PLUTO(プルートウ)のネタバレ解説・考察まとめ
『PLUTO』とは、手塚治虫の作品「鉄腕アトム」の中のエピソード「史上最大のロボット」を原作とした浦沢直樹の漫画作品。
舞台は人間とロボットが共存する世界。世界最高水準の能力を持つ7体のロボットが、次々と何者かに破壊される事件が起きる。7体のロボットの1人・ドイツ刑事ロボットのゲジヒトは、一連の事件に深く関わっているとされる謎のロボット「プルートウ」の正体に迫っていく。
その他のキャラクター
お茶の水博士
CV:古川登志夫
アトムの妹のロボット・ウランを開発した科学者で、日本の科学長官。
「ロボットも人間と同じく命を持つもの」という考え方の持ち主で、アトムとウランを我が子のように可愛がっている。
ボラー調査団のメンバーであるため、ゴジから命を狙われる。
妻がいたが死別しており、現在は1人暮らしをしている。離れて暮らす隆史という孫がおり、彼にボビーという名前のロボット犬をプレゼントしている。
ウラン
CV:鈴木みのり
お茶の水博士によって作られた、アトムの妹のロボット。おてんばで勝気な性格。
人間や動物、ロボットの感情に反応する高性能のセンサーを持っており、他者の複雑な感情や細かい感情の起伏を正確に読み取ることができる。
遠隔操作を用いて人工知能が入っていない工事作業中のロボットの人間用ボディの中に入り込んでいたプルートウと偶然出会い、彼の意識がそのロボットのボディを離れるまでの間、一時的に友達になった。
アトムの死後、亡き息子・飛雄の墓を訪れている天馬博士の悲しみを感じ取り、彼と心を通わせる。
ヘレナ
CV:朴璐美
ゲジヒトの妻のロボット。
インテリアデザイナーをしている。
ゲジヒト同様、かつて自分たちの子供として育てていたロビタに関する記憶は消去されている。
ゲジヒトの死後、ホフマン博士やお茶の水博士の前で悲しみを隠し、気丈にふるまうといった複雑な行動をするなど、高度な人工知能を持っている。(ホフマン博士やお茶の水博士は、ゲジヒトの死など様々な出来事を経験したことにより、ヘレナの人工知能がより複雑に「進化」したのだと言っている。)
アトムを蘇らせるため、ゲジヒトの記憶チップを天馬博士に渡す。
その後、復活したアトムと会い、ゲジヒトの魂がアトムの中で生きていることを確認する。
ロビタ
かつてゲジヒトとヘレナが自分たちの子供として育てていたロボット。
壊れかけて廃棄されそうになっていたところをたまたま通りかかったゲジヒトに発見され、引き取られた。
その後、ゲジヒトとヘレナに愛情をもって育てられていたが、ロボットを憎み、幼児型ロボットの誘拐殺人を繰り返していたアドルフ・ハースの兄に殺害されてしまった。
ポール・ダンカン
CV:羽佐間道夫
ノース2号を執事として雇った、ボヘミア出身の盲目の世界的音楽家。気難しく、機械嫌いな性格。
子供のころに大病を患い、ある日本人のもぐりの医者による手術を受けたことにより一命をとりとめたものの、視力を失う。
その際に、自身の病の治療費を捻出するため金持ちの男の愛人となって自分のもとを去った母親のことを、「金持ちの男に言い寄られ、男が持っている金に目がくらんで、邪魔になった病気の自分を捨てた」というように誤解していた。
ロボットであるノース2号のことを嫌っていたが、ノース2号が母親に対する誤解を解く手助けをしてくれたことで和解し、彼にピアノを教えるようになる。
アドルフ・ハース
CV:木村雅史
表向きは、デュッセルドルフにて貿易会社に勤め、妻・イルザや息子・ハンスと暮らしているごく普通の男性。しかし、その裏では、妻や息子にも内密に、ロボットの人権廃止を訴える極右集団・KR団のメンバーとして活動している。
幼いころに父親が、勤めていた工場にロボットが導入された影響で失職し、さらに貧しい生活の中で娯楽が少なかったアドルフと彼の兄のためサッカーボールを盗んだところをロボットに見つかり、町中で泥棒としてさらし者にされた挙句、逮捕されてしまい、その後飛び降り自殺してしまったという過去を持つ。
父親を苦しめたロボットに対して、後に連続幼児型ロボット誘拐殺人事件を起こした兄と同じく深い憎悪を持っている。
兄が、兄が殺害した幼児ロボット・ロビタの父親であるゲジヒトに惨殺されたということを知り、兄の復讐としてゲジヒトを殺害しようと考えるが、良心の呵責にさいなまれ、実行できずにいた。
そんな中、ゲジヒトの暗殺を企てたことで「ゲジヒトを生かして、後に彼を反ロボットのプロバガンダに利用する」というKR団の計画を邪魔したとして、KR団に命を狙われ、車に爆弾を仕掛けられる。さらにそのことを警察に相談したところ、ボディーガードとしてゲジヒトが派遣される。
ゲジヒトに、ゲジヒトがかつて兄を殺害したという過去を突き付け、消去されていたゲジヒトの記憶を呼び覚ます。
その後、家族とともにKR団に殺害されそうになったところをゲジヒトに助けられ、ゲジヒトのことを殺害しようとした自分を守ったゲジヒトの行動に心を打たれて涙を流す。
アドルフ・ハースの兄
CV:新田英人
アドルフ・ハースの兄。2年前に連続幼児ロボット誘拐殺人事件を起こし、ゲジヒトの子供であるロビタを殺害する。その後、憎しみにかられたゲジヒトにより、ゲジヒトの特徴的な武器であるゼロニウム弾を用いて殺害される。
アドルフと同様、父親を苦しめ、死に追いやったロボットに対して深い憎悪を持っていた。
非常に残酷な方法で幼児ロボットを殺害しており、彼が起こした事件については、ロボットの排斥運動をしているKR団の幹部でさえ「吐き気を催す行為」と述べているほどである。
しかし、良き兄ではあったようで、弟のアドルフは「最低の人間だったが、少なくとも僕にとっては良い兄だった」と述べている。
アーノルド
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目次 - Contents
- 『PLUTO』の概要
- 『PLUTO』のあらすじ・ストーリー
- 世界最高水準のロボット
- 襲撃者
- ボラー
- アトム死亡
- 黒幕
- ゲジヒトの罪
- 偏った感情
- プルートウの正体
- 完璧なロボット
- エプシロンの死とアトムの復活
- アブラーの正体
- アトムとプルートウの戦い
- エピローグ
- 『PLUTO』の登場人物・キャラクター
- 世界最高水準の7体のロボット
- ゲジヒト
- アトム
- モンブラン
- ノース2号
- ブランド
- ヘラクレス
- エプシロン
- 「プルートウ」の関係者
- サハド / プルートウ
- アブラー博士 / ゴジ博士
- ボラー
- 口からゴキブリを出す男
- 事件関係者
- アレクサンダー大統領
- ダリウス14世
- Dr. ルーズベルト
- ブラウ1589
- 天馬博士
- ホフマン博士
- ロナルド・ニュートン・ハワード博士
- ベルナルド・ランケ
- 田崎 純一郎
- スコット准将
- 警察関係者
- 田鷲警部
- 中村課長
- ワラス警部
- フェルゼン刑事
- シュリング局長
- ベッカー部長
- ホーガン
- その他のキャラクター
- お茶の水博士
- ウラン
- ヘレナ
- ロビタ
- ポール・ダンカン
- アドルフ・ハース
- アドルフ・ハースの兄
- アーノルド
- 伴校長先生
- モハメド・アリ
- ワシリー
- 『PLUTO』の用語
- トラキア合衆国
- ペルシア王国
- 大量破壊ロボット製造禁止条約
- 第39次中央アジア紛争
- ボラー調査団
- ゼロニウム弾
- 小型クラスター砲
- メモリーチップ
- 連続幼児ロボット誘拐破壊事件
- エデン国立公園
- KR団
- 偏った感情
- 『PLUTO』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「1体500ゼウスで良いよ。」
- 「ピアノの練習の時間だよ。」
- 「アトムが死んで私も悲しい……」
- 「人間の憎悪は消えますか……?消去しても消去しても消えないものですか?私が一番恐れていたのは……憎しみを持ってしまった、自分自身なんです。」
- 「モンブラン………ノース2号………ブランド………ヘラクレス………エプシロン………ゲジヒト………そしてプルートウ……きっとみんな祈っています……そんな日が来ることを………みんなが……」
- 『PLUTO』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 手塚治虫版の世界最高水準の7体のロボット
- ゲジヒト
- アトム
- モンブラン
- ノース2号
- ブランド
- ヘラクレス
- エプシロン
- 「ブラックジャック」らしき医者が登場
- 手塚作品へのオマージュを感じさせるキャラクター
- ロビタ
- ブラウ1589
- 舞台版PLUTO(プルートウ)
- 概要