ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』とは、1868年出版のルイーザ・メイ・オルコットの自伝的小説『若草物語』が映画化されたもの。2019年12月に全米、2020年6月に日本公開。監督のグレタ・ガーウィグが脚本も担当。今作に挑むに当たってガーウィグ監督は、著者であるオルコットが「本当は何を言いたかったのか」という命題を深く掘り下げることに焦点を当てた。古来、女性が置かれてきた状況を顕在化することで、自分らしく生きたいと願う現代の女性へのオマージュに昇華させている。
クリスマスの朝食を貧しいフンメル家に届けるシーン。自分たちも空腹だったが、もっと貧しい人を助けるマーチ家の思いやり深さが胸を打つ。
ローレンス氏の「ピアノを弾いてくれる人はいないかね?」の言葉に応えるベス
メグが友だちのアンの社交界デビューの舞踏会に出るために旅立つ日、ローレンス氏から「ピアノを弾いてくれる人はいないか」との問いに、内気なベスが勇気を奮って「私でよければ」と申し出るシーン。ベスの口からそういう言葉が出たことに周りは驚く。母とハンナは目配せして喜んだ。
エイミー「画家になるのは私には一生ムリ。ジョーは作家になったけれど、私は挫折よ。分かったの。私は天才じゃないってね。だから画家になる夢は捨てた。どんなに努力しても凡人を天才に変えるのはムリ。三流の画家になるくらいならきっぱりやめる」
エイミーは20歳の若さで画家という職業に見切りをつけた。「画家になるのは私には一生ムリ。ジョーは作家になったけれど、私は挫折よ。分かったの。私は天才じゃないってね。だから画家になる夢は捨てた。どんなに努力しても凡人を天才に変えるのはムリ。三流の画家になるくらいならきっぱりやめる」と宣言する。好きな絵画を諦めることで、ますます富豪の結婚相手を見つける必要に迫られるので、交際相手のフレッドからのプロポーズに望みをかけている。
ジョー「メグを連れ去る男は許さない」
コンコードの海辺へのピクニックでローリーとはしゃぐジョー。エイミーが学校でムチの体罰を受けた日にローレンス家に行った際にメグが忘れた手袋を、ブルックが自分のポケットに入れていることをローリーから聞いたジョーの反応である。ジョーにとっては家族が何よりも大切だから、姉妹の誰であっても奪われることを何よりも恐れている。「メグを連れ去る男は許さない」というジョーの強気なセリフは、恐怖の裏返しでもあるのだ。
ベス「私のために書いて。あなたは作家よ。作品が売れる前から。病人を失望させないで。ママの教えどおり人のために書くの」
ベスの療養のために滞在している海辺の町のビーチでの2人の会話。ジョーの「小説はもう書けない。私の小説なんか誰も待っていないし」という言葉に対するベスの返事。「私のために書いて。あなたは作家よ。作品が売れる前から。病人を失望させないで。ママの教えどおり人のために書くの」とジョーの作家への意欲を取り戻させるためにあえて厳しい言葉を投げかけたのだ。誰のためでもなく、自分のために書くことで再びジョーの文筆意欲を喚起する気持ちが込められている。
貧しい人を助けるボランティア活動をしている母が受付に来た男性に自分のマフラーを譲ってやる
慈善事業のボランティア活動をしている母が、南北戦争で息子2人が戦死し、今からもう1人の息子を見舞いに行く途中の男性に毛布を支給する際に、自分の首に巻いていたマフラーを中に包んでやる行為に、牧師の妻としての慈悲の心が現れている。
エイミー「私は何でも『ジョーの次』だった。ジョーの身代わりなんてもうたくさんよ。絶対にイヤ。好きな人の『2番』にはなりたくないの」
パリの公園でエイミーがローリーの絵を描いている。フレッドが現在仕事でロンドンに行っているという話題が出たあとで、ローリーが唐突に「フレッドと結婚するな」と言い出す。驚いたエイミーはローリーの真意を悟り、拒絶の言葉をついに口にする。「私は何でも『ジョーの次』だった。ジョーの身代わりなんてもうたくさんよ。絶対にイヤ。好きな人の『2番』にはなりたくないの」と。今まで抑えていたローリーへの想いと、ジョーへの嫉妬心がエイミーを苦しめていたのだ。
マーチ伯母「あなたはあの家の希望よ。ベスは病気だし、ジョーは将来の見込みなし。メグは一文無しの家庭教師にお熱だしね。エイミー、あなたが姉妹を支えていくのよ。年老いた両親もね」
ベスが猩紅熱に罹り、マーチ伯母の家に預けられたエイミー。絵を描いていたエイミーを居間に呼び、「あなたはあの家の希望よ。ベスは病気だし、ジョーは将来の見込みなし。メグは一文無しの家庭教師にお熱だしね。エイミー、あなたが姉妹を支えていくのよ。年老いた両親もね」と、年長者として、貴重なアドバイスを授けるマーチ伯母のセリフ。
ジョー「世間の人が言うように結婚だけが女の幸せなんて絶対に思わないわ。なのにたまらなく孤独なの!」
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目次 - Contents
- 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の概要
- 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のあらすじ・ストーリー
- 作家になる夢を叶えたジョー
- ローレンス家との交流のはじまり
- 我が家に戻ったジョーを待ち受ける試練
- メグの結婚とジョーを取巻く大きな変化
- 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の登場人物・キャラクター
- マーチ一家
- ジョー・マーチ(演:シアーシャ・ローナン)
- メグ・マーチ(演:エマ・ワトソン)
- ベス・マーチ(演:エリザ・スカンレン)
- エイミー・マーチ(演:フローレンス・ピュー)
- ミセス・マーチ(演:ローラ・ダーン)
- ミスター・マーチ(演:ボブ・オデンカーク)
- ローレンス一家と関係者
- セオドア・ローレンス(ローリー)(演:ティモシー・シャラメ)
- ミスター・ローレンス(演:クリス・クーパー)
- ジョン・ブルック(演:ジェームズ・ノートン)
- その他の登場人物
- マーチ伯母(演:メリル・ストリープ)
- ハンナ(演:ジェイン・ハウディシェル)
- フレッド・ヴォーン(演:ダッシュ・バーバー)
- ミスター・ダッシュウッド(演:トレイシー・レッツ)
- フレデリック・ベア(演:ルイ・ガレル)
- フンメル夫人(演:サシャ・フロロワ)
- サリー・ガーディナー・モファット(演:ハドリー・ロビンソン)
- アニー・モファット(演:アビー・クイン)
- デイヴィス先生(演:ビル・ムートス)
- カーク夫人(演:メアリーアン・プランケット)
- 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の用語
- デカダンス
- 話し相手
- 従軍牧師
- ブロンテ姉妹
- お披露目パーティー
- 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- メグと行った舞踏会になじめず、ローリーとポーチで思い切り踊るジョー
- マーチ家から帰るローリーの寂しそうな姿に彼の孤独が見えてくる
- メグ「私バカよね。ジョーには言わないで。今夜楽しんだら一生堅実に生きるから」
- フレッドに会いに行くのに、エプロンのボタンをローリーに外してもらうエイミー
- ジョー「だったら自分で書いたらどう?」
- 貧しい隣家のフンメル家へご馳走を贈るマーチ一家
- ローレンス氏の「ピアノを弾いてくれる人はいないかね?」の言葉に応えるベス
- エイミー「画家になるのは私には一生ムリ。ジョーは作家になったけれど、私は挫折よ。分かったの。私は天才じゃないってね。だから画家になる夢は捨てた。どんなに努力しても凡人を天才に変えるのはムリ。三流の画家になるくらいならきっぱりやめる」
- ジョー「メグを連れ去る男は許さない」
- ベス「私のために書いて。あなたは作家よ。作品が売れる前から。病人を失望させないで。ママの教えどおり人のために書くの」
- 貧しい人を助けるボランティア活動をしている母が受付に来た男性に自分のマフラーを譲ってやる
- エイミー「私は何でも『ジョーの次』だった。ジョーの身代わりなんてもうたくさんよ。絶対にイヤ。好きな人の『2番』にはなりたくないの」
- マーチ伯母「あなたはあの家の希望よ。ベスは病気だし、ジョーは将来の見込みなし。メグは一文無しの家庭教師にお熱だしね。エイミー、あなたが姉妹を支えていくのよ。年老いた両親もね」
- ジョー「世間の人が言うように結婚だけが女の幸せなんて絶対に思わないわ。なのにたまらなく孤独なの!」
- 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 衣装デザインのジャクリーン・デュランとシアーシャ・ローナンは2度目のタッグ
- オルコットの実家「オーチャード・ハウス」を再現した家での撮影
- ローリーのモデルとなった人物は、有名な思想家
- 美味しそうなお菓子は当時のレシピで作られた
- ドレス生地の化学染料の発明
- 1994年『若草物語』と同じプロデューサー
- 4姉妹の衣装へのこだわり
- ガーウィグ監督は撮影時、妊娠中だった
- ハーバード大学所有の樹木園での映画界初の撮影許可
- 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:アレクサンドル・デスプラ「Little Women」
- 挿入歌:サウンドトラック:アレクサンドル・デズプラ「Little Women」