Another(小説・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『Another』とは、綾辻行人による日本のホラー小説、およびそれを原作とした漫画やアニメ作品である。小説は『野性時代』(角川書店)にて2006年より連載を開始した。
物語は1998年に夜見山北中学校3年3組で起こる不気味な出来事を中心に展開する。転校生の榊原恒一は、謎めいたクラスメイトの見崎鳴とともに、クラスにかかる「呪い」の真相を探ることになる。読者の予想を裏切る展開や独特の雰囲気が魅力のミステリー・怪奇作品である。

実写映画を除くすべての媒体に登場するが、どの媒体でも出番が非常に少なく、典型的なモブキャラと言える。アニメでは出席番号27番で、川堀健蔵、前島学、水野猛と仲が良い。運動部系の部活に所属しているが、具体的にどの部活かは不明である。設定資料集には「髪が短く、利発そうな顔立ちの男の子。家の近所には有田松子、渡辺珊、柿沼小百合らが住んでいる」と記載されているが、詳細なキャラ設定は一切ない。

原作では合宿中に管理人に殺害され、漫画版では焼死するが、アニメ版では合宿に不参加で生き延びる。しかし、そのため後半には一切登場せず、合宿に参加して出番が増えた生徒たち(生死問わず)とは対照的に、さらに存在感が薄くなってしまった。

和久井 大輔(わくい だいすけ)

CV:小林康介
主人公と同じ3年3組の男子生徒で、出席番号は28番。喘息持ちであり、同じく呼吸器系の病気を抱えている主人公から密かに仲間意識を持たれている。身長はクラスで一番高い。
合宿に参加するが、赤沢泉美と勅使河原直哉の口論中に発作を起こし、病院に搬送される。その結果、後の悲劇を回避し、無事に生還した。なお、漫画版では発作を起こすのは恒一に変更されている。

渡辺 珊(わたなべ さん)

CV:明坂聡美
アニメ版にのみ登場するキャラクターで、出席番号は29番。1話では有田松子、江藤悠、佐藤和江と共に登場し、特に佐藤と仲が良い。9話の冒頭では佐藤と合宿について会話していた。設定資料集によると、デスメタルバンドでベースを担当しているという設定がある。

佐藤との会話では合宿に否定的だったが、最終的には合宿に参加する。火災が発生した際、川堀健蔵、柿沼小百合、辻井雪人と共に避難するが、落下してきたシャンデリアの下敷きになる。それでも柿沼、辻井と共に生還した。

夜見山北中学校 3年3組の教師

久保寺 紹二(くぼでら しょうじ/演:正名僕蔵)

CV:三戸耕三
主人公たちのクラスである3年3組の担任教師で、担当教科は国語。温厚で頼りなさそうな中年男性で、生徒に対しては丁寧な口調で話す。主人公によると彼の授業は「地味」であり、騒ぐ生徒はいないものの居眠りや内職が横行している。なお、漫画版とアニメ版では容姿がかなり異なる。

地元で寝たきりの母親と二人暮らしをしていたが、介護疲れと3年3組の災厄が重なり、精神的に追い詰められてしまう。最終的には母親を殺害し、その後登校して朝のホームルームで生徒たちに謝罪した後、突如奇声を上げて自らの首を包丁で刺し、自殺してしまった。この惨劇は3年3組の生徒たちに大きなショックを与え、その後欠席者が続出した。また、中島幸子のようにその後一切登場しなくなった生徒もいた。このシーンはアニメ版のテレビ放送では規制された。

三神(みかみ)

CV:宮牧美沙代
主人公・榊原恒一の叔母であり、恒一の母の妹。夜見山市で実家暮らしをしながら、夜見山北中学校の美術教師を務め、美術部の顧問も担当している。恒一が編入したクラスの副担任でもある。家庭では恒一から「怜子さん」と呼ばれているが、学校では「三神先生」と呼ぶように厳しく注意している。

実は彼女が3組に紛れ込んだ〈死者〉であり、3組の悲劇を回避しようと奔走するが、最終的には担任教師の机が不足していたことから、今年も〈現象〉が起こっていたことが明らかになる。3組には副担任が存在しないのが通常だが、怜子はその例外となっていた。

怜子は本編の2年前に3組の担任を務めており、1年半前に〈現象〉によって死亡している。原作や漫画では川に流されて死亡した描写があり、アニメ版では暴漢に襲われて川に落ちて死亡したとされている。恒一は怜子の葬儀に出席していたが、〈現象〉によりその記憶は改竄され、夜見山に来たことさえも忘れていた。

アニメ版では、赤沢泉美が恒一と夜見山で出会ったことを覚えているが、これは泉美が3組関係者ではなかったため、記憶の改竄が行われなかったためである。また、恒一の祖父も、痴呆の影響で記憶が曖昧になっており、怜子が死んでいるような発言をするが、周囲は恒一の母と混同していると考えている。

怜子は家で飼われているインコ「レーちゃん」を苦手としていたが、このインコは彼女の死後に飼われたものであり、名前の由来は「レイコ」である。インコが覚えている「レーチャン、ドーシテ?」という言葉も、怜子が〈死者〉として甦る前に覚えた言葉である。

恒一の父親はインドに単身赴任中であり、〈現象〉の影響を受けないようで、怜子について一切言及しなかった。ただし、夜見山にいる恒一との通話中は〈現象〉の影響を受け、「夜見山に訪れるのは1年半ぶり(=怜子の葬式以来)」という正しい認識が歪められる場面が見られた。

夜見山北中学校 その他

千曳 辰治(ちびき たつじ/演:袴田吉彦)

CV:平田広明
夜見山北中学校の第二図書室の司書で、白髪に黒い服装をした無愛想な性格の男性。生徒たちからは「図書室の主」と噂されている。かつては同校の社会科教師であり、26年前に3年3組の担任を務め、「現象」に関わった一人だったが、現象による悲劇を恐れて教師を辞職した。

3年3組の事情に詳しく、榊原恒一や見崎鳴、三神先生に助言を与え、彼らを見守り続けた。合宿にも三神先生の補助として参加し、現象による事態に対処した。物静かな印象とは裏腹に多才で、アニメ版では綾野彩に演劇の指導を行っていたことが語られ、漫画版では合宿で料理の腕を振るった描写がある。

夜見山 岬(よみやま みさき)

1972年度の3年3組に在籍していた男子生徒で、恒一の母・理津子のクラスメイトである。成績優秀で容姿端麗、さらに性格も良く、学校の人気者だった。しかし、26年前の5月に自宅が全焼し、両親と年子の弟と共に焼死してしまう。同級生たちは岬の死を受け入れられず、卒業までの一年間、彼を「生きている」ものとして扱ったことが〈現象〉の始まりとなった。

浜口 順(はまぐち じゅん)

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