虹村京（ジョジョリオン）の徹底解説・考察まとめ

虹村京の概要

虹村京（にじむら けい）とは、『ジョジョの奇妙な冒険 part8 ジョジョリオン』の登場人物。吉良・ホリー・ジョースター（きら ホリー ジョースター）の娘であり、その息子・吉良吉影（きら よしかげ）の妹。第2巻で東方定助（ひがしかた じょうすけ）を家族として迎えるにあたり、全員で写真を撮るために家族が集合した時に初登場。その際に同行していた広瀬康穂（ひろせ やすほ）が帰宅する際に、「常秀（読みは「じょうしゅう」。東方家の次男）を誘惑するな」「二度とこの家に来ることは許さない」「定助にも二度と会うな」という警告をする。ただしこれは京の意思ではなく、家長である東方憲助（ひがしかた のりすけ）の言葉を伝言しただけである。その後、定助は失われた記憶の手掛かりを求めて東方家を調べていくうちに、ホリーが東方家の遠縁であることを突き止め、彼女に会うために勤務先のTG大学病院に向かう。ホリーはこの時、人為的な原因も疑われる謎の病で入院しており、定助がホリーに害をなすつもりだと考えた京は、自らのスタンド能力を用いて定助を攻撃する。戦闘後は誤解が解け、定助の正体が自らの兄である吉影と誰かもう一人（この時点では正体不明）が融合した存在だと定助本人に明かした。その後はしばらく目立った出番がなく、ホリーの病を治せる可能性を秘めた謎の果実・ロカカカの争奪戦にはほとんど関わらなかった。せいぜいロカカカ密売団のリーダーである田最環（だも たまき）戦において攻撃に巻き込まれただけである。しかし最終盤、物語の黒幕である透龍（とおる）との決戦で定助をサポートするために参戦する。
スタンドは「ボーン・ディス・ウェイ」。京があらかじめ標的となる人物を設定し、その人物が「何かを開く」という行為をトリガーとして、漆黒のバイクとそれに跨るライダーを出現させる。その突進と、同時に発生する冷気によって標的を自動で攻撃する能力である。「何かを開く」行為をすれば何度でも自動で標的の近くに出現させられる強力な能力だが、第三者が開いたものを閉じると攻撃が止まってしまう欠点がある。

虹村京のプロフィール・人物像

主人公・東方定助（ひがしかた じょうすけ）の半身である吉良吉影（きら よしかげ）の妹。年齢は22歳。定助が身を寄せる東方家で家政婦として働いている。東方家の先祖である東方理那（ひがしかた りな）と、その夫で前シリーズ『ジョジョの奇妙な冒険 part7 スティール・ボール・ラン』の主人公ジョニィ・ジョースターの子孫（孫の孫の孫）である。（彼女に限った話ではないのだが）非常に奇抜なファッションをしており、仕事用と思われるメイド服に加えて学帽をかぶり、星柄のタイツと厚底のパンプスを合わせている。性格は寡黙で仕事を淡々とこなし、誰かと話す時も表情を変えずに用件だけ伝えるといったような最低限のコミュニケーションで済ませている。ただし仕事は非常にまじめに行う上に手際もいいため、東方家の家族からは好かれている。
その目的は、母の吉良・ホリー・ジョースター（きら ホリー ジョースター）を守ることである。ホリーはかつてTG大学病院に勤務する医者であったが、脳の一部が欠損する奇病を発症して現在は入院している。兄である吉影が死亡した京にとって、ホリーは生存している唯一の肉親であるため、何よりも優先して彼女を守ろうとしているのである。また、そもそもホリーの病気は実は病気ではなく、TG大学病院を根城にしている本作の敵・岩人間（姿形は人間と同じだが体がケイ素で構成されている等の特徴を持つ別種の生物）によってロカカカの効能を実験するための被験体にされたことによるものである。京本人がそのことを知っているかは不明だが、東方家が母のことや兄の死に関して何かを知っていると睨み、内部から調査するために東方家で働いていたのである。
彼女にとっては母であるホリーが良くも悪くも最優先であり、彼女に危害を加える者だと判断すればスタンドによる攻撃・殺害すらも躊躇なく行える。この際に、何の関係もない一般人を巻き込んでも気に留める様子を見せなかった。また、自分の命を投げ出すことにも抵抗がなく、母の病の原因でもあるラスボスである透龍（とおる）との最終決戦では命がけで定助をサポートした。

虹村京の来歴・活躍

初登場

主人公である東方定助（ひがしかた じょうすけ）は自身の記憶を失っており、自分の過去や関係者の手掛かりを探していた。そんな中で、吉良吉影（きら よしかげ）という男が自分と顔が非常に似ている（ただし似てはいるが違うと、吉影を知る人物からは評されている）ことを知り、直後に定助が行き倒れていた場所を調べたら吉影が遺体となって発見された。自分と吉影の間には確実につながりがあると直感した定助は独自に調査を開始した。
同じ頃、定助は舞台となっている杜王町（もりおうちょう）の名家である東方家に引き取られることになるのだが、現当主である東方憲助（ひがしかた のりすけ）は定助を迎えた記念に家族写真を撮ろうとする。その時に京が初登場し、定助の帽子を預かろうとした（断られたが）。結局、長男である東方常敏（ひがしかた じょうびん）が不在であることが発覚したために撮影は中止となるのだが、定助に付き添っていたヒロインの広瀬康穂（ひろせ やすほ）が帰宅しようとした際に京が彼女を呼び止める。「常秀（ひがしかた じょうしゅう。東方家の次男）を誘惑するな」「二度とこの家に来ることは許さない」「定助にも二度と会うな」という憲助からの伝言を伝え、康穂を事実上追い返すこととなった。

定助との戦闘

定助が「吉影が自分にすごく似ている」という情報を得て彼のことを探るうちに、彼の母である吉良・ホリー・ジョースター（きら ホリー ジョースター）が、東方家の近くにあるTG大学病院の医師であることが発覚する（実際は患者として入院しているのだが定助はそのことを知らない）。康穂と情報を共有し、病院に隣接している六壁神社（むつかべじんじゃ）で落ち合って一緒に病院に向かうことを決める。
記憶喪失のため、町の地理がよくわからない定助は携帯電話のナビアプリを使って神社に向かうが、そのナビは神社とはまるで違う方向に定助を案内した。ナビが役に立たないと判断した定助はメモ帳を取り出し、そこにナビに記された地図を写してナビを終了した。その時、定助の背後に全身漆黒の姿をしたライダーが現れる。また、ほぼ同時に終了したはずのナビアプリも勝手に再起動する。ライダーが巻き起こす冷気を伴った突風によって飛んできたものが体に突き刺さったり、皮膚が凍ってくっついて剥がれたりと、少しづつ定助はダメージを受けていく。定助はこのライダーがスタンド攻撃だと気づき、同時にナビも「ポンコツなナビ」ではなく「異常なナビ」だと考えるようになる。しかし、ライダーによる攻撃が続く中で、ナビは地図アプリならばあり得ない「上方向」へと定助を誘導する。それに従った結果、電柱にぶら下がることで定助はライダーの攻撃を回避することに成功。ナビは敵のスタンドではなく、自分を守ろうとしていることに気付き、以降はナビに従うようになる。実はこのナビは康穂のスタンド「ペイズリー・パーク」であるのだが、この時点では康穂本人も能力を自覚しておらず（自分がスタンド使いであること自体を知らない）、無意識に定助を守っていたのだ。
ナビによる誘導で、定助は近くにある民家に避難する。当然ライダーも追跡してくるが、その家の子供が定助たちを怪しんで部屋のドアを閉めたところ、ライダーは定助を追い詰めているにも関わらず突然消えた。そこから今までの自分の行動を思い出した定助は、ライダーの出現条件を見抜くことに成功する。ライダーが出現したときは、「メモ帳を開く」、「携帯電話を開く（連載当時はスマートフォンではなく折り畳み式のガラケーが主流だった）」といった、「何かを開く」行動をしていたのだ。そして子供が「ドアを閉めた」ことでライダーは消えた。「何かの開閉」がライダーの出現条件だったのである。ライダーの発動条件を満たさないよう、ものを開かないように注意しながら病院へと辿り着いた定助だったが、入り口の自動ドアを開ければ攻撃が始まることから中には入れずにいた。運の悪いことに、立ち往生していた定助の近くには乗車待ちのタクシーが停まっており、定助を客だと勘違いした運転手がドアを開けてしまったのだ。発動条件を満たしたことでタクシー内からライダーが出現し、そのまま定助を押して壁に叩きつけようとする。自身のスタンド「ソフト＆ウエット」で対抗しようとするも、ライダーの凄まじいパワーの前に効果がなかった。しかし、ライダーが既に出現していることで、逆に「開く行為」をできるようになった定助は携帯電話を取り出しナビを起動。ナビは先ほどのタクシーに自動で電話をかけ、定助は運転手にさっき開けたドアを閉めるように指示する。ドアが閉まったことでライダーは消え、危機を脱することとなった。
定助はこの時点で勝利を確信する。「ソフト＆ウエット」は「触れたものから”何か”を奪って内部に閉じ込めるしゃぼん玉を生み出す」、「”何か”を閉じ込めたしゃぼん玉が割れると閉じ込めたものが解放される」という能力を持つ。定助はライダーに抵抗する際、道中でライダーがまき散らかしたごみ箱に入っていた生ゴミの臭いや、自分が触れているときのタイヤの音などをしゃぼん玉に閉じ込め、それをライダーにくっ付けていたのだ。そのままライダーが本体の下へ戻ったことで、臭いや音を辿ってついに本体を発見する。そこにいた人物、つまりライダーの本体こそが虹村京だったのだ。

定助との和解：定助の正体を明かす

定助に正体が割れ、追い詰められた京だったが、キャップが外れかけたペンを定助に投げ渡す。それをキャッチしたことでキャップが外れた（キャップを開けた）ことでライダーを出現させるが、流石に距離が近すぎたため定助のスタンドのスピードには敵わず、攻撃する前に倒されてしまう。定助に「何者なのか」、「東方家の命令で自分を襲ったのか」と問いただされる京だったが、口を割ることはなく「ホリーに近づくなら東方家のやつらだって始末する」と戦う姿勢を解かなかった。「東方家のやつら」という発言に加え、京の首元に自信と同じ星形の痣があるのを発見した定助は、京が少なくとも東方家の味方ではないこと、自分と何か関係のある人物なのではないかと思い始めた。更に、ホリーのところへ行かせまいと涙ながらに戦う京の姿を見たことで京にも何かしらの事情があることを察した定助は、ホリーのところへは行かないことを約束した。
自分のことを慮ってくれた定助への敵意をなくした京は、自身がホリーの娘で吉良吉影の妹であることを明かす。更に定助の顔をよく見せてもらい、定助の眼球と舌には真ん中に継ぎ目があることを発見する。定助の正体を察した京は定助をつれて壁の目（東日本大震災で隆起した土地であり定助が行き倒れていた場所）に行く。そこでレモンとみかんを取り出して地面に埋めた。しばらくしてからそれらを掘り出し、切って中身を見ると驚くべきことになっていた。なんとそれぞれの皮の中で、レモンとみかんの実が混ざり合っていた。壁の目は、そこに埋まった二つのものを融合させる不思議な土地だったのだ。定助はこの場所で地面に埋まって行き倒れていた。すなわち、二人の人間が融合して誕生して生まれた新しい人間というのが定助の正体だったのだ。融合した二人のうち、一人は確実に吉良吉影であると京は説明する。見た目が似ているだけでなく、吉影のスタンド「キラー・クイーン」もしゃぼん玉を生み出す（ただしこちらは爆発するしゃぼん玉である）能力だったため、妹の目から見て間違いのない事実だったのだ。京によって自身のルーツの半分が分かった定助は、自身を構成するもう一人を突き止めることをこの後の目標とすることになる。

最終盤まではほとんど出番なし

主人公である定助の秘密を知り、重要人物であるホリーの娘という立ち位置の京であるが、定助との戦いの後は物語の本流にはほとんど関わらない。常に東方家で働いている様子は描写されているが、明確な出番といえるのは朝食のパンケーキを用意したシーン、東方家の長男である東方常敏（ひがしかた じょうびん）から海外土産をもらっているシーン、岩人間の一人である田最環（だも たまき）の攻撃に巻き込まれているシーンくらいである（それらも数コマの出番）。彼女の次の大きな出番は、ラスボスである透龍（とおる）との最終決戦まで待たなければならない。

最終決戦にて定助をサポート：「ワンダー・オブ・U」の能力で死亡

物語も終盤に入り、すべての黒幕である透龍（とおる）のスタンドである「ワンダー・オブ・U」と対峙する定助。「ワンダー・オブ・U」は自身を追跡・攻撃する者に対して、「何かがぶつかる」という形で「厄災」を振り撒き最終的に死亡させるという能力を持ち、それによってどんな攻撃をしようと自身に返されてしまうという無敵の能力だった。これによって協力者の豆銑礼（まめずく らい）を失い、追い詰められた定助の下に「ボーン・ディス・ウェイ」が出現する。この時、京は康穂から定助への協力を依頼されていた。透龍の能力の危険性も康穂から説明されていた京だったが、母であるホリーの奇病の原因こそが他ならぬ透龍であること、当のホリーが自身の兄をルーツに持つ定助を助けようとしていることから迷わずこれを承諾していた。「ボーン・ディス・ウェイ」の冷気を伴う突風によって定助のしゃぼん玉を凍らせ、更に「ワンダー・オブ・U」の体勢を崩すことで定助をサポートする。とはいえ、これだけでは「ワンダー・オブ・U」の防御を掻い潜ることなど本来ならできない。しかし、「ワンダー・オブ・U」は頭部が一部削り取られるというダメージを負っていた。実は定助の「ソフト&ウェット」は、その本質ともいえる能力の「ソフト&ウェット ゴー・ビヨンド」があったのだ。この原理としては極細の糸が高速回転してしゃぼん玉の形を成しているというもので、作中では「物理としては存在していない状態に限りなく近いが、回転という事象だけが発生している」とされている。存在しない物であるために、「この世の理」である「ワンダー・オブ・U」の「厄災」を超えてダメージを与えられる存在であり、透龍の天敵ともいえる存在が定助だったのだ。
京のサポートによって自身の能力の本質に気付いた定助だったが、ダメージを与えても「ワンダー・オブ・U」の「災厄」は止まらなかった。攻撃したことで京は「災厄」を受けて折れた鉄パイプが左目に刺さり、そのまま頭部を貫通したことで致命傷を負ってしまう。それでも命が尽きるまで京は戦うことを止めず、康穂と通話状態のスマートフォンを定助に渡して力尽きた。結果的にはホリーの復讐を成し遂げることができず京は死亡してしまったが、この時に渡したスマホを介して康穂の「物事を導く能力」を持つスタンド「ペイズリー・パーク」が、定助の「ソフト&ウェット ゴー・ビヨンド」の起動を操作して透龍に命中させ引導を渡すことになる。京の助力がなければ透龍を倒すことは叶わなかったと言えるだろう。

虹村京のスタンド：ボーン・ディス・ウェイ

スタンドとは