Another(小説・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『Another』とは、綾辻行人による日本のホラー小説、およびそれを原作とした漫画やアニメ作品である。小説は『野性時代』(角川書店)にて2006年より連載を開始した。
物語は1998年に夜見山北中学校3年3組で起こる不気味な出来事を中心に展開する。転校生の榊原恒一は、謎めいたクラスメイトの見崎鳴とともに、クラスにかかる「呪い」の真相を探ることになる。読者の予想を裏切る展開や独特の雰囲気が魅力のミステリー・怪奇作品である。

CV:前野智昭
夜見山北中学3年3組のムードメーカーである勅使河原隼人は、軽薄な言動とお調子者っぽい面があるが、他人を思いやる性格を持っている。榊原恒一が慣れない環境に戸惑っている時、真っ先に声をかけ、「サカキ」と呼んで親しく接する。

作中では終始恒一と見崎鳴の味方をし、一度も二人を糾弾したり疑ったりしない。赤沢泉美が鳴を批判した際も、真っ先に異論を唱えるなど、明るい性格で存在感がある。望月優矢とともに、この作品の数少ない良心的な存在である。

勅使河原は風見智彦とは昔からの友人であり、「腐れ縁」と称している。漫画版では赤沢に好意を寄せ、アニメ版でも彼女を意識する描写がある。アニメ版では常にジャージを着用し、私服はダサく、中盤でアロハシャツを披露した際には恒一に「趣味が悪い」と思われている。

実写版では宇治清高が演じ、名前が隼人となっている。恒一と最初に親しくなるものの、少し暗い人物として描かれている。赤沢が鳴に謝罪を要求した際には庇わないが、彼女が鳴を殺害しようとした際には庇っている。最後は窓から逃げようとして感電死してしまい、全メディアの中で死亡するのは実写版のみである。

作中終盤の合宿では、災厄を止めるために行動を起こすが、風見との会話で記憶の齟齬が生じ、彼を死者と疑い突き飛ばしてしまう。アニメ版では風見が悲惨な末路を迎えるきっかけを作ってしまうが、原作小説や漫画版では風見と和解している。

望月 優矢(もちづき ゆうや/演:井之脇海)

CV:山本和臣
望月優矢は、夜見山北中学3年3組の美術部に所属する中性的で線の細い、おとなしい性格の男子生徒である。芸術家気質を持ち、エドヴァルド・ムンクやサルバドール・ダリに感銘を受け、三神先生に淡い憧れを抱いている。

クラスでは勅使河原直哉とともに榊原恒一の友達となり、恒一が「いないもの」とされた際にも最初から最後まで彼の味方であり続けた。合宿先での惨劇では勅使河原を助け、共に無事に生還している。

アニメ版では、杉浦に問い詰められて災厄を止める方法である「死者を死に還すこと」(=死者をもう一度殺すこと)を話してしまい、その結果、惨劇を引き起こす原因となる。

実写版では、他人をあまり信じていないネガティブな男子として描かれており、名前以外の共通点はほとんどない。

恒一や鳴を除いた3年3組の関係者の中では、原作小説・漫画版・アニメ版・実写映画版すべての媒体で無事に生存する唯一の人物でもある。

風見 智彦(かざみ ともひこ/演:脇卓史)

CV:市来光弘
風見智彦は、勅使河原直哉の幼馴染であり、クラスの男子委員長兼対策係の一人である。優等生のように見えるが、実は気が弱く臆病な性格である。原作では「中肉中背で銀縁眼鏡を掛けたしょうゆ顔」と描写されており、アニメ版では緑縁眼鏡、実写映画版では眼鏡を掛けていない。

漫画版では原作よりも出番が増え、松永克巳の残したテープの捜索に参加したり、勅使河原の姉たちから「智くん」と呼ばれたり、災厄の終結後に赤沢泉美の見舞いに来た勅使河原を後押しする場面が描かれている。実写映画版でも勅使河原隼人と共に榊原恒一と親しい関係を築き、負傷した和久井桜子を介抱するなど、気弱ながらも良心的な存在として描かれている。

ただし、実写映画版では、水野猛が発見した松永克巳のカセットテープの内容を口外するという、アニメ版の望月優矢に近い役割に変更されている。

桜木 ゆかり(さくらぎ ゆかり/演:岡野真也)

CV:野中藍
夜見山北中学校の3年3組のクラス委員長であり、真面目な性格の女子生徒である。対策係の一人でもある。彼女はぽっちゃりした体型で眼鏡をかけているとされているが、アニメや漫画版では標準体型でむしろ細身に描かれている。

風見智彦や赤沢泉美とともに、榊原恒一のお見舞いに訪れた。しかし、母親が事故で亡くなったという知らせを受け、急いで帰ろうとした際に階段で足を滑らせ、持っていた傘の先が喉に刺さり死亡する。正確には、事故後に救急車で搬送中、失血とショックで亡くなっている。

アニメ版では風見から好意を寄せられていたが、その感情が片想いだったのか両想いだったのかは不明である。一方で、彼女が榊原恒一に想いを寄せているように見える描写もある。

杉浦 多佳子(すぎうら たかこ)

CV:福圓美里
杉浦多佳子は、対策係の一人であり赤沢泉美の右腕的存在である。原作小説ではほとんど出番がなく、合宿所での火災で死亡する。

アニメ版では出席番号14番で、メガネをかけ、制服の上から水色のノースリーブパーカーを羽織っている。8話の水着回で巨乳であることが判明するが、裸眼での視力については不明である。メガネを外してふらふら歩く一方で、ボールを正確に投げる描写もある。

杉浦は赤沢や中尾順太と一緒に行動することが多く、8話では体調不良の中尾を介抱していた。しかし、中尾の事故死をきっかけに情緒不安定になる。合宿に参加した際、望月優矢から災厄を止める方法である「死者の殺害」を聞き出し、見崎鳴と藤岡未咲を同一人物と勘違いしてしまう。杉浦は鳴を死者と思い込み、館内放送で鳴の殺害を扇動する。

管理人に襲われたものの返り討ちにし、鳴の殺害を赤沢に妨害されても引き下がらず、鳴と恒一を密かに尾行して強襲する。恒一の左腕を負傷させた後、鳴だけを殺そうとするが回避され、最終的に館の火事による爆発で首に巻き付いたコードで死亡する。彼女の行動は災厄を止めるどころか、かえって多くの犠牲者を増やす結果となった。

綾野 彩(あやの あや)

CV:平田真菜
アニメ版にのみ登場するキャラクターで、出席番号2番の演劇部員である。小柄で短髪、人懐っこい性格の少女である。榊原恒一を「こういっちゃん」、勅使河原直哉を「てっしー」と呼び、転入当初から好意的に接していた。演劇部の仲間である小椋由美と赤沢泉美とは特に仲が良く、小椋とは大親友である。アニメオリジナルのモブキャラの中でも特に出番が多く、優遇されている。

4話で恒一と談笑中に、近くのトラックから落下したガラス板に見舞われるが、恒一に助けられる。その後、3年3組の関係者が相次いで死亡するのを恐れ、家族とともに夜見山から引っ越すことを決意する。しかし、搭乗していた車が落石に衝突し、崖から転落して家族と共に死亡する。その死は親友の小椋にも強いショックを与え、さらなる悲劇を招くことになった。

有田 松子(ありた しょうこ)

CV:古谷静佳
アニメオリジナルキャラクターで、主人公のクラスメイト。出席番号3番。身長は160cmで、3年3組の女子の中では平均的な体型である。普段は目立たないモブキャラだったが、11話の合宿では周りが制服を着ている中、キャミソールに短パンという姿で異彩を放っていた。

杉浦多佳子の放送を聴き、同室の柿沼小百合らとともに見崎鳴と榊原恒一に詰め寄るが、三神先生が辻井雪人に誤ってモップで殴られるのを目にし正気に戻る。その後、柿沼らとはぐれ、燃え盛る館の中を放心状態で彷徨っていたところを爆発に巻き込まれるが、逆にその爆発がきっかけで無傷で生き残るという強運を見せる。その後、雨の中で震えていたところを千曳辰治に保護され無事に生還する。本編で唯一の台詞は「先生!」である。生還後は前島学の見舞いに訪れている。
彼女は小椋由美、多々良恵、江藤悠、柿沼小百合と広い交友関係を持っており、特に交友のあった女子たちは小椋を除いて生き残っている。

江藤 悠(えとう ゆう)

江藤悠(えとうゆう)は、アニメ版「Another」に登場するキャラクターで、出席番号4番である。髪は赤茶髪の短髪で、住所は原河町7-22。座席は榊原恒一の左斜め後ろに位置し、藤巻奈緒美や綾野彩と仲が良く、特に藤巻とは一緒に弁当を食べるシーンが描かれている。また、有田松子、佐藤和江、渡辺珊とも友好関係にある。水泳部に所属している。

第7話で久保寺紹二先生が自殺した際には、頭を抱えてうずくまっており、この事件で大きなショックを受けたため、合宿には参加しなかった。しかし、三神先生が合宿を行うと開いた説明会には参加していた。結果として、合宿に不参加だったことで最後まで生き延びることができた。

王子 誠(おうじ まこと)

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