憑物語(物語シリーズ)のネタバレ解説・考察まとめ

『憑物語』は、西尾維新によって書かれたライトノベルシリーズ『物語シリーズ』の第10作品目。ファイナルシーズン3部作のうち第1作品目である。『物語シリーズ』は、主人公・阿良々木暦が様々な「怪異」と呼ばれる現象や存在に遭遇し、それらと向き合う姿を描いており、『憑物語』では斧乃木余接が主要人物として物語に登場し、阿良々木暦の身体に生じた重大な変化の理由を追究するストーリーが展開される。アニメにおいては物語は「よつぎドール」のタイトルで全4話にわたって構成されている。

CV:白石涼子
影縫余弦は女性の陰陽師で、不死身の怪異を専門とする。彼女は忍野メメや怪異の専門家である貝木泥舟(かいきでいしゅう)と大学時代からの知り合いで、同じサークルに所属し、臥煙伊豆湖は先輩にあたる。特に、不死性を持つ「しでの鳥」の怪異である月火を討伐しようとしたが、その過程で月火を守る暦と対峙し、彼の圧倒的な意志によって戦闘を放棄する。彼女は一目で暦と火憐に憑いた怪異を見抜くほどの洞察力を持ち、人間離れした身体能力を有している。しかし、彼女の力は不死身の怪異に対して特化しており、普通の人間には影響を及ぼせない。加えて、地面を歩けないという特異な呪いを受けており、移動は常にブロック塀や余接の上など高所を利用して行う。「よつぎドール」では余接とともに暦の吸血鬼化について調査、吸血鬼化が進んでいることを断言し、吸血鬼性がさらに高まれば専門家として見過ごすことはできないという警告をする。

手折 正弦(ており ただつる)

CV:子安武人
手折正弦は、不死身の怪異の専門家であり、人形使いとしても知られている。忍野メメ、貝木泥舟、影縫余弦、臥煙伊豆湖と共にサークル活動を行い、彼らと共に付喪神である斧乃木余接の作成に関わった。しかし、彼は臥煙伊豆湖のネットワークには属しておらず、独立したはぐれ者として活動している。見た目は若く、色白で線の細い男性であり、質素ながらも特徴的な衣装を身にまとっている。折り紙を使う技術に長けており、特に折り紙を素早く折る能力が特筆される。折り紙は彼の戦闘スタイルの一部であるが、実際に武器として使用するシーンは披露されていない。また、影縫余弦同様に地面を歩けないという特異な呪いを受けている。「よつぎドール」では吸血鬼となった暦を排除するために、1学年下の後輩である神原駿河(かんばるするが)・火憐・月火を誘拐し、暦を神社におびき出す。

その他のキャラクター

阿良々木 火憐(あららぎ かれん)

CV:喜多村英梨
阿良々木火憐は、兄・阿良々木暦の妹で、ファイヤーシスターズの実戦担当として活躍している。身長が190cmにも及ぶ大柄な体格をしており、日常的に黄色いジャージを着用している。髪型はポニーテールだったが夏休みに散切りにし、その後徐々に伸ばしている。彼女は空手の達人で、格闘戦や山ごもりも可能なほどの身体能力を持ち、運動をこよなく愛している。性格的には強い正義感を持ち、事件があれば積極的に解決に乗り出すタイプである。妹の月火と非常に仲が良く、常に一緒に行動している。兄である暦との関係は複雑で、元々は「兄」として慕っていたが、「かれんビー」のエピソード以来、その関係はただの兄妹愛にとどまらないものになっている。神原駿河に強いあこがれを持っており、そのために暦との間に平和的な兄妹げんかが起こることもある。彼女には「瑞鳥くん」という名前の年下の彼氏がおり、自分より背が低い彼氏を好きになった理由は、彼の子供を産みたいと思ったからである。「よつぎドール」では100m走のスピードで早朝のランニングに出かけるなど運動好きな一面が見て取れる。

阿良々木 月火(あららぎ つきひ)

CV:井口裕香
阿良々木月火は主人公阿良々木暦の妹であり、ファイヤーシスターズの参謀である。しかし、その正体は「しでの鳥」という怪異で、再生能力と転生能力に優れている。月火は暦の母の母体に憑いて転生したため、「偽物」の妹とされるが、暦にとっては大切な存在である。見た目は和服を着こなす美少女で、髪型が頻繁に変わるが、性格は自由奔放でドSであり、兄や他のキャラクターとの複雑な関係が特徴的である。非常に交友関係が広く、茶道部に所属しており、小学校時代の友人である千石撫子とも深いつながりがある。「よつぎドール」では兄である暦と一緒にお風呂に入ったりと、兄弟仲が良い一面がみられる。

戦場ヶ原 ひたぎ(せんじょうがはら ひたぎ)

CV:斎藤千和
戦場ヶ原ひたぎは、物語シリーズのメインヒロインで、直江津高校3年生である。中学時代は陸上部のエースであり、活発な性格だったが、重い病を患ったことで性格が変わり、人との接触を避けるようになる。この変化は、母親の新興宗教への入信と家族の崩壊により深まり、彼女は「おもし蟹」の怪異によって自らの「思い」と体重を失う。その後、階段から落ちた際に暦に助けられ、暦を通じて怪異の専門家・忍野メメに出会う。この出会いが彼女の人生を変え、暦との関係を深めるきっかけとなる。身長165cm、学業成績はトップクラスで、学校では「深窓の令嬢」として知られるが、親しい友人の前では毒舌となる。「まよいマイマイ」で暦に告白し、彼との関係が始まる。その後、「かれんビー」で過去に自分をだました詐欺師に立ち向かい、過去のけじめをつける。「よつぎドール」では暦の恋人として、彼とは安定した関係を築いており、彼を「こよこよ」と呼ぶ。また吸血鬼化により鏡に自分の姿が映らなくなったと暦に相談された際にも「私の眼には映り続けるから大丈夫」と暦の恋人として心の支えとなっているのがわかる。

臥煙 伊豆湖(がえん いずこ)

出典: phoenix-wind.com

CV:雪野五月
臥煙伊豆湖は怪異の専門家である。彼女は忍野メメや貝木泥舟のような怪異の専門家たちの大学時代の先輩であり、神原駿河の叔母でもある。小柄な体格とは対照的にXLサイズの服を着用するという独特のファッションセンスを持ち、この奇妙なスタイルは彼女の個性を際立たせている。彼女は直江津高校3年生羽川翼(はねかわつばさ)の「何でもは知らないわよ。知っていることだけ」という口癖に対して、「何でも知っている」と反発するような態度を取る。彼女の情報量は膨大であり、事実上どんな事象や情報も認識しているとされ、目的達成のためには手段を選ばないこともある。「よつぎドール」では登場はしないものの、主人公・阿良々木暦の体に起こった異変を見抜き、彼を影縫余接と会わせるためのセッティングを行った。

忍野 扇(おしの おうぎ)

CV:水橋かおり
忍野扇は私立直江津高校に転校してきた1年生の女子生徒である。彼女は天涯孤独の忍野メメの姪を自称している。見た目は可愛いが、慇懃無礼な性格を持ち、他人を見透かすような言動が特徴的である。また、捻じ曲がったものを嫌い、ちゃんとしていることを好む一方で、自らの行動や存在はとかく怪しく神出鬼没である。彼女は阿良々木暦に対して時折「愚か者」と呼び、批判的な態度をとることがあり、暦を挟んで羽川翼には不穏な印象を与えている。「よつぎドール」でも暦らが手折正弦に指定された神社に向かう途中で突如現れ、暦を見透かしたような挑発的な言葉を投げかける。

『憑物語』の用語

吸血鬼

吸血鬼は「怪異の王」と称される上級の怪異。不老不死の力、変身能力、物質を創り出す能力を有している。この吸血鬼は、伝承にある通り、太陽の光、ニンニク、銀の十字架、聖水という弱点を持ち、加えて毒や呼吸器や内臓器官への直接攻撃にも弱い。定期的に吸血欲求に駆られ、吸血によって食欲を満たし、同じ方法で眷属を作ることができる。

付喪神(つくもがみ)

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