PLUTO(プルートウ)のネタバレ解説・考察まとめ

『PLUTO』とは、手塚治虫の作品「鉄腕アトム」の中のエピソード「史上最大のロボット」を原作とした浦沢直樹の漫画作品。
舞台は人間とロボットが共存する世界。世界最高水準の能力を持つ7体のロボットが、次々と何者かに破壊される事件が起きる。7体のロボットの1人・ドイツ刑事ロボットのゲジヒトは、一連の事件に深く関わっているとされる謎のロボット「プルートウ」の正体に迫っていく。

その頃天馬博士はアブラーと名乗る男により拉致される。
アブラーと名乗る男は、天馬博士に、自分の脳を自分が作った最強のロボット・ボラーに移植することにより、最強のロボットを作り出してほしいと依頼する。
しかし、天馬博士はそれはできないと断る。
実は、アブラーと名乗る男の正体は、かつて天馬博士がアブラー博士の依頼により作った完全なロボット・ゴジだった。
天満博士のプログラミングがあまりにも複雑だったためゴジは目覚めなかったが、死んだアブラー博士の「無念」の感情を挿入され、目を覚ます。その顔はアブラーと同じだった。ゴジは「自分はアブラー」だと人工知能を騙し、「惑星改造ロボット・ボラー」と「サハド=プルートウ」を作り上げたのだ。

天馬博士からそのことを聞いたゴジは混乱状態に陥り、機能停止してしまう。
その後、アブラーの姿のボディに埋め込まれていたゴジの人工知能は、無数のゴキブリたちによってアブラーの姿のボディから抜き取られ、ボラーのボディに挿入された。

アトムとプルートウの戦い

壮絶な戦いを繰り広げるアトム(左)とプルートゥ(右)

トラキア合衆国の気象予報ロボット・アーノルドは、トラキア合衆国の保護地区・エデン国立公園の地下のマグマだまりの中に、反陽子爆弾のようなものが埋め込まれているのを発見する。巨大なマグマだまりの噴火によって引き起こされる様々な異常気象や地殻変動によって、地球は崩壊の危機に瀕していたのだった。
アトムは、エデン国立公園にて彼を待ち構えていたプルートウと再び対決する。
プルートウによって殺害された6人のロボットたちの無念を背負い、プルートウを殺害しようとするアトム。
しかしそんなアトムの脳裏に、ゲジヒトのメモリーチップの中に記録された、「憎しみからは何も生まれないよ」というゲジヒトの最期の言葉が響く。
ゲジヒトの言葉に感化されたアトムは、6人のロボットを殺害したプルートウへの憎しみから目が覚め、プルートウを殺害することを断念する。
自分を殺害しないアトムの優しい心に触発されたプルートウは、サハドとしての人格を取り戻す。

一方ボラーは、エデン国立公園の地下のマグマだまりの中を突き進んでいた。自身に搭載された反陽子爆弾を爆発させることにより大規模な火山活動を引き起こし、世界を滅ぼそうとしていたのである。
マグマだまりの中に潜入していたプルートウとアトムだが、プルートウはアトムを地上に逃がし、自身は相打ちとなることでボラーを破壊する。
地上では迫りくる火山流によってお茶の水博士が逃げ場を失っていたが、間一髪アトムが駆け付ける。それでも勢いは収まらず諦めかけたその時、プルートウが死の間際に緑化能力を駆使しマグマを凍らせて世界を護った。

雪が降り積もる中、アトムやお茶の水博士は、地面から飛び出したプルートウの角のそばに佇んでいた。
一連の事件は、第39次中央アジア戦争の犠牲となったアブラー博士の「憎しみ」によって引き起こされたものだった。
アトムは、プルートウによって殺害されてしまったモンブラン、ノース2号、ブランド、ヘラクレス、ゲジヒト、エプシロンの6体のロボットと、ボラーとゴジの人工知能を破壊するため犠牲となったプルートウの冥福を祈りながら、世界中から憎しみがなくなる日が来ることを祈るのだった。

エピローグ

ブラウ1589が、収容されていた施設から脱走した。ブラウ1589は、トラキア合衆国大統領・アレキサンダー大統領と彼のブレーンである超高性能ロボット・Dr. ルーズベルトのもとに向かう。
アレキサンダー大統領を絞殺しようとするブラウ1589だが、握りしめたアレキサンダー大統領ののど元に温かさを感じ、その温かさから心があると感じたためにアレキサンダー大統領を開放する。

それを見たDrルーズベルトは、人間をロボットより下等の者としてみなしている自身とは違い、ブラウ1589は「心」といった人間的な情緒を大事にしているのだと悟る。そして、ブラウ1589ほど高性能なロボットでも自分のように情緒を切り捨てた超然的な考え方ができないのだと知り、残念がる。

その時、ブラウ1589は自身に刺さっていた巨大な槍をDr. ルーズベルトに投げつけた。

『PLUTO』の登場人物・キャラクター

世界最高水準の7体のロボット

ゲジヒト

CV:藤真秀

本作の主人公格のロボット。ゼロニウムの開発者・ホフマン博士によって開発された。ドイツで刑事として働きながら、妻であるロボットのヘレナと2人で暮らしている。

強い衝撃にも耐えうる特殊合金・ゼロニウムで作られたボディを持ち、さらに左右それぞれの手は強力な兵器であるゼロニウム弾と睡眠ガスを発射できる作りになっているなど、高い戦闘能力があるロボットである。
その他にも、飲み物などの成分をスキャンする機能、相手が嘘をついていないかを識別する機能、画質の乱れを修正する「画質安定装置」など、数多くの機能を持っている。

第39次中央アジア戦争の際には、治安維持部隊として戦争に参加していた。

かつてゴミとして廃棄されそうになっていた壊れかけのロボット・ロビタを引き取り、妻のヘレナと2人で自分たちの子供として育てていた。
しかし、2年前にロビタがロボットを憎んでいたアドルフ・ハースの兄に殺害されてしまうと、怒りのあまり自身に搭載されたゼロニウム弾でハースの兄を撃ち殺してしまった。
その後、「ロボットが人間を殺害した」という出来事を世間に伏せたがったユーロポーロの操作により、ゲジヒトやヘレナから、ロビタの記憶やゲジヒトがハースの兄を殺害した記憶などの事件に関する記憶が消去される。
しかし、ゲジヒトは完全にそれらの記憶を失ったわけではなく、しばしばフラッシュバックや悪夢として蘇る事件に関する断片的な映像に悩まされている。

プルートウによる一連の事件を捜査する中で、アドルフ・ハースやロビタに似ているロボットのモハメド・アリに出会い、ロビタに関する記憶やハースの兄を殺害した記憶が蘇ってゆく。

プルートウの正体であるサハドがかつて留学していたオランダを訪れていた時に、プルートウと遭遇する。ゼロニウム弾を使用し、プルートウを無力化するまで追い詰めるものの、プルートウの正体である青年・サハドの悲しみに触れたことや、自身の開発者であるホフマン博士がゴジに人質に取られているという情報を知ったことなどからプルートウにとどめを刺して殺すことを拒否し、その場を立ち去る。
しかし、その直後、プルートウとの戦闘によりボディにダメージを受けている状態で、ゴジに操られたモハメド・アリに小型クラスター砲で撃たれ、死亡する。

アトム

CV:日笠陽子

日本で小学生として生活しているロボット。
世界最高水準の7体のロボットの中でも、人間のように豊かで複雑な感情表現ができる優秀な人工知能を持っている。御茶ノ水博士によって作られた妹のロボット・ウランがいる。

一人息子・飛雄を亡くし、悲しみに暮れていた天馬博士により、飛雄の代用の存在として作られた。
しかし、アトムの優等生的な性格は実際の飛雄の性格とは大きくかけ離れていたため、天馬博士からは「失敗作」とみなされ、捨てられてしまった。

第39次中央アジア戦争の際には、戦闘には参加しておらず、戦争により被災した人々を慰安するアイドル的な存在を受けていた。

一度はプルートウとの戦いに敗れ、命を落とす。しかし、天馬博士によりゲジヒトの最期の記憶が記録された記憶チップが挿入されたことや、遠くの地で起きたエプシロンの死に反応したことにより、プルートウとの戦いの中で命を落としてしまったゲジヒトやエプシロンの、無念や悲しみという「偏った感情」に触発されて目を覚ます。

その後、エデン国立公園にて再びプルートウと対決し、プルートウを殺害しようとするが、自身に埋め込まれているゲジヒトの記憶チップに記録された、「憎しみからは何も生まれない」というゲジヒトの言葉に触発され、プルートウの殺害を思いとどまる。その後、自身の殺害を思いとどまったアトムの心に触発され、サハドとしての自我を取り戻したプルートウと協力し、地球を滅亡させようとしていたロボット・ボラーと対決する。プルートウとともに地下のマグマの中にいるボラーのもとへと向かうが、プルートウの計らいによりアトムのみが脱出させられる。
プルートウが自身を犠牲にしてボラーを破壊し、地球の平和を守ったことを見届けた後、世界中から憎しみがなくなる日が来ることを願いながら、犠牲となった世界最高水準の6人のロボットとプルートウの冥福を祈る。

モンブラン

CV:安元洋貴

スイス林野庁に所属し、アルプスの森林の保護や遭難者の救助活動などをしていたロボット。
穏やかで温厚な性格で、多くの人に愛されていた。

第39次アジア戦争の際には、ブランドやヘラクレスとともに戦闘に参加し、大量のロボットを殺害した。
しかし、優しい性格故に、ロボットを殺害することに関して苦悩していた。

世界最高水準の7体のロボットの中で、一番最初にプルートウに殺害されてしまった。

ノース2号

CV:山寺宏一

スコットランドの音楽家、ポール・ダンカンの執事として働いているロボット。
7体の世界最高水準のロボットの中で唯一、明確に軍事目的のため作られたロボットである。全身に様々な武器が搭載されているが、普段はケープを羽織ることでそれらの武器を隠している。

第39次中央アジア戦争に参加し、多くのロボットを殺害してしまったというトラウマから夜な夜な悪夢にうなされている。

ロボットを嫌うポール・ダンカンから嫌悪感を持たれていたが、ダンカンが子供のころに彼のもとを去った母親について調査し、「ダンカンの母は病気だったダンカンの治療費を得るために金持ちの男の愛人になり、ダンカンのもとを去った」という事実を明らかにしたことにより「母親は、金持ちの男に言い寄られて男が持つ金に目がくらんだんだ挙句、邪魔になった自分を捨てた」という母親に対するダンカンの誤解を解き、そのことがきっかけで和解する。その後、ダンカンからピアノを習うようになる。

ダンカンと穏やかな生活を送っていたが、世界最高水準の7体のロボットを狙っていたプルートウに襲われ、空中で戦闘する。しかし戦いに敗れ、木っ端みじんになって死亡する。

ブランド

CV:木内秀信

トルコで格闘技の選手をしていたロボット。ESKKKRトーナメントチャンピオンになるなど圧倒的な強さを持っており、観客に高い支持を得ていた。
ギリシャの格闘技ロボットであるヘラクレスとは、競技の上でのライバル関係だった。
妻と5人の子供たちとともに、にぎやかで幸せな暮らしを送っていた。

第39次中央アジア戦争の際には戦闘に参加し、大量のロボットを殺害した。

最初に殺害されたロボット・モンブランとは友人関係だった。モンブランの仇を打つためプルートウに挑むものの、戦いに敗れ死亡する。
死の間際に、戦いの中で得たプルートウの情報をアトムやヘラクレスに送ろうとするが、彼自身の家族への強い思いが通信を妨げ、家族との記憶を走馬灯のように振り返りながら死亡する。

ヘラクレス

spsomonu4
spsomonu4
@spsomonu4

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