Free!の名言・名セリフ／名シーン・名場面まとめ

『Free!』の概要

『Free!』とは、おおじこうじによるライトノベル『ハイ☆スピード！』を原案としたテレビアニメ作品である。アニメは2013年7月4日から9月26日まで放送された。
内海紘子が監督を担当し、シリーズ構成は横谷昌宏が務めた。アニメーション制作は京都アニメーションである。

『Free!』は、同じ京都アニメーションの作品『たまこまーけっと』の放送枠でCMが放送された。その後ニコニコ生放送で京都アニメーションの新作発表会が行われ、タイトルやキャスト、スタッフなども公表されたのである。

京都アニメーションが制作したアニメの中でも人気の作品で、アニメは2期3期が放送され、劇場版は6作品が公開された。
アニメ2期は2014年7月3日から9月25日まで、3期は2018年7月12日から9月27日まで放送された。1期から引き続き仲間との絆と青春をテーマにしつつ、2期では3年生になった遙、真琴、凛が将来について悩む姿、3期では大学に進んだ遙たちが新たな仲間と共に水泳に挑んでいく姿が描かれる。

劇場版第1作目は『ハイ☆スピード！』で、遙と真琴の中学生時代のストーリーが明かされた。遙と真琴は同じ水泳部の仲間とリレーのチームを組むことになり、互いに衝突しながらも絆を深めていき大会出場を目指していく。

主人公・七瀬遥（ななせ はるか）が幼馴染の橘真琴（たちばな まこと）や葉月渚（はづき なぎさ）と共に高校で水泳部を設立し、新たな部員・竜ヶ崎怜（りゅうがざき れい）を迎えて大会を目指し活動していく。水泳を通して絆を深めながら成長していく姿が描かれた。
物語の重要な要素である「水」が丁寧に描かれ、迫力のある水泳シーンが魅力の作品である。またキャラクターそれぞれの葛藤や心の成長を描いたエピソード、日常のほっこりとした様子なども作品の見どころとなっている。
物語が進んでいく中で発せられるセリフは、キャラクター達がお互いを思い合って発言しているものであり、作品のテーマである絆や青春がよく表されている。そしてその数々のセリフにより視聴者は、男子高校生達の青春の瑞々しさを感じることができる。

七瀬遥の名言・名セリフ／名シーン・名場面

「俺はフリーしか泳がない」

小学生の頃、同じスイミングクラブに通う凛に一緒にメドレーリレーに出ないかと誘われ、遙は「俺はフリーしか泳がない」と断った。
水を愛し、水に愛される才能を持つ遙は、小学生の頃から水を最も強く感じられるフリーという泳ぎ方にこだわっている。競技などに関係なく、どこまでも自由に泳ぎたいという遙の強い意思のこもった言葉である。この言葉は作中何度も登場し、遙のセリフの中で最も有名なものとなった。

「タイムも勝ち負けもどうでもいい。大事なのは水を感じること。肌で、目で、心で。そして感じたものを疑わないこと。自分を信じること。」

遙と同じスイミングクラブに通うようになった凛は、遙と一緒に泳ぐことで遙の速さを実感し、タイムを尋ねる。水を感じながら自由に泳ぐことだけを考えている遙は「タイムも勝ち負けもどうでもいい。大事なのは水を感じること。肌で、目で、心で。そして感じたものを疑わないこと。自分を信じること。」と答えたのだった。
大好きな水を感じ、自由に泳ぐことが生き甲斐の遙にとって、タイムや勝ち負けは自分を縛るようで窮屈に感じるのだった。そして何者にも縛られず、ただ自由に自分らしく泳ぐことが遙の強さの所以にもなっているのである。図らずも強さの秘訣となっている遙の自由に泳ぐことへの強い気持ちが表れている言葉である。

「死んだばぁちゃんから聞いた古いことわざ。10で神童。15で天才。20過ぎれば、ただの人。ただの人まであと3年ちょっと。ああ、早くただの人になりてぇ」

ある朝、遙は小学生の頃の記憶を思い出しながら水風呂に浸かっていた。そこで過去の自分の発言を振り返りながら「死んだばぁちゃんから聞いた古いことわざ。10で神童。15で天才。20過ぎればただの人。ただの人まであと3年ちょっと。ああ、早くただの人になりてぇ」と呟く。
遙は小学生の頃から水泳の才能があり、泳ぎが速いよ有名だった。しかし遙は競技や勝ち負けには興味がなく、水を感じることができれば満足であり、周りからの期待は煩わしいと感じてしまう。常に期待にさらされる遙が普通の人になりたいと願う気持ちが表されているのと同時に、自分は普通ではないのだと認めているようにも捉えられるこのセリフはファンの中でも人気である。

「だったらひとつ約束しろ。俺に負けても水泳をやめるとか言うな。醜態を晒すな。負けても泣くな。」

遙は水泳部のみんなと新しい水着を買いに来ていた。そこには凛の所属する鮫塚学園水泳部も来ており、遙と凛は偶然出会う。そこで遙は凛に勝負しろと持ちかけられるが、「俺はフリーしか泳がない。お前のために泳ぐんじゃない」と断った。しかし凛は、自分が前に進むために「お前は俺のために泳ぐんだ」と食い下がる。それに対し遙は「だったらひとつ約束しろ。俺に負けても水泳をやめるとか言うな。醜態を晒すな。負けても泣くな。」と返すのだった。
中学生の頃、オーストラリアに水泳留学していた凛は記録が伸び悩み、壁にぶつかっていた。そんな中一時帰国して遙と再会し久しぶりにフリーの勝負をする。凛は遙に負けてしまい、泣きながら「もう水泳はやめる」と言ってしまうのだった。その言葉にショックを受け、遙も水泳をやめてしまったのである。
フリーしか泳がないと豪語していた遙だが、リレーを泳ごうと誘ってくれた凛のおかげで仲間と泳ぐ楽しさを知ることができた。その凛が水泳をやめると発言したことは、仲間を失うような感覚であり、自分も水泳をやめてしまうほどの衝撃を受けたのである。
高校になって再び水泳を始めたが、勝負をしてまた中学の時のような思いをしたくないという気持ちが表れる切実な言葉である。

「その時思い出したんだ。一つのコースを繋いで泳ぐこと。ゴールした場所にみんながいること。そのことが嬉しかった。」

遙、真琴、渚、怜は大会前に地元の祭りにやってきた。そこで遙は真琴と前回の試合について振り返る。遙は凛とのフリーの勝負に負け、「お前と泳ぐことはない、2度とな」と言われてしまった。凛とはもう泳げないということがショックで大会も何もかもどうでもよくなったが、そんな時に真琴や渚、怜の試合を見て、自分はこの3人と頑張ってきたのだと気づいたと言う。この4人でならリレーに出てみようと思ったのだ。そして「その時思い出したんだ。一つのコースを繋いで泳ぐこと。ゴールした場所にみんながいること。そのことが嬉しかった。」と語る。
普段から無口でほとんど自分の気持ちを表さない遙が胸の内を明かした。そんな遙が言うからこそ、4人で泳ぐリレーにかける思いの強さが分かるセリフであった。

「今度は俺が見せてやる。見たことのない景色を。」

リレーに人一倍思いをかけている凛は、大会では鮫塚学園でリレーを泳ぐことを目標としていたが、メンバーには選ばれずショックを受ける。そのことでかなり動揺してしまい、個人種目にも影響して本来の力を発揮できず、大会の記録は散々なものとなった。
絶望した凛はもう水泳をやめると言い会場を去ってしまう。
それを聞いていた遙は、凛ともう泳げないのだと絶望していた。そこへ駆けつけた怜は、以前凛と話をした時に聞いた凛の本心を遙たちに教える。凛は、本当は勝負などどうでもよく、小学生の頃に泳いだチームでもう一度リレーを泳ぎたいのだった。
怜に凛を救えるのは遙たちだけだと言われた遙は、凛を追いかける。仲間と泳ぐ楽しさ、リレーを共に泳ぐ喜びを教えてくれたのは凛で、自分も何のために誰のために泳ぐのか分かったと伝えた。
冷静さを欠いていた凛と取っ組み合いになるが、最終的に凛は涙を流しながら「お前らと泳ぎてえ」と本音を吐き出す。遙はまだ遅くないと言い「今度は俺が見せてやる。見たことのない景色を。」と声をかけた。そして凛は遙たちと一緒にリレーを泳いだのである。
小学生で出会い、遙は凛の前向きさと明るさに引っ張られ、「見たことのない景色見せてやる」と誘われてリレーを一緒に泳ぐことで仲間と泳ぐことの素晴らしさを知ることができた。しかし高校生になった凛は壁にぶつかり、自分らしさを失って仲間の大切さも忘れてしまっていたのである。そんな凛に今度は遙が仲間として手を差し伸べる感動のシーンである。

橘真琴の名言・名セリフ／名シーン・名場面

「もちろん記録も大事だけど、やっぱりこんな風にみんなと泳げることが1番嬉しいんだ」

大会に向けて無人島で合宿を行う岩鳶高校水泳部。1人だけ水泳初心者で、バタフライしか泳ぐことができない怜は焦りを感じていた。そんな怜の様子に気づいた真琴は、ゆっくり上達していけばいいと声をかける。
そして、自分はみんなで一緒に練習したりご飯を食べたりする方が嬉しいのだと言い、「もちろん記録も大事だけど、やっぱりこんな風にみんなと泳げることが1番嬉しいんだ」と話した。その言葉で怜の表情も和らいだのである。
中学生の時、真琴は遙と共に水泳をやめていた。高校から再び泳ぎ始めて仲間と泳ぐことの楽しさを感じていたのである。年の離れた弟と妹がいるためか面倒見が良く、おおらかで優しい性格と、仲間と泳ぐことが好きだという気持ちを表した真琴らしいセリフである。