダイス・キス」のアトリエから飛び出す。しかし生徒手帳を落としてしまい、それをダシに「パラダイス・キス」のデザイナーであるジョージによって再びアトリエを訪れることになるのだ。ジョージに連れられてアトリエに入った紫が目にしたのは、真剣な面持ちで服作りに取り組んでいる「パラダイス・キス」のメンバーの姿だった。彼らの熱意を目の当たりにした紫は促されるままに「パラダイス・キス」の服を身に着け、メンバーの元に現れる。ブランドの世界観を見事に体現する紫の姿を目にしたジョージは、「早坂紫さん おれ達のショーのモデル 引き受けてくれませんか」と再び紫にオファーした。メンバーたちの服作りにかける想いとジョージの熱意に心を動かされた紫。ファッションショーのモデルを引き受けることを承諾し、新しい世界へと一歩足を踏み入れたのだった。

「自分の可能性を信じなきゃ何も始まらないよ なんとかなる」

初日の出を眺めながら、パリ行きを紫に告げたジョージ。パリでファッションの世界に挑戦することの大変さを口にした紫に対し、「自分の可能性を信じなきゃ何も始まらないよ なんとかなる」と答えた。自分が選んだことは責任を持たなきゃいけないし、他の誰でもなく、まず自分が自分を信じなきゃ何もできない。常に自信たっぷりで現実離れした人物として描写されることが多いジョージ。自分を信じられる力が強いからこそ、常識に囚われずに挑戦を続けられることに気付かされるセリフである。

紫への想い

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