天使なんかじゃない(天ない)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『天使なんかじゃない』とは、1991年から1994年まで集英社『りぼん』にて連載された矢沢あいによる学園ラブストーリー漫画。単行本は全8巻、完全版は全4巻、文庫版が全6巻発行されている。高校生の冴島翠を中心とした生徒会役員の仲間たちの恋愛や葛藤を経験する様子が描かれた作品。作者・矢沢により登場人物たちの心情が丁寧に描かれ、恋愛や青春の切なさを感じさせる名セリフも多く、連載終了後も多くのファンに愛されている。

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体育祭で背中に「秀一命」と書かれた特攻服で登場する志乃。これは瀧川とうまくいっていないことを気にしていた彼女による、強引な意思表示と不器用な愛の形の表現だった。

涙ながらにマミリンへ懺悔する志乃

前日「瀧川を侮辱するな」と麻宮に引っ叩かれた志乃は、ショックで学校を休んでしまうが、そこに翠と麻宮が揃って見舞いに現れる。叩いたことを謝罪し、「お互いに謝って終わりにしよう」という麻宮の潔さと優しさに心を動かされた志乃は、彼女が瀧川の鞄に入れたバレンタインデーのチョコレートと手紙を、嫉妬心から密かに抜き取って焼却炉で燃やしたことを涙ながらに懺悔した。涙ながらに謝罪し、人間としても女性としても麻宮には叶わないと敗北を認めたことで、志乃が少し大人になったことを表す名場面。

秀一から貰った指輪を返して別れを告げる志乃

麻宮に想いの丈をぶつけて懺悔した志乃は、瀧川にもらった指輪をプレゼントを装って返し、恋人としての関係に自ら終止符を打った。隠れて泣く彼女の姿から、直接言うのが辛かったからプレゼントを装ったことも痛いほど伝わり、多くの読者が胸を痛めた。

くしゃくしゃにされた翠のハンカチを丁寧に洗う志乃

精神的に不安定な状態に陥った翠の持ち物である、くしゃくしゃになったハンカチを丁寧に洗って「生徒会室に干しておけば大丈夫」と笑顔で声をかける志乃。すすり泣く友達に何か声をかけるでもなく、黙って気持ちを尊重し、「取り戻せるものがある」と教えてくれているかのような名シーン。当初はうじうじと悩みがちだった志乃だが、翠の支えになることができるほどの人間的成長を見せた人物であることがわかる。

「自分を信じること 周りを愛すること 明日を夢見ること 先輩達が教えてくれた幸せの三原則を私達は決して忘れません」

翠たちの卒業式で、第2期生徒会長の志乃が「自分を信じること 周りを愛すること 明日を夢見ること 先輩達が教えてくれた幸せの三原則を私達は決して忘れません」という言葉を送辞として送る。
志乃は瀧川が自分より麻宮を想っていることに気づきながらも、麻宮の優しさに意地になり彼を引き止めようとしていた。しかし翠と晃の強い絆や、自分を思ってくれる生徒会の仲間に触れる中で、瀧川との別れを選び成長するのだった。そんな彼女の心情を表した名セリフである。

「いいな…やっぱり あこがれちゃうなあんな2人…」

笑いながら並んで歩く晃と翠を見た志乃が思わずこぼした一言。彼らがお似合いであるのは言わずもがなだが、それを見て素直に憧れを口にする志乃の表情はとてもかわいらしく、年相応の10代の女の子である。

柴田広子の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「自分の好きな人達が淋しい顔してたら 自分が淋しいより悲しいでしょ?」

将志を探すため、晃は休学していなくなってしまう。悲しむ晃の妹・広子だったが義父から「広子が元気がないと淋しい」と言われ、元気になることを決める。そして自分と同じように悲しむ翠に向かって「自分の好きな人達が淋しい顔してたら、自分が淋しいより悲しいでしょ?」と励ます。その言葉に翠は元気をもらう。小学生ながらも周囲の人を気遣える、大人な一面を持つ広子の名言である。

牧博子の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「さよなら! また明日ね!」

新入生歓迎会が終わった後、長らく絶縁状態だった須藤晃と牧博子が挨拶を交わしたシーン。

中学時代、晃は家庭教師の将志とその恋人の博子と知り合った。
親の離婚で不安定だった晃にとって、二人はかけがえのない存在だった。
そしていつしか、晃は博子のことを将志の恋人以上に感じてしまう。

将志がパリに行ったとき、無理に笑う博子に耐えられなくなった晃は告白をする。
が、「晃くんのことは弟としか見れない」と玉砕してしまう。
それを馬鹿にされていると感じた晃は博子と絶交してしまい、口も利かない、目も合わせないという状態が続いた。

新入生歓迎会の準備の際、偶然博子と間近で会ったのを無視した晃は、自分が無視されたと勘違いした冴島翠を悲しませてしまう。
そのことから、博子との関係を翠に打ち明けることを決意した晃は、復縁のために博子に挨拶したのだった。

てっきり今回も無視されると思っていた博子は、頬を紅潮させて挨拶を返すのだった。

「自分からだめだって思い込んだら、うまくいくものもだめになってしまうから」

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