冴島翠(天使なんかじゃない)の徹底解説・考察まとめ
冴島翠(さえじまみどり)は矢沢あい作の漫画『天使なんかじゃない』の主人公。元気で明るく、お調子者である。周りから「エンジェル冴島」と呼ばれることも。聖学園の1期生として入学し、副生徒会長を務めた。絵を描くことが得意であり、2年生からできた美術部に所属している。同級生であり生徒会長を務める須藤晃(すどうあきら)に一目惚れし、付き合うことになるが、1度別れる。お互いの大切さに気付き、再度付き合うことになった。高校卒業後は美術系の大学に進学し、美術の先生となり母校である聖学園で働く。
冴島翠の概要
冴島翠(さえじまみどり)は矢沢あい作の『天使なんかじゃない』の主人公である。
新しくできた高校である聖学園の1期生として入学し、副生徒会長を務めた。
学校ではじめての学園祭や体育祭などの学校行事を生徒会の一員として企画運営する。
生徒会長である須藤晃(すどうあきら)に一目惚れし、片思いをする。
両想いとなり付き合うことになるが、晃は美術教師である牧博子(まきひろこ)のことを大切に思っていた。
博子は坂本将志(さかもとまさし)と恋人関係であったが、将志はパリに行っており、連絡がとれない。
日本で淋しくしている弘子を優先する晃に耐えられなくなり、別れることになる。
中学の同級生であり、翠に長年片思いしていた中川ケン(なかがわけん)と付き合うことになる。
ケンのことは友達としてしか見ることができず、付き合っていくうちに晃の大切さに気付くのであった。
晃は将志を探しに突然パリに行ってしまい、連絡がとれなくなる。
日本に戻った晃と再会し、再び付き合うことになる。
高校卒業後は美術系の女子大に進学。
大学卒業後、美術教師として聖学園で働き始める。
冴島翠のプロフィール・人物像
誕生日:8月10日
CV:久川綾
生徒会副会長。
晃とは恋人関係である。
クラスの人気者であり、生徒会にはクラスから推薦された。
友人からは、元気で明るくお調子者でしっかり者、A組の天使だと紹介される。
生徒会の演説では本人も「エンジェル冴島」と名乗っている。
絵が得意で、学校内のポスターや垂れ幕などを担当している。
2年生で美術部を作り所属する。
高校卒業後は美術系の女子大に進学。
美術教師となり母校である聖学園で働く。
冴島翠の来歴・活躍
生徒会発足、晃との出会い
今年できた聖学園の1年生として入学する。2学期に入り、生徒会の立候補者を募集するも、誰も立候補せず、クラスから1人出さないといけないことになり、推薦されることになる。翠がそれを知ったのは、立候補者演説の日であった。友人からは、明るくて元気なしっかり者であり、翠はA組の天使だと紹介される。翠も気合を入れて演説をし、うまくいったと思ったが、退場しようとしたときに、マイクのコードに足をひっかけてしまい、スカートがめくれて全校生徒にパンツを見られ、笑われてしまう。翠は恥ずかしくなり、舞台袖から逃げ出そうとしたが、ドアの向こうには全校生徒がおり、今出れば笑いものになってしまう。同じく生徒会に立候補していた須藤晃(すどうあきら)から3秒数えたらドアをあけろと言われる。晃は、3秒数えてドアを開けた瞬間に大きな声で演説をはじめみんなを黙らせ、翠のことを助けてくれる。
演説の日より前に翠は晃のことを知っていた。霧雨の降る雨の日に猫を助けていたのを見ていたのであった。銀色のバイクがきれいだったのをよく覚えている。翠はずっと晃に話しかけるチャンスをうかがっていたのだった。
生徒会選挙の開票の日。晃は生徒会長に、翠は副会長に選ばれる。他のメンバーは会計に瀧川秀一(たきがわしゅういち)、書記に麻宮裕子(まみやゆうこ)と河野文太(こうのぶんた)が選ばれ、5人が聖学園第1期の生徒会となる。
1ヵ月後にはじめての学園祭をすることが決定する。その日の帰り道、翠は晃のバイクでバス停までおくってもらう。知れば知るほど晃のことが好きになっていた。学園祭の準備をしているうちに日に日に仲良くなっていき、晃は翠のことを下の名前で呼び、距離が近くなった気がしていた。
学園祭についての生徒総会を開く日。翠が朝早く生徒会室に行くと誰もいなかった。翠は消しゴムを忘れたことに気づき、申し訳ないと思いながらもそこに置いてあったリュックから消しゴムを借りようとする。筆箱と思って取り出したのは、プレゼント包装された箱だった。そこには「HAPPY BIRTHDAY DEAR HIROKO FROM AKIRA」と書いてあった。HIROKOが誰か気になって仕方なかった翠だが、妹だと思い込むことにした。
しかし、気になって仕方なく、美術の時間に好きな人に彼女がいるかもしれないと、美術教師である牧博子(まきひろこ)に話して泣いてしまう。その日に帰ろうとげた箱に行くと、靴に晃から帰る前に生徒会室に来いとメッセージがはいっていた。学園祭の資料をコピーするように言われ、そんなことで呼び出したのかと思ったが、泣いていたことを心配してくれたからであった。いつも明るい翠が泣いたことが、学校中で噂になっていた。優しい晃に翠は、気にしていたことがどうでもよくなるくらい喜ぶ。
学園祭で、校門の前で絵が2等分された運命カードを配ることになる。運命カードは、男女で1つの絵になっており、同じ絵の書かれた相手を探し、2人でお化け屋敷やダンスパーティーに参加するというイベントで使用する。100枚以上書かなければならず、晃からは手分けしろと言われるが、翠は心を込めて1人で書きたいと言い張った。他の生徒会メンバーが準備をしている間も、1人もくもくと生徒会室で書いていた。すべて書き終わり、晃に報告にいくと晃は何かを隠す。晃は翠を心配して、自分もカードを書いていたのだった。
そして学園祭当日。大盛り上がりの中、メインイベントであるダンスパーティーが始まるが、晃の姿がない。翠は晃を探しにいくと、1人で生徒会室にいたのだった。晃と生徒会室で「スタンドバイミー」を踊った。晃は「スタンドバイミー」を好きだと言っていた。
学園祭が終わり、試験が始まる。試験勉強中に晃と2人でご飯を買いに行くと、小さな女の子が晃に話しかけてくる。晃の小学3年生の妹である柴田広子(しばたひろこ)であった。両親が離婚し、晃は父方に広子は母方に引き取られ、別々に暮らしていたのであった。プレゼントの相手は妹だったんだと翠はほっとする。しかし、晃がなかなか自分の気持ちに気づいてくれないことがもどかしさを感じていた。周りからも仲良さそうな2人を見てどういう関係かを聞かれるようになっていた。そんなとき牧ちゃんと呼ばれる美術の先生の名前も博子だと、翠はクラスメイトから聞き、初めて知ることになる。
クリスマスの日、サプライズで翠は晃の家をケーキを持って訪ねてみるも、晃はアルバイトをしていていなかった。雪が降る中、翠は部屋の前でずっと待っていた。晃もバイトが終わり、ケーキを渡そうと翠の家に行くもいない。晃が家に帰ると、部屋の前でうずくまっている翠の姿を見て驚く。「会いたかったの」と翠が言うと、晃は翠を抱きしめてキスをする。
3学期が始まり、晃から広子の誕生日プレゼントを一緒に買いに行こうと言われる。生徒会室で見た晃の鞄にはいっていた誕生日プレゼントは、広子宛ではなかったのかと翠は不安になる。
翠と晃は、広子の誕生日を3人で晃の家で祝う。晃の家には猫がいないのに、猫じゃらしが置いてあった。翠が初めて晃を見たときに、猫を助けていた。その猫はミルクといい、晃の家で飼おうとしたが大家さんにバレてしまい、知り合いに引き渡したのだった。誕生日会が終わり、晃と広子が幸せそうに寝ているのを見て、生徒会室で見た誕生日プレゼントについて、翠は「見なかったことにしてあげる」と心の中で思う。
新入生歓迎会で部活の垂れ幕を作ることになる。翠と美術教師の博子は、部員が足りずに美術部が作れなかったので、新1年生を勧誘して美術部を作るために垂れ幕に参加することになる。準備のために、翠と博子は一緒に画材屋へ行き、帰りに博子の家に寄ることになる。そこには晃が助けた猫であるミルクがいたのだった。生徒会室で見たプレゼントの相手は、博子なのではないかと翠は不安になってしまう。次の日、晃にプレゼントのことを聞きたかったが、晃は熱を出して学校を休んでいた。お見舞いにいっても体調が悪そうな晃を見ると、聞くことができなかった。博子に聞くか迷っているとき、博子からパリに高校時代から付き合っている彼氏がいると聞かさる。
新入生歓迎会の準備で、博子と一緒に美術部の垂れ幕を運んだが、晃は博子を不自然に避けていた。翠は気になって仕方なくなり、クラスの出し物が終わった後、泣いて体育館を飛び出してしまう。その様子を見た晃は今度の日曜日話があると翠に言う。
そして約束の日曜日。2人で遊園地に行き、遊園地を楽しんだ最後に観覧車に乗る。そこで、晃から、中学のころの家庭教師だった人の彼女が博子であり、それ以上なんでもないと聞かされる。しかし、今絶交しているので、垂れ幕を運んだ時に避けたんだと言う。翠は安心し、2人は抱き合ってキスする。
博子を優先する晃に嫉妬
翠は、絶交している晃と博子を仲直りさせようと、2人に秘密でそれぞれを動物園に誘う。晃は広子を連れてきていた。2人は気まずそうにしていて、広子はなぜだか元気がない。翠は広子と2人で飲み物を買いに行く。広子は、博子のこと、博子と一緒にいるときの晃のことが嫌いだと言う。飲み物を買って戻ると、晃と博子は2人で話したようで仲直りしていた。広子が帰りたいというので解散することになる。
ある日、翠は晃の家で一緒に親子丼を作ろうとしたが、お米がないことに気づき晃は買いに行くことになる。翠が部屋で待っていると、坂本将志(さかもとまさし)が部屋を訪ねてくる。将志はパリに行っていた博子の彼氏だった。帰ってきた晃は、将志を見るとつかみかかり涙を流す。晃は急いで博子を呼びに行き、将志と2人にさせる。翠と晃は公園にいると、将志が親子丼ができたと呼びに来る。4人で楽しく食事をして、将志が寝てしまったので博子と2人で帰る。
夏休みに翠と晃、将志と博子、生徒会メンバーも呼び、キャンプに行くことになる。夜、翠は将志と晃が話しているのを聞いてしまう。晃はずっと博子のことが好きだったと話していた。「神様どうかその時晃が世界一幸せにしたいと思う女の子は私でありますように。次の流れ星が消えないうちに3回唱えて目を閉じるから。」と翠は心の中で思うのであった。
そして夏休みに入り、翠の誕生日である8月10日。晃には夏休み前に誕生日をアピールしていたが、 当日は翠自身も忘れており、中学のころの友達と会うことになる。中学の同級生である中川ケン(なかがわけん)とも久しぶりに再会する。中学時代、ケンとは仲が良く、2人でクラスメイトをよく笑わせていた。ケンから誕生日のことを言われ、翠は慌てて晃の元へ行く。晃は誕生日プレゼントに銀のネックレスを買ってくれていた。
美術部の活動をしているとき、突然将志が学校にあらわれる。ずっと晃のそばにいてやってほしいと言われる。翠は「あたし晃を失ったらきっと笑顔もなくしちゃうから」と答える。部活が終わり、バイト終わりの晃と合流し、2人で晃の家にいくと将志からパリに戻ると置手紙が置いてある。晃は置手紙を見て、怒って飛び出し空港に向かうも、飛行機はもう出発していた。博子に伝えると、博子は将志がパリに行くことを知っていたが、ついていく勇気はなかったと泣き、その場を去っていった。晃が博子のことを抱きしめたい、追いかけたいと思っているように翠には見えた。
夏休みが明け、ケンがボーカルを務めるバンドのライブに招待された。晃を誘うもバイトで行けないと言っていたので、裕子と2人で行くことになる。翠はライブに行く途中、晃と博子の姿を見てしまう。その日は博子の誕生日だった。生徒会室で見たプレゼントはやはり博子宛であったのだと確信する。翠は不安で、ライブ中もずっと上の空だった。晃は自分よりも博子のほうが大切なんではないかと考えてしまい、よくよく思い出すと付き合おうとちゃんと言われたことがない。後日博子に誕生日プレゼントを渡すと、誕生日の日来れなくて残念だったと言われてしまう。
体育祭の日、教員参加リレーに博子も参加するが、足の甲をねんざしてしまう。晃はお姫様抱っこで、病院に行く車まで博子を連れていく。翠はそれを見て嫉妬してしまい、博子と目があうもそらしてしまう。博子が病院に行ったあと、翠は晃から誕生日にもらったネックレスをなくしたことに気づき、慌てて探すも見つからなかった。その話を裕子にすると、ネックレスには天使の羽がついていることを裕子に言われて初めて知るのであった。
体育祭が終わり、翠が帰ろうとすると晃は翠専用のヘルメットを準備しており、翠にかぶせてくれる。翠は「晃に好きな人がいるならそっちに行っていいんだよ」と言うと「お前の他に行くとこなんかねえよ」と晃は答える。
数日後、翠は博子から今度お見合いをする予定だと聞かされる。将志のことをう忘れようと思っているようだった。翠は博子が結婚してしまうかもしれないとモヤモヤし、晃からの誘いも断っていた。同じころ元太からケンが中学時代から翠のことを好きだと聞き、翠は戸惑ってしまう。
晃とは気まずいまま久しぶりに生徒会の集まりがあり、生徒会室で2人っきりになる。そしてクリスマスに2人で北海道に行くことになった。晃は終業式が終わったら、そのままイヴに間に合うように北海道にいこうと提案する。翌日、翠の家にケンから電話があり、家の近くで会うことになる。ケンからイヴに行われるライブのチケットを渡され、告白される。もしライブにこなかったらあきらめると言われる。ケンは「来たら絶対に翠を不安にさせない。神に誓ってお前一筋」だと伝えられる。
翠は博子がイヴにお見合い相手と会うことになったと聞くが、晃に伝えることができなかった。そして、イヴ当日。終業式のあと翠は晃と駅で待ち合わせをする。待ち合わせに来た晃に翠は、博子が今日お見合いをすると伝えると、晃は動揺するも北海道に行こうと言う。翠は「置いてっていいよ、もう晃が牧ちゃんのことでムキになるとこなんか見たくない」と言うが、心の中ではいかないでと思っていた。
晃は「じゃあそこで待っとけ」と言い、翠は「待たない」と答えるも晃はいってしまう。晃は博子の家に着くと博子は部屋に閉じこもっていた。晃がお見合いをせずに将志のことを忘れないでほしいと伝えると、博子は晃に抱き着く。パリにいる将志から「I love you forever」と書いた絵が届いていたのだった。そのころ翠はケンのライブハウスに到着していた。翠の姿を見たケンは翠を抱きしめる。晃が待ち合わせをしていた駅に戻った時には翠はもういなかった。
ケンと交際、破局
ライブのあと翠はケンの家に泊まる。ケンは理由も聞かずにもてなしてくれた。ケンといると翠は、穏やかな気分でぐっすりと眠れるのであった。ケンと別れ、自宅近くの駅につくと晃がいた。晃はやはり博子のことをほっておくことができず、将志が帰ってくるのを一緒に待ってあげたいと言う。それが翠を苦しめるのであれば終わりにしようと言うのであった。いい加減な気持ちで一緒にいたわけじゃないと言う晃。翠は「友達やろうね!」と晃に笑顔で伝えるのであった。晃はさすがエンジェル冴島だと笑うのであった。
3学期が始まり、翠は髪を切って元気に学校に通う。晃とも、昔と変わらず冗談を言い合う仲でいれた。生徒会の任期が終わり、選挙をし2期の生徒会メンバーが決まるが、1期メンバーもOBとしてかかわることになる。
ケンと週末にデートをすることになる。翠はケンといると楽しく、晃と別れたら人生終わりと思っていたがちゃんと笑える自分にほっとしていた。しかし、デート中に広子に会ってしまい、一緒にいた晃の母にも挨拶される。晃の母は、晃が元気かどうかを聞きたそうだった。食事会にも誘われるが、ケンと一緒にいるので急いでいると適当に理由をつけて断る翠を見てケンは気にしているようだった。別れ際、ケンから付き合おうと言われ、翠はOKを出すのであった。どうしてこうなったのか分からないが、胸が高鳴り涙が出るのだった。
1期2期の生徒会で合同合宿にいくことになる。ケンは浮かれていて、元彼がいることを忘れ快く送り出すのだった。翠は晃から広子が会いたがっていると言われ、広子の連絡先を教えてもらう。「晃も気が向いたらおいで」と翠が言うと晃は「気が向いたら行く」と答えるのだった。このプラスマイナスのない友達関係がちょうどいいなと思う翠だった。
ラグビー部の試合を1期2期の生徒会で応援をすることになる。文太とケンは中学の同級生であり、文太に誘われていたケンも見に来ていた。応援中、転んだ翠を起こすために晃は手を貸すが、ケンの姿を見た翠は思わず晃の手をふりほどく。裕子と文太以外、もちろん晃もケンと翠が付き合っていることを知らず、そこにいた生徒会メンバーは驚いていた。帰り道、翠はケンのことを不安にさせていると感じる。別れ際に、ケンからキスをされそうになった翠は思わずよけてしまう。ケンは「おまえいつになったら俺のこと友達以上に見てくれるんだよ。こんなの恋人って言えるかよ」と言われてしまう。
学校では、晃と別れていることを知らない人たちが、翠は晃とケンの二股をかけている女だと噂が流れる。翠は「嫌いで別れたわけじゃなかった好きだったから晃のこと好きになりすぎて苦しかった。友達やろうねって言ったのも晃を失わずにすむギリギリの手段だったから。なのにあたしはケンの優しさに逃げたんだ」と気づく。
ケンのライブの日にライブの前に翠はケンに別れを告げる。翠のことを思って書いた曲である「天使のほほえみ」は翠の前では歌えないから今日は帰ってほしいと言われる。翠は晃じゃないとだめだと思うのだった。ケンは失恋がつらく、「天使のほほえみ」を歌うことができなかった。帰り道に、翠は晃の家に行くが電気が消えている。帰ってくるのを待っていたが、隣の部屋の人に晃は引っ越したと言われる。
次の日は終業式だが、翠は熱を出してしまう。終業式で晃に会って引っ越した理由を聞かなくてはと思い、無理して学校にいこうとすると裕子から連絡がある。朝、担任の机に晃の休学届が置いてあり、晃の居場所が分からないとのことだった。先生も晃の休学については何も知らなかったと言う。翠は学校に着くも、倒れてしまい救急車で運ばれ、気づくと病院にいた。目を覚ますとそこには広子がいたのだった。広子に晃から将志を探すために日本を離れると手紙が届いていたのだ。
春休みに入り、翠は1週間寝込んでいた。そこに博子がお見舞いにくる。博子はパリに行き、将志の知り合いに晃を見たら連絡がほしいと写真を渡してきたそうだ。博子から晃がやり直したいと言っていたと聞かされる。
翠は広子に会いに広子の家へ行くと、晃の母から離婚したときの話を聞く。晃の母は広子と先に家を出て、晃をあとでよぼうと思っていた。出ていく様子を見ていた晃が晃の母の手をつかむが、それをふりほどいてしまった。翠はラグビーの試合の日、晃の手をふりほどいてしまったことを後悔する。晃の母は、あなたと出会って晃は優しくなった、愛してくれてありがとうと翠に感謝する。翠は違うと泣き、晃は最初から優しかったが、私が傷つけてばかりだったと後悔する。翠は「戻ってきて晃。そしてもう一度やり直そうよ。天使なんかじゃないけど、晃のためなら天使になる」と思うのであった。
同じころ、学校では裕子や生徒会メンバーは、翠が去年の体育祭で落としたネックレスを探し回り、無事にネックレスを見つける。裕子は偶然見つけたと翠にネックレスを渡す。
晃と再会、再度恋人関係に
翠は、晃のいない間も楽しく過ごすが、生徒会メンバーでカラオケに行ったとき、晃の好きだった「スタンドバイミー」が流れたことで思わず泣いてしまうのであった。周りが晃のことを触れないようにしていることに気づいていた。その日、翠が家に帰ると晃から電話があった。晃も翠のことが気になっていた。電話に出ると、翠は涙が止まらず、「帰ってきて晃!淋しいよ死んじゃうよ」と叫ぶ。晃は帰ってきたらやり直そうと言ってくれる。電話を切ると、博子が晃の居場所が分かったと家を訪ねてくる。博子が連絡していた将志の知り合いのところに晃は身を寄せており、博子のところに連絡があったのだった。電話があったことを伝えると、博子もほっとしていた。
学校では、2年3年合同で北海道への修学旅行が行われることになる。晃と行けなかった北海道であったが、翠は晃に迷惑をかけないようにと連絡はしなかった。しかし晃から連絡があり、将志がインドにいるかもしれないからインドに行くと言うのであった。
学校に晃の父親が訪ねてくる。晃の父親も将志のことを知っていたことを不思議に思った翠は、博子に話を聞く。晃と将志は異母兄弟だったのだ。晃の父が、若い頃に結婚を約束した女性がおり、大企業の跡取り息子だった晃の父は、両親に結婚を反対され、結婚することができなかった。そのときにお腹にいたのが将志だったのだ。将志の母が亡くなったとき、晃の父は将志を引き取ろうとしていたが、晃の母はそれを受け入れられず、離婚することになったのだった。同じころインドで、晃も将志と会い、2人も同じ話をしていた。晃が将志を探しに行ったのは、兄弟であることをたしかめたかったのだ。晃と将志は日本に帰ることになる。
晃が日本に戻る日は、修学旅行初日だった。翠は修学旅行を休み、晃を空港まで迎えにいく。再会し、翠は晃に「もう離れたくない」と伝え、晃は「離すもんか」と答え、2人は抱き合う。修学旅行の話を聞いた晃は驚き、2人で北海道にいこうと提案する。2泊目から修学旅行に2人で合流するのであった。
修学旅行から帰り、晃と2人で横浜の実家に行く。晃から博子に告白して、ふられたことがあると聞く。将志がいなくて悲しいながらも明るくふるまう博子が心配だったからだと言う。その後、博子の家に行くと、将志から空港に着いたと電話がかかってくる。晃は迷わず博子の手をとって、2人でバイクに乗り空港に向かった。翠はそんな晃の姿がかっこよくみえ、自然と全く嫉妬しないようになっていた。
将志が日本に戻って1ヵ月後、博子と将志の結婚式が行われる。博子は今年度いっぱいで仕事を辞め、2人でフランスで暮らすことが決まっている。
3年生になり、翠は進路について悩んでいた。晃はいい大学に行き、父親の会社の跡を継ぐのだと言い、ケンはバンドでスカウトされデビューするかもしれないと言う。生徒会メンバーも進路を決めており、翠は焦るが、博子に相談し、美術系の女子大を目指すことになる。
夏休み、翠は美術予備校に通い、晃は予備校に通いながらアルバイトをしており、連絡もとっていなかった。1人で家にいると、なぜだか翠は淋しい気持ちになっていた。そんなとき、ケンが翠の誕生日プレゼントを渡しにくる。ケンと話していると、晃に会いたくなり、晃が居候していた秀一の家に行く。そこには晃だけでなく、博子や将志、生徒会のメンバーもおり、翠の誕生日パーティーを開催してくれたのだった。パーティーが終わり、晃と2人になる。「どうしても淋しくなったときは電話してもいいかな?」と翠が聞くと「そん時はとんできてやるよ」と晃は答える。別れ際、晃から指輪をプレゼントをされる。
新学期、2回目の学園祭が行われる。晃と2人で生徒会室にいると、ダンスパーティーが始まる。晃が軽音部にリクエストした「スタンドバイミー」が流れる。1年生のときと同じように2人で踊るのだった。
そして卒業式。翠は美術系の女子大に進学が決まり、晃は浪人することなく大学に進学が決まる。
博子は妊娠しており、将志は翠と書いてアキラと読む名前をつけると言う。翠は答辞を担当するが、前に立って伝えたいと思ったことをしゃべりたかったので、持っている紙は白紙であった。最後と思うと涙が出て言葉が詰まる翠に、晃や同級生、後輩たちが応援してくれる。そして翠は「みんなに会えてよかった!3年間本当にありがとう!!」と伝えるのだった。
そして数年後、大学を卒業した翠は聖学園に美術教師になり戻ってくるのであった。
冴島翠の関連人物・キャラクター
須藤晃(すどうあきら)
CV:森川智之
聖学園の生徒会長。
翠とは高校で出会い、恋人関係になる。
両親が離婚しており、小学3年生の妹がいるが、別々に暮らしている。
中学時代は荒れた生活を送るが、家庭教師として来た将志と出会ったことで更生する。
将志とは異母兄弟であることを後に知ることになる。
将志の恋人である博子に思いをよせていた時期もあった。
髪型はリーゼントで、銀色のバイクに乗っている。
牧博子(まきひろこ)
Related Articles関連記事
天使なんかじゃない(天ない)のネタバレ解説・考察まとめ
『天使なんかじゃない』とは、矢沢あいによる漫画作品。少女漫画雑誌『りぼん』1991年9月号から1994年11号まで連載された。全8巻の単行本に加え、完全版コミックス全4巻、文庫本全6巻、さらに全8巻の小説が刊行されている。1994年にはOVA化された。創立されたばかりの私立聖(ひじり)学園の生徒会を舞台に、主人公冴島翠を中心とした生徒会の面々が繰り広げる、高校生の恋と友情を描いた青春群像劇である。ベテラン漫画家として知られる矢沢あいの出世作であり、その完成度から芸能人のファンも多い。
Read Article
もう一度読み返したい矢沢作品
NANA休載から実に約10年。連載再開が待ちわびられているいま、あらためて読み返したい矢沢愛先生の作品を振り返ります。
Read Article