宗像草太（すずめの戸締まり）の徹底解説・考察まとめ

宗像羊朗（むなかた ひつじろう）

祖父。現在は入院しており、閉じ師としての仕事はほぼ草太に任せている。草太はイスにされてしまったことを「爺さんをガッカリさせる」とかなり気にしており、厳しい祖父として認識されていたことがうかがえる。

宗像羊朗（すずめの戸締まり）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

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宗像羊朗（むなかた ひつじろう）とは、『すずめの戸締まり』（すずめのとじまり）の登場人物で、地震を生み出す力の奔流“ミミズ”を封じることを役目とする閉じ師の一族の老人。
主人公岩戸鈴芽と共に旅をする宗像草太の祖父で、彼からは厳格な師のような存在として敬意と苦手意識を同時に抱かれている。病か老衰かその両方か、自分では起き上がることもできない状態にあり、現在は入院中。閉じ師としての役目を果たすことに強い使命感を持ち、草太が新たな要石となった時も一族の運命として割り切ろうとしていた。

芹澤朋也（せりざわ ともや）

共に教師を目指していた大学の友人。閉じ師のことはまったく知らず、教員試験を放り出してどこかに出掛けたきり帰ってこない草太に対し、「何やってんだ」との怒りと心配を同時に抱く。
軽そうな見た目に反して意外と友情に厚い人物で、鈴芽が「草太を助けたい」と言って宮城に連れていってほしい旨を訴えた時は、「何か事情がある」と察して何も聞かずにそれを了承した。草太から2万円借りているが、なぜか彼の部屋にいた鈴芽に対してはそれを言い出しがたかったのか、「自分が草太に2万円貸した」ことにしていた。

芹澤朋也（すずめの戸締まり）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

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芹澤朋也（せりざわ ともや）とは、『すずめの戸締まり』（すずめのとじまり）の登場人物で、閉じ師である宗像草太の友人。
銀縁の眼鏡にピアスと、見た目はいかにも今風の大学生。東京の大学に通い、草太と共に教師を目指して勉強を続けてきた。その草太が教員試験の会場に表れず、4年間を不意にしたことに「何やってるんだ」と怒りと戸惑いを感じている。なぜか草太の部屋にいた見知らぬ高校生の岩戸鈴芽が、「草太を助けたい」と言うのを聞いて、彼に何かあったのだと察して全面的に協力する。80年代の懐メロが趣味である。

ダイジン

鈴芽が抜いてしまった要石が姿を変えた存在。無邪気で子供っぽく、自分に優しくしてくれた鈴芽に懐き、彼女の近くにいる草太に要石としての役目を押し付けて子供用のイスと融合させる。
草太を要石にしたことを別にすれば、特に悪質な存在ではなく、「優しくしてくれた鈴芽とずっと一緒にいたい」と考えて行動している。人の善性を喚起させる福の神のような力を持っており、作中で草太と鈴芽の旅が不自然なほど多くの人の善意に支えられていたのは、ダイジンが彼らの周囲で活動していたためだと思われる。

ダイジン（すずめの戸締まり）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

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ダイジンとは、『すずめの戸締まり』（すずめのとじまり）に登場するキャラクターで、人語を操る白い子ネコ。
災害を発生させる力の奔流を封じる要石が姿を変えた存在であり、自分を解放してくれた岩戸鈴芽を慕う。鈴芽とずっと一緒にいるために、その近くにいた宗像草太をイスと融合させ、要石としての役目を押し付けた。鈴芽と草太をミミズが暴れる場所へと導き、協力した気になっていたが、鈴芽に「お前なんか好きじゃない」と言われて意気消沈。なお鈴芽の力になろうと奮闘し、最後は要石へと戻っていった。

宗像草太の名言・名セリフ／名シーン・名場面

鈴芽「そのAIあんまり賢くないから」 草太「なんだと鈴芽さん！」

神戸でベビーシッターを頼まれた鈴芽が、初めての子供の世話に振り回されてヘトヘトになっているのを見た草太は、「鈴芽以外には子供しかいないなら大丈夫だろう」とイスの姿のまま動き回り、子供たちの世話を手伝おうとする。この時うっかり言葉をしゃべってしまった草太のことを、鈴芽が「AI搭載の最新型のオモチャ」だと説明すると、子供たちは「音楽をかけて」と無茶ぶりを要求。咄嗟に鈴芽が見出しの言葉を伝えると、草太はムキになって言い返す。

『すずめの戸締まり』は全体的にシリアスな作品で、明確に笑いを取ろうとしてくる場面はかなり少ない。このシーンはそんな中にあって非常にコミカルな演出が取られており、これまでの緊迫した展開から解放されて思わずクスッと笑ってしまう。
鈴芽と草太の距離感が今まで以上に近づいているという意味でも、物語のターニングポイントとして見逃せない場面となっている。

「嫌だ、死にたくない！」

ダイジンによって、自身が新たな要石にさせられてしまったことを知った草太。少しずつ自我と意識が薄れていくのを実感し、ダイジンの話が真実だと悟った草太は、いずれ自分が死も同然の状態のまま永遠にも等しい時を過ごすことになると察して恐怖する。
閉じ師の役目を果たせないまま散る無念。教師になるという夢を叶えられない未練。いつしか特別な異性として意識するようになっていた鈴芽への想い。全てを1人で抱えたまま、それを鈴芽にも明かさないまま、草太は何百万という人々を救うために要石と化していく。

見出しのセリフは、その際に草太が胸の中で密かに発していたものである。草太の責任感の強さ、それでもなお抑えられない死の恐怖、そしてそれらを鈴芽に決して悟らせまいとする優しさ。常世に赴いて草太を助けようとした鈴芽は、完全に要石と化した彼を引き抜こうとした際にその心情を理解し、「彼はこんなに苦しんでいたのか、それに気付くことも支えてあげることも自分はできなかったのか」と涙する。
草太というキャラクターの持つ様々な魅力が詰まった名セリフであり、その心情を巡る鈴芽とのやり取りもまた見応え十分な、作中のクライマックスの1つである。

「ありがとう」

鈴芽によって要石としての役目から解放され、現世へと帰還した草太。真面目な彼は、「宮城から東京までの後ろ戸の状態を確認していく」として、再会を約した上で、叔母と一緒に宮崎へと帰る鈴芽といったん別れることを選ぶ。
その別れ際、駅まで見送りに来てくれた鈴芽を抱き締めると、草太は万感の思いを込めて見出しの言葉を送る。そこには感謝や敬意だけでなく、きっと自分のために常世にまで来てくれた鈴芽に対する愛情もまたあったはずである。

新海誠作品のカップルはビターな終わり方を迎えるものが少なくなく、本作もどのような形で2人の関係が決着するのか、公開前から話題になっていた。果たして蓋を開ければ、草太と鈴芽はどちらも生き残った上で想いを通い合わせ、無事に再会を果たすこととなる。
新海誠作品にしては珍しいほど正統派で完全無欠なハッピーエンド。エンターテイメントかくあるべしと言いたくなるような美しい終わり方で、「良かった」と思わずにはいられない、感無量の名シーンである。

宗像草太の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

「草太の両親はすでに死亡している」説

『すずめの戸締まり』の作中に、草太の両親は登場しない。「ダイジンに呪われてイスになる」という非常事態が発生してなお、草太が頼ろうとしたのは父緒や母親ではなく祖父の羊朗だったため、少なくとも作中の時間軸の頃には2人ともいなくなった（死亡した）ものと思われる。
では、草太の両親はどうやって亡くなったのか。草太が閉じ師の一族である以上、彼らもまた閉じ師の一族のはずで、それが両方とも亡くなったとなると“閉じ師の役目を果たす中で事故に遭った”可能性が高い。

作中では鈴芽が東日本大震災の被災者であることが明かされ、これが物語全体のテーマともなっている。この世の地震の全てがミミズの仕業かどうかは分からないが、仮に「草太の両親は東北のミミズを封じようとして失敗し、直後に発生した東日本大震災によって命を落とした」とすれば、一応の辻褄は合う形となる。
メインテーマとしての東日本大震災は、鈴芽との関係がフォーカスされており、草太の両親もそこに関与していたかどうかは不明である。しかし仮に草太もまた“両親の失敗と死”という形で東日本大震災に関与していたのであれば、彼と鈴芽が出会い、日本各地のミミズを封じて回った『すずめの戸締まり』という物語に、新たな意味と魅力を感じてくるのも事実である。