CYBORGじいちゃんG(Gちゃん)のネタバレ解説・考察まとめ

『CYBORGじいちゃんG』とは、土方茂(小畑健)による全31話の日本のギャグ漫画。集英社の『週刊少年ジャンプ』にて、1987年と1988年の読みきり掲載を経て1989年に連載された。天才科学者壊造時次郎(かいぞうときじろう)が農作業用サイボーグとなって困っている人を助けたり、ライバルの悪の科学者社礼頭毒郎(しゃれこうべどくろう)と戦っていく姿をコミカルに描いている。土方茂は後のヒットメーカー小畑健のペンネームであり、初の連載作品となった。

『CYBORGじいちゃんG』の概要

『CYBORGじいちゃんG』とは、土方茂による全31話の日本のギャグ漫画。単行本は全2巻。集英社の『週刊少年ジャンプ』にて、1987年と1988年の読みきり掲載を経て1989年に連載された。老人のサイボーグが主人公という異色の作品で、ハイテンションで様々な珍騒動を引き起こしていく痛快アクションギャグコメディー。
天才科学者壊造時次郎(かいぞうときじろう)は、ある日自らを強力な農業用サイボーグへと改造、農作業用サイボーグ・サイボーグじいちゃんGとなって困っている人を助けたり、ライバルの悪の科学者社礼頭毒郎(しゃれこうべどくろう)やその手下や悪人と戦う。Gちゃんがギャグ一辺倒でハチャメチャな活躍をする物語だが、サイボーグ同士のバトルやただドタバタするだけではなく、Gちゃんの妻への愛情や、息子夫婦や孫のために頑張る姿を描いた人情物語やシリアスストーリーがあるのが特徴の作品。特に連載終盤は、それまでのギャグ路線からは一変してシリアスとバトルが所々にギャグを交えながら展開されていった。
原作者の土方茂は、代表作に2003年に第7回手塚治虫文化賞新生賞受賞した『ヒカルの碁』や、2006年に日本のメディア芸術100選マンガ部門入賞した『DEATH NOTE』などが代表作となったヒットメーカー小畑健である。本作は、高校2年時に投稿して佳作入賞した作品であり、当時同じく漫画家であるにわのまことのアシスタントとして『THE MOMOTAROH』の執筆支援を行いながら、同時並行で描いた作品である。小畑にとって本作が連載デビューとなった。

『CYBORGじいちゃんG』のあらすじ・ストーリー

CYBORGじいちゃんGの誕生

ある町に住む壊造家一家。39歳の壊造英一(かいぞうえいいち)は壊造家の主人。父である時次郎(ときじろう)の長男で、元々は農業を営んでいたが上京してサラリーマンになっている。その妻、壊造優(かいぞうゆう)は壊造家の36歳の主婦。美人だが涙脆い性格で、英一や子供たちのことを深く愛している。壊造哀(かいぞうあい)は壊造家の15歳の長女で心優しい娘だが口が悪い。壊造敬(かいぞうけい)は11歳の壊造家の長男で、元気な小学生だったがグレてしまう。そんな幸せに暮らす一家がある朝、70歳の農夫でおじいちゃんである壊造時次郎(かいぞうときじろう)の部屋を訪れると、なんと時次郎は自らを農業用サイボーグに改造し、CYBORGじいちゃんGとして生まれ変わっていた。趣味は盆栽いじりと改造手術、愛用の煙草の銘柄はエコーという時次郎は農夫でありながら天才科学者であり、その年齢から農作業が大変だったため農作業用のサイボーグになっていたのだ。こうしてサイボーグとしての体パワーを手に入れた時次郎は、「じいちゃん」と呼ばれるのが嫌で自らを「Gちゃん」と呼び、名前も壊造時G郎となっていた。
ボディにはガトリング砲やレーザー砲・丸鋸やミサイル等、様々なカラス撃退用の装備が内蔵されている。またGちゃんは、平成ガンテツ号という農作業用サイバードッグも開発する。平成ガンテツ号は、Gちゃんの武器に変身するだけでなく、ジェットスキー・サブマリン・ガンテツカーやどんなメカにも変形できるが、老い先が短いのと視力の老化が弱点。「シッシッシッ」と鳴き、回想する時は「もわんもわん」という擬音が鳴る。連載後期には完全な二足歩行となった。
人情に弱く、困った人を見逃せない性格のGちゃんは、この平成ガンテツと共に、次々と町の人のトラブルや困りごとを解決していく。しかし警官を成敗して強盗を助けてしまったり、住宅地の道路を畑に変えてしまったり、ちょっとした怪我でもサイボーグ化してしまったりと、間違った方向に行き過ぎてしまうトラブルメーカーとなっていた。歯止めの利かない身勝手で自分本意な行動とサイボーグパワーで世間を引っ掻き回す存在として活躍するのであった。

サイバーメタル・アイアンばあちゃんQの復活

壊造喜由(かいぞうきゆ)ことサイバーメタル・アイアンばあちゃんQは、時次郎の妻である。若き日に許嫁であった、時次郎の上司でありライバルでもある社礼頭毒郎(しゃれこうべどくろう)からのプロポーズを拒み、時次郎と共に農業をして生きていく事を固く決意して結婚したのであった。
時次郎を真摯に愛する良き伴侶であり、これまで幸せな家庭を築いていた。家では誰もが恐れる老婆であったが、 68歳の時に餅を喉に詰まらせ、慌てて外に出た所で車に撥ねられて、搬送先の病院で不死の病を患っている事を告げられてショック死するという壮絶な死を遂げてしまった。そうして10年後、10回忌の際にGちゃんは喜由を20歳当時くらいの姿で復活させる事を試みる。Gちゃんは改造手術を始めたが、その際ガンテツが手術装置の一部を破壊してしまい、プログラムがおかしくなってしまう。さらにGちゃんが開発した復活装置がサイバーメタルとヘヴィーメタルを混同していたこともあり、喜由はヘヴィメタ改造人間婆さんこと、サイバーメタル・アイアンばあちゃんQとして復活したのであった。
復活した喜由は、ヘヴィメタのように体の各所にトゲ付きリングが付いており、エレキギターを担いで事有るごとに大音量で般若心経をメタル調で歌うのであった。後にガンテツの改造手術によって、不完全ではあるが若いころの時次郎に負けず劣らずの美女であるヤング・バージョンに変身することができるようになり、性格と口調も変わるようになったのであった。

Gちゃんの敵たち

サイボーグとなったGちゃんは、次々と悪者を倒して町の平和に貢献する。
英一が通っている自動車教習所の悪辣な教官である鬼教官は、自称教習所の実力No.1教員で、最優秀教官賞、ベストガイ・ダンサー賞、ドライブ・アカデミー賞などの勲章を胸に着け威張っている。生徒が抵抗できないことをいいことに苛め抜く卑劣漢であり、常に鉄鞭を携えている乱暴者である。そこに愛車のチキチキバンバン号で教習を受けに来たGちゃん。早速鬼教官はGちゃんを苛めにかかるが、ことごとく失敗し、改造車に乗り込んでミサイルで吹き飛ばそうとする。しかしそれをGちゃんに打ち返されて爆発に巻き込まれ失神した。教習所所長からも呆れられるほど人望が無かった鬼教官を倒したGちゃんには、即日運転免許と賞状が贈られることとなったのであった。
アルセーヌ・ブルジョワーノ・フィリップ四世は老人の家庭ばかりを狙う怪盗。一度はGちゃんに懲らしめられ、さらにGちゃんにアブラカタブラヘップリ四世と名前を間違って呼ばれたことにも怒っていた。ゴキブリ型パワードスーツを着込みGちゃんに復讐を目論むが、老婆を足蹴にしたことでGちゃんの怒りを買って叩きのめされ、「お年寄り怖い」と恐怖の言葉を残し足を洗うことになった。その後は山田一太郎と名を変えて更生するのであった。
もうろく怪獣ジジラは、66年に一度現れる巨大怪獣。腹部の吸い取り袋により、吸い込んだ人間の若さを吸収して老人にし、ジジラ自身が若返って凶悪怪獣ジジラとなる。自分の身長の6倍近い高さの東京タワーを引っこ抜いて杖にして平然と歩き、前回出現時の1923年には関東大震災を起こした張本人である。東京を破壊しつくすが、ヤング・バージョンとなったGちゃんにより倒され、元のもうろく怪獣に戻り南海の孤島に帰ったのであった。
坂本先生は、哀が通う中学の新任の理科教師。生活指導担当で、狭量な性格の持ち主として自らの身体をサイボーグ化し生徒を暴力で支配しようとした。右腕は麻酔入りの巨大注射器、目は0.3mm単位のズレも見抜くウルトラアイになっている。生徒に暴力を振るっていることを知って駆け付けたGちゃんは、サイボーグボディを溶融してかっこ悪いボディに移し替えたのであった。
オマルコ=モーロはイタリア出身のサイボーグ盗賊。身体の各部位をイタリアの観光名所を模したオブジェにしている。先祖であるマルコ・ポーロの著書「東方見聞録」の大ファンで、日本を黄金の国と勝手に思い込んで来日した。Gちゃんの金歯をつけ狙うが返り討ちにされ、逆に体中にため込んだ黄金を全部奪われてしまった。
こうしてGちゃんは数々の敵をやっつけて、平和な世界に貢献するのであった。

社礼頭毒郎との対決

Gちゃんのライバルである社礼頭一家の社礼頭毒郎は、軍事用兵器サイボーグを開発しようとして世界征服を企む77歳の科学者である。元々は陸軍技術研究所の技師でGちゃんの上官。大学時代は天才と呼ばれ、卒業後旧日本陸軍技術研究所に所属していた。社礼頭毒郎に匹敵する才能を持っていたGちゃんは、その部下として引き立てられて昇進した関係である。技術研究所で2人は改造人間の研究を行なっていたが、その用途について社礼頭は、飛行に特化する、双頭である、砲を持つ等といった兵器としての軍事用途を掲げたのに対して、時次郎は農作業や身体の不自由の補助等人を救う用途に使うべきと主張して意見が衝突する。
また、後に時次郎の妻になる喜由は、社礼頭の許嫁であったが、時次郎の事を好きになってしまう。こうして確執が生まれ、社礼頭によって時次郎は全身が装甲され、片手がドリルで片手がクリップアームとなった軍事用改造人間に改造されかけてしまい、陸軍を去ることになった。この際左腕をサイバーアームにされ、事実上隻腕となってしまったのであった。こうして時を経て、今永遠のライバルである社礼頭がGちゃんに立ちはだかり、再びバトルを繰り広げて毎回返り討ちにあうのであった。
最終決戦ではGちゃんが誤って捨てた若返り薬「強力若人G」を拾って飲んだことで社礼頭は覚醒する。鼻息や瞬きの風圧で高層ビルを倒壊させ、地団太を踏んだだけで新宿区全体を揺らす等の凄まじいパワーを手に入れた社礼頭。更に奥の手として、全身の排気口から暴風を放ち人工的に竜巻を作り出す等の技を繰り出す。こうしてGちゃんを追い詰めたが、エネルギー切れを起こしたGちゃんに喜由が、「あなたが老いたのなら私も老いたままでいい」と告げて自分のエネルギーを分け与えて復活。またしても社礼頭は返り討ちにあうのであった。こうして元のバカな老人に戻った挙句サイバーボディを失い、ゼンマイ動力とゴム動力で50馬力という劣悪な性能の「はたらくサイボーグ社礼頭」に成り果てた社礼頭は、東京の復興に従事することとなるのであった。

『CYBORGじいちゃんG』の登場人物・キャラクター

壊造一家

壊造 時次郎(かいぞう ときじろう) / サイボーグじいちゃんG

本作品の主人公。天才科学者にして作物を愛する農夫でもある老人。ある日世界で一番の農夫となる為に自らをサイボーグ化し、サイボーグじいちゃんGとなる。大学時代は天才と呼ばれ、卒業後旧日本陸軍技術研究所に所属。ボディにはガトリング砲やレーザー砲、丸鋸やミサイルなど、さまざまなカラス撃退用の装備が内蔵されている。困った人を放っておけない性格で、多くの人に手を差し伸べるも却って振り回してしまうことがほとんど。趣味は盆栽いじりと改造手術。総入れ歯である。愛煙家であり、愛用のタバコの銘柄はエコー。いずれは家族全員をサイボーグにして、世界一の農業家族を作ることが夢。

壊造 喜由(かいぞう きゆ) / サイバーメタル・アイアンばあちゃんQ

時次郎の妻で、10年前に餅をのどに詰まらせ、慌てて外に出た所で車にはねられ、搬送先の病院で不死の病を患っていることを知りショック死するという壮絶な死因にて一度亡くなっている。家族の誰もが恐れる老婆だった。壊造時次郎の手によってサイボーグ・サイバーメタルバアちゃんQとなり蘇った。時次郎のことを真摯に愛している。

平成ガンテツ号(へいせいガンテツごう)

サイボーグじいちゃんGが乗る犬が平成ガンテツ号。

Gちゃんが作った、スーパー農作業用サイバードッグ。Gちゃんの武器に変身するだけでなく、ジェットスキー、サブマリン、ガンテツカーやはたまたテーブル胡椒等、どんなメカにも変形できるが、老い先が短いのと視力の老化が弱点である。当初は四足歩行であったが、連載後期では完全な二足歩行となる。

壊造 敬(かいぞう けい)

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