入畑伸照（ハイキュー!!）とは【徹底解説・考察まとめ】

CV：吉野裕行
青葉城西高校バレー部副主将を務める3年生のWS。背番号は4。
長年、及川とともにバレーボールをしてきたことから安定感のあるコンビプレーを見せ、「阿吽の呼吸」と表現される。パワーとテクニックを持ち合わせ、勝負所で決めるメンタルの強さも持っている、エーススパイカー。
視野が狭まったり精神的に余裕をなくしていく及川を敏感に察知し、厳しい叱咤激励を送ったり、及川の失点を直ちに奪い返すなどして周囲を鼓舞するなど、例え主将だとしても他の引けを取らないほどのリーダーシップを持つ。
この岩泉の特性は入畑にも信頼されており、単純に及川とのコンビネーションの良さだけで選ばれたような選手ではない。

京谷賢太郎（きょうたにけんたろう）

決定力に欠ける青城高校の秘密兵器として春高烏野戦に登場。強い背筋で体を反らして強打するパワースパイカー。威力あるジャンプサーブも武器とする。スパイカーとしての実力は高く、1年生から試合に出場していた。しかし、アクの強い性格が災いして当時の3年生と衝突し、一時部を離れていた。自身の満足感のために強打してブロックにシャットアウトされるなど、勝敗は二の次の独善的なプレーも目立つ。得点力はあるが失点も多い、いわば「諸刃の剣」である。
入畑はこの扱いにくいとされる京谷をも買っており、青葉城西高校の更なる攻撃力として積極的に活用した。ただし強力だからとて決して甘く接してはおらず、作中では強打一本の京谷に対し、普段からは想像もつかぬような凄みで「正すところは何れ正す」と、その後に厳しく指導することを決意している場面もあった。

溝口貞幸（みぞぐちさだゆき）

CV：荻野晴朗
青葉城西高校男子バレーボール部のコーチ。自分のオッサン化を感じるようになった31歳。
練習や練習試合中に、低燃費スタイルの国見をよく叱責している。強打一本にこだわる京谷にも、軟打やフェイントなど攻撃の選択肢を増やすように叱り飛ばす場面もあった。
強豪校のコーチであることもあり、実力・経歴は相当であると推察されるが、作中では入畑に比べて若輩である点も否めない。烏野高校との練習試合での影山の活躍を見て獲得できなかったことを惜しんだが、入畑には影山が青葉城西で同じように活躍したかはわからないと諫められている。

影山飛雄（かげやま とびお）

CV：前野智昭（VOMIC版）／石川界人（テレビ版）
及川の2学年下の少年。天才的な素質を持つセッターで、烏野高校のバレーボール部に所属する。
入畑は彼が中学生だった頃からその才能を高く評価しており、青葉城西高校にスカウトしてもいる。より強い高校でバレーボールを続けようと考えていた影山はこれを断るが、受験に失敗して狙っていた高校には入れず、烏野高校に入学することとなった。
入畑は高校生となった以降も影山の動向に注目しており、烏野高校から練習試合を申し込まれた時は「影山を試合に出すのであれば」という条件付きでOKしている。「影山の才能は疑いようがないが、プレイスタイルには傲慢なところがあり、セッターとしての完成度は及川の方が上」と入畑は見立てていたが、その2人が試合の中で競うように成長していくのを見て、考えを改めて行った。

ホセ・ブランコ

CV：銀河万丈
及川が卒業後に所属するバレーボールチーム、CAサン・ファンの監督。
小学生だった及川が日本VSアルゼンチンの試合で見初めたベテランセッターであり、及川は卒業後彼に師事するため、卒業後まもなく単身アルゼンチンへ渡航した。
及川が高校3年時点では立花レッドファルコンズの監督を務めた。この時、入畑の知り合いの知り合いが立花レッドファルコンズに所属しており、その伝手で及川に紹介した。ほぼ他人という状況だったが、入畑自身がそれだけ及川を買っており、彼の将来のために尽力したことがよくわかる。

入畑伸照の名言・名セリフ／名シーン・名場面

「及川は優等ではあるが天才ではない それでも断言できる 今の段階でセッターとして優れているのは及川であると」

インターハイ予選で烏野高校と対戦し、第1セットで大差をつけてリードする青葉城西の絶好調の場面で入畑が及川と影山を比較したセリフ。

影山は中学から頭角を現し、物語の開始時点で「天才」と認知される才能あふれるセッターであった。及川はベストセッター賞を受賞するなど県内一の総合力を誇る非常に優秀な選手である。これらは、恵まれた体格とセンス、血のにじむような努力の上に培われた技術だけでなく、敵味方両方に対する観察と、きめ細やかなコミュニケーションの上に成り立つものである。それゆえ、及川はどんなチームであっても、すぐにチームに溶け込み最大限のパフォーマンスを出させるセッターであった。
この時点で既に影山は、「誰にも真似できない」とされるほど精緻なトスを送る神業を披露していた。しかし、精神的には未熟であり、突き放された点差に焦りコンビネーションミスを起こしたり、自陣の選手ですらうまくコミュニケーションがとれていなかった。こういった点から、入畑は及川と影山を比較したときに「及川は優等ではあるが天才ではない それでも断言できる 今の段階でセッターとして優れているのは及川であると」と断言したのである。

「俺は及川を高評価しているつもりが見くびっていたのかもしれない」

春高予選準決勝対烏野高校戦第3セットの終盤、レシーブで大きくはじいたボールを追いかけた及川がコート外から超ロングセットアップを放った際に、入畑が驚きまじりに述べたモノローグ。

この大会直前、及川は後述のホセ・ブランコとの面会を果たしており、考えを改める機会を得ていた。これにより、及川はそれまで自分を「天才ではない」と割り切り一線を引いていた態度を改める。そしてその態度は試合中にも表れ、互いがマッチポイントを奪い合う激しい試合の最中、及川は大きくはじかれたボールを執念深く追いかけると、エースの岩泉にボールを送るサインを出す。これによりコート外から放たれた超高速のロングセットアップは岩泉のもとへドンピシャのタイミングで届く。
この及川の卓越したファインプレーに、入畑は「俺は及川を高評価しているつもりが見くびっていたのかもしれない」とモノローグで語った。
これまでも入畑は及川をチームの要に据え、天才ではないにしろ優秀である、とそのセンスや技術を高く評価していた。しかし、及川はホセ・ブランコとの面会を経て「才能開花のチャンスは今日かもしれないが、無いと思ったら一生ない」と考えを改めたことで、自身がこれまで踏み出せなかった領域にまでも手を伸ばして見せたのである。
このモノローグは入畑だけでなく読者の気持ちも代弁しており、この及川の成長を垣間見た読者が、もしかしたら及川はこれから本当に開花するのかもしれない、と考えさせられる言葉である。
ただし、このセリフはアニメでは同シーンで採用されておらず、それゆえ及川の開花を視聴者自身がダイレクトに感じ取る構成になっている。

「何を言おうとも結果は結果のまま 悔しさが薄まる事も無い 後悔の残るプレーもあるだろう それでも先ずは言わせてもらいたい よく戦った」

春高予選で烏野高校に対戦し敗退した選手陣に対して、入畑がかけた賞賛ともとれる労いの言葉である。

デュースにデュースをかさね、観戦客も「県予選レベルの試合じゃない」とため息をつくような激戦の果てに敗退となった青葉城西高校。あと一歩で勝利を逃しただけに、何ものにも代えがたい悔しさが残った。そんな選手陣に対し、入畑は「何を言おうとも結果は結果のまま 悔しさが薄まる事も無い 後悔の残るプレーもあるだろう」と声をかけ、理解を示す。さらに、入畑はそんな選手陣に対して「それでも先ずは言わせてもらいたい よく戦った」と声をかけ、ねぎらった。
この試合、副主将の岩泉は上述の及川の超ロングセットアップをドンピシャに打ったスパイクをレシーブされており、それによる返球でマッチポイントを落としていた。このスパイクを決められなかったことについて、まさに入畑の言葉のまま激しい後悔に苛まれていたのである。
あと一歩のところで成果を逃した経験がある者ならば、誰もがやり場のない悔しさを覚えるものである。この言葉は、岩泉だけでなくこういった経験を持つ読者にも突き刺さる、これ以上ない言葉となった。