YAWARA!(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『YAWARA!』とは浦沢直樹による漫画及びそれを原作としたアニメ作品である。ビッグコミックスピリッツで1986年から1993年まで連載され、単行本は全29巻、発行部数は約3000万部。 1989年にはアニメ化されて大ヒットし、世に女子柔道ブームを巻き起こした。祖父に英才教育を受けた柔が、オリンピックや世界選手権で世界の強豪とぶつかる柔道漫画。柔は柔道に後ろ向きであったが、松田や富士子、ジョディらとの出会いによって次第に前向きに取り組んでいく。また、純愛ラブストーリーとしての側面も魅力である。

『YAWARA!』の概要

『YAWARA!』とは、原作者浦沢直樹による日本の漫画、及びそれを原作としたアニメ作品。小学館発行の『ビッグコミックスピリッツ』上で1986年から1993年まで連載され、コミックス単行本は全29巻、単行本の累計発行部数は3000万部を記録している。第35回小学館漫画賞を受賞した作品で、『美味しんぼ』、『めぞん一刻』、『エフ』などと並び、初期の『ビッグコミックスピリッツ』を支えた人気作の一つである。
幼い頃から、祖父で柔道の達人である猪熊滋悟郎の英才教育を受け、並外れた柔道の才能を持つ女の子猪熊柔が、普通の女の子になりたいという願いと、自身の柔道の才能との間で葛藤しつつ、徐々にその力を発揮してオリンピックや世界選手権を舞台に世界の柔道の強豪選手たちと戦いを繰り広げる柔道漫画である。元々柔自身は柔道の大会などに出ることに後ろ向きであったが、新聞記者の松田をはじめとする周囲の人々との交流や、親友である伊東富士子、ジョディやテレシコワという世界のライバルたちとの出会いによって、次第に柔道に前向きに取り組んでいく。また、柔道をテーマにしながらも松田や風祭、加賀邦子をはじめ、ライバルのお嬢様である本阿弥さやかたちを巻き込んだラブコメディーの側面も持っている。
1989年から1992年の間は読売テレビでテレビアニメ化もされた。全124話が放映されて大ヒットとなり、世の中に女子柔道ブームを巻き起こした。原作とアニメの絵柄の違和感が全くない作品であり、双方とも傑作とされた数少ない作品である。なお、アニメが原作に追いついてしまったこと、また、バルセロナオリンピックが終わってしまったこともあり、アニメ放映は原作の途中までで終了している。
原作者の浦沢自身は柔道の素人であり、連載当初はあくまで柔道はストーリー上の設定でしかなかったが、連載を重ねるに連れて何度も柔道の取材に赴いたことで、連載後半には柔道専門家も納得する動きある描写となっている。ただし、女子の無差別級や、体重差を跳ね返して女子選手が男子選手を投げたりという現実の柔道とはかけ離れている部分については、漫画として割り切って見なければならない。
本作品のスピンオフ作品として、祖父である猪熊滋悟郎の若き日の姿を描いた『JIGORO!』が小学館の『増刊ビッグコミックスピリッツ』で連載された。

『YAWARA!』のあらすじ・ストーリー

YAWARAの華麗なデビュー

ある日、ひったくり事件の現場に出くわした三流スポーツ新聞である日刊エヴリースポーツの記者、松田耕作とカメラマンの鴨田は、カバンを奪って逃げるひったくり犯の前に小さくて華奢な女の子が突然立ちはだかり、見事な巴投げで犯人を投げ飛ばすシーンを目撃してシャッターを切る。この女子高生は、世界で有名な柔道家である猪熊滋悟郎の孫娘で、子供の頃から柔道の英才教育を受けて、天才的な柔道家として育てられている少女で、名を猪熊柔と言う。これが松田記者と柔の出会いであった。彼女を柔道界に衝撃的デビューさせるという滋悟郎の希望によって、柔はこれまで柔道公式試合はおろか柔道をしていることすらも世間に隠して生活していた。しかし、柔本人はその実力に反して柔道をやめたがっていて、オシャレやデートを楽しんだり、恋をしたりする普通の女の子になる事を望んでいたのであった。
一方、柔があまりにも強くなり過ぎたが故に、切磋琢磨するライバルの必要性を感じた滋悟郎は、乗馬やテニスなど数多くのスポーツで頂点に立った運動神経抜群の大富豪の令嬢、本阿弥さやかを柔道の世界に飛び込ませ、柔のライバルとして仕立て上げる。滋悟郎の思惑通り柔にライバル意識を燃やしたさやかは柔道界に華麗にデビューし、インタビューで自分のライバルは猪熊柔のみだと公言する。猪熊柔の正体を探り出す記者たちの質問責めに当初はしらを切っていた滋悟郎だが、柔が自分の孫であることを認めつつも、日刊エヴリーの松田の独占スクープの申し込みを断ってテレビ局への売り込みを企んだため、松田は滋悟郎を妨害する。本阿弥さやかのコーチで、柔道家である風祭進之介コーチに柔が技をかけている写真を押さえ、滋悟郎の売り込みに先んじて、柔道の達人である柔の記事を出してしまい、このスクープ記事によって柔の存在を隠せなくなった滋悟郎は仕方なく、柔を柔道界公式デビューさせることに決める。しかし、その滋悟郎の意思に反して、実は柔道から距離を置いて普通の女の子になりたいという柔の本心を聞いた松田は、彼女に協力してわざと試合に負けさせ、世間に普通の女の子であるという事を知らせるために、女子柔道最強と言われる巨漢・藤堂由貴との試合を組み、柔の弱さをアピールさせようとする。しかし、圧倒的な実力を持つ柔はその藤堂に勝ってしまったため、元々の意に反してその強さが世間に知られてしまう結果となってしまい、松田はその後、柔道家としての柔を追いかけていく事になる。

武蔵山高校時代

柔の通う高校、武蔵山高校1年生の不良、須藤に毎日つけ回されて怒った柔は、花園薫の率いる武蔵山高校の弱小柔道部のメンバーをトレーニングして、柔道部員たちをなめきっている須藤に改心させるべく、勝利に導いた。この柔道部員たちの勝利によって柔ははじめて柔道の楽しさを知り、これまで避けてきた柔道に徐々に向き合うようになった。さらに、改心した須藤は柔道部に入部する事になり、柔は無理矢理柔道部のコーチに就任する事になった。
その頃、滋悟郎は勝手に柔のクジTV杯柔道選手権の出場を決めてしまう。これを知った松田は、柔がまた嫌いな柔道から逃げてしまうのではないか、という事を懸念して、柔を発奮させようと無理矢理連れ出してライバルである本阿弥さやかが風祭コーチと稽古をつけている様子を見せる。しかしライバルの頑張る姿を見て奮起すると思っていた松田の意に反して、柔は意気消沈した様子である。その様子を見て、柔が実は風祭コーチの事が好きだということを感じとった松田は、今度は風祭に、柔がクジTV杯柔道選手権に出場するようを説得する事を頼み込む。松田の頼みを受けて風祭は柔を説得し、ようやく柔は選手権に出場する事を決める。いざ選手権になると、柔はあっという間にオール一本勝ちで勝ち上がって、決勝で対峙した本阿弥さやかも難なく破って危なげなく優勝する。
その頃、武蔵山高校柔道部は柔のトレーニングの成果によって団体戦の初戦を突破する。彼らの努力する姿を見て、柔は一生懸命やれば結果が出るという事の素晴らしさを教わった。その後、西海大学へ入学させて柔道生活にどっぷり浸からせたい滋悟郎と対立しながら、柔は柔道部のない三葉女子短大家政科を第一志望として受験勉強を開始する。
この頃、既に柔は世界中の女子柔道家からマークされる存在となっており、突然カナダの女子柔道選手、ジョディ・ロックウェルが柔との対戦を希望して猪熊家にやってくる。ジョディは猪熊家に居候しながら滋悟郎の指導を受け、また柔とも仲良くなっていく。ある日はじめて世界の一流選手であるジョディと試合をした柔は、柔道の楽しさを知り、公式大会での再戦を約束してジョディはカナダへ帰っていった。ジョディと戦うために世界選手権クラスの大会への出場を目標とする柔は、受験勉強と柔道の試合をこなしていく。そんな時、世界柔道選手権でロシアの強豪テレシコワにジョディが敗れて靱帯断裂の大怪我を負ってしまったというニュースが飛び込んでくる。それを聞いた柔は目標を失って、また柔道をやる気を失ってしまうが、ジョディからは復帰していつか再戦しようという内容の手紙が届く。また、滋悟郎も柔道の試合に出場する事を条件に、反対していた三葉女子短大受験にオーケーを出したため、柔は再び柔道に取り組み出す。過密なスケジュールの中、受験勉強の甲斐あって柔は何と三葉女子短大に合格。まさか受かるとは思っていなかった滋悟郎は、三葉女子短大への進学に抵抗していたが、柔の理解者でもある母の玉緒の説得もあって、最後は滋悟郎も、柔道に真剣に取り組む事を条件に渋々入学を許可する事となった。こうして柔の女子大生活が幕を開ける。

三葉女子短大時代

滋悟郎の反対を押し切って三葉女子短大に合格した猪熊柔は、幼い頃からバレエで世界を目指し、プリマドンナになるという夢を持っていた元バレリーナの伊東富士子と知り合う事となる。富士子は175cmと、身長が高くなりすぎたためにバレエを諦めざるを得なくなった過去を持ち、一方で、柔道以外には目もくれずに育てられた柔とは、似たもの同士という事ですぐに気が合って親友となっていく。
柔道からは距離を置きながらも、柔道のせいで柔の女子大生活は夢見ていたような華やかな生活にはならないが、それなりにエンジョイしているのであった。ある日報道で、柔が柔道の達人であるという事を知ってしまった富士子に、バレエで世界の舞台で活躍するという自分では叶えられなかった夢を柔道で叶えてほしいと説得されて、柔は自分では距離を置きたいと思っている柔道を再認識し、全日本選手権に出場する事となる。「柔よく剛を制す」をモットーとしている滋悟郎は、それを体現する無差別級をオリンピックで開催させるべく、小柄な柔が圧倒的な強さで優勝させる様子をタマランチIOC会長に見せつける。小さな女の子が大きな相手を次々に投げる姿に感動したタマランチ会長は、滋悟郎の思惑通りに次のソウルオリンピックでの柔道女子無差別級の開催を決定。
柔は相変わらず柔道には前向きになれずにいたが、母の玉緒から、ソウルに行方不明になっている父の虎滋郎がいるらしいということを知らされ、父親に会うためにソウルオリンピックに出場する事を決める。オリンピック本戦ではライバルである日本代表の本阿弥さやかが金メダル獲得を逃す中、柔はベルギーのベルッケンスやロシアのテレシコワといった世界の強豪を危なげなく次々と破り、無差別級で金メダルを獲得、女子柔道界最強の座を不動のものとした。
ソウルでは父親に会うことはできなかったが、オリンピック後のある日、滋悟郎から、5歳の柔が父を巴投げで投げてしまい、そのショックで虎滋郎は失踪してしまったのだと聞かされる。自分の柔道のせいで家族がバラバラになってしまった事に衝撃を受けた柔はついに柔道を辞めようとする。これを知った富士子は、再び柔に柔道に復帰してもらおうと、滋悟郎をコーチに迎えて全員初心者の三葉女子短大柔道部を創設。強豪筑紫大学との試合では、南田、日陰、小田、四品川ら素人軍団が奮闘しつつも負けて悔しがるのを見た柔は、2か月後に開催される紫陽花杯女子学生団体対抗大会までに勝つチームに育てる事を目標に、ようやく女子柔道部に入部する。こうして滋悟郎と富士子の思惑通り、柔は徐々に柔道に復帰していく。また、意外にも富士子はバレエで培った運動神経を遺憾なく発揮して柔道でも才能を開花させ、紫陽花杯では聖身女学館の大将の本阿弥さやかと引き分けるまでに急成長する。こうして紫陽花杯で仲間と勝利の味を分かち合った柔は、短大卒業後の進路として旅行代理店を第一志望として就職活動に入る。今度こそ柔の西海大学行きを実現させたい滋悟郎と、旅行代理店に就職したい柔との進路の対立が進む中で、柔は富士子と共にユーゴスラビアで開催される世界選手権に出場し、富士子は滋悟郎の指導もあって4位入賞と大健闘。48kg以下級に出場した柔は大会中終始不調であったが、ギリギリで駆け付けた松田の応援によってロシアのフルシチョワを下して優勝する。この時、松田がそばにいたおかげで柔道に打ち込めていたという事を認識する事になり、自分の松田への想いに気づくのであった。
三葉女子大柔道部とポルナレフ監督率いるフランスの強豪セーヌ大学柔道部との試合結果で、進路を巡る柔と滋悟郎の対立に終止符を打つ事となり、勝ち抜き戦ではなく総当たり戦という不利な条件にもかかわらず、三葉女子大柔道部員たちの活躍により勝利をおさめ、またしても柔は滋悟郎の意向とは逆に、自分の希望通り旅行代理店鶴亀トラベルへの就職を決めたのであった。

鶴亀トラベル時代

父を探しやすくなるという理由から、滋悟郎の反対を押し切って鶴亀トラベルへ就職した柔は、まったくやる気がなく、冴えない窓際族の羽衣という課長の下で働く事となった。毎日仕事と柔道に勤しんでいたが、ある日、柔道全日本選手権と仕事のダブルブッキングを起こしてしまい、柔は仕事を優先させて全日本選手権をすっぽかそうとする。しかし、実は大の柔道ファンであり、後の責任は自分が取るという羽衣と日刊エヴリーの松田によって、柔道を優先すべきと試合会場へ強引に連れられ、準決勝では本阿弥さやか、決勝では初対決となった伊東富士子を破って圧倒的な強さで優勝する。こうしてまた、柔は柔道の道を進んでいく事となる。
一方の伊東富士子は、彼氏の花園に会ってもらえず、絶不調となって結果が残せずにいた。柔が花園薫から話を聞くと、柔道で活躍する富士子に対して自分の不甲斐ない成績を恥ずかしくて思っており、10月の正直杯で良い成績を収めるまでは富士子に会わないという決心をしたと聞かされる。滋悟郎と柔のトレーニングの成果から、花園は正直杯決勝まで進み、決勝では大健闘するも2位に終わってしまう。しかしながら、この頑張りを富士子に褒められて二人は再び結ばれ、その後、富士子もどんどん調子を取り戻して福岡国際女子柔道選手権でも柔と共に優勝、柔道生活は順風満帆に見えたが、富士子の妊娠が発覚し柔道を引退する事となってしまう。こうして花園は責任を取って富士子と結婚する事となった。
鶴亀トラベルも全日本選手権を制した柔の勢いを借りて、柔道ファンである羽衣を部長、滋悟郎を名誉顧問に迎えて、柔道部が設立される。毎日柔は柔道と仕事の双方に打ち込んでいたが、何と父・虎滋郎が本阿弥さやかのコーチになって、自分を本気で倒そうとしている事を知ってショックを受けて、全日本体重別選手権の試合を放棄すると共に柔道界から去ってしまう。これが柔の初の公式試合敗戦でもある。柔に不戦勝したさやかが勢いに乗ってバルセロナ世界選手権出場権に優勝する傍ら、松田と滋悟郎は何とか柔を柔道復帰させようと、出産した富士子に柔道界復帰を依頼。悩んだ富士子であったが、親友の柔のため、そして娘に胸を張れる母となるためにもママさん柔道家として柔道練習を再開。しかし柔は、松田が同僚の加賀邦子と結婚して記者を引退すると誤解してしまい、また落ち込んで、さらに富士子の復帰を利用して自分を柔道に戻そうとする松田と滋悟郎に対して怒って、逆に引退の意思を強く固めてしまう。そんなある日、松田の書いた過去の自分に関する新聞記事を読んだ柔は、長い間ずっと自分のことを見守っていてくれたことに気付く。居ても立っても居られない柔は、すぐさま松田のアパートに駆け付ける。松田が記者を引退すると誤解している柔は、自分も柔道をやるから記者をやめないでほしいと懇願し、父との対決を覚悟の上でやっと本気で柔道に復帰する決意を固める。
バルセロナオリンピックへの切符を手に入れるべく、体重別選手権の一発勝負に挑んだ柔は、父の秘密特訓によって華やかさを捨てて、地味な寝技を磨いてきたさやかと対戦する。パワーアップした本阿弥さやかの蟻地獄のような凄まじい寝技に苦戦しつつも、柔は父親のトラウマを克服し、さやかを破って勝利してバルセロナオリンピック出場権を手に入れた。

バルセロナオリンピック

バルセロナオリンピックの出場権を富士子と共に勝ち取った柔。本戦を勝ち上がり、出産後の復帰した富士子は何と銅メダルを獲得という快挙を成し遂げる。いよいよ無差別級、柔が一回戦で対戦するのは48 kg以下級の小柄かつ一本背負いを必殺技とするフランス代表のマルソー。実はマルソーのコーチは本阿弥さやかと同じく、父である虎滋郎なのであった。柔は自分と瓜二つの柔道をするマルソーに苦戦しながらも、最後は一本背負いを封じられてなす術のなくなったマルソーに勝利。試合後、実は父がいろいろな選手をコーチして柔に挑んでくるのは娘が憎いからではなく、5歳の柔に天賦の柔道の才能を感じ、ライバルを育てて送り込み、柔と対戦させる事が柔を強くするための方法であった事を父から聞かされ、はじめてわだかまりが解けて父と柔道への愛を感じ、柔道に前向きに取り組めるようになる。
勝ち進んで迎えたバルセロナオリンピックの無差別級決勝、最後に対戦するのは、昔世界大会での再選を約束した親友ジョディ・ロックウェル。その約束を、バルセロナオリンピックの決勝の場で、日本代表対カナダ代表という立場で果たす時が来る。重量級のジョディと一進一退の激しい攻防接戦となったが、死闘の末、最後に柔は得意の一本背負いでジョディを背負って破り、ソウルに続いてバルセロナでもオリンピック2連覇を果たす。さらに、帰国後は滋悟郎の念願でもあった国民栄誉賞を受賞することになる。
しかし、同時にこれまで柔を追い続けていた松田が、取材のためにアメリカへ転勤することになる。出会いはひったくり犯のスクープ記事で、最初はしつこい三流スポーツ紙の記者でしかなかった松田であったが、徐々に松田の仕事を超えた熱意と優しさに気付き、心惹かれていた柔は松田を空港へ見送りに行き、その別れ際にやっと互いの気持ちを確認しあう時が来た。柔は日本でいつも通りの日々を過ごしながらも、松田を追ってアメリカに赴くことを決めるのであった。

『YAWARA!』の登場人物・キャラクター

猪熊家

猪熊 柔(いのくま やわら)

CV:皆口裕子
本作の主人公。類まれなる才能を持つ柔道少女で、オリンピックでの金メダル、国民栄誉賞受賞を目標として幼い頃より祖父の滋悟郎の手ほどきを受けてきたが、本人は柔道に積極的ではなく押しの強い祖父のペースに巻き込まれ半ば嫌々ながら取り組んでいた。普通の女の子でいたいという本人の意思から柔道の実力をひた隠しにして生活していたが、ひったくり犯を巴投げするシーンを新聞記者の松田にスクープされたことにより世にその存在が知られる。華奢な女性でとても柔道が強そうな風体ではないが、その力量は重量級の相手であっても軽々投げ飛ばしてしまうほど。階級は48kg以下級で、無差別級の試合にも出場する。必殺技は一本背負いで、ほとんどの相手はこれでしとめているが、他の技でも非常にレベルが高く、立ち技寝技をこなすオールラウンダーである。柔道以外では恋愛にあこがれる普通の女の子であり、料理が得意で、ファッションなどにも興味が深く、高校時代はアイドルの追っかけなどもしていた。次第に松田に強い想いを寄せるようになり、最終的には自分をずっと見守ってくれていた存在だと気づき、彼に強く恋い焦がれるようになる。

猪熊 滋悟郎(いのくま じごろう)

CV:永井一郎
柔の実の祖父で、全日本柔道選手権を5連覇した柔道の達人で、柔を幼い頃から柔道の達人として育ててきた。世界中の多くの柔道家からの尊敬の対象となっている。孫娘の柔が恋愛やファッションに目を向けることを良く思っておらず、柔道を嫌がる柔にあの手この手で柔道の道を進めようとする。また、目立ちたがりで見栄っ張りな性格で、テレビに映ったり注目を集めることが大好きなため、しばしば柔の代わりに表に出張ってくることもある。

猪熊 玉緒(いのくま たまお)

CV:藤田淑子
柔の母で、家に戻ったり父親の行方を探しに出たりを繰り返しているが、しっかり者で柔の精神的支柱、人生の相談役にもなっており、彼女も母親を深く愛している。滋悟郎も彼女の料理の味を好んでおり、絶えず「絶品ぢゃ!」と褒めている。虎滋郎のことはいなくてもいつでも心はつながっていると信じて疑わない心優しき人。

tomonori0526
tomonori0526
@tomonori0526

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