天外魔境ZERO(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『天外魔境ZERO』とは、ハドソン社(2012年コナミ社に吸収)より1995年に発売されたロールプレイングゲーム。PCエンジンなどで展開してきた天外魔境シリーズにおける外伝的な扱いの作品であり、唯一のスーパーファミコン作品。企画・原案は『サクラ大戦』『魔神英雄伝ワタル』シリーズで知られる広井王子。
物語の舞台は、「外国人からみた誤った日本観」をコンセプトとした架空の国「ジパング」。天より600年前に地上に降りてきた、人間とは異なる種族・火の一族と地獄の軍団との戦いを描く。

『天外魔境ZERO』の概要

『天外魔境ZERO』とは、かつて存在したゲーム会社・ハドソンより1995年に発売されたRPGゲーム。『サクラ大戦』などで知られるマルチクリエイター、広井王子が企画・原案を手がけるシリーズ『天外魔境』の外伝的作品であり、シリーズ唯一のスーパーファミコン(SFC)作品。

舞台となるのは「外国人からみた誤った日本観」をコンセプトとした和風の国「ジパング」。神によって創られた「火の一族」と「地獄の軍団」という、人間とは異なる種族同士の戦いを描いた作品。ジパング全土を支配しようとする神・ニニギ率いる地獄の軍団に対し、火の一族の勇者として選ばれた少年・ヒガンが仲間と共に立ち向かうのが大まかなストーリーとなる。

本作の舞台・ジパングは、従来のシリーズ作品よりも太古のジパングという設定。ゲームシステムは従来作品とほとんど同じではあるものの、ストーリー自体は直接的な関係性はなくパラレルワールドのような扱い。ただし、敵も味方も奇抜で個性的なキャラクターが揃っている天外シリーズの魅力は本作でも健在となる。また、主人公・ヒガンが女性と親密な仲になったり、家を買ったりできる「出会い茶屋」や、ロボットでバトルをする展開があるなど一風変わった演出も本作ならではの魅力である。

本作の大きな特徴が「鮮やかなグラフィック」と「現実とゲーム内の時間が連動するシステム」の2点。本作カートリッジには容量を圧縮処理しデータ量を増加させる特殊チップが内蔵されており、スーパーファミコン作品としては最高峰の美麗なグラフィック・なめらかなアニメーションを実現している。また、カートリッジ内に時計・カレンダーを内蔵していることにより、現実世界とゲーム内の時間が連動する「パーソナル・ライブ・ゲーム・システム(PLGS)」を搭載。現実と同じようにクリスマスなど季節のイベントを楽しんだり、時間経過で育つペットを育成したり、曜日限定のお店で買い物ができたりする。これは1995年当時、これまでにない画期的なシステムとして話題を呼んだ。

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特殊チップにより実現したSFC最高峰レベルのグラフィックを誇る。

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『天外魔境ZERO』のあらすじ・ストーリー

はじまり

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6つの国に分かれた「ジパング」が冒険の舞台となる。

世界の東の果てにあるとされる国「ジパング」。この国は、「火熊国」「孔雀国」「鶴国」「亀国」「犬神国」「竜王国」の6つの国に分かれており、それぞれの国を「神獣(しんじゅう)」という聖なる獣の神が守護していた。そして古くからのならわしにより、神の使いとされる「永遠の火」の意思により選ばれた、天からやってきたとされる種族「火の一族」の勇者が、代々竜王国の王としてジパング全土を束ねてきた。

物語は、まさに新たな王が永遠の火の意思により選ばれたことから始まる。2人の王候補、兄王と弟王から永遠の火により選ばれたのは、弟王であった。周囲の祝福にこたえながらも、弟王は複雑な気持ちを抱く。「兄王をさしおき、私が王になろうとは…」

一方、自室にてもがき苦しむ兄王。兄である自分ではなく弟が選ばれた…その憎しみの心につけこみ、呼びかける者がいたのだ。600年前に地獄の軍団を率いて火の一族と争い、地上を支配せんとした地獄の王「ニニギ」であった。竜王国にある「地獄門」に封印されているはずのニニギが、兄王の心の隙間に入り込もうとしていたのだ。
弟への嫉妬による憎しみの心、そしてニニギのささやきにより唆された兄王は、決意をする。「弟王を殺そう」と。

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兄王ではなく自分が選ばれたことに引け目を感じる弟王。

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弟王への嫉妬心を膨らませる兄王。その心の隙間を狙い、地獄門の奥底からニニギがささやく。

場面は移り、地獄門の前。鬼を模した外観がまがまがしい雰囲気を放つその門の扉には、大剣が門を塞ぐように据えられていた。その門を守る2人の門番が話していると、急に1人が倒れこむ。そこには、剣を持った兄王の姿があった。もう1人の門番も斬り捨てた兄王はつぶやく。「わかっているよニニギ…地獄門を開けるんだろう」兄王は門の扉から、大剣を引き抜いてしまう。大きな地響きとともに、周囲が異様な雰囲気につつまれる。

そこに駆け付けた弟王。兄王を止めようとするが、兄王はすでに我を失っている。「本当なら俺がジパングの王なのだ!ニニギは言った!地獄門を開ければ王になれると!」その瞬間、門が開かれた。門から現れた怪しい影が、兄王の体を包み込む。「おおっ!力がみなぎる!」ニニギに支配された兄王は、扉に据えられていた大剣で弟王を斬り捨てた。「兄王よ…私を殺しても永遠の火は消えんぞ…」そう言い残し、絶命する弟王。「ジパングはこのニニギ様のものだ!」すでに兄王は身体も心もニニギに飲み込まれてしまっていた。兄王は、弟王を殺したその大剣を地獄門に投げ捨てる。地獄門の封印は解かれてしまった。

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門番を襲い、地獄門の封印を解かんとする兄王。もはや正気を失っている。

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地獄門の封印の要である大剣を引き抜く兄王。

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開かれてしまった地獄門より怪しい影が現れ、兄王の体を乗っ取る。

火熊国

舞台は変わり、火熊国の小さな村・火影(ひかげ)村。自分のことを呼ぶ声に目を覚ました12歳の少年「火眼(ヒガン)」を、友人のゲンコツ、ビンタが心配そうにのぞき込んでいた。ヒガンの祖父・ジさまが与えた試練により、炭井戸を守る仙人・炭仙人に挑むも、返り討ちにあっていたのであった。そこにジさまが現れ、「男なら勝つまで家に戻ってくるな!」と一喝し追い出す。憤慨し、ヒガンのあとを追うゲンコツとビンタ。一人になったジさまがつぶやく。「ヒガンよ、火の一族の剣士として早く目覚めてくれ…地獄門が開かれて既に100日が経った。時間がない…」地獄門が開かれてからわずか100日で、ニニギ率いる地獄の軍団はジパングを支配しつつあったのだ。

そんなジさまの想いを知ることもなく、ふたたび炭仙人に挑みに行くヒガンたち。ゲンコツとビンタは怖気づき、途中で村まで逃げ帰ってしまうものの、なんとか今度はヒガン1人で炭仙人に打ち勝つことができた。負けたことに驚きつつも嬉しそうな炭仙人。同時に、ヒガンが火の一族であることを知り、自らの奥義「火炎斬り」をヒガンに伝授するのであった。

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地獄門が開かれて100日。来たる戦いに向け、ジさまはあえてヒガンを厳しく育てる。

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ヒガンの親友であるゲンコツとビンタ。今度こそ逃げないと誓うものの…。

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