ユー・ガット・メール(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ユー・ガット・メール』とは、1998年に公開されたアメリカ映画。ノーラ・エフロン監督のロマンティックコメディで、主演はトム・ハンクスとメグ・ライアン。1940年に製作された映画『桃色の店』のリメイク作品である。
それぞれ恋人には内緒でメールを交換していたジョーとキャスリーン。顔も名前もわからないからこそ素直になれたのに、実はビジネスライバルだった。
すれ違いながらも、お互いに惹かれ合う男女の恋が描かれている。
『ユー・ガット・メール』の概要
『ユー・ガット・メール』(英題:You've Got Mail)とは、1998年に公開されたアメリカ映画。1940年に製作されたエルンスト・ルビッチ監督の映画『桃色の店』のリメイク作品である。
原作はミクロス・ラズロ、脚本は監督のノーラ・エフロンと妹のデリア・エフロンが担当している。配給はワーナー・ブラザース。
ニューヨーク出身のノーラ・エフロン監督は、映画や舞台の脚本チームに所属していた両親の元で育ち、自身も1970年代から作家として活躍していた。妹のデリア・エフロンと共同執筆した『ディス・イズ・マイ・ライフ』(92)で映画デビューを果たす。
主な作品は『恋人たちの予感』、『めぐり逢えたら』などがあり、ロマンティック・コメディの名手として知られている。
『めぐり逢えたら』(93)のノーラ・エフロン監督、トム・ハンクス、メグ・ライアンの主演コンビが再集結した『ユー・ガット・メール』。
公開当時のパソコンは通信速度が遅く、立ち上げにも時間がかかった。携帯電話はあるものの電話機能だけで、メールをするには、家でパソコンを立ち上げなければならない。
映画冒頭のキャスリーン演じるメグ・ライアンが、パソコンを立ち上げワクワクした表情でメールを確認する姿が描かれており、メールのやり取りが、いつでもどこでも出来たわけでなかった事が伺える。
舞台はニューヨーク。児童書専門店「街角の店」のオーナーであるキャスリーンは、一緒に暮らしている恋人よりも、顔も名前も知らないメール相手に素直に本音を話す事が出来る。大型書店の御曹司であるジョーも、高圧的な恋人よりキャスリーンとのメールを楽しんでいた。
しかし、現実では客との交流を大切にしている小規模の書店のオーナーと、新店舗展開の為、小規模な店を閉店へ追いやっても気にもならないというライバルだった。お互いメールの相手だという事を知らず、気持ちを理解してくれるメール相手に惹かれ合う二人。
すれ違いながらメールを通して少しずつ愛を育てていく、不器用ながらもひたむきな大人のラブストーリーである。
『ユー・ガット・メール』のあらすじ・ストーリー
キャスリーンとジョーの出会い
ニューヨークで暮らすキャスリーンは亡き母から受け継いだ児童書専門店「街角の店」を経営しており、恋人のフランクと同棲中である。
キャスリーンは「shopgirl」という名で「NY152」という名前も顔も知らない男性とのメール交換を楽しみにしていた。
「NY152」であるジョーも、同棲中の恋人パトリシアとニューヨークに住んでおり、彼もキャスリーンとのメールを楽しんでいた。
お互いに素性を知らない相手だからこそ、素直になり色んな事を相談する事が出来た。目の前にいる恋人よりも自分を理解してくれ、心を許しあえる関係。
そんな二人は、現実の世界ではビジネスライバルである。
キャスリーンが経営する「街角の書店」のすぐ近くに、豊富な品揃え・低価格・カフェ併設を売りにした大型書店「フォックス・ブック」が立つことになり、ジョーはこの「フォックス・ブック」を経営するフォックス一家の御曹司だったのだ。
「フォックス・ブック」が近くに建つと、キャスリーンの「街角の店」の経営が難しくなるのは目に見えていた。
ある日、ジョーは偶然「街角の店」に行き、キャスリーンに出会う。
ジョーが「フォックス・ブック」の経営者である事を知らないキャスリーンは、ジョーに好印象を持った。
お互い、メールをやり取りしている相手だという事には気が付かない。
ビジネスライバル
出版社のパーティに出かけたキャスリーンは、ジョーに出会い驚きを隠せない。恋人のフランクからフォックス社の御曹司だと知らされたキャスリーンは思わず「だましたのね!」とジョーに詰め寄る。
キャスリーンはジョーの全てが気に入らなくなってしまい、パーティで態度に出してしまった。
ジョーもまたイヤな態度をとってしまった事に後悔しており、自分の思いを「shopgirl」に打ち明ける。自分の気持ちに寄り添ってくれる「shopgirl」に惹かれたジョーは「会わないか?」とメールを送った。
パーティ依頼、犬猿の仲になってしまった二人。
ある日、キャスリーンがスーパーで現金専用レジに並んでしまい、現金を持ち合わせておらず、困っている時に偶然ジョーが現れた。
怒っているレジ店員と周りの白い目線に焦っているキャスリーン。
ジョーは営業で培った得意の話術で、店員の怒りを沈め、キャスリーンは無事清算する事が出来たのだった。
パーティ以来、犬猿の仲である二人。ピンチから逃れられたもののライバルからの助けにキャスリーンは複雑な思いを抱く。
街角の店の危機
「フォックス・ブック」は、様々なキャンペーンで集客を進めた。それに伴い「街角の店」の客足は減るばかりである。
しかし、キャスリーンはこの状況を黙ってみているわけではなかった。
店員たちが不安を感じ始めてもキャスリーンだけは前向きで諦めない。
「フォックス・ブック」の前でデモ行進を行ったり、恋人のフランクに大型書店を批判する記事を頼んだり、昔ながらの店を存続させる必要性を訴える為テレビ出演も果たす。
しかし、客足が戻ることはなかった。
母から譲り受けた店の存続危機に陥り、落ち込んだキャスリーンは、ついに自分を理解してくれている「NY152」に会う決心をする。
待ち合わせ場所に先に来ていたキャスリーンが「shopgirl」だと知ったジョーは、自分が「NY152」であると名乗り出る気にはなれなかった。
ジョーは偶然を装いキャスリーンに話しかけるが、「NY152」を待つキャスリーンはひどい言葉でジョーを罵ってしまい、ジョーはショックを受けカフェを立ち去る。
「NY152」に会えず、またジョーにひどい言葉を言ってしまったと落ち込むキャスリーン。
キャスリーンは「NY152」に、約束を守らなかった理由が知りたいというメールを送り、あなたを待っている間に、ある人をひどい言葉で傷つけてしまい後悔しているという素直な気持ちを打ち明けた。
このメールに対してジョーは待ち合わせに行かなかった事を詫びる。キャスリーンの本心を知ったジョーだが、自分の正体を打ち明ける事なく、再び会う約束をする事もなかった。
別れと出会い
「街角の店」はとうとう店を閉める事になった。
フランクから別れ話を切り出されたキャスリーン。キャスリーンもフランクとはお互い仲の良い友達で恋愛感情はなかった事に気づき円満に別れる。
ジョーもまたパトリシアの態度にあきれ、破局を迎えていた。
風邪でキャスリーンが寝込んでしまった時、その事を知ったジョーはキャスリーンが好きなデイジーの花束を持って見舞いに訪れる。
キャスリーンは意外な訪問客に戸惑いながらもジョーを迎え入れた。いつもとは違う雰囲気で優しく話すジョー。
閉店へと追いやった事を詫び、ビジネスライバルでなくなった今、「友達として付き合えないだろうか?」とキャスリーンに訴える。
意外に気が合うジョーに、キャスリーンも少しずつ惹かれていたが、まだ会えていない「NY152」の事も気がかりであった。
そんなキャスリーンに、ジョーは「NY152」に会う事を勧め、ついに二人は会う約束をした。
約束の日の午前中、ジョーはキャスリーンに「約束を破った男は許せるのに、僕の罪は許せないかい?」と尋ね、さらに間接的にプロポーズの言葉を口にする。
ジョーに惹かれつつあったキャスリーンは迷いながらもジョーを振り切る。そしてワンピースに着替え、複雑な思いで「NY152」に会いに待ち合わせ場所へと向かった。
ところが待ち合わせ場所にやって来たのはジョーだったのだ。
安堵の表情を浮かべた後思わずキャスリーンは泣いてしまう。
「泣かないで、ショップガール」と優しく語りかけるジョーに「あなたで良かった」とキャスリーンは答え、二人はキスをするのだった。
『ユー・ガット・メール』の登場人物・キャラクター
主要人物
ジョー・フォックス(演:トム・ハンクス)
大型書店チェーン「フォックス・ブック」一族の御曹司で、経営を任されている。ニューヨークに「フォックス・ブック」の新店舗を建てる為なら、「街角の店」のような小さな店舗を閉店へと追いやっても気にしないビジネスマン。
パトリシアと同棲しているが、「NY125」というハンドルネームでメール交換しており、、相手の素性も知らない「shopgirl」という女性に惹かれている。
キャスリーン・ケリー(演:メグ・ライアン)
ニューヨークにある母親から受け継いだ児童書専門店「街角の店」のオーナー。読書家で、ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」は200回も読んでいる。本の知識が豊富。客との交流を大切にし、店を守ってきた。
同棲中のフランクに内緒で、「NY152」という男性とメール交換し、どんな事でも話せる「NY152」に心惹かれていく。
フランク・ナバスキー(演:グレック・キニア)
キャスリーンの恋人でニューヨークの新聞にも寄稿しているライター。
タイプライターを使って執筆活動を行うアナログ派。政治に興味を持たない人を認めず、キャスリーンが選挙に行かなかった時は不満げであった。
「街角の店」を守るために出たトーク番組で出会ったキャスターに惹かれ、キャスリーンとはお互い恋愛感情がなかった事に気づき、円満に別れた。
パトリシア・イーデン (演:パーカー・ポージー)
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目次 - Contents
- 『ユー・ガット・メール』の概要
- 『ユー・ガット・メール』のあらすじ・ストーリー
- キャスリーンとジョーの出会い
- ビジネスライバル
- 街角の店の危機
- 別れと出会い
- 『ユー・ガット・メール』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- ジョー・フォックス(演:トム・ハンクス)
- キャスリーン・ケリー(演:メグ・ライアン)
- フランク・ナバスキー(演:グレック・キニア)
- パトリシア・イーデン (演:パーカー・ポージー)
- 「街角の店」スタッフ
- バーディ・コンラッド (演:ジーン・ステイブルドン)
- ジョージ・パパス(演:スティーブ・ザーン)
- クリスティーナ・プラッカー(演:ヘザー・バーンズ)
- ジョーの家族
- ネルソン・フォックス(演:ダブニー・コールマン)
- スカイラー・フォックス(演:ジョン・ランドルフ)
- ケビン・スキャンロン(演:デイブ・シャペル)
- アナベル・フォックス(演:ハリー・ハーシュ)
- マシュー・フォックス(演:ジュフリー・スカペロッタ)
- ジリアン・クイン(演:カーラ・シーモア)
- その他
- モーリーン(演:ケイト・フィネラン)
- ミランダ・マルグリース(演:ヴィエンヌ・コックス)
- ビンス・マンシーニ(演:ブルース・ジェイ・フリードマン)
- セーラ・マンシーニ(演:アン・フルーカス)
- ローズ(演:サラ・ラミレス)
- ヘンリー(演:ハワード・スピーゲル)
- ヴェロニカ・グラント(演:デボラ・ラッシュ)
- スターバックスの客(演:リチャード・コーエン)
- フォックスの店員(演:クリス・メッシーナ)
- シドニー・アン(演:ジェーン・アダムス)
- 『ユー・ガット・メール』の用語
- ユー・ガット・メール
- NY152
- shopgirl
- 『ユー・ガット・メール』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- キャスリーン 「つながると、3つの言葉を聞くまで私は息を止めているの。「ユー・ガット・メール」って聞こえるまで」
- ジョー 「君と友達になりたい。不可能だと分かっている。でも、男ってのは時に不可能を求めるものなんだ」
- キャスリーン 「あなただったらって思ってた。あなただったらって心から」
- 『ユー・ガット・メール』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 実際に本屋で数日間働いたメグ・ライアン
- トム・ハンクスのアドリブがそのまま映画に
- 「街角の店」はチーズとアンティークの店
- 『ユー・ガット・メール』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:Carole King「Anyone at All」
- 挿入歌:Harry Nilsson「The Puppy Song」
- 挿入歌:The Cranberries「Dreams」
- 挿入歌:Bobby Day「Rockin’ Robin」
- 挿入歌:The Paulette Sisters「Never Smile At A Crocodile」
- 挿入歌:Bobby Darin「Splish Splash」
- 挿入歌:Louis Armstrong「Dummy Song」
- 挿入歌:Harry Nilsson「Remember」
- 挿入歌:Roy Orbison「Dream」
- 挿入歌:Randy Newman「Lonely At The Top」
- 挿入歌:Stevie Wonder「Signed Sealed Delivered I’m Yours」
- 挿入歌:Sinead O’Connor「I Guess The Lord Must Be In New York City」
- 挿入歌:Harry Nilsson「Over The Rainbow」