デリング・レンブラン（水星の魔女）の徹底解説・考察まとめ

デリング・レンブランの概要

デリング・レンブランとは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の登場人物で、MS産業の世界最大手であるベネリットグループ総裁にしてアスティカシア高等専門学園の理事長を務める人物。
かつては軍人で、いくつもの戦場を経験してきた。ドローン兵器全盛の戦場を戦い抜いていくに従い、「人を殺すのは人でなければならない」との信念を抱くようになる。

その後人型機動兵器MS（モビルスーツ）産業の大手グラスレー・ディフェンス・システムズに拾われてその幹部になると、この頃ヴァナディース機関で開発の進んでいた新型MSガンダムに注目。これには義肢などに用いられるGUND（ガンド）技術を応用して機体を動かすシステムが組み込まれており、「人間の感覚で18メートルのMSを動かす」違和感に耐えられずパイロットを廃人にする危険性を秘めていた。グラスレー社を含むMS産業の大手から成るMS開発評議会は、自分たち以外の者が新たな技術革新を起こす可能性を潰す意味もあり、「ガンダムは危険なMSである」とのレッテルを貼ってこの研究を中止に追い込むことを決定する。
もともと自身の信念から「人間に人間以上の力を与える」ガンダムという存在そのものを忌避していたデリングは、これを利用してその研究データの全てを完全に抹消することを画策。ただ無力化して制圧するだけだったはずのヴァナディース機関のラボに特殊部隊を送り込み、研究員のほとんどを殺害する。MS開発評議会のメンバーたちはこれに驚愕するも、すでに起きてしまった以上表向き隠蔽するしかなく、公になれば社会的に致命傷にもなる秘密をデリングとむりやり共有させられることとなる。

デリングはこれを利用して狡猾に立ち回り、10年ほどが経過した頃にはMS開発評議会から名を変えたベネリットグループの総裁に収まる。しかしその強引な手法はグループの内外に敵を作り、暗殺計画までもが進められていた。
ベネリットグループが運営しているアスティカシア高等専門学園の理事長も務めており、学生たちの競争意欲を高めるためか、学園内の揉め事をMSでの模擬戦で決着させる「決闘」というシステムを導入。どのような無理難題でも決闘に勝ちさえすれば押し通せるため、娘のミオリネ・レンブランがベネリットグループの有力会社ジェターク・ヘビー・マシーナリーの御曹司グエル・ジェタークとむりやり婚約させられる事態となった。ミオリネはこれに強く反発して父を毛嫌いし、学園からの脱走を図るようになるも、デリング自身は一切気にしていない。

デリング・レンブランのプロフィール・人物像

肩書き：ベネリットグループ総帥兼アスティカシア高等専門学園理事長

CV：内田直哉

元軍人らしく峻厳で実直、剛毅果断な性格。目的に向かって物事を最短距離で推し進め、必要とあればいかなる犠牲をも厭わない苛烈な人物。それだけに敵は多く、テロに見せかけた暗殺計画までもが進められるほど。

決闘システムによって好きでもない相手との婚約が決まってしまったミオリネは父のことを毛嫌いしており、デリングの側も彼女に対してなんら情のようなものを抱いていない。妻とはすでに死別しており、ミオリネによれば葬儀にも顔を出さなかったらしい。

デリング・レンブランの来歴・活躍

軍人として得た信念

軍人として世界各地の戦場を渡り歩く。デリングが軍人として活動していた頃、ドローン兵器が全盛期を迎えており、無人兵器の無慈悲さとそこから生まれる悲劇を目の当たりにし続ける。この結果、「人を殺すのは人でなければならない。人が人を殺すからこそ罪の意識が生まれ、そこに抑止力が生まれる」との信念を抱くようになる。

軍人としての長い活動が評価され、MS産業の大手グラスレー・ディフェンス・システムズに拾われてその幹部となる。折しも同社を含むMS大手から成るMS開発評議会では、義肢に用いるGUNDという技術を利用した新型MSガンダムが槍玉に上がっていた。これは人間の身体感覚の延長として機体を操れる画期的なものではあったが、パイロットがその違和感に耐えられずに廃人になる危険性を秘めていた。
MS開発評議会はこれを問題視し、「自分たち以外が革新技術を生み出すのはおもしろくない」との想いもあり、ガンダムの研究開発を進めるヴァナディース機関を解散させることを決定する。

ヴァナディース機関の惨劇

「人を殺すのは人でなければならない」と考えるデリングにとって、ガンダムの存在はその信念に真っ向から反するものだった。MS開発評議会の対応は手緩いと考えたデリングは、密かに手を回してヴァナディース機関に特殊部隊を送り込み、研究員の虐殺という形でガンダムの開発を中止に追い込む。
これはMS開発評議会側からしても驚愕の事態ではあったが、今さら無かったことにもできず、事実を隠蔽することしかできなくなる。MS開発評議会のメンバーに「公になれば社会的に致命傷ともなる秘密」をむりやり共有させたデリングは、これを利用して狡猾に立ち回り、やがてベネリットグループと名を変えた同組織の総帥へと上り詰める。その経営手腕は間違いなく優秀ではあったが強引極まりなく、組織の内外に様々な敵を作っていく。

同時にアスティカシア高等専門学園の理事長にも就任し、同学園に「決闘」というシステムを設ける。これは“生徒同士の揉め事をMSでの模擬戦で決着させる”というもので、勝ちさえすれば相当な無理難題でも押し通せるというものだった。
これを利用する形で、ベネリットグループの有力会社ジェターク・ヘビー・マシーナリーの御曹司グエル・ジェタークが、娘のミオリネ・レンブランと婚約することとなる。ミオリネは勝手に自分の運命を決められたことに反発し、地球への脱走を企てるようになるも、デリング自身は娘の婚約にも彼女がその境遇を嫌がっていることもまったく意に介さず、それについて報告した秘書に「つまらないことで私を煩わせるな」と語っている。

水星から来た呪いのMS

ある時、アスティカシア高等専門学園に水星圏からスレッタ・マーキュリーという少女が編入。彼女は自身が持ち込んだMSガンダム・エアリアル（以下エアリアル）でグエルとの決闘に勝利し、ミオリネの新たな婚約者となってしまう。
実はスレッタはヴァナディース機関の生き残りで、彼女のMSこそは改装を施したガンダムに他ならなかった。エアリアルに禁止技術（＝ガンダム固有のシステム）が使われていることを知ったデリングは、スレッタを独房に叩き込んだ上で同機を解体処分することを決める。それを正式に決定するため、ベネリットグループの査問会にエアリアルを作ったシン・セー開発公社の代表であるプロスペラという女性を呼び出す。

プロスペラは「エアリアルは我が社の新型ドローン兵器を搭載した機体で、ガンダム（のシステムを使った機体）ではない」と語り、デリングの追及をかわす。シン・セー開発公社もまたベネリットグループの末席に位置する会社であり、グループ内に新型ドローン兵器の技術を提供する用意がある旨をプロスペラは説明。少なくない幹部たちがこれに興味を持つも、デリングは「私がガンダムだと決めた以上、あの機体はガンダムだ」と強弁して査問会を打ち切ろうと図る。
ここにミオリネが現れ、「彼女は自分の力でその座を勝ち得たのだから、スレッタを自分の婚約者と認めて解放しろ」とデリングに要求。彼女はデリングに自分の運命を決められることにも、何も知らないまま必死に自分を助けようとしてくれたスレッタを見捨てることにも強く反発。どうしても自分の意見を受け入れないなら、デリングが自ら定めた決闘というルールで決着を付けようと言い出す。ヴィム・ジェタークを始めとするグループ幹部の意見もあり、デリングは渋々娘の提案を飲むこととなった。

ミオリネの新会社

密かにデリングに反旗を翻す機会をうかがっていた御三家は、彼が躍起になって否定しようとしている“ガンダム”に目を付ける。新規事業者への出資者を募るインキュベーション・パーティーという催しで、「エアリアルがガンダムである新たな証拠が見つかった」と大々的に発表し、彼の反応を見ようというものだった。
しかしこれが実行され、デリングが反応する前に、スレッタとエアリアルを再び救おうとミオリネが動き出す。彼女は「エアリアルは優秀な機体であり、“ガンダムである”という理由で壊すのはもったいない」と主張し、その研究・開発・販売を目的とする新会社の設立を宣言し、エアリアルの処分に待ったをかけようとする。

まだ学生でしかないミオリネに出資しようという者はまったくいなかったが、これを見た彼女は忌み嫌うデリングに頭を下げ、「あなたの信用を貸してほしい、私の会社に出資してほしい」と頼み込んでくる。デリングは「お前が考えている以上にガンダムの呪いは重い」と意味深な言葉を口にしつつ娘の頼みを受け入れ、これを見た会場の資産家たちも「デリングが金を出すならそれなりに信用できそうだ」と次々出資。目標金額を集め、無事に新会社を起ち上げる。
同時に、“最終的にデリングがガンダムを容認する側に立った”ことを確認した御三家は、彼の真意についてなんらかの確信を得るのだった。

デリング抹殺計画

株式会社ガンダムは少しずつまともな会社らしい形で回り始め、ミオリネたちは仕事に忙殺される。デリングは最大の出資者として、その経営状況の報告を受ける権利を行使し、ミオリネを幾度となく呼び寄せて厳しくチェックを行う。ミオリネは父譲りの優秀な商才を発揮しており、時に経営戦略上の細かな指摘や修正を命じることもあったが、その仕事ぶりはデリングも概ね認めるほどのものだった。仕事上の淡泊な付き合いとはいえデリングとの交流の機会を得たミオリネは、「認めるべきは素直に認める」というデリングの姿勢を見て、彼への評価を少しだけ改める。
しかし「デリングが本心ではガンダムの存在を肯定しようとしている」ことを知った御三家の重鎮たちは、もはや彼にベネリットグループを任せてはいられないとして、その抹殺計画を進めていく。

地方のコロニー「プラント・クエタ」に向かったデリングは、そこでプロスペラと「クワイエット・ゼロ」という計画について話し合う。デリング曰く、デリングは「今は自分の計画」だと語り、プロスペラは自身がかつて彼の差し金で夫や恩師を殺された“エルノラ・サマヤ”だということを明かしつつ、計画の完成のために必要だというデータを彼に渡す。
不可思議なやり取りの後、プラント・クエタを突如謎のMS部隊が襲撃。彼らはデリング暗殺計画を主導するヴィムたちが雇った、実行犯役の地球のテロリストグループだった。MS部隊の攻撃により、コロニーのCブロックが切り離される。ここにはデリングだけでなく、プロスペラやスレッタ、そして株式会社ガンダムの用事でプラント・クエタを訪れていたミオリネの姿もあった。

デリング・レンブランの関連人物・キャラクター

ミオリネ・レンブラン

娘。デリングの設けた「決闘」によって勝手に自分の運命を決められたことに反発し、父に対しては非常に辛辣。一方で母親に対しては思い入れがあるらしく、彼女が生まれた地球に行くことを夢見ている。
デリングは彼女に対して父らしいことをまったくしていないどころか父性を感じてすらいないらしく、グエルに婚約者扱いされることに辟易したミオリネが学園を脱走したと報告された際も「つまらないことに時間を使わせるな」と不満そうに言うばかりだった。

ミオリネ・レンブラン（水星の魔女）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

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ミオリネ・レンブランとは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の登場人物で、ベネリットグループ総帥デリング・レンブランの娘。
気位が高く、言動は刺々しいが、根っこのところは親切で優しい少女。デリングが勝手に決めた上級生グエル・ジェタークとの婚約に嫌気が差し、この境遇から逃れることを考えていた。自身を賭けた決闘でスレッタ・マーキュリーがグエルに勝利し、彼女が自分の新しい婚約者になると、「勝手に決められるよりはマシ」とこれを受け入れる。女性同士であることは「地球圏では全然アリ」と特に気にしていない。

スレッタ・マーキュリー