広瀬康穂（ジョジョリオン）の徹底解説・考察まとめ

広瀬康穂のプロフィール・人物像

広瀬康穂（ひろせ やすほ）とは、漫画『ジョジョの奇妙な冒険 Part8 ジョジョリオン』の登場人物。社会学部（康穂いわく「社会性ゼロの人間の集まり」）の大学一年生で19歳。元は一般人だったが、「壁の目」を訪れた影響から物事を「最善の方向」へ導くスタンド「ペイズリー・パーク」の使い手となる。

母子家庭で、母親である鈴世（すずよ）との二人暮らしだが、母は飲んだくれの遊び人で責任感とは無縁の生活を送っているため、親子関係は非常に悪い。子供の頃に学校でイジメを受けたり、自殺未遂を引き起こすほど家庭環境が酷く「こんな所！ こんな家！ あたしだって…どこへ行っていいのかわからないッ！ あたしだって自分が何者かわからないッ！」と絶望を独白するほど、自己肯定感は低い。普段は温厚だが毒舌を発揮するシーンも多く、時には青年誌らしい下ネタ発言を行う事もある。余談だが、自分の肘を舌で舐める事のできる特技を持つ。豊胸手術を受けている。

物語冒頭で、同じ大学に通う東方常秀（ひがしかた じょうしゅう）にストーカーまがいにつきまとわれ逃亡した先の「壁の目」にて、全裸で埋まっていた記憶喪失の男性、のちの東方定助（じょうすけ）と遭遇し、助ける。これがきっかけでさまざまな事件に巻き込まれ、スタンド能力に目覚める事となる。なお定助という名前も康穂がつけたもので、彼女が飼っていた犬「ジョースケ」にちなんでいる。定助には好意的な態度が見られる反面、常秀の事は嫌っており携帯の着信拒否までしている。

東方定助や東方家の人々とたびたび交流し、定助の記憶を取り戻す事にも協力する。のちに岩人間たちと新種の「ロカカカの実」の争奪戦となった際にも、康穂は定助の目的に共感し、積極的に行動している。最終的には元彼にして岩人間の総元締めである透龍（とおる）との対決となり、東方常敏（じょうびん）に裏切られたり、右腕を失うほどの深刻な負傷をするが、常秀の協力による犠牲で腕を取り戻すに成功し、スタンド「ペイズリー・パーク」を駆使して定助の勝利に貢献した。

スタンド名「ペイズリー・パーク」の由来は、アメリカ合衆国のミュージシャン、プリンスが結成した同国のロックバンド「ザ・レヴォリューション」と組んで1985年に発表したシングル「ペイズリー・パーク」より。

広瀬康穂の来歴・活躍

「壁の目」にいた記憶喪失の男

2011年9月の杜王町。半年前に大震災があり「壁の目」なる地形が誕生する。東方常秀（ひがしかた じょうしゅう）につきまとわれて「壁の目」に逃げた広瀬康穂（ひろせ やすほ）は、全裸で「壁の目」に埋まっていた記憶喪失の男を救出した。その男は「吉良吉影（きら よしかげ）」なる人物に半分似ていたため、吉良吉影の自宅を調査した際、吉良に恨みを抱く笹目桜二郎（ささめ おうじろう）のスタンド「ファン・ファン・ファン」の襲撃を受ける。しかし彼は首にある星形のアザからしゃぼん玉を生み出すスタンド「ソフト＆ウェット」の能力を行使。「ソフト＆ウェット」は、生み出したしゃぼん玉が割れる事で「何か」を奪う能力で、桜二郎は視覚と肉体の摩擦を奪われて敗北。のちの広瀬康穂の独白では、彼（東方定助）には睾丸が4つあり、もう一人埋まっていた「吉良吉影の遺体」には睾丸が1つも無かったという。

東方家の人々（vs東方大弥）

広瀬康穂のとりなしで男は東方家の養子となり「定助（じょうすけ）」という名前で呼ばれる事になった。康穂は家政婦の虹村京（にじむら けい）から「東方家に近づくな。常秀を誘惑するな」と、彼女にしてみれば不本意極まりない警告を受けてしまう。定助は弱視である二女の大弥（だいや）の面倒を見る事になり、大弥に気に入られるが、彼女は相手の記憶をチェスの駒状にして奪い取るスタンド「カリフォルニア・キング・ベッドちゃん」の使い手だった。定助が奪われた記憶を取り戻すには、大弥に自分の影を踏ませるしか方法はない。定助がこっそり康穂に携帯電話で連絡を取っていた事がバレ、大弥は逆上するが、最終的に定助は冷蔵庫のライトでできた自分の影を大弥に踏ませる事に成功し、記憶を取り戻す事ができた。

広瀬康穂のスタンド（vs虹村京）

「壁の目」にいたとき、広瀬康穂は右足首に歯型のような傷を負った。これがきっかけで彼女もスタンド「ペイズリー・パーク」に目覚める。吉良ホリー・ジョースターに会いに行こうとした定助は遠隔自動操縦スタンド「ボーン・ディス・ウェイ」の執拗な追跡を受ける。「ボーン・ディス・ウェイ」の本体は東方家の家政婦である虹村京（にじむら けい）で、彼女はTG大学病院に入院中のホリーを世話しつつ護衛しており、定助を敵と思い込んで攻撃を仕掛けていたのだ。定助は康穂の「ペイズリー・パーク」の援護もあり「ボーン・ディス・ウェイ」との戦いに勝利。「ホリー・ジョースターに会ったら殺す」という虹村京の言葉に対し、定助はあっさりホリーとの面会をあきらめ、敵であるという誤解も解く。虹村は定助の瞳を見て「2つのものが混じり合っている」事を示唆した。

vs東方つるぎ

好奇心から東方邸にある謎の地下室に入る広瀬康穂。そこには東方つるぎ（常敏（じょうびん）と密葉（みつば）の子）がいた。女の子の恰好をしているが、実はつるぎが男の子である事を康穂は見抜く。つるぎは「東方家の長男は10歳になると、奇病にかかる『呪い』があるため、女装して育てられるという風習がある」という。つるぎはスタンド「ペーパー・ムーン・キング」の使い手でもあり、その能力によって康穂は人間の顔の区別がつかなくなる。定助に助けを求めようとしてニアミスしたり、常秀を定助と間違えて愛の告白とも取れるような誤解を招く発言をしたりしてしまう。勘違いした常秀を撃退したものの、結局康穂は再びつるぎのいる地下室に囚われ、そこに八木山夜露（やぎやま よつゆ）なる男が現れる。彼は東方邸の設計を手掛けた建築士で、つるぎをそそのかして康穂と定助を地下室に誘い込み、始末する事が目的であった。

vs八木山夜露

八木山夜露に囚われ、意識を失った康穂を救い出そうとする定助は、憲助に対し疑っている事を包み隠さず話した後、彼と共闘する事に。夜露のスタンド「アイ・アム・ア・ロック」は犠牲者に加速した物体を収束して攻撃する能力であり、無数の毬栗が襲ってくるも、定助は「ソフト＆ウェット」の能力で毬栗の水分を奪い無力化。憲助のスタンド「キング・ナッシング」は匂いを見る事で敵を追跡できる能力を持ち、これによって夜露の潜伏場所を割り出し、攻撃する事に成功した。だが八木山夜露の正体は「岩人間」と呼ばれる、全身の皮膚を硬質化できる一族で、攻撃を受けると岩化して防御する。しかしその特性を逆に利用されて海底に沈み、夜露は死亡してしまった。定助はつるぎから、夜露たち岩人間が「病気を癒す果実」を売りさばいて大儲けしているという話を聞き、その密売に関わっているのがつるぎの父にして憲助の息子である常敏（じょうびん）だと知る。

vs東方常敏（クワガタ対決）

憲助は八木山夜露の素性について調べた後、定助に「東方フルーツパーラー」を案内、解説する。憲助の長男、常敏がシンガポールから帰ってきており、皆にお土産を配った。定助はつるぎから、常敏の弱点が「クワガタ」だと聞き出し、常秀と組んで常敏にクワガタ相撲対決を挑む。常敏は指定した一点を加熱するスタンド「スピード・キング」の使い手で、自分のクワガタに流し込んだワックスを溶かし、寿命と引き換えに常軌を逸した動きをさせる。しかし定助も「ソフト＆ウェット」でスズメバチの毒液を常敏のクワガタに流し込んでおり勝利。対決時に賭けていた常敏の愛車ランボルギーニ・ガヤルドを得る。康穂とつるぎがガヤルドを捜索してドライブレコーダーを調べると、常敏が岩人間と思しき男から、謎のフルーツ（ロカカカの実）を受け取っている画像が見つかった。

vs大年寺山愛唱

康穂とつるぎは、常敏の車のドライブレコーダーに映っていた岩人間について調査する。康穂のスタンド「ペイズリー・パーク」の検索能力により、謎のフルーツの鉢植えを持っていた男が杜王スタジアムの警備員である大年寺山愛唱（だいねんじやま あいしょう）である事を突き止める。彼の動向を探っていると、大年寺山が「ロカカカの実」を高額で老夫婦に売り捌いている現場を目撃する。老齢の男は手術で脚を失っていたにも関わらず、実を食べたために脚が復活。その代償に両目を失ってしまうも、精力的にも復活したため妻と性行為を始めてしまう。その光景に動揺してしまった康穂たちは大年寺山に見つかってしまい、危機に陥る。つるぎの「ペーパー・ムーン・キング」で鉢植えを誤認させ、康穂の「ペイズリー・パーク」で本物のロカカカの実の場所を割り出し奪取に成功するも、大年寺山愛唱は呼吸を察知して竜巻と共に犠牲者を自動攻撃するというスタンド「ドゥービー・ワゥ！」の使い手であった。さすがに呼吸を止め続ける事はできず、追い詰められる康穂たち。だがつるぎが「ペーパー・ムーン・キング」の禁じ手を使い、大年寺山にバスを常敏だと誤認させる事で、大年寺山はバスに轢き殺されてしまうのであった。

作並カレラとの邂逅

康穂とつるぎは定助と再会。定助が「ポテトLサイズの歌」を歌った後、謎の女性が現れる。彼女の名は作並（さくなみ）カレラ。定助のことを「セッちゃん」と呼び、ベロチューまでした仲だと言い張る。カレラは触れた箇所から髪の毛を生やすスタンド「ラブラブデラックス」の使い手で、彼女の発言と彼女が見せてくれた写真から、定助の過去の謎を解くきっかけとなるのだった。

vsドロミテ

定助は東方家を襲撃してきた岩人間、田最環（だも たまき）を撃退した後、憲助から東方家専属の凄腕植物鑑定士の話を聞く。憲助が言うには「接ぎ木」の「枝」を見分ける技術を持っているとの事。
東方常敏は、過去に恋人をかばって四肢を失ってしまった岩人間、ドロミテに会う。通常のロカカカと違い、自身の一部を引き換えにしなくても病気や身体欠損を（他人におっかぶせる事で）癒せる新ロカカカの存在を常敏はドロミテに教える。ドロミテは新ロカカカを得る事を条件に常敏との取引に応じ、定助と康穂を襲撃する。ドロミテは体液を浴びせた犠牲者をゾンビ化して操るスタンド「ブルーハワイ」の使い手。しかも体液は別人に付着する事でゾンビ化は伝染する。定助はコンビニのトイレにまで追い詰められ、とうとう「ブルーハワイ」のゾンビ化エキスを浴びてドロミテに操られてしまう。が、「ペイズリー・パーク」の情報検索能力で定助の居場所を割り出した康穂が救援に駆けつけ、ドロミテを鉄パイプで殴り倒して勝利したのだった。