GARAGE ガラージュ(Bad Dream Adventure)のネタバレ解説・考察まとめ

『GARAGE ガラージュ(Bad Dream Adventure)』とは1999年にキノトロープが開発して、東芝EMIから販売されたPC用ゲームのことである。初版数が3000枚と少なかったことから入手困難なゲームとして扱われていたが、2021年12月にスマホアプリ版がリリースされたことで話題となった。物語は精神治療装置「ガラージュ」にかけられた男性・ヤンが自身の精神世界からの脱出を目指すというものである。機械と汚水に塗れた世界、個性の強い住民たち、精神治療という独特なテーマが魅力となっている。

『GARAGE ガラージュ(Bad Dream Adventure)』の概要

『GARAGE ガラージュ(Bad Dream Adventure)』とは1999年にキノトロープが開発して、東芝EMIから販売されたPC用アドベンチャーゲームのことである。販売元の東芝EMIがCD-ROM事業から撤退したことで、初版分の約3000枚しか作られなかったことから、入手困難なプレミアゲームとして中古市場で10万円以上の価格で取引されていたことがある。2004年には製作監督者の作場知生が開発元キノトロープから許諾を得て、個人販売という形で再販がされた。その後、作場が2020年12月14日にスマホアプリ版制作のためにクラウドファンディングを実施した。クラウドファンディングの目標金額は3,000,000円であったが、最終的に22,885,922円という目標金額を大きく上回る支援金を得た。そして、『ガラージュ:完全版 for Mobile』としてiOS版は12月10日、Android版が2021年12月16日にリリースされたことで、SNSなどで大きな話題となった。Android版は配信元のGoogleから修正の指摘を受けたため、一部表現がオリジナル版とは異なる形となっている。また、配信開始後にもGoogle側から版権問題の指摘を受けて、一方的に配信停止処分になってしまったこともある。版権問題については詳しく明かされていないが、資料提出と作中の登場人物・プシケのデザイン変更などをすることで再配信となった。
スマホアプリ版では、オリジナルの世界観とシナリオを踏襲しつつ、グラフィッククオリティの向上、ゲームバランスの調整、シナリオの追加などが施されている。2022年7月には『ガラージュ:Steam版』が配信された。

物語は精神治療装置「ガラージュ」にかけられた男性・ヤンが自身の精神世界からの脱出を目指すというものである。精神世界の脱出を目指す過程で、世界に住む住民たちとの交流や各ヒロインたちとの過去などと向き合っていく。エンディングは全4種類用意されており、すべてのルートをプレイすることでヤンとヒロインたちの過去を知ることができる。
精神治療というテーマというのもあってシナリオは難解なものとなっているが、キャラ同士の掛け合いやアイテムを拾って読み解くことでシナリオへの理解度が上がるようになっている。また、心理学の知識があれば、さらに読み解きやすくなる。

蒸気機関と内燃機関とが織りなす奇っ怪な世界で繰り広げられるシナリオと、生体機械の住民たちのやり取りなどから、同時期発売のゲーム『クーロンズゲート』『BAROQUE』と並び「3大歪みゲー」と呼ばれている。一般的な知名度は無いが、ゲーマーの中には熱狂的なファンが多く存在しており、考察なども人気である。

『GARAGE ガラージュ(Bad Dream Adventure)』のあらすじ・ストーリー

機械の世界

精神治療装置ガラージュに座るヤン

精神治療装置「ガラージュ」を使うことになった男性・ヤンは自身の精神世界へ入るために、ガラージュ開発者の指示通りに装置に座った。そして、ガラージュが起動すると眩い光に中へと吸い込まれていった。

古ぼけたとある部屋で目覚めた機械の身体の主人公。自身がなにものなのかわからないまま、部屋にあったメモを読む。メモには部屋はシェンという雄機械のものであったが譲ってくれること、主人公は汚水の中を漂っていたこと、そしてこの世界は正しくないので出ていくようにと書かれていた。そして、目が覚めたあとにすべきことを記されたメモもあったので、指示通りにハジメという雄機械に会いに行く。ハジメから行動に必要な順応度が減っていることを指摘されて、順応度を回復するためにギムノンという雄機械が店主を務める順応堂を訪れた。
順応度を回復した主人公はシェンのメモにあった世界を出る方法はカゲを見つけること、カゲを見つけるにはプシケという人物に頼らないといけないという情報から、この世界を出るべくプシケを探すことになった。周辺の住民に聞き込みを続けていくと、ハジメからプシケはヤンと仲が良かった、ヤンは白瓦斯(しろがす)屋の主という情報を得る。白瓦斯とは雌機械が生成できる燃料であり、それがなければ雄機械は動けなくなってしまう。白瓦斯屋弐号店の主・リーならば詳しいかもしれないと教えてもらい、リーの元を訪れて話を聞く。プシケは立ち入り禁止区域の燈台にいるというが、燈台に行くためには実験工房にある鍵にかかった部屋を通らねばならず、その鍵を開ける方法を探さなければならなかった。

実験工房の隣にある工場に務めているアーサン、ハーサン、ターサンに実験工房の話を聞きに行くと、ターサンから羊の歌というオルゴールを演奏することで鍵が開くという話を聞いた。羊の楽譜はかつて活版屋を営んでいたハンという雄機械が刷ったものであったが、現在は見世物小屋である新世界のポスターを刷るために再利用してしまったという。主人公はポスターに詳しい雄機械のトーロップに話を聞きに行くことにした。トーロップ曰く「ポスターは掲示板に貼られていることが多いんだけど、中には建物の改修だのなんだので壁の裏に隠されてしまったものもある」ということだった。工具店の雄機械の宮(みや)が建物の改修に詳しかったが、現在は喋ることができなくなっていた。代わりに宮の奥さんであるツルという雌機械から、古い設計図をもらうことで隠された掲示板見つけて、羊の歌の楽譜を手に入れた。

羊の楽譜を演奏することで実験工房の鍵を開けた主人公は燈台を訪れて、プシケの元にたどり着いた。プシケはこの世界のあらゆることを知っている存在であり、主人公がカゲを探していることを知っていた。しかし、主人公のカゲを探知するには少し時間がかかるということで、その間にプシケの夢日記を取り戻してきてほしいと主人公は頼まれた。プシケの指示通りに清流荘の管理人・ビスという雄機械に、主人公に部屋を貸すようにと書かれたプシケの手紙を届ける。すると、ビスはプシケの夢日記を持ち出した犯人であるチェンという雄機械を観察しろという助言と共に、清流荘の一室を貸してくれた。その部屋には望遠鏡があり、望遠鏡を使って部屋の外を覗くとチェンがマルヤ百貨店の3階の奥にある鍵のかかった扉を開けてどこかへ行く姿を確認した。
チェンを追いかけて行くと、かつて見世物小屋だった新世界という場所にたどり着く。観覧席にいるチェンに話しかけると、火流液を持ってきたらプシケの夢日記を返すという条件を出してきた。火流液とは機械の出力を上げるが、効果が強すぎて解体、死なせてしまう劇薬のことである。主人公が工場の倉庫で作った火流液を持っていくと、受け取ったチェンが火流液を飲んだ。すると、それのもたらす効果に耐えきれずチェンは解体してしまった。解体してしまったチェンのいた場所を調べるとプシケの夢日記を入手した。入手した夢日記をプシケに届けると、主人公のカゲの居場所が汚水道にあると教えてくれたので、汚水道を渡るための船を探すこととなった。

カゲと原想体

聞き込みをすると、ルウという機械が船を所持しているという情報を得て、現在ルウがいる順応堂の奥にある病室へ行こうとする。しかし、ギムノンから「関係のない者は病室に入れられない」と言われてしまう。ギムノンは蟹喰いという珍しい蛙を釣って持ってきたら、ルウに会わせるという条件を出してきた。釣ってきた蟹喰いをギムノンに渡すと病室へ繋がる部屋の鍵を開けてくれて、ルウのもとまで案内してくれた。ルウの部屋を訪れると、メディチという雄機械がルウの白瓦斯生成用のタンクの撹拌をしている最中だった。メディチは主人公に撹拌している姿を見られたと気づくと、慌てて病室から出ていった。残された主人公がルウの病室に入るが、ルウは順応度が低く、言葉をスムーズに話すことができなくなていた。オルゴールが好きだったルウに羊の歌の楽譜を演奏して聴かせると、「ビスに渡して」とルウの蝶ネジを貰った。
ルウに言われた通りビスにルウの蝶ネジを渡すと、元気だった頃にルウが住んでいた部屋へ行けるようにしてくれた。ルウの部屋には船があり、それに乗って汚水道を進むと主人公のカゲを見つけた。カゲはやせ細ったみすぼらしい姿をしており、ヤンによって自身が消されてしまうかもしれないことに怯えていた。主人公の存在に気づくと運動靴をもってきてほしいと頼んできた。しかし、運動靴が見つからなかったため、カゲのことを知るためにカゲに詳しいガタリという雄機械に会いにいくこととなった。
ガタリに会った主人公は、カゲの求めている運動靴とは原想体と呼ばれるもので、カゲの力が弱っている現在では視認ができなくなってしまっているという情報を得た。ガタリからダウジングコンパスという原想体を視認できるようにするアイテムを貰った主人公は、ダウジングコンパスが指し示した新世界の銀幕裏へ向かう。銀幕裏で原想体の運動靴を見つけてカゲに持っていくと、カゲは「行かなくちゃ」と言って消えてしまった。ガタリに消えたカゲについて聞くと、現実世界の記憶を内実化する刻印石というものを探しにいったと教えられる。そして、カゲが刻印石を見つけるとガラージュから脱出できるという話を聞く。カゲはヤンによって閉じられた水門の奥にいることがわかったため、主人公はヤンの元へ行くことになる。

ヤンと主人公

あらゆる機械を解体させてしまうノイズの楽譜を手に入れた主人公は、白瓦斯屋の2階にいるというヤンに会いに行く。しかし、白瓦斯屋2階にはヤンではなく自身を拾ってくれたシェンがいた。シェンは「ヤンを消すために来たが、ヤンはいなかった」と言う。シェンはヤンがいなかったのは、自身と主人公こそがヤンであったからだと語る。実は、主人公とシェンは元々ひとつの存在であり、ヤンの過剰な順応度によって主人公という分身が生まれ、そして、主人公が分裂したヤンはすべての記憶を失ってシェンという人格が生まれたのだ。主人公がここに来る途中で奏でたノイズの楽譜の音を聞いたシェンはヤンとしての記憶を思い出した。ヤンは自分自身を殺すために、主人公からノイズの楽譜の入ったオルゴールを奪い取り、演奏を始めた。ノイズの楽譜の音を聞いたヤンは解体してしまった。ヤンがいた場所にはシェンの遺書が残されていた。それには、シェンがこの世界でヤンがカゲを傷つける見世物ショウを開いたこと、多くの機械を実験台にしたこと、それによってジュースという雌機械を異形の姿に改造したのはばぜなのかを理解しようとしたことなどが書かれていた。そして、シェンはガラージュの世界はヤンの願望が反映された世界であるはずで、その願望が何であるかはわからなかったが、ヤンとジュースのために世界が存在していることだけはわかったという。そして、シェンもヤンも消えたあとの世界を主人公に託す旨と、ジュースに水門の鍵を預けているという話で遺書は終わった。

ジュースとは、かつてヤンと共に行動していた機械であった。新世界でのショウの影響で雌機械が減った結果、世界を保つために重要な汚水が減少してしまっため、汚水と白瓦斯を生み出すためだけの存在へと改造されてしまった雌機械だ。主人公は白瓦斯屋2階の奥にいるジュースへと会いに向かった。ジュースは元の面影を残さないほどの改造を施されたせいで苦しんでおり、水門の鍵をくれることはなかった。
一旦ジュースの元から引き下がって、主人公は福寿荘の1階にいる雌機械のちよの元を訪れた。ちよは勘が鋭いため、主人公はシェン、ヤンを解体したことを察していた。ちよは主人公が世界を終わらせるつもりでいることにも気づいており、「やってみるといい」と背中を押してくれる。そして、ちよは「なんでもない石」の話を始めた。ちよが「なんでもない石」は名前の通りなんの変哲もない石だが、それでも価値があると思うのかという質問をすると、主人公は肯定する。主人公の意思を確認したちよはベムという雄機械の部屋にある抽斗の鍵を渡してきた。主人公はその鍵をきっかけに様々な住民の元を訪れて、その住民たちの最期に立ち会った。そして、最後に「なんでもない石」を手に入れた。「なんでもない石」を持ってちよの元に訪れると、ちよは「なんでもない石」にはかつて現実世界に関する特別な力を持っていたことを教えてくれる。そして、ちよはワンスイという幻の蛙ならば何かを知っているかもしれないと主人公に助言した。

ワンスイが出るという釣り場に向かって釣り上げると、ワンスイから「石の記憶」を貰う。そして、「石の記憶」を取り込んだ「なんでもない石」は再生石へと変わった。再生石は順応度や燃料が切れても動けるアイテムのことである。ワンスイを釣ったことをきっかけに停滞していた世界に変化が訪れた。

白瓦斯屋ヒロインルート

道代ルート

夢の内容を語る道代

主人公は白瓦斯屋に務めている雌機械の道代(みちよ)で度々給油していると、道代から好意を向けられるようになった。そして、道代からの同棲の申し出を受け入れて、主人公の部屋にて2人は暮らすことになった。

ワンスイを釣ったことで世界に変化が訪れた。そして、道代にも変化が訪れる。道代は夢で、幼い少女が主人公と遊んでいるところを見たと語る。その夢は現実世界での道代とヤンの記憶だった。何度も遊んでいたある日、異性と遊んでいることを他の子どもにからかわれたことをきっかけに、ヤンはその子どもと喧嘩してしまう。そして、喧嘩の末にヤンはドブ川に突き落とされてしまった。道代はヤンを助けるために手を伸ばして、なんとか助けることができた。しかし、ヤンの運動靴がドブ川に取り残されてしまい、ヤンは失意のまま帰宅していった。ヤンから突き放されたような感覚になってしまったことと道代が家庭に問題を抱えていたことも合わさって、道代はその場から動けなかったという。

それから、何故かジュースの順応度が減り始めてしまい、白瓦斯の生成が難しくなっていた。ジュースの生成していた白瓦斯がなくなってしまうと、現存している雌機械だけで雄機械の給油は難しい状況になる。そうなると、給油ができなくなった雄機械達は解体、つまり死んでしまうことになる。そして、雄機械がいなくなると雌機械に食事を与えるものはいなくなるため、解体のきっかけになってしまう。世界の破滅が始まった状況になってしまった。
ついにジュースが解体してしまうと、いよいよ世界は壊れていった。ジュースがいなくなったことで、配管から自動で供給されていた白瓦斯がなくなってしまった。そのため、配管に頼っていた雄機械たちは動揺していた。そして、給油のための白瓦斯に押しかけたことで、白瓦斯にいるシャンとレイコは無理やり給油させられていた。道代は仲の良かったシャンやレイコの辛そうな姿を見てショックを受けてしまう。やがて、シャンとレイコが耐えきれずに解体してしまう。すると、白瓦斯屋での給油ができなくなってしまった。本田(ほんだ)とエヌサン、宮(みや)とツルというパートナー関係を結んでいる機械たちは、給油に焦った雄機械たちから襲われないように守る態勢に入っていった。しかし、エヌサンとツルを守りきることができず、本田も宮も解体してしまう。

自室で怯える道代も危険であるため、道代は残された雄機械たちに見つからない場所に隠れることとなった。道代が隠れてる間に、他の雄機械達はすべて解体していき、主人公だけが残された。隠れていた道代を迎えに行くが、順応度がなくなってしまったことで彼女も解体してしまった。道代の最期を見届けたあとに自室に戻ると、自室の鏡に異変が起こっており、再生石を使用すると謎の空間にてジュースと再会して、水門の鍵を貰った。謎の空間から抜け出した主人公は水門を開けて、奥へと進んだ。

進んだ先にはカゲが待っていた。主人公を見たカゲは道代が会いたがっていると言い、道代を呼び出した。道代はガラージュの世界が良いものであったとは言えないが、主人公と出会い、一緒に暮らしたことで笑えたこと、自分から行動を起こせたことで臆病な性格を少し直せたかもしれないと喜ぶ。そして、現実世界へと戻る主人公を見届けるという。主人公はカゲと一体化して、現実世界へと戻っていった。

レイコルート

雄機械たちを壊して回ったあとのレイコ

主人公は白瓦斯屋に務めている雌機械のレイコで度々給油していると、レイコから好意を向けられるようになった。そして、レイコからの同棲の申し出を受け入れて、主人公の部屋にて2人は暮らすことになった。

ワンスイを釣ると世界に変化が訪れたことで、レイコは夢を見たという。レイコの夢の内容は現実世界でレイコが教室でクラスメイトからいじめを受けていたというものであった。そして、同じクラスだったヤンがレイコのいじめを止めようと口を出したおかげで、彼女へのいじめはなくなった。しかし、代わりにヤンがいじめの標的となってしまった。レイコは怯えてヤンを助けることができず、ついにヤンはいじめが原因の事故で大怪我を負ってしまう。数日後、レイコがヤンの家に見舞いに行くと、彼は一言「がっかりだよ」と言った。レイコはヤンがこの世界には良いことも悪いこともないことに絶望していることを察して、レイコも世界にがっかりしてしまったという。

世界の変化は進み、道代ルートと同様にジュースが解体してしまった。ジュースからの給油が無くなったことで焦って白瓦斯を求めた雄機械たちは暴徒と化してしまう。そして、白瓦斯屋での無茶な給油の回数にレイコと仲の良かった道代やシャンが解体してしまう事態に陥ってしまった。そして、主人公の隙をついてノイズの楽譜とオルゴールを盗んだレイコは、オルゴールを使って暴徒と化していた雄機械たちを解体して回りはじめた。主人公がレイコを追いかけると、レイコはすべての雄機械を解体し終わると道代やシャンとの思い出のある白瓦斯屋に戻っていた。レイコはノイズの楽譜の影響でボロボロとなっており、すべてやりきったこと、来てくれた主人公と2人きりになれたことに満足しながら解体してしまった。レイコの最期を見届けた主人公は、世界を出るべく水門へと向かう。

水門でカゲと出会った主人公は、カゲの力でもう1度レイコに会うことができた。レイコは現実世界でのいじめやヤンのこと、ガラージュ内での生活をひっくるめて、苦しくても難しくても受け入れると決めたと語る。それは、レイコが自身や世界にがっかりしないための決意だった。そして、レイコの決意を聞き届けて、主人公は現実世界へと戻っていった。

シャンルート

自室に閉じこもる準備を始めるシャン

主人公は白瓦斯屋に務めている雌機械のシャンで度々給油していると、シャンから好意を向けられるようになった。そして、シャンからの同棲の申し出を受け入れて、主人公の部屋にて2人は暮らすことになった。

ワンスイを釣ったことで世界に変化が訪れたことで、シャンは夢を見たという。それは、現実世界のシャンとヤンのことであった。シャンは優等生で周囲からの期待が大きかったが、それが彼女にはプレッシャーとなっていた。そういったプレッシャーから解放されるために、好きな本の物語に入り込むことを楽しみとしていた。そんなときにシャンはヤンに出会ったという。ヤンは物語の登場人物のように自由奔放で少し乱暴なところはあったが、自身にはない自由さにシャンは惹かれていく。ヤンがシャンを受け入れたことで2人は一緒に過ごす時間が増えていき、良いことから悪いことまで様々なことを一緒にしたことでシャンは幸せそのものだった。しかし、ヤンはどんなことをしても心が満たされることがなく、やがてシャンの好意を疑うようになっていき関係は破綻。シャンはヤンが出ていった部屋に1人取り残されたという。

世界の変化は進み、道代とレイコルートと同様にジュースが解体してしまった。ジュースからの給油が無くなったことで焦って白瓦斯を求めた雄機械たちは暴徒と化してしまう。そして、白瓦斯屋での無茶な給油の回数にシャンと仲の良かった道代やレイコが解体してしまう事態に陥ってしまった。シャンは仲の良かった2人がいなくなったことに心を痛め、主人公までいなくなってしまうのではと怯えるようになった。やがて、暴徒化した雄機械たちが攻めてくることを察して、シャンは主人公の自室に閉じこもろうと提案した。扉を板で塞ぎ、明かりを消して2人は息を潜めた。扉の前で雄機械達が暴れる音が聞こえたが、やがてなにも聞こえなくなった。しかし、暗闇の中で順応度を回復する術のなかったシャンは解体してしまった。主人公は誰もいなくなった線路を走り、水門を開けて奥へと進んだ。

水門の奥で待っていたカゲの力で、主人公は再びシャンと話すことができた。シャンは現実世界ではできなかった、ヤンと心の底から向き合うということができたことに喜びを感じていたと語った。そして、それぞれの世界に帰ろうというシャンの言葉で、主人公はカゲに導かれて現実世界へと帰っていった。

ジュースルート

主人公に語りかけるルウ

主人公がジュースの元に通うようになると、ジュースの順応度は安定していき、さらに高まっていった。ジュースの様子をずっと見てきたコッペルという雄機械はジュースの様子が好調であることに喜んだ。そして、主人公にもっとジュースに寄り添うように助言した。

ワンスイを釣って世界を動かすと、ジュースの順応度がさらに高まり、高すぎる順応度のせいで苦しむようになっていく。徐々にジュースは疲弊していき、どんどん不安定になっていくジュースにコッペルから貰った改造前のジュースの写真を見せると、主人公に「キライニナラナイデ」「ヒトリニシナイデ」と言うようになる。そして、主人公の再生石を砕き、「ワタシノコト…オモイダシテ…ヤン」と言い、主人公の順応度を減らしていった。主人公は順応度がゼロになってしまい視界が真っ暗になってしまう。しかし、なぜかすぐに順応度が回復していき、目を開けると改造される前の姿のジュースがいた。主人公は会話ができるようになったジュースからヤンはジュースを恐れていたが、ジュースはヤンを欲していたという歪んだ関係であったことを教えられる。

ジュースから世界の様々なことを教えられている最中に、突然ジュースが苦しみだしたので落ち着かせるためにオルゴールを演奏した。主人公の演奏したルウの一番大切なものという音を聴いたジュースは、かつて自身はルウとひとつの存在であったことを思い出した。ヤンと主人公のように分かれていたのだ。ジュースはルウの部屋にある自身の原想体を持ってきてほしいと頼み、主人公が原想体を持ってくると現実世界での記憶を思い出した。現実世界でのジュースは家族から虐げられていたことが影響して、自身の存在価値は他人からの暴言や暴力を受け入れることだと思いこむようになり、自身の中に籠もるようになっていった。家族から離れて施設で暮らすようになってからも、その考えはかわらなかった。ヤンと出会い、親交を持つようになってお互いに好意を抱く。しかし、ヤンの内側にあるトラウマを暴言や暴力という形で自身に吐き出させようとして関係が破綻してしまう。ジュースが現実世界での記憶を思い出したことで、現実世界でのルウの姿がぼんやりと現れる。ルウは現実世界で起きてしまったことを失敗だと思わないでほしいこと、後悔しないでほしいこと、すべてを無かったことにしないでほしいと語った。ルウはすべてを話し終わると、「会えて嬉しかった」と言い残して消えた。ルウが消えたあとには、水門の鍵が残された。

水門を開けた主人公は、進んだ先で自身のカゲと会う。そしてカゲの「終わろう」の一言と共に、ガラージュ世界から脱出した。

『GARAGE ガラージュ(Bad Dream Adventure)』のゲームシステム

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