天使なんかじゃない(天ない)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『天使なんかじゃない』とは、1991年から1994年まで集英社『りぼん』にて連載された矢沢あいによる学園ラブストーリー漫画。単行本は全8巻、完全版は全4巻、文庫版が全6巻発行されている。高校生の冴島翠を中心とした生徒会役員の仲間たちの恋愛や葛藤を経験する様子が描かれた作品。作者・矢沢により登場人物たちの心情が丁寧に描かれ、恋愛や青春の切なさを感じさせる名セリフも多く、連載終了後も多くのファンに愛されている。

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後夜祭のダンスパーティーの時に二人で踊る晃と翠

第一回聖祭の終盤。翠は晃を探して、生徒会室まで来ていた。
片思いの晃をダンスパーティーに誘うためだった。
少し思わせぶりに翠は晃を誘うが、晃はどこ吹く風で大あくびをかます。
それを見て、くじけてしまった翠は悔し涙を浮かべる。
と、その時、晃がおもむろに立ち上がって窓を開けると、ダンスパーティーの会場から漏れ聞こえる「スタンドバイミー」。
その曲は晃が大好きな曲だった。
曲をバックに、晃は翠に「踊ろーぜ」と手を差し伸べる。
翠は心臓が痛いほど騒ぐが、晃の手をとってダンスを始める。
翠がさらに恋心を加速させたシーンである。

生徒会室で二度目のスタンドバイミーを踊る晃と翠

第二回聖祭(学園祭)では、晃が軽音部に「スタンドバイミー」の曲のリクエストを出していた。彼は最初にダンスを誘った時と同じく、翠に「踊ろーぜ」と声をかけ、再び生徒会室で二人きりのダンスを踊る。
紆余曲折を経て、着実に二人だけの特別を増やしていく翠と晃の姿に、多くのファンが胸を高鳴らせた。

「帰ろう将志 おれ達には 帰る場所があるんだから 幸せになれよ将志 幸せになろうぜ」

晃が将志を説得する際のセリフ。互いに待つ人がいるからこそ出てくる「帰ろう将志 おれ達には 帰る場所があるんだから 幸せになれよ将志 幸せになろうぜ」という言葉は、高校生とは思えない重みをもったものとして読者の心に響いた。

「アキラ」

結婚した博子と将志。新しい命を授かった彼らは、気の早いことにお腹の中の子に、晃と同じく「アキラ」という名前をつけようとしていたことが晃の口から明かされる。その名前はグレそうだ、と不評を訴える翠に対し、彼女の「翠」という字にも「アキラ」という読み仮名があることを晃が教える。

麻宮裕子の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「あたしは冴島翠みたいになりたい。うれしい時はちゃんと喜んで、悲しい時はちゃんと泣けるような、そんなあたり前のことがみんな意外とできなかったりするのよ。」

生徒会メンバーでカラオケに行こうとした際、志乃も来ることになったため翠は麻宮に合わせて図書館に行くことにした。二人はそこで、互いに将来なりたいものについて語り合う。
イラストレーターや絵本作家、漫画家と絵に関するさまざまな職業を取り上げて悩む翠に、麻宮は「あんたならなんにだってなれるわよ」と、サラッと褒める。
それに照れた翠は「マミリンは?」と質問すると、「あたしは冴島翠みたいになりたい。うれしい時はちゃんと喜んで、悲しい時はちゃんと泣けるような、そんなあたり前のことがみんな意外とできなかったりするのよ。」という答えが返ってきた。
麻宮曰く、うれしい時は喜び、悲しい時はちゃんと悲しむ、そんな当たり前なことができる翠が、みんなに好かれ、須藤晃に選ばれる理由がわかるのだというのだ。
麻宮は今、叶わないだろう恋のために懸命に頑張っている。
麻宮は真面目で無口で、なかなか感情を表に出さないタイプであったが、翠と一緒にいることで少しずつ変わっていっている。
このセリフを聞いた翠は「額に入れて胸の真ん中に一生飾っておきたいようなセリフだった」とモノローグで語っている。

「あんたみたいな友達は…もう出来ないかもしれない」

高校三年の夏、留学に迷っているという不安を吐露し、翠に「瀧川と離れるのが心配なのか」と尋ねられた麻宮はそれを認めつつも、理由はそれだけではないとして、翠に対して「あんたみたいな友達は…もう出来ないかもしれない」と涙をこぼす。
高校三年間、共に多くの時間を共有し、二人がどれほど大切に友情を育んできたかが凝縮された一言。これには思わず、もらい泣きしてしまった読者も多い。

「ほんとに今日はよけいなことしてくれて、とんでもない1日だったわ。おかげで楽しかった」

翠と麻宮が仲良くなったきっかけのワンシーン。麻宮が瀧川に片想いしていることに気づいた翠が、学園祭で2人を接近させようと画策。2人でお化け屋敷に入ることになった。しかしお化け役の翠が麻宮を驚かせ気絶させてしまうが、瀧川は保健室に運ばれた麻宮に付き添うのだった。その後、後夜祭で花火を眺める生徒会役員たち。翠は回復した麻宮に「ごめんね!大丈夫?ごめんね!」と必死に謝る。麻宮は「ほんとに今日はよけいなことしてくれてとんでもない1日だったわ」と応える。そして戸惑いの表情を浮かべる翠に「おかげで楽しかった」と微笑むのだった。
麻宮の性格を表しつつも、翠に心を開き始めたことも表す名言である。

「あんたが みんなに好かれる理由がわかるわ」

当初は翠を「嫌い」とまで言い放っていた麻宮。しかし、常に体当たりでぶつかってきた翠に、少しずつ心を許していった麻宮が言ったのが「あんたが みんなに好かれる理由がわかるわ」である。常に打算なく、純粋な善意で彼女に接する翠。その善意は麻宮にとって、翠自身をかけがえのない存在へと変えていった。
短い一言ではあるが、何の計算も打算もなく、純粋に1人の人間として認め合える相手に出会うことは、人生で何よりも大切だと気づかせてくれる名セリフだ。

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