シャッター アイランド(Shutter Island)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】
『シャッター アイランド』とは、2010年公開のサスペンス映画である。監督はマーティン・スコセッシ、主演はレオナルド・ディカプリオ。
連邦保安官のテディ・ダニエルズは、同僚のチャック・オールとともに、シャッター アイランドという孤島にある精神病院に、女性患者の失踪事件を捜査しに船で向かう。その精神病院には多くの犯罪者が収容され、失踪した女性患者も、自らの子供たちを殺害した犯罪者だった。事件を捜査していくうちに意外な事実が浮かび上がってくる。
警備隊長(演:テッド・レヴィン)
断崖から戻ってくるダニエルズを病院まで送る。
その時にダニエルズに向かって、「神が私たちに与えたものは、道徳的な秩序などではなく暴力だ。この世界は暴力で成り立っている。道徳的秩序などは存在しない。あるのは私の暴力があなたの暴力を制することができるかという事だけだ。」と言う。
ストーリーにそのまま通じる言葉ではないが、精神病院という場所の、あるいは世界全体の秩序がどうして保たれているかについての非常に冷たく悲観的な見方である。
また、警備隊長が、リーディスがしたことを明らかに知っていて、それを必ずとも否定はしないような言葉でもある。つまり、リーディスの中には明らかに暴力が存在していることを知っていることを示す言葉である。
マクフィアソン副警備隊長(演:ジョン・キャロル・リンチ)
ダニエルズとチャックが島に到着したときに迎えて精神病院まで送った。
落ち着いていながら、いつも少し不安な表情をたたえている。また、ダニエルズとチャックが精神病院に到着した時、武器を没収するのに、通常以上の警戒心を見せる。
これもラストへの伏線で、ダニエルズは捜査官などではなく、患者なのだということをほのめかしている。
ピーター・ブリーン(演:クリストファー・デナム)
アッシュクリフ精神病院の患者。
訊問中にダニエルズが質問することに明瞭に答えず、他のことばかりを話す。しかし、ダニエルズがアンドリュー・リーディスという患者を知っているかと質問した途端に落ち着きを失い、騒ぎ出す。
なぜかというと、ダニエルズがリーディスであることは明確であり、リーディス自身にリーディスを知っているかと聞かれどう対応していいかわからず、それで落ち着きをなくしたのである。
看護婦マリノ(演:ネリー・サイウット)
出典: www.hotflick.net
アッシュクリフ精神病院に勤める看護婦。
ダニエルズの訊問中、「何か異常なことが最近なかったか」という質問に、「異常というのはどういうことでしょうか?私たちの日常に、尋常なこと自体があまりないのですが」と皮肉に笑いながら答える。
『シャッター アイランド』の用語
ロボトミー
精神病患者、特に他人や自分を傷つける可能性のある患者に施された治療。
1929年に発明され、1935年から実施された。理論的思考、問題解決、勘定を司る前頭葉とそのほかの脳との接続部分を切断する手術である。
患者を放心状態にし、患者の人格が抹殺される可能性があり、重い場合は死亡に至るという事で批判も多かったが、1950年代には普通に行われていた手術だった。
ダッハウユダヤ人強制収容所
ナチス・ドイツが建設したユダヤ人強制収容所のうちの一つ。
ユダヤ人だけではなく、通常の政治犯も送られていたため、絶滅収容所とは呼ばれてはいないが、その機能も果たしていた。
アウシュビッツと並んで有名な収容所で、現在では、観光名所となっている。
『シャッター アイランド』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
「私が気が狂ってると思っている。そこで私が自分は正気だと言っても、大した効果はないでしょ?カフカの世界のような素晴らしい仕掛けよ。みんなが私が狂っていると思っていれば、私がどんなに正気だと訴えてもそれがそのまま私が狂っている証拠になってしまうわけよ。」
本当のレイチェルで、アッシュクリフ精神病院の医師だったという女性が言う言葉。
精神病院の患者が、どんなに病院内で起こっていることを訴えても無駄だという事を証明する言葉。精神病の患者の訴えの世間的な信憑性の無さ、精神病で実験をする都合のよさを表している。この言葉を聞いてダニエルズは、精神病院で政府も絡むマインドコントロールの実験が行われていることをますます確信する。
「道徳的な秩序などない。あるのは、あなたの暴力が私の暴力を制することができるかどうかだけですよ。」
警備隊長がダニエルズを病院に送っていく途中でいう言葉。
「暴力こそが神が人間に与えたものだ」と主張した後で隊長が続けて言ったセリフ。
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目次 - Contents
- 『シャッター アイランド』の概要
- 『シャッター アイランド』のあらすじ・ストーリー
- ダニエルズとチャックという2人の連邦保安官が孤島にある精神病院に到着する。
- アッシュクリフ精神病院の医師たち
- ダニエルズの精神病院に対する疑惑、レイチェルの失踪事件の捜査
- 戻ってきたというレイチェル・ソランドは病院がでっち上げた人物
- チャックの失踪
- コーリー医師に解明される事実
- シーハン医師はリーディスが正気に戻っていないと判断する
- 『シャッター アイランド』の登場人物・キャラクター
- テディ・ダニエルズ / アンドリュー・リーディス(演:レオナルド・ディカプリオ)
- チャック・オール / レスター・シーハン医師(演:マーク・ラファロ)
- ジョン・コーリー医師(演:ベン・キングズレー)
- ドローレス・シャナル(演:ミシェル・ウィリアムズ)
- レイチェル・ソランド/看護婦(演:エミリー・モーティマー)
- ジェレミア・ナーリング医師(演:マックス・フォン・シドー)
- ジョージ・ノイス(演:ジャッキー・アール・ヘイリー)
- レイチェル・ソランド医師(演:パトリシア・クラークソン)
- アンドリュー・リーディス(演:イライアス・コティーズ)
- ブリジット・カーンズ(演:ロビン・バートレット)
- 警備隊長(演:テッド・レヴィン)
- マクフィアソン副警備隊長(演:ジョン・キャロル・リンチ)
- ピーター・ブリーン(演:クリストファー・デナム)
- 看護婦マリノ(演:ネリー・サイウット)
- 『シャッター アイランド』の用語
- ロボトミー
- ダッハウユダヤ人強制収容所
- 『シャッター アイランド』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「私が気が狂ってると思っている。そこで私が自分は正気だと言っても、大した効果はないでしょ?カフカの世界のような素晴らしい仕掛けよ。みんなが私が狂っていると思っていれば、私がどんなに正気だと訴えてもそれがそのまま私が狂っている証拠になってしまうわけよ。」
- 「道徳的な秩序などない。あるのは、あなたの暴力が私の暴力を制することができるかどうかだけですよ。」
- 「この場所にいると、疑問が一つわいてくる。どちらの方が悪いのだろう。怪物として生きることか、善人として死ぬことか。」
- ダニエルズの夢の中で、ダニエルズの腕の中で妻のドローレスが焼け落ちて、灰になってしまうシーン
- 『シャッター アイランド』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード逸話
- タイトルの『シャッター アイランド』(Shutter Island)は真実と嘘(Truth and lies)のアナグラム
- スコセッシ監督は、『シャッター アイランド』撮影前に俳優たちに『めまい』と『過去を逃れて』を上映してみせた
- スコセッシ監督ははじめはチャック役にマーク・ラファロを考えていなかった
- 『シャッター アイランド』のアッシュクリフ精神病院は、『バットマンシリーズ』のアーカム精神病院と類似点が多い
- 『シャッター アイランド』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):『フォッグ・トゥロープス』
- 挿入歌:『交響曲第3番』(シャッターアイランド到着、灯台に向かうシーン)
- ED(エンディング):ダイナー・ワシントン『ディス・ビター・アース‐オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト』
- シャッター アイランドの予告動画