田中龍之介（ハイキュー!!）の徹底解説・考察まとめ

田中龍之介のプロフィール・人物像

所属：烏野高校（2年1組）
ポジション：ウイングスパイカー
背番号：5
身長：177.2cm／体重：68.8kg（高校2年4月）
誕生日：3月3日
兄弟構成：姉
好物：メロンパン
ジャンプの最高到達点：324cm
最近の悩み：校内で迷ったらしき1年女子に教室を教えてあげようと声をかけたら泣かれた
テレビアニメ版CV：林勇
VOMIC版CV：本橋大輔
舞台ハイキュ―演者：塩田康平
ハイパープロジェクション演劇演者：鐘ヶ江洸

田中龍之介は、『ハイキュー!!』の主人公である日向翔陽（ひなたしょうよう）と影山飛雄（かげやまとびお）の1つ先輩で、烏野バレーボール部の2年生レギュラーである。物語は、彼らの通う宮城県立烏野高校バレーボール部の活躍を中心に描かれている。新1年生が入部する場面から始まるが、田中は2人に対して気を配る優しい先輩として描かれている。

主人公2人の関係は、中学生の頃に遡る。日向翔陽は、烏野バレー部の「小さな巨人」（全国大会で活躍していた烏野バレー部のエース）に憧れ中学校ではバレー部に入るが、部員が1名で練習試合すらできずに最後の県予選大会に出場する。そこで、北川第一という県内強豪バレー部に所属する影山飛雄と対戦して負ける。しかし、影山は日向の勝利への執念とずば抜けた身体能力に注目していたため、日向をずっと覚えていた。そして田中は、2人が対戦した中学校時代の試合を観戦しており、当時から日向と影山を「楽しみだ」と言っていた。

烏野バレー部は、かつては県でも指折りの強豪校であり、県大会で優勝し全国に出場したこともある古豪。しかし、鵜飼前監督が引退したあと衰退の一途をたどり、「落ちた強豪、飛べない烏」という異名をつけられていた。鵜飼一繋（うかいいっけい）前監督とは、かつて烏野バレー部を春高全国大会に導いた名監督で、強豪烏野バレー部を作り上げた人物。現コーチの鵜飼繋心（うかいけいしん）の祖父にあたる。音駒高校の猫又監督とはよきライバル。烏と猫が公式戦で一戦を交えること（つまり、お互いが全国大会に出場し対戦すること）を目標としていたが、鵜飼元監督時代には実現せず、孫の鵜飼コーチの時代に実現することになる。

田中は、坊主頭で目つきが悪く口調が荒いことから、他人から怖がられることも多い。しかし、性格は素朴かつ明朗、義理人情に厚く、後輩の面倒見も良いタイプなので、チームメイトから慕われている。烏野バレー部のムードメーカー。チーム内では同じ学年の西谷夕（にしのやゆう）と仲が良い。西谷も2年生レギュラーで、ポジションはリベロ。田中はエースの素質を持ったパワープレイヤーであり、スパイクはかなり強力。メンタルの強さはチーム内でも1位2位を争うほどで、逆境をも跳ね返す前向きさを持つ。稲荷崎戦にて大事な場面でスパイクを決められず、精神的に落ち込みながらも自らを鼓舞し、東京合宿で目の当たりにして以降体得を目指していた梟谷のエース・木兎光太郎が得意とする超インナークロススパイクを決めてみせた。試合中、持ち前のパワープレーは得点源となる。また、どんなボールにも食らいつく粘り強さで守備では目立たない献身的なプレーも多い。入部時から1学年上の清水潔子（しみずきよこ）に片思いをしており、何度拒まれても諦めずにアプローチする姿勢は田中のバレーボールへのそれと同じである。

田中龍之介のポジション・能力

ポジションはウイングスパイカー。烏野バレー部では、3年生のエース東峰旭（あずまねあさひ）に次ぐ次期エースとして期待される。ガッツ溢れるパワープレーが目立つが、スパイクの技術やスパイク成功率も高い。またチームのムードメーカーで、試合のファーストポイントを任されることが多い。漫画では小学生だった田中が少年バレーボールチームで練習している場面を回想しているため、バレーボール歴が長いことが伺える。

田中は、センスやパワー、スピードで他のメンバーに劣ることを自覚している。烏野バレー部が実力をつけていくのと同時に、強いチームと対戦することが多くなると、田中のスパイクを徹底マークされたり、サーブレシーブを狙われることもあるが、持ち前のメンタルの強さで技術で劣るところは気迫で乗り越えていく。

インターハイ予選の青葉城西戦では、青葉城西高校の主将でセッター、県内トッププレイヤーである及川徹にサーブレシーブを狙われた。田中はレシーブがあまり得意ではない。同時にスパイクを幾度となく止められて凹んでいた。しかし、及川のサーブが回ってきたところでチームがタイムアウトをとったとき、田中は自ら気合を入れ直し監督やコーチ、チームメイトに絶対に立て直すことを誓う。その直後、田中は又もや及川のサーブレシーブで狙われるが、及川のサーブを全身で受け止め、田中→日向→澤村とボールを繋ぎ相手コートへ返す。再び、烏野が拾ったボールをレフトの田中は「レフト!!」とボールを呼び、見事スパイクを決め自らブレイクスルーした。

春高全国大会の稲荷崎戦でも、田中は絶不調だったが自らブレイクスルーする。全国大会では、レベルの高いチームが集まり、様々な選手らが試合を見守っている。田中は、稲荷崎戦においてスパイクも守備もいいとこなしだった。「俺は今日何をした？何ができた？」と自ら問いかけている。試合を観戦していた他校の選手からは「元気枠？」などと揶揄われる。田中自身、チームメイトと比べて技術や身体能力は劣っていると自覚している。しかし、それでも自ら鼓舞し、梟谷学園高校の木兎（全国5本指に入ると言われるスパイカー）のような超インナークロススパイクを決める。その精神力について、チームメイトのMB月島も驚きを隠せない様子で田中に話しかけている。心配していた鵜飼コーチもホッと胸をなでおろし、マネージャー清水には「田中は大丈夫です」と言わせた。

田中龍之介の来歴・活躍

小学生時代

春高全国大会で、田中は小学4年生まで近所に住んでいた幼馴染、宮城県女子代表の新山女子バレー部の天内叶歌（あまないかのか）と再会するのだが、そのとき田中の小学生時代が回想されている。田中はバレーボールチームに入っていて、背の大きかった天内を「お前、でっかくてかっこいいんだから」とバレーボールに誘ったのだ。こうしたエピソードから、田中のバレーボール歴が長いことが伺われる。

田中龍之介、烏野バレー部に入部する

田中龍之介（桜実中出身）は、烏野バレー部に入部する。田中にとって烏野高校は、記憶に新しい春高全国大会に出場した強豪校だったからだ。当時3年生で主将だった黒川広樹（久中出身）や2年生の次期エース東峰旭（成光台中出身）は、同じスパイカーとして田中がお手本にしたい選手だ。田中の当時の髪型は金髪。澤村曰く、「誰にも頭を下げてはならないという強い意志を感じる」。

そこで、出会ったのが当時2年生で烏野バレー部のマネージャーをしていた清水潔子だった。入部初日、体育館に走って入ってきた清水に、田中は一目見た瞬間心を奪われる。田中は、その場で清水に「結婚してください！」と伝える。この初対面プロポーズ事件は、その後語り継がれることになる。

田中は憧れていた烏野バレー部に入部してから、金髪を剃り落とし坊主頭にして先輩から驚かれたり、益々バレーボールに打ち込む姿を見せる。名将鵜飼前監督が一時期烏野バレー部に復帰して、きつい練習を休むようになったチームメイトがいるにも関わらず、田中は練習について行った。そして、2年生で堂々たるレギュラー入りを果たしたのである。

新チームを結成するまで（2年生）

2年生でレギュラーの田中は、将来楽しみな新1年生、日向と影山を気遣いサポートする優しい先輩として描かれている。田中は、副主将で3年生の菅原孝支（すがわらこうし）とともに、新1年生のサポート係に徹している。入部早々、3体3の試合をすることになった日向と影山のフォロー役として、田中は2人のチームに入ってプレーした。その結果、相手チームに無事勝利したので、2人の入部が正式に認められるのである。

この時期、烏野バレー部に新監督や新しいコーチが迎え入れられ、部活から離脱していたエースやリベロが復帰し、強力な新1年生がメンバーに加わるなど、忙しくチーム作りをしている時間が描かれている。田中は押しも押されぬ2年生レギュラーである。様々なシーンで新1年生のフォローだけでなく、3年生の主将澤村大地（さわむらだいち）や副主将菅原を気遣う場面がある。1年生の日向と影山が、澤村の指示を聞かずに勝手にサーブレシーブの勝負を始めたときには、田中は澤村と菅原の側にたって日向と影山に止めるよう声をかけている。田中はここでもチームの潤滑油になっている。

そんな烏野バレー部は、インターハイ予選を目前に行われた合宿最終日に、初めて音駒高校のバレー部と練習試合で対戦する。この時、音駒の山本猛虎と出会うのだが、2人は外見も中身も似た者同士。その後の2人の友情も見物である。

インターハイ県予選、青葉城西高校戦まで

インターハイ県予選大会、強豪青葉城西高校戦。青葉城西バレー部主将の及川徹（おいかわとおる）は、常に女子からキャーキャー言われる優男。もちろん、そりの合わない田中は常時及川を威嚇するような表情をしている。しかし試合になると及川は、県内トップの実力を誇るセッターとしてのプレイはもちろん飛びぬけたバレーのセンスで、攻守ともに烏野バレー部を追い詰めていく。

インターハイ県予選大会の青葉城西高校戦では、及川のサーブに対して田中のレシーブミスが続く。その直後スパイクを3枚ブロックにどしゃっとされて凹む田中。烏野はタイムアウトを取るのだが、そのとき田中は自ら気合を入れ直す。
「すみませんでした！」
「おれ、今トス呼ばなかった。一瞬ビビったんだ、畜生！」
「後悔は試合が終わってからクソ程する。大して取柄もない俺が、手前のミスに勝手に凹んで足引っ張てちゃどうしようもねえ。次は決めます！」

鵜飼コーチは、現時点でそう言える田中を褒める。そして田中をこう分析している。「普段からミスが少ないわけではない。すぐ挑発に乗ってしまったりする。でも、東峰に次ぐチームナンバー2のパワーと、何より崖っぷちに追い込まれたときにパフォーマンスを落とさないメンタルの強さ。まぎれもないエースの資質」

春高県大会代表決定戦進出まで

インターハイ予選で青葉城西高校に惨敗した烏野バレー部は、春高全国大会出場を目指して、個々の練習に取り組んだり他校との練習試合を重ねていた。強くなるために、インターハイ予選敗退直後に参加した東京合宿では、烏野バレー部は一番弱かった。合宿に参加しているのは、梟谷学園高校（東京）、音駒高校（東京）、森然高校（埼玉）、生川高校（神奈川）。サーブの強いチーム、レシーブが強いチーム、攻撃方法に特徴があるチームなど、強豪揃いである。合宿が終わり、チームは東京合宿に参加していたチームから攻撃方法を学んだり、個々人はそれぞれの課題を見つける。日向と影山が喧嘩していたとき、田中は体育館に駆け付け2人を止めるなど、面倒見のよい先輩として新入生を見守るとともに貪欲に成長する1年生にも良い影響を受ける。

2回目の合同合宿は埼玉にある森然高校。田中のポジションはウィングスパイカーで次期エースにあたるが、3年生には烏野のエースの東峰、1年生にはエースになる夢をもつ日向がいる。それぞれがライバル関係にあり切磋琢磨していく。作品の中で田中は、個性の強いメンバーの多い烏野バレー部で凸凹になりがちなチームを平らに均すような、チームの潤滑油になっている。いまいちやる気の起きない月島には、「シンクロ攻撃の練習をするからちょっと付き合えよ」と言って自主練につき合わせたり、冴子姉さんから聞いていた月島のお兄さんの話をチームメイトに話したり、自らチームメイトらのやる気を引き出したりしている。田中にも収穫があった。烏野が合宿の練習試合中に試したシンクロ攻撃で、田中はブロックに阻まれない100点満点のスパイクを決める。こうして着実に烏野バレー部の歯車は機能し始める。烏野バレー部は春高県大会予選を順調に勝ち進み、県大会決勝トーナメントへ進出する。

春高県大会決勝、白鳥沢戦まで

代表決定戦で主将澤村の怪我はあったが、条善寺高校、扇南高校と順調に勝ち進む。準決勝の相手は、県内トッププレイヤー及川率いる青葉城西高校。烏野は青葉城西と練習試合やインターハイ予選で戦った経験がある。1勝1敗。試合が始まると田中は東峰に続きスパイクを決める。攻撃力を高めた烏野は、順調に1セット目を青葉城西から先取する。

第2セット目から活躍を始める青葉城西高校の京谷賢太郎は、パワープレーを得意とするウィングスパイカー。京谷のスパイク成功率も上がってきたため烏野は苦戦する。そこで烏野は、ジャンプフローターサーブを武器とする山口忠をピンチサーバーで投入。2セット目後半、山口は青葉城西から5点連続得点をもぎ取り一時はデュースに持ち込むが、最後は26-28で青葉城西に取られてしまう。

3セット目のはじめ及川のサーブで青葉城西に流れが行きかけたところを、田中がスパイクで断ち切る。外見上同じタイプに見える田中と京谷は試合中互いに張り合う。田中は京谷を、京谷は田中を狙って、お互いにスパイクを打ってくるのだが、これを月島は戦略的に利用して何とか京谷を基軸とした攻撃を攻略する。田中は、この試合でも安定感のあるスパイクを決め続けている。試合は烏野の勝利。こうして烏野は県大会決勝へ進出する。

県大会決勝、白鳥沢戦は5セットマッチ。スタートは白鳥沢が4点先取、烏野は田中の3枚ブロックをぶち抜く強烈なスパイクで1点目を取る。白鳥沢はその後も得点を重ね10点差ついてしまい、そのまま白鳥沢が1セット目を先取。

2セット目は、烏野がシンクロ攻撃で1点目を先取。烏野は持ち前の攻撃力で試合を進めていく。田中は序盤ツイていて、牛島の強烈なサーブをおでこでレシーブして相手コートへネットイン。このセットでは烏野は善戦する。22-22、烏野のトータルディフェンスが整うとともに烏野の攻撃力が生きていく。田中は変わらず安定感あるスパイクを決めて24-24のデュース。次のブレイクも田中で26-25。続いて、烏野はシンクロ攻撃でブレイク30-29。最後は月島の100点満点のブロックで、烏野は2セット目を取り返す。