プアー・トム（ジョジョリオン）の徹底解説・考察まとめ

プアー・トムの概要

プアー・トムとは、『ジョジョの奇妙な冒険 Part8 ジョジョリオン』に登場するTG大学病院所属の医師であり、岩人間。病院にてロカカカの研究を行っていた透龍（とおる）が率いる岩人間グループの一員である。仲間たちと共にロカカカを独占しようとその果実を探していたが、同志の一人、アーバン・ゲリラからの連絡が途絶えたことで彼の敗北を確信し、次の策として東方家の長男である常敏（じょうびん）と接触する。彼を言葉巧みに利用し、東方家の人間を皆殺しにして彼らの果樹園にあるロカカカの枝を奪わんと暗躍する。
東方家の力が昔に比べて弱まっていたことに危機感を覚え、新しい力を欲していた常敏にロカカカ入手のための協力を持ちかける。彼の一家には手を出さないことを条件に自身のスタンドを東方家の敷地内に埋めさせ、能力発動の手助けをさせた。しかし、本心では協力するつもりなどさらさらなく、常敏を含めた東方家を皆殺しにし、邪魔者がいなくなってからゆっくりとロカカカを探す算段だった。自身のスタンドによる加圧攻撃によって東方家のほとんどを鎮圧することに成功するも、プアー・トムを信じ切ってはいなかった常敏には攻撃に勘づかれ、息子であるつるぎと共に脱出を許してしまう。完全にプアー・トムと敵対することを決めた常敏は果樹園に火を放ち、ロカカカの枝の焼失を恐れたプアー・トムは誘き出される形で果樹園に赴き、同様にロカカカの回収に訪れていた東方定助（ひがしかたじょうすけ）と豆銑礼（まめずくらい）と鉢合わせる。隙を見てロカカカを奪おうとする常敏が影から見守る中、定助たちとの戦闘を開始する。

プアー・トムのプロフィール・人物像

『ジョジョの奇妙な冒険 part8 ジョジョリオン』の敵キャラにして、姿形は人間に似ているがヒトとは違った独自の進化を遂げた種族、岩人間。射程範囲内の空気を加圧するスタンド「オゾン・ベイビー」を持つ。

見た目は子供（というより赤ん坊に近い）のような体型をしているが顔はまるで老人のように皺が刻まれているという異様な姿をしている。一人称が「ワシ」であり、言葉の節々に「ぢゃ」をつけて喋る等、口調も老人のようである。結構な頻度でタバコも吸っている。そもそも彼は人間とは似て非なる別種、岩人間である。その特有の生体として、17歳まではスズメバチの女王に寄生して巣の中で育ち、17歳になると人間大になって外界に出る。その後も人間のように徐々に成長するのではなく、6年ごとに脱皮をしながら成長する。そのため、岩人間の年齢を人間を基準とした見た目で判断することは不可能であり、プアー・トムの異様な見た目もその独特の生態によるものと考えられる。人間社会ではTG大学病院の産科・不妊治療専門の医者として勤務している。彼は人間としての「下里良（しもざとりょう）」という名前を使っていたアーバン・ゲリラとは違い、人間としての名を持たず本名で活動している。社会的な地位があるからか、あるいは口が上手いのか、異様な見た目をしているにも関わらず女性からはモて、作中ではベンツに乗っていた女性に逆ナンされていた。本人も女好きであり、その女性を遠くから見ているときは自身の小ささを利用してスカートの中を覗き込む等していた。また、逆ナンされた際には、「今日は19時から彼女とデートの約束があるのにどうするか」と悩んでいた。

アーバン・ゲリラが敗れた後、東方常敏（ひがしかたじょうびん）に接触して新ロカカカを手に入れるべく自分のスタンドを東方邸に埋めさせる。「常敏の家族を巻き込まないようにする」という約束であったが、実際は東方家の人間を皆殺しにして新ロカカカを独占する気であり、常敏のことは利用するつもりでしかなかった。目論見は当初うまく行き、加圧攻撃によって東方家のほとんどを鎮圧することに成功するも、常敏には攻撃に勘づかれ、息子であるつるぎと共に脱出を許してしまう。その頃プアー・トムは逆ナンされた女性と過ごしていたが、東方家の果樹園から黒煙が上がっているのを発見して仰天する。プアー・トムと敵対することを決めた常敏は果樹園に火を放ちプアー・トムを誘き出すつもりでいたのだ。ロカカカの枝の焼失を恐れたプアー・トムはまんまとそれに嵌って誘き出される形で果樹園に赴き、同様にロカカカの回収に訪れていた東方定助（ひがしかたじょうすけ）と豆銑礼（まめずくらい）と鉢合わせる。隙を見てロカカカを奪おうとする常敏が影から見守る中、定助たちとの戦闘を開始。
しゃぼん玉が加圧で割れてしまう定助と、直接相手に触れて戦うスタイルの豆銑はプアー・トムにとっては相性がいい相手であり、自身に触れた豆銑に直接操作による加圧で大きなダメージを与える。しかし定助と豆銑の連携によって、猛毒を持つ果実であるイチイの実を口に入れられ、それを飲み込まされてしまう。毒が体に回る前に勝負を決めようと、持っていたナイフの鞘を利用して豆銑の体を挟み込み、それによる急激な加圧で豆銑を倒した。勝利を確信してロカカカの枝を持って逃げようとしたが、追ってきた定助がミルフィーユのように何層にも重なったしゃぼん玉を発射。自身に近付くほどに加圧によって一層ずつ割れていくしゃぼん玉を見て、「中に何かが仕込まれている」と警戒し、服毒していたことによる焦りもあり恐怖する。大金が入った自身の財布を投げ渡したり、「自分を見逃せばお前も加圧から解放されて助かるんだぞ」と提案したりと、何とかしゃぼん玉から逃れようとする。それでもなお追跡をやめない定助に根負けし、遂には「オゾン・ベイビー」を解除してしまう。しゃぼん玉から逃れることに成功したが、そのしゃぼん玉は何も仕込まれていないブラフだった。対抗手段を失ったプアー・トムは消防隊に扮した仲間に助けを求め、彼らが乗っている救急車に向かって走るが、その仲間に見捨てられて背後から頭を撃ち抜かれてしまう。「ロカカカの枝を手に入れたんだ」と言葉を絞り出すが、追撃を食らって頭部が完全に破壊されて死亡した。

プアー・トムの来歴・活躍

常敏との接触

アーバン・ゲリラからの連絡が途絶えたことから、彼の敗北をプアー・トムは察した。プアー・トムはロカカカを確実に手中に収めるべく、その枝があるという東方家の果樹園を探索するつもりでいた。そのために邪魔な東方家を抹殺すべく、長男の常敏（じょうびん）に接触する。常敏は昔に比べて影響力が弱まっている東方家を憂いており、今一度力を取り戻すために、同時に家系に代々伝わる体が石化する奇病に罹る運命を背負った息子のつるぎを救うために、ロカカカを欲していた。プアー・トムはそこにつけ込み、「互いに協力して邪魔者を排除し、ロカカカを手に入れよう」と協力を持ちかけた。「自分がやると東方家を巻き込んでしまうから」という理由で常敏に自分のスタンド「オゾン・ベイビー」を埋めさせ、発動条件を満たすことに成功する。

加圧と減圧で東方家抹殺を目論むも常敏に阻まれる

発動条件を満たした「オゾン・ベイビー」は、プアー・トムとも常敏とも別にロカカカを手に入れようと、地下道から果樹園に向かっていた東方定助（ひがしかたじょうすけ）と豆銑礼（まめずくらい）に加圧攻撃を開始する。ここまでは常敏の思い通りであったが、直後に息子のつるぎに加圧による体の変調が起こり、程なく自身にも同様の症状が起こった。これによってプアー・トムが約束を守る気などさらさらなく、最初から自分を利用して東方家を皆殺しにし、ロカカカを独占することが目的だと知る。自身が最も守りたかった家族に手をかけられたことで、常敏はプアー・トムと完全に敵対。プアー・トムを誘き出して倒すべく、果樹園に火を放ち、その様子を映した監視カメラの映像をプアー・トムに送りつけた。

直接果樹園へ赴く 定助・豆銑との対決

果樹園が燃えている映像を送りつけられたプアー・トムは、このままでは目的であるロカカカの枝まで焼失しかねないと仰天する。やむを得ず即座にロカカカを回収すべく、直接果樹園に赴いた。「オゾン・ベイビー」を掘り起こして果樹園を探っていたところで、地上に出てきた定助・豆銑と邂逅。互いにロカカカを手に入れるべく戦闘に突入する。
定助のスタンド「ソフト&ウエット」によるしゃぼん玉はプアー・トムに近づけば加圧で割れ、豆銑のスタンド「ドギー・スタイル」は直接相手に触れて攻撃する必要があるために加圧攻撃をモロに受けてしまうと、二人に対して相性がよかったことで当初は有利に立った。しかし豆銑は押し潰されながらも攻撃の手を緩めず、プアー・トムを締め上げて口を開けさせる。プアー・トムは口を開けさせられたところに、定助がしゃぼん玉内に仕込んでいた猛毒の果実・イチイを入れられ、そのまま飲み込まさせられてしまう。毒が体に回る前に決着をつけるべく、持っていたナイフの鞘で豆銑の体を挟み込んで加圧を加速。彼を下し、その場にあったロカカカの枝を手に入れることに成功する。
その後は残る定助を始末するよりも自身の毒を治療することを優先したため、果樹園から逃走を図る。しかし逃すまいとする定助は、何層にもなったミルフィーユ状のしゃぼん玉を発射。加圧によって自身に近づくごとに一層ずつ割れていくしゃぼん玉を見たプアー・トムは、「また中に何かが仕込まれている」と警戒。服毒していたことによる焦りもあって恐怖する。定助に大金が入った財布を投げ渡し、自分を追うことをやめれば加圧攻撃から逃れられることも説明して何とか痛みわけで手を打とうと交渉する。しかし定助は応じず、遂にプアー・トムは恐怖に耐えられなくなって、しゃぼん玉から逃れるために「オゾン・ベイビー」を解除してしまう。ここでしゃぼん玉が全て割れたが何も仕込まれてはおらず、定助が仕掛けた心理的なダミーだと知る。再び加圧攻撃を発動するためには「オゾン・ベイビー」を地面に埋めなくてはならないプアー・トムはこれで完全に対抗手段を失ってしまった。

敗北 仲間に見捨てられ死亡

対抗手段を失い、もはや逃げることしかできないプアー・トムだったが、実は果樹園の火災に際して出動していた救急車の乗り組み員が彼の仲間だった。仲間が近くに到着したのを見たプアー・トムは、ロカカカの枝を手に入れた自身を助けてもらおうと救急車を目指して走る。追ってくる定助よりも早くたどり着ける距離であったことから逃走の成功を確信したのか、仲間に枝を見せつけてロカカカを手に入れたことをアピールする。しかしその時、背後から謎の攻撃がプアー・トムの頭を貫いた。追っていた定助も驚愕する中、致命傷を負いながらも「ロカカカを手に入れたんだ…」と声を絞り出すプアー・トムだったが、無情にも二発目の攻撃が完全にプアー・トムの頭を粉砕した。プアー・トムは完全に死亡し、その遺体は岩となって崩れ落ちた。プアー・トムを始末した仲間はロカカカの枝を回収して救急車で去っていった。定助はプアー・トムが見捨てられたことを察したが、ロカカカの枝を奪われたことを嘆くことしかできなかった。
ところが、仲間たちが手に入れたロカカカの枝は、実は偽物だった。常敏がつるぎの能力「ペーパームーン・キング」を使って、ただの梨の枝をロカカカだと誤認させていたのだ。こうして定助、豆銑、プアー・トム、仲間たちの全員を出し抜いた常敏とつるぎの親子が、この場ではロカカカの枝を手にした。自身の目的のために常敏を騙して嵌めようとしたプアー・トムは、最後に常敏に騙されて出し抜かれるという意趣返しをされる皮肉な結果となった。

プアー・トムのスタンド：オゾン・ベイビー

スタンドとは

人間（実際には犬等、人間以外の生物もいる）の精神エネルギーが作り出すパワーあるヴィジョン。言うなれば、形を持った守護霊のようなもの。人型に限らず様々な形がある。スタンドを使役する者をスタンド使いと言う。一部の例外（第5部の「ノトーリアスB・I・G」等）を除きスタンド使いとスタンドは一心同体と言える存在であり、スタンドが傷付けば本体も同様に傷つき、スタンドが破壊されれば本体も死亡する。逆にスタンド使いが死亡すればスタンドも消滅する。スタンドの像はスタンド使いでなければ見ることはできない。また、基本的にスタンドはスタンドでなければ倒せない。たとえば銃弾といった物理的な攻撃をスタンドに対して行ってもすり抜けてしまい効果がない。ただし物体（人体等の生物の一部も含む）と一体化しているいるスタンドは例外的に物理的な干渉が可能であり、他にもヴィジョンが実体化していて生身でも触れることができるスタンドも存在する。プアー・トムの「オゾン・ベイビー」は、その実体化したスタンドの一つである。
発現する条件は先天的なものと後天的なものがあり、後者は複数の方法が確認されている。特製の鏃で体を傷つけて生存する（4〜6部）、「悪魔の手のひら」と呼ばれる特殊な地形に迷い込んで生存する（7部）、技術を極限まで高めた結果としてスタンドに昇華する（7部）、聖なる遺体の力で能力を得る（7部）、「壁の目」で謎の歯形がついて身につける（8部）等がある。名前の由来は3部〜6部においては「そばに立つもの（stand by me）」という意味であり、7部・8部においては「立ち向かうもの（stand up to）」とされている。

能力

一定範囲内の空気を加圧する

ホワイトハウスのミニチュアのような形をしたスタンドを地面に埋めておくと発動し、その周囲100m程が射程範囲となる。一度発動すればあとは自動で能力が発揮され、射程範囲内の閉鎖された空間の空気を徐々に加圧していく。加圧は最初こそわずかに変調を感じる程度であるが、時間が経つにつれて人体くらいは容易く押し潰せるくらいまで強力なものになる。もっとも、通常は押しつぶされる前に高山病などにも見られる高気圧障害で呼吸困難等を起こして死に至る。また、この能力は自動発動という都合上、本体であるプアー・トムを倒す以外に止める手段がなく、本体さえ安全圏にいれば対抗策がないと言える。何も知らなければ、原因不明の体調不良により動くことさえままならないまま死亡するという、対人戦においては非常に強力な能力である。閉鎖された空間でないと能力が発動しないことが欠点であるが、もう一つの特性である減圧の効果によってそれを補っている。

密室からの開放で減圧を起こす