コムギ（HUNTER×HUNTER）とは【徹底解説・考察まとめ】

コムギの概要

コムギとは『HUNTER×HUNTER』に登場するキャラクター。東ゴルトー共和国発祥の盤上競技「軍儀」の世界王者である。軍儀は一番強い駒「師（スイ）」を詰めば勝利という、チェスや将棋に似たルールだが、駒を三枚まで重ねられる為、立体的思考が要求されるゲームだ。コムギは三代目の世界王者として、敗け無しの五連覇を記録している。第一級隔離指定生物「キメラ=アント」の王・メルエムと軍儀をする中で心を通わせた。純粋無垢で裏表が無く、明るい性格の少女だが、軍儀には命を賭ける覚悟で臨んでおり、優れた集中力を発揮する。その腕は肩書き通りの強さを誇り、それまで各国の盤上競技の世界王者を敗北させたメルエムもコムギには敵わなかった。メルエムが心を許す唯一の人間であるコムギは、人類の支配がキメラ＝アントにとって最優先だと考える直属護衛軍・シャウアプフに危険因子と認識され、何度も殺されかけた。またキメラ＝アント討伐部隊のハンターにとっても、残虐なキメラ＝アントの王に重宝している少女がいる事は計算外であり、作中でコムギは、キメラ＝アントとハンター双方の計画を狂わせる異分子として描写された。普段は盲目の為、杖を常備している。髪型は二つ括りにし、スカートを着用。いつも鼻水を垂らしている。

コムギのプロフィール・人物像

CV：遠藤綾

生年月日：不明
年齢：不明
身長：不明
体重：不明
血液型：不明
念系統：不明
純粋無垢で明るい性格の持ち主。一人称は「ワダす」で、舌ったらずな話し方をする。天然な所があり、メルエムに「気が散る黙れ」と言われた際には、鼻が詰まっている状態で口を閉じ、息が出来ずに失神した。その一方で、十二人家族の稼頭であるコムギは、一家の足手纏になる事を防ぐ為、負けたら自決する覚悟を持って軍儀に臨んでいる。従って軍儀の際には、普段の低姿勢な物腰とは裏腹に、真剣で堂々とした佇まいとなる。普段はボサボサな二つ括りの髪型にスカートを着用。視覚障害者用の杖を常備している。

コムギの能力

普段はおっちょこちょいな性格の少女だが、軍儀においてのみ類稀なる才能を発揮する。世界王者としての腕前は確かなもので、それまで各国の盤上競技のチャンピオンを打ち負かしてきたメルエムが歯が立たない程である。盲目でありながら、軍儀の際にはしっかりと目を見開き、相手の読み駒に応じて正確に碁を打つ事が出来る。また彼女の軍儀における才能に際限は無く、対戦中も成長し続ける。メルエムとの対戦の中で覚醒し、「素晴らすい手が次々と洪水みたいに 頭に傾れ込んで来て」と語りメルエムを驚嘆させていた。対戦中に思いついた打ち筋は、実際の駒に触れて盤上に並べる事で、その全てを記憶する事が出来る。

コムギの来歴・活躍

「孤狐狸固（ココリコ）」への想い

親である女王を見捨てた産まれて間もないメルエムは、直属護衛軍と共に人間界へ赴いた。東ゴルトー共和国の首都・ペイジンの宮殿を占拠したメルエムは、大規模な世界侵略を行うにあたり、意のままに操れる人間兵器を用いることにした。その方法は、建国記念大会と称して集めた国民に対して攻撃を与え、生き残った者をキメラ＝アントの兵士として利用する「選別」である。メルエムは大会が開催されるまでの間、余戯としてチェス等の盤上競技のチャンピオンと勝負し、負けた者を次々と殺害していた。コムギは東ゴルトー共和国発祥の「軍儀」という盤上競技のチャンピオンとしてメルエムと対戦する為、宮殿へと招かれた。盲目のコムギは、対戦相手が国王だと認識しており、丁重に挨拶をした。その後もコムギは喋り続けるが、メルエムは軍儀のルールを覚えている最中だった為「気が散る黙れ」と遮った。メルエムがルールを覚えた時、コムギは鼻が詰まっているにも関わらず口を閉じた為に失神していた。蟻の王を前に天然な姿を見せるコムギだが、いざ対局が始まると、その場の空気は真剣なものへと変わった。

歴戦の盤上競技の世界王者を打ち負かしてきたメルエムに、コムギはいとも容易く勝利していく。その後もコムギが負ける事は無く、対局は何度も続けられた。メルエムは対局を続ける中で「離隠（ハナレガクシ）」という独自の打ち筋を構築した。その時、それまで一定のリズムで打っていたコムギの手が初めて止まった。一呼吸を置いてコムギが次の一手を繰り出し、メルエムの詰みとなる。メルエムはコムギに対し、「離隠」の戦術が、既に勝ち目の無い打ち筋「死路」である事を分かっていたにも関わらず、手を止めて考えた理由について問いただした。コムギはメルエムが考えた「離隠（ハナレガクシ）」は、「孤狐狸固（ココリコ）」というかつて自分が編み出した技であったと語り始めた。コムギは過去に「孤狐狸固（ココリコ）」を戦術として考え、流行を作った。しかし相手が「孤狐狸固（ココリコ）」を使ってきた際、それを返り討ちする手に気づいた事で「孤狐狸固（ココリコ）」は人々の間で使われなくなった。メルエムが自分と同じ戦術を生み出し、それを再度自らの手で消してしまう葛藤がコムギのリズムを変えたのである。コムギが胸の内を明らかにすると、メルエムは「下らぬ」と吐き捨て、休憩を設けた。

軍儀への覚悟

次局でコムギは、メルエムから「其方が負けたら 左腕をもらう」と賭けを提案される。メルエムの脅迫対してコムギは物怖じせず、自分の命を賭けると返答した。驚くメルエムはコムギに理由を訊いた。十二人家族の稼頭であるコムギは、世界王者といえど一度でも負けると家族一番の足手纏いとなると考えている。その覚悟は並大抵ではなく、コムギは棋士を目指した瞬間から敗北すれば自ら命を絶つと心に決めてきたのだ。一連の説明を聞いたメルエムは、自らの軍儀への覚悟が甘かったと認識し、「これで許せ」と自分の左腕を千切った。側にいたシャウアプフは慌ててメルエムの元へ駆け寄り、手術をしながらの対局を勧めるが断られる。返り血を浴びたコムギは「腕を…！？」と戸惑う。そのまま対局を続けようとするメルエムに対し、コムギはメルエムの怪我が治るまで打たないと言い放つ。コムギはメルエムから尻尾の針を喉元に当てられても尚、「ワダすを殺すならばどうか 軍儀で………！！」と泣きながらに対局を断った。止む無くメルエムは治療能力「玩具修理者（ドクターブライス）」を持つ直属護衛軍の一人・ネフェルピトーを呼び、施術を受けながら対局を続ける事になった。

降りかかる災難

キメラ＝アント討伐部隊のハンター達は、空間移動能力を持つノヴが仕掛けた宮殿内部の出入り口から、一斉に侵攻を開始する。時を同じくして、ハンター協会長・アイザック＝ネテロは、暗殺一族「ゾルディック家」のエリートであるキルアの祖父・ゼノと共に宮殿上空を旋回していた。ゼノは「龍星群（ドラゴンダイヴ）」を発動し、小型化させた無数の龍型オーラを宮殿全体に振り下ろした。その時、「迎賓の間」でメルエムと一緒にいたコムギは「龍星群（ドラゴンダイヴ）」によって腹部を貫かれ、意識を失っていた。メルエムは血を流すコムギを介抱し、床に仰向けにする。それを見ていたネテロとゼノは「話が随分違うじゃねェかよ」と困惑する。何故なら人類の天敵であるメルエムが、大事に扱う人間がいる事など、計画段階のハンター達にとっては知る由も無い情報だからだ。ゼノは侵攻時の「龍星群（ドラゴンダイヴ）」発動時、宮殿内部にいるのはキメラ＝アントと手練れのハンターだけであると判断して放った。その結果、コムギに命中させてしまったのである。メルエムはコムギの治療をネフェルピトーに託し、ネテロと闘う為、その場を後にした。

その約30分後、ネフェルピトーの「ドクターブライス（玩具修理者）」で治療を受ける意識不明のコムギの元へ、ゴンとキルアがやって来た。ゴンは、恩人のハンターであるカイトを異形に変えたネフェルピトーと決闘し、カイトを治療させる目的があった。しかし「ドクターブライス（玩具修理者）」を発動したネフェルピトーは、全オーラをコムギの治療に集中させなければならず、その決闘の申し込みを拒否する。キルアは、ネフェルピトーの予期せぬ対応に怒り狂うゴンを宥めた。冷静になったゴンはネフェルピトーに対し、コムギの治療を待つ代わりにカイトを治すという条件を持ちかけ、それを約束させた。コムギの存在が、ゴンとネフェルピトーに交渉の機会を与えたのである。治療が終わると、コムギは意識を取り戻した。コムギをメルエムの元へ届けたいネフェルピトーに対し、ゴンは先にカイトがいる東ゴルトー共和国の首都「ペイジン」に向かうと主張し、断ればコムギを殺害すると忠告した。ゴンはコムギをキメラ＝アント討伐部隊のナックルに託し、ネフェルピトーがカイトを治すまでの人質として利用する事にした。コムギはネフェルピトーとゴンの一連のやりとりの意味が理解できず、戸惑いを隠せない。

一方その頃、メルエムはネテロが死と引き換えに発動させた爆弾「貧者の薔薇（ミニチュアローズ）」を食らい、瀕死の重傷を負ったが、シャウアプフとモントゥトゥユピーの治癒で復活していた。しかしメルエムは、後遺症で断片的な記憶障害を引き起こしている。以前からメルエムとコムギの関係を疎ましく思っていたシャウアプフは、これをメルエムの記憶からコムギを消す好機と捉え、一足先にコムギを殺害する為に分身を宮殿に向かわせる。宮殿に到着したシャウアプフの分身達の前に、ナックルが現れるが、シャウアプフは目もくれずコムギを探しに向かう。その行動により、ハンター達は現在のキメラ＝アントの標的が元キメラ＝アント師団長・メレオロンだと認識している、とシャウアプフは推察する。シャウアプフは、その隙をついてコムギを殺害する狙いだ。

ハンター達は、シャウアプフの狙いを「メレオロン殺害」か「コムギの奪還」のどちらかを探る方針をとった。透視能力を持つハンター・パームは、地下倉庫への扉を開け、メレオロンが中にいると見せかけた。コムギはキルアに背負われて、シャウアプフの分身の前に躍り出された。コムギはシャウアプフから一直線に狙われるが、高速能力「疾風迅雷」を発動しているキルアのお陰で間一髪で免れた。そこでシャウアプフはキルアに「今すぐ彼女を解放しなさい！！」と声をかけ、コムギに自分が誘拐されているかの様に錯覚させた。目の見えないコムギは、シャウアプフの言葉でキルアに不信感を抱き、背中の上で暴れ始める。シャウアプフはその隙にコムギを殺そうと攻撃を仕掛けるが、またしても寸前の所で回避。コムギは、シャウアプフと直接対決をするキルアによって電気で眠らされた。

最期の軍儀

メルエムはネテロが放った爆弾「貧者の薔薇（ミニチュアローズ）」により毒を患い、死期が迫っていた。それを知っていたキメラ＝アント討伐部隊の一人・パームは、コムギを安全の為に、メルエムが死ぬまで地下倉庫に隠す方針をとる。しかし最期の時をコムギと過ごしたいというメルエムの想いを告げられたパームは、王からの直談判を受け入れた。コムギは、諸外国との連絡役としてキメラ＝アントに利用されていたビゼフ長官の地下私有地の一宅で、メルエムと軍儀をする事になった。コムギは嬉々として対局を始めると、唐突に「死路」である筈の「弧狐狸固（ココリコ）」の戦術を打った。メルエムは自分が必ず勝てる戦法をとったコムギに対し、「余を愚弄するか…？」と怒りを露わにした。それに対しコムギは動揺の一つも見せずに「ワダす軍儀でふざけた事ないです」と返事をし、対局は続く。

メルエムが繰り出した次の一手でコムギは、詰みとなる筈だった。しかしコムギが駒を置いた瞬間、メルエムは「弧狐狸固（ココリコ）」に新たな活路がある事を知り、新しい戦法を潰す新しい一手「逆新手」を思いつき、即座に打った。その時、コムギは涙を流し「ワダすが……こんなに…幸せでいいのでしょうか？」と号泣していた。それを見たメルエムは、コムギに毒を患っている事を告げる。毒による感染を危惧するメルエムに対して、コムギは「逆新手返し」を打ち、「不束者ですが お供させてください」と発言。自らの命を顧みず、最期までメルエムと軍儀を続ける覚悟を示した。その後、対局を続けるコムギとメルエムに死の影が見え始める。メルエムは薄れゆく意識の中でコムギに感謝を告げた。コムギはメルエムの手を握り、「おやすみなさい…メルエム…」と声をかける。その時、既にメルエムは息を引き取っており、コムギは優しく微笑みながら、自らの死を待った。

コムギの関連人物・キャラクター

メルエム

CV：内山昴輝

生年月日：不明
年齢：不明
身長：不明
体重：不明
血液型：不明
念系統：不明
第一級隔離指定生物「キメラ＝アント」の王。極めて残虐な性格をしており、自分以外の生物を餌であると認識している。生れながらにして蟻の王としてのプライドを持ち、自らに対して虚偽や無礼を働いた者には死をもって償わせる。メルエムを産んだ蟻の女王は、捕食した生物が持つ遺伝子を次世代に反映させる摂触交配を行なっていた。その為、人間と同じ様に生命エネルギーを自らのオーラとして自在に操る「念能力」を備えている。また念能力者を「レアモノ」と称して好んで食し、食べた生物のオーラを自分の物として取り入れる事が出来る。念系統は不明だが、メルエムが発するオーラの圧は凄まじく、そのオーラに接したキメラ＝アント討伐部隊のハンター達に絶望を植え付ける程である。念能力の応用技「円」についても、並のハンターとは比べ物にならない。メルエムは宮殿襲撃時に閃光の様な速度の「円」を宮殿の周囲にまで広げ、潜伏していたハンター達の位置を把握した。念能力に加え、基礎身体能力も高く、尻尾を活かした首の切断や跳躍を得意とする。頑丈な皮膚を持ち、ハンター協会長にして最強の念能力者であるネテロの渾身の一撃「百式観音・零の掌」を食らってもなおメルエムは肉体の形状を保っていた。人間を食糧以外の価値の無い下等動物であると蔑んでいたが、コムギとの軍儀を通して価値観が変わり、徐々に人間に対しての残虐性は失われていった。メルエムはコムギとの軍儀の時間を、何にも代え難い大切なものとして認識している。

ネフェルピトー