プラチナエンド(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『プラチナエンド』とは、大場つぐみ(原作)、小畑健(漫画)による日本の漫画・アニメ作品。主人公・架橋 明日は、天使ナッセから天使の力を授かり、神候補として他の候補者達との争いに身を投じていく。緻密な世界観と設定、小畑健の高い画力が好評を得ており、天使の翼や矢を駆使したバトル要素や候補者同士の頭脳・心理戦が特徴。「幸せとは何か」をテーマにしており、人生に絶望していた明日が、「幸せになりたい」という夢を叶えるため奮闘する様を描く。

CV:小倉唯

明日に憑いている特級天使。別名「純真無垢(ピュア)の天使」。少女のような容姿をしており、常に笑顔で天真爛漫な性格で、人の嘘を見抜くことに長けている。明日を神にすることよりも彼が「幸せになること」を何よりの目標としており、そのためなら他人の命を奪うことも厭わない言動を取る一面もある。神選びの前から明日の様子を見ており、叔母一家が事故に見せかけ彼の両親と弟を殺害したと知っており、彼女から家族の死の真相を聞いた明日は不本意ながらも叔母を殺害、叔父を赤の矢を刺し自首させた。

明日がビルから飛び降り自殺を図った際、直接彼に触れて命を助けているが、実は「人間に触れることができる」能力を持っているのは天使の中でもナッセのみ。また、明日が米田と対話した際に、米田が放った白の矢から明日を助けているが「天使は神候補を直接助けてはいけない」というルールを破ったため特級天使から2級天使に降格している。しかし、明日と米田の決着がついた際に、敵である米田を助けたことで再び特級へ戻っている。

特級天使でありながらも天界や神選びの知識に疎く、天使の中でも謎多きナッセだが、その正体は「地球に神が降りた時に唯一存在していた小さな生命体」だと神の話から明らかとなった。神は自身の体に入ってきたナッセを慌てて皮膚ごと切り捨たため、彼女はわずかながら神の細胞を持ち合わせていると語っている。しかし、ナッセは自身が天使になる以前の記憶や神に期待された「神側の行動を取ってくれる」という役割についても理解できていなかった。

神選びが終わった後も天界から明日を見守っており、出会う以前は不幸な境遇だった彼が咲と結婚し「今すぐ死んでもいい」と思えるぐらいの幸せな生活を送れていると知り「超満足」と彼らを祝福している。しかし、神の自殺により天界は崩壊。ナッセはその様子に取り乱す事もなく「バイバイ」と明日に別れを告げ静かに消滅した。

花籠 咲(はなかご さき)

CV:M・A・O

本作のヒロイン。悪知恵の天使ルベルに選ばれた神候補のひとり。明日の幼馴染で、彼に想いを寄せられている。明日とは小学生の頃から家族ぐるみの付き合いがあり「ずっと友達」という約束を交わすほど仲が良かったが、彼が学校でいじめを受けるようになった際には不本意ながらも周囲に迎合する形でいじめに加担した。その罪悪感から長年良心の呵責に苛まれており、中学卒業式に明日に謝罪しようと追いかけた際、彼がビルの屋上から飛び降りる現場を目撃。絶望しながら入水自殺を図ったことでルベルに神候補として選ばれた。

その後、明日が生きていたことに安堵するも彼への罪悪感は消えず、再会した際には彼が心配するほど明朗さが失われていた。メトロポリマン(生流 奏)が現れたことで、明日と同盟関係となるが非力な自分を守ろうとする彼の姿に胸を痛め、ついに自身の罪を告白。その上で殺してほしいと頼むが、明日が一芝居打つことで「生きたい」という本心を吐露し生きる希望を取り戻した。以降はかつての明朗さも取り戻しており、拠点確保やメトロポリマンと身元特定に積極的に参加。さらに、守られるだけの立場から脱却するために翼が欲しいと思い始める。咲の思いに感化されたルベルは、彼女に翼を与えるために奮闘し、「感情の天使」として1級天使に昇格を果たすことで、咲も翼を獲得できた。
奏との決戦の際には、彼の仲間である底谷 一に赤の矢を刺し離反させることに成功。また、七斗が奏に止めを刺す際には顔に傷を負いながらも明日と共に彼を拘束し、勝利に貢献した。

奏の死後は明日や警視庁の星・弓木と共に神選びを終わらせるために奔走。神候補達が集結し「己が神になった理想の世界」を語った際には「皆が優しい気持ちになれる笑顔になれる世界」と語っている。その後、明日と米田の対話の際に、人質として取られるも明日の窮地に駆け付け彼を救出した。

神選びが終わった後、明日と「四葉のクローバーを置いているフラワーショップを開く」という夢を持ち、高校卒業後は「今すぐ死んでもいいぐらい幸せ」という幸せの絶頂の中で彼と結婚を果たす。結婚から数年後、念願の夢だったフラワーショップを開店するが、神が自殺したことにより人間界が崩壊。人々が消えていく様子に怯えていたが、明日の「最愛の人を先に失うのがどれだけ怖いか」という言葉に共感し、彼と共に消滅した。

人前で活動する時には七斗から提供された猫耳がついたプロテクタースーツを着用しており、そのカラーリングから世間では「黄色の戦士(イエロー)」と呼ばれている。

ルベル

CV:花江夏樹

咲に憑いている2級天使。飄々とした性格をしており、自称「悪知恵の天使」。咲のことを大切にしており、明日を利用して彼女を神にすることを企てていたが、元々彼が咲に好意を寄せていたことで協力関係となった。咲が明日達と一緒に戦えるように翼が欲しいと言った際には、1級天使へ昇格する為に「知恵の天使」であるバレに頼み、彼女の称号を目指すべく天界の書物が入ったシャボン玉で学習する。奏との決戦前には一向に昇格できない己の不甲斐なさに苦悩し涙を流すが、「天使は涙を流さない」という前例を覆したことで「人間の気持ちを理解できるようになった」と神に評価され、「感情の天使」ルベルとして1級天使へ昇格を果たす。昇格後は咲へ翼を与え、彼女は明日と奏の決戦に間に合い彼らの勝利へ貢献した。

神選び終了後はナッセと共に明日と咲の様子を見守っており、仲睦まじい彼らの様子を「見てらんないな」と呆れているが、「人間はなぜ結婚するのか」とナッセに問われた際に「一緒にいるにはそれが1番なんだよ」と人間の感情を理解した回答をしている。

作中ではツッコミ役に回ることが多く、咲が七斗から渡された戦闘用スーツを着た際には猫耳がついていることでコスプレのような姿になり、周囲が可愛いと絶賛する中でルベルだけは「趣味か!?」と呆れていた。

神候補

生流 奏(うりゅう かなで)

CV:石川界人

欲望の天使メイザに選ばれた神候補のひとり。大企業「上層グループ」の御曹司であり、傘下であるエリート校「上層学園」の理事長の孫。容姿端麗・頭脳明晰な完璧超人だが、その出自故に他人を見下す傲慢な人物。「汚いモノ、醜いモノ」を嫌悪しており、それらが満ち溢れた世界そのものを忌み嫌う差別主義者。そのため、神となった暁には「貧困層及び容姿が醜い人間を皆殺しにし、裕福かつ容姿端麗な人間だけの世界を築く」ことで世界から格差を無くすと宣言した。

最愛の妹・怜愛と良好な兄妹関係を築いていたが、ある日彼女から同級生の男子に告白されたと打ち明けられる。「美しい妹が汚されてしまう」と動揺した奏は彼女を制止しようとするが、その際に誤って階段から転落させてしまい脳挫傷を負わせてしまう。すぐに救急車を呼べば助かる可能性があったものの、「このまま死ねば妹は永遠に美しいまま」と魔が差してしまった奏は妹を見殺しにし、彼女の遺体を冷凍保存することに成功。しかし、ようやく「何よりも怜愛に生きていてほしかった」と自覚した奏は己の行動を悔いて自殺を図るも、その様子を見ていたメイザに神候補として選ばれた。「神になれば妹を天使として蘇らせることができる」と彼女に吹き込まれた奏は神候補となり妹を蘇らせるために暗躍を始める。

神候補となってからは「自分以外の神候補を全員殺して神になる」という野望を抱き、特撮ヒーロー「メトロポリマン」に扮して活動を開始する。当初は人助けで自身の存在を誇示すると同時に他の神候補達を牽制。さらに、元々自分と妹の以外を軽んじていたため、神候補達を話し合いと称しおびき寄せることで罠にかかった3人を排除した。また、無関係な人を巻き込むことで義憤に駆られた神候補をおびき出そうとするなど、狡猾な策を用いて他の神候補達を翻弄した。

明日との決戦時には自身が劣勢になっても逃げることはなかったが、彼の予想外の奇襲に対応できず拘束された状態の中、七斗に射殺される。その際、死への恐怖と銃弾が肉体を貫く痛みから断末魔を上げながら最期を迎えた。なお、決戦前に神候補のひとりである結糸 向に赤の矢を刺されており、奏が逃げなかったのは彼に「逃げずに決着をつけるように」と命令されていたため。奏の死後、彼の収集していた翼と矢は向に渡った。

メイザ

CV:井上喜久子

奏に憑いている特級天使。「欲望の天使」と呼ばれ、奏の欲深い性格を気に入り神候補として接触を図った。最愛の妹を失った彼に「神になれば死んでしまった妹を天使として蘇らせることができる」と吹き込んでおり、その話を信じた奏は神候補になることを承諾。手段は不明だが無級から特級へ昇格しており、奏の死後、彼の魂を運ぶ際に「特級天使の私が…また死んだ人間を運ぶことになるとは」と零している。

六階堂 七斗(むかいどう ななと)

CV:森川智之

神候補のひとり。アパレル関係の仕事をしているサラリーマン。既婚者で妊娠中の妻と娘がいるが、末期がんに蝕まれ生きる気力を失っていたことから天使バレに神候補に選ばれた。しかし、神が決まるまで生きていられる状態ではなかったため、残された家族が幸せに生きていけるように行動。そんな中、他の神候補を殺害してまで神に成ろうとするメトロポリマン(生流 奏)が現れる。メトロポリマンは神に相応しくないと感じた七斗は、他の神候補と共闘し彼を倒すべく活動を開始。メトロポリマンが神保球場へ神候補を呼び込んだ際、探偵や心理学に精通した者を神保球場に送り込み、球場での振る舞いから明日と咲に接触し、彼らと協力関係を結ぶ。また、自分のコネで明日と咲に正体偽装用の高性能プロテクタースーツを提供しており、自身は自衛隊から盗んだプロテクターと銃火器を扱っている。

「家族を幸福にする」ことが彼の原動力であり、明日と咲に接触した際には既に宣告されていた余命を過ぎ、延命治療も時間の無駄だと諦観していた。しかし、家族を失う悲しみを知っている明日から協力の条件として「延命治療を続けてほしい」と家族のためにギリギリまで生きることを諦めないでほしいと頼まれ、それを承諾している。

家族を守るためなら人を殺すのも厭わない姿勢で、明日に「お子さんを人殺しの子供にしていいんですか?」と問われた際には「子供達のために何もできなかった。何もしようとしなかったパパにはなりたくない」と神候補になった責任を果たそうとし、激闘の末にメトロポリマンを殺害した。しかし、目的を果たしたことにより投薬治療で無理矢理延命していた身体が限界を迎え、運び込まれた病院にて妻に看取られながら息を引き取った。バレは七斗のことを「今まで神候補となった人間は多くいたが、これほどまでに家族のために己を犠牲にし、自分の人生に満足して死んでいった。そんな人間は他に知りません」と評しており、人を殺すことに強く抵抗を感じている明日も七斗のことを「英雄」と称した。

バレ

CV:茅野愛衣

七斗に憑いている1級天使。左目にモノクルをつけている。「知識の天使」という異名を持ち、天使や神の歴史から天界のあらゆる知識を身に着けている。しかし、その知識をひけらかすことを咎められ特級天使から1級に降格している。「生きる希望をなくした者より生きることを閉ざされ死を受け入れた者の方がより強くなれる」と書かれた古い書物を読んだことのあるバレは、病魔に臥していた七斗を「死ぬ前に神になれば命は救われその後何千年と生きることができる」と告げ、神候補に選んだ。

ルベルに1級天使へ昇格する方法を尋ねられた際には、自身を上回る知識量を手に入れれば「知識の天使」として昇格できると方法を教えたり、その知識で明日達をサポートした。七斗の死後、家族のために懸命に生き、満足して死んでいった彼を称讃しながら天界へ運び、彼の翼と矢を咲に譲渡している。

底谷 一(そこたに はじめ)

CV:前野智昭

神候補のひとり。貧困層で生まれ育った青年。貧乏な家に醜い容姿で生まれ、その出自故に周囲からの中傷に苦しみながら高架下に建てられたプレハブ小屋で母親と暮らしていた。母親からも容姿の醜さから疎まれていた一だが、貧乏な生活を苦にしたことで高校在学中に母が首を吊って自殺してしまう。その現場を目撃した一も人生に絶望し、後追い自殺を図ったところでバルタに選ばれ神候補となった。神候補となった後、女子に赤の矢を刺すことで自信を魅了させることに成功するが、彼女とキスする様が鏡に映った際、自身の醜い容姿に再び絶望してしまう。そんな中、世間でヒーローとして活躍するメトロポリマン(奏)が自分と同じ神候補であると知り、彼を英雄視するようになる。以降は、メトロポリマンに憧れを抱き赤の矢で整形外科医を魅了し、美容整形と筋肉トレーニングを繰り返し、赤の矢がなくても女性が魅了されるような美男子へと変貌を遂げた。しかし、他人と関わる機会が少なかったためコミュニケーション能力や感情表現が不自然な様子がある。

整形の過程でメトロポリマンの正体が奏だと独自で突き止めており、彼と接触し自ら下僕になることを志願する。奏の役に立つため、赤の矢を用いた調査の末に七斗が神候補だと突き止め彼の自宅を襲撃、妻子を拉致して明日と七斗をおびき出した。しかし、遅れてやってきた咲に赤の矢を刺され、彼女を守る為に奏から離反し明日と共に奏の部下達と戦闘を繰り広げる。奏の部下・冬子との戦闘の際、明日と咲を庇い冬子の持っていた「人体を溶かす薬品」が注入され死亡。肉体が溶けていく中、初めて恋という気持ちを教えてくれた咲に対し「幸せだった」と感謝を述べながら満足げに息を引き取った。

バルタ

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