Another(小説・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『Another』とは、綾辻行人による日本のホラー小説、およびそれを原作とした漫画やアニメ作品である。小説は『野性時代』(角川書店)にて2006年より連載を開始した。
物語は1998年に夜見山北中学校3年3組で起こる不気味な出来事を中心に展開する。転校生の榊原恒一は、謎めいたクラスメイトの見崎鳴とともに、クラスにかかる「呪い」の真相を探ることになる。読者の予想を裏切る展開や独特の雰囲気が魅力のミステリー・怪奇作品である。

榊原恒一「これ以上は、もう誰も死んではいけない…」

物語の終盤、榊原恒一とクラスメートたちは「3年3組」に起こる呪いの真実を解き明かすために、苦しい戦いを続けていた。次々とクラスメートが謎の死を遂げる中、彼らは「死者」を探し出すことが唯一の解決策だと信じていた。だが、誰が「死者」なのかを突き止めることは容易ではなく、恐怖と混乱は日増しに増大していた。
そんな中、クラスメートたちの中には互いを疑い、争い合う者も出てきた。パニック状態に陥ったクラスは、もはや団結して行動することが困難な状況になっていた。恒一は必死に冷静さを保ち、見崎鳴と共に手がかりを追っていたが、時間は残されていなかった。
ある日、ついにクラス全員が集められ、緊迫した状況の中で話し合いが行われた。次に誰が死ぬかという恐怖が全員の表情に浮かんでいた。誰もが絶望に打ちひしがれている中で、恒一は立ち上がり、力強く言葉を発した。
「これ以上は、もう誰も死んではいけない…」
このセリフは、恒一が絶望的な状況の中で、最後まで諦めないという強い決意を表している。彼は、すでに多くのクラスメートが命を落とした現実に直面しながらも、これ以上の犠牲を出さないために自らが行動しなければならないと決心した。この言葉には、恐怖に囚われているクラスメートたちに対する希望と呼びかけが込められている。
恒一のこのセリフは、物語の転換点となる重要な場面である。彼はクラス全体をまとめようとし、呪いを終わらせるために残された唯一の方法を探し出す覚悟を決めた瞬間だ。この言葉をきっかけに、クラスメートたちも再び希望を見出し、行動を起こそうとする。恐怖に屈せず、前に進むために彼らが最後に残された道を模索するシーンである。
恒一の言葉には、命の重さや失われたクラスメートたちへの強い思いが込められており、物語のテーマである「生と死」の境界に立たされる中で、彼が背負う責任と苦悩を象徴している。このセリフを通じて、恒一はクラス全員を鼓舞し、物語のクライマックスに向けて決定的な行動を起こす契機を作るのである。

『Another』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

ネットで『Anotherなら死んでた』という言葉が流行

ネットで『Anotherなら死んでた』という言葉を目にしたことがあるかもしれない。これは、2012年に放送されたアニメ『Another』から派生したネット用語で、些細な行動が“死因”となってしまう同作の世界観を元にした表現である。ちょっとしたことでも死に直結する様子を表すこの言葉は、他のアニメ作品の実況時にも使用され、ネット上で定番の用語となっている。また、原作者の綾辻氏も日常のミスを「Anotherなら死んでた」とツイートし話題となった。2020年には、「電子レンジの設定時間を間違えた上に、ウトウトしてしまい、中身が燃え始め煙が発生。Anotherなら死んでた」という内容をツイートし注目を集めた。さらに、それ以前のツイートでも、多くの『Another』体験を報告している。
例えば、「歯医者帰りに水泳。30分で息切れ。Anotherなら死んでた」「寝不足で運転。Anotherなら死んでた」「ものすごい雷雨、ちょうど喫茶店に入っていて良かった。Anotherなら死んでた」「サイン会はものすごい暑さ。Anotherならたくさん死んでたかも……」といった具合である。
このように、何気ない出来事が死を招く言葉として「Anotherなら死んでた」があるが、この言葉には対義語も存在する。それが、マンガ・アニメ作品『悪魔のリドル』を元にした「リドルなら生きてた」という表現である。他のアニメなら死ぬような出来事でも、“なぜか生きている”ケースが多いことから生まれた言い回しだ。
両作品を比較する例としてエレベーターシーンが挙げられる。『Another』では、ケーブルが切れ、なす術もなく落下して死亡する。しかし、『悪魔のリドル』では、エレベーターに乗った人物に向けて上から大量の手榴弾が浴びせられるというバトルシーンがある。普通なら爆発によってエレベーターが落下し決着となるが、作中ではそんな爆発をものともせず、壁をよじ登って生き残るのである。

キャラクターデザインの原型はいとうのいぢ

『Another』のキャラクターデザインは、当初は別の作風を持つイラストレーターによって描かれる予定であった。しかし、監督やスタッフとの話し合いの結果、よりダークでミステリアスな雰囲気を強調するために、いとうのいぢが最終的に起用された。いとうのいぢは『涼宮ハルヒの憂鬱』で有名なデザインを手掛けたことで知られており、彼の独特のスタイルが作品の不気味さと相まって視聴者の印象に強く残った。

舞台となる学校のモデルは実在

『Another』の舞台である夜見北中学校は架空の学校であるが、そのモデルとなった場所は実在する。作者の綾辻行人は、自身の母校である京都市立堀川高等学校をベースにしており、校舎や校庭の一部が似ていることが指摘されている。また、作品内のクラス3年3組の設定やその独特のルールは、実際の学校では当然フィクションであるが、そのリアリティが多くの視聴者に恐怖感を与えた。

『Another』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):ALI PROJECT「凶夢伝染」

このオープニング曲「凶夢伝染」は、ALI PROJECTによる独特のダークでゴシックな音楽スタイルが特徴である。歌詞や曲調は、アニメの不気味で緊張感のある雰囲気とよく合っており、視聴者に作品全体の陰鬱なトーンを感じさせる。また、映像は赤と黒を基調とした色調で、不安感を煽る演出がされており、物語が展開する中での恐怖やミステリーを強調している。

ED(エンディング):myu「anamnesis」

エンディングテーマ「anamnesis」は、Annabelのしっとりとした歌声と、切ないメロディが印象的である。この曲は、アニメの激しいストーリー展開を受けた後の余韻を美しく締めくくる役割を果たしており、視聴者に深い感情を残す。歌詞の内容は「記憶」や「忘れ去られたもの」をテーマにしており、アニメのテーマとも深くリンクしている。

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