あさドラ!(浦沢直樹)のネタバレ解説・考察まとめ

『あさドラ!』とは日本の漫画家・浦沢直樹が描くヒューマンSF漫画。2018年10月から小学館の漫画雑誌『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載が始まった。戦後の名古屋・東京を舞台に、主人公の少女浅田アサが飛行士としてたくましく成長していく姿が描かれている。また、突如現れた巨大怪獣の謎を追うというストーリーも絡んでくる。タイトルはNHKの連続テレビ小説、いわゆる「朝ドラ」に由来している。タイトルの別表記は『連続漫画小説あさドラ!』である。

『あさドラ!』の概要

『あさドラ!』とは、小学館の漫画雑誌『週刊ビッグコミックスピリッツ』に日本の漫画家・浦沢直樹(うらさわなおき)が2018年から連載しているヒューマンSF漫画である。作品タイトルの『あさドラ!』はNHKで放送されている連続テレビ小説、いわゆる「朝ドラ」に由来している。作品の別表記は、よりそれがわかりやすいように『連続漫画小説あさドラ!』となっている。
浦沢直樹は『YAWARA!』や『20世紀少年』など多くの人気漫画を手掛けた日本を代表する漫画家である。サスペンス漫画『MONSTER』と鉄腕アトムのリメイク漫画『PLUTO』で2度の手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞している唯一の人物でもある。

物語は1959年の9月26日の伊勢湾台風の日から始まる。台風で家族が行方不明になった小学6年生の少女浅田アサ(あさだあさ)は、元戦闘機乗りの春日晴夫(かすがはるお)と偶然知り合う。春日と2人で飛行機に乗り、被災した人たちにおにぎりや水を投下したことで、アサは飛行機の魅力に惹かれ始める。2人はそこで巨大な尾のようなものを目撃する。
17歳になったアサは、東京で春日と一緒に軽飛行機を使った航空会社を経営していた。高校にも通い青春を謳歌していたアサの前に春日の元上司である実相寺(じっそうじ)が訪れる。アサと春日が見せられた写真には、伊勢湾台風の翌日に見た巨大な尾が写っていた。
アサと春日は実相寺の依頼を受け、間近に迫った東京オリンピックを守るため、巨大怪獣の正体を解明すべく飛行することになる。

本作はアメリカの出版社「ファンタグラフィックス」が主催する「ハーヴェイ賞2021年ベストマンガ」部門にノミネートされた。
またイタリア・ルッカで行われているマンガとゲームの祭典「Lucca Comics & Games 2021」では「Lucca Comics Awards 2021, Best Series」を受賞している。
国内でも「2019年上半期最も売れた1巻ランキング」で第2位を獲得した。

『あさドラ!』のあらすじ・ストーリー

1959年9月26日に名古屋を襲った伊勢湾台風

1959年9月26日、名古屋市南区の海沿いに住む小学6年生の浅田アサ(あさだあさ)は、産気づいた母のために台風の中、産婦人科医院に急いでいた。アサの家は大家族で、生まれてくる子も入れると12人姉弟であった。
医者を自転車で先に家に向かわせたアサは、医者から借りた雨合羽を羽織り、家へと走っていた。途中で1歳上の幼馴染の早田正太(はやたしょうた)と出会う。5年後の東京オリンピックのマラソン種目を目指してトレーニングをしている正太は、これから愛知県北部に位置する小牧まで走るのだとアサに語る。正太と話す途中で、アサは民家の窓から這い出ようとしていた泥棒を発見する。アサは1人で泥棒を追いかけようとするが、反対に泥棒に捕まってしまう。

泥棒の正体は春日晴夫(かすがはるお)という男だった。春日は第2次世界大戦中は優秀なパイロットで、数多くの戦闘から仲間を乗せた飛行機を生還させていた「空の勇者」であった。しかし戦争が終わってからは、飛行機に乗ることはできず職を転々としていた。飛行機免許を取る金欲しさの一心で、春日は泥棒に手を染めてしまう。
アサが着ていた合羽を見て医者の娘だと勘違いした春日は、アサをさらい誘拐電話をかけようとする。しかしアサが自分は医者の娘ではないとを伝えると、がっかりして涙を流す。
素直なアサは春日の身の上話を聞いて悪人ではないことに気づき、自分を解放するように諭す。
しかし台風がますます勢力を大きくし、2人が隠れていた倉庫も吹き飛ばされそうになった。アサと春日は安全な場所を求めてコンテナの中に逃げ込む。
風雨に翻弄されるコンテナの中で、春日の行きつけの「めし処きぬよ」の女将が握ってくれたおにぎりを食べる。「空の勇者」だった自分の話を信じてくれたアサにほだされ、春日は嵐が止んだら自首することを約束する。

外の様子が静かになった後、コンテナの扉を開けた2人が見たのは見渡す限りが水没し、大量の丸太に覆われた名古屋港の光景であった。

飛行機による救援活動

一変してしまった風景に、アサは必死で家族を探そうとした。しかし高潮による浸水で、アサの家があった名古屋の海沿いは水没してしまっていた。貯木場も決壊し、大量の丸太が民家を襲い甚大な被害が発生している。
アサの家族も流されたと諭そうとした春日に「おっちゃんは勇者でしょうが!勇者があきらめるんか!」とアサは涙を浮かべて訴える。その言葉に押されるように、春日はある計画を思いつく。
春日とアサは二手に別れ、春日は飛行機を手に入れるため飛行場へ、アサはおにぎりを作りに春日の行きつけの「めし処きぬよ」に行く。春日は小牧飛行場で以前自分を雇うように売り込んだ麻薬の売人の格納庫に入り込む。麻薬の売人の飛行機に勝手に乗り込んだ春日は、飛行機は手に入れたものの右肩を拳銃で撃たれ負傷してしまう。一方アサは「めし処きぬよ」を訪れ、被災した人たちへ配るおにぎりを握ってくれるようにきぬよに頼む。ただでは作らないというきぬよにアサは「一生かかってもお金を払うから、握れるだけのおにぎりを握ってくれ」と頼み込んだ。アサの本気を受け止めたきぬよは近所の女性たちを集めて、大量のおにぎりを握り始める。
名古屋の100メートル道路を緊急の滑走路にした春日はアサと合流し、おにぎりや水に風船を付けて飛ばそうと提案した。飛行機に同乗しおにぎりを投げる役目となったアサは、生まれて初めて空を飛ぶ。

アサと春日はおにぎりや水を投下し続け、何往復かしたあとアサの家のある辺りの上空に差し掛かる。
そこでアサは家を踏み潰すようにつけられた巨大な足跡を目撃する。驚愕するアサは少し離れた屋根の上に弟と妹、そして生まれたばかりの赤ん坊を抱えた産婦人科の先生を見つけた。弟たちにおにぎりを投げようとしたアサの目に、巨大な生物の尾のようなものが映った。
巨大な尾による襲撃を間一髪で逃れたアサたちはまたきぬよたちのもとに戻り、おにぎりと赤ん坊用の粉ミルクを届けに飛び立つ。しかし売人から飛行機を奪った時に拳銃で撃たれていた春日は、次第に操縦ができなくなっていく。操縦桿もにぎれなくなってきた春日は、仕方なくアサに操縦の仕方を教える。12歳のアサは飲み込みが早く、しばらく飛ぶと早くも飛行機と一心同体のような感覚を覚えていった。
今日が自分の誕生日だったことを思い出したアサは、春日に「この飛行機がほしい」とつぶやく。意識を失いそうになりながらアサに指示を出す春日は、飛行機を手に入れるための作戦をアサに伝える。
無事に飛行機を着陸させたアサは、重傷の春日をきぬよたちに任せて、1人小牧飛行場に向かう。そこには春日に飛行機を奪われた売人の格納庫があった。飛行機に積まれていた覚醒剤と飛行機を交換するよう、アサは取引を持ちかける。売人は子供のアサが言うことに耳を貸さなかったが、あとから駆けつけたきぬよと警察官のお陰で売人は逮捕された。アサの度胸に感心した売人は、逮捕される前に飛行機の譲渡書をアサに渡す。

高校生になったアサ

舞台は1964年の東京に移る。
17歳になったアサは飛行機免許も取得し、春日と一緒に「浅田アサ商会(ASA)」という曲技飛行をする会社を運営していた。会社の名前は、5年前の伊勢湾台風で行方不明になっている家族に気がついてほしいという願望からつけられていた。
またアサと3人の弟妹、信六(しんろく)、ハヅキ、孝七(こうしち)はきぬよの世話になっており、きぬよが東京に開いた店の2階で生活していた。

そこへ春日の戦争中の上官、実相寺実(じっそうじみのる)が訪れる。実相寺が春日に見せた写真には、台風の翌日アサが見た巨大怪獣の尾のようなものが写っていた。実相寺の依頼はオリンピックを控えた東京を守り、平和の祭典であるオリンピックを無事開催させるため、巨大怪獣についてその詳細を調べることであった。実相寺は春日の航空技術を見込んでいたが、麻薬の売人に撃たれた傷が元で春日は繊細な操縦ができなくなっていた。そこで春日はアサと2人でその依頼を受けることにする。万が一に備えてアサたちの飛行機にはロケットの発射装置が2基取り付けられた。

一方アサは普通の女子高生生活を送っていた。同級生のヨネちゃんとミヤコちゃんは歌と踊りが大好きで、アサも含めた3人で芸能界入りを目指していた。
しかしある日、ヨネちゃんは芸能事務所のスカウトから声をかけられる。一緒にいたミヤコちゃんと一緒に返事をしようとしたヨネちゃんに、「興味があるのは君だけだ」とスカウトは念を押す。芸能界に憧れを持ちながら、ミヤコちゃんを裏切ることになることに思い悩み、ヨネちゃんはアサに相談する。
「ヨネちゃんなら1人でオーディションに行ける」とアサに励まされたヨネちゃんは、意を決してスカウトに連絡を取るのだった。

巨大怪獣との戦い

1964年10月9日未明の相模湾沖に巨大怪獣が出現し、漁船が襲われたという報告が入る。その知らせを聞いた実相寺は春日に連絡を取ろうとするが連絡がつかず、アサを直接捕まえるためにアサの高校を訪れる。実相寺とともに格納庫に到着したアサは、連絡の取れない春日のかわりに自分が飛ぶことを決意する。

その頃春日は格納庫にこっそり忍び込んだ形跡を見つけていた。春日は同じ飛行場内にある「日刊エヴリー新聞社」の事務所に押し入る。アサの写真の他に、飛行機に取り付けたロケット発射装置やロケット弾の写真を見つけた春日は、新聞記者の身を案じ口止めしようとする。しかしそれに反発する新聞記者はカメラと写真を持って車で逃走する。春日も車で追いかけるが、スピードを出しすぎた新聞記者は誤って人をはねてしまった。目撃者もいない雨の中、ひき逃げしようとする新聞記者に、春日は写真やカメラと引き換えに自分が身代わりになることを提案する。新聞記者を見送った春日は、通りかかったトラックに救急車と警察を呼んでもらうように頼む。
警察の取り調べを受けた春日は、その足で被害者の入院している病院に行く。目を覚ました被害者は自分は化粧品のセールスマンで、母親が病弱で食事の支度をしなければならないと話す。怪我で動けないセールスマンの代わりに自分が母親のところへ行くと春日は約束する。きぬよの店に行き料理を頼もうとした春日は、そこで連絡係のA倉(えーくら)に出会い、アサが出動したことを聞く。慌てて飛行場に向かう春日は、母親の世話をきぬよに頼む。

アサは巨大怪獣の弱点が書かれているメモを持ってやってきた生物学の研究者、仲井戸慶一(なかいどけいいち)とともに飛び立つ。悪天候の中で日も暮れ暗くなる中、江ノ島沖に巨大怪獣を発見する。
陸地をめがけて進む怪獣を止めるために、アサはロケット弾を発射する。しかし目らしき場所を狙った1発目は効果がなく、仲井戸は必死にメモの解読を試みる。メモに書かれているのが「背中のファスナー」ではないかと推測した2人は、2発目のロケット団を怪獣の背中に向けて発射する。しかし怪獣の背中に生えている鎧のような無数のヒレに阻まれてダメージを与えることはできなかった。あきらめる仲井戸だったが、アサは最後の手段を思いつく。幼い頃に春日とおにぎりを投げたように、飛行機の予備燃料を入れたビニール袋に風船をつけて怪獣の背中に落とし、そこに発煙筒で火をつけるという方法であった。
アサの指示で仲井戸が投げた燃料に火がつき、怪獣にダメージを与えることに成功する。怒り狂った怪獣はアサの飛行機を襲おうと向かってくるが、アサは怪獣を沖合へとおびき出す。
なんとか上陸を阻止したアサだったが、アサの乗る飛行機は夜間飛行ができる機体ではなかった。悪天候で星も見えず、自分が水平に飛んでいるのかもわからない状況の中、アサはなんとかしようと必死で考える。そこに春日が操縦するセスナ機が現れ、春日の誘導で無事着陸する。

一方その頃ヨネちゃんは、スカウトと約束した赤坂に来ていた。ヨネちゃんのスカウトの話を全く聞かされていなかったが、最近のヨネちゃんとアサの様子を不審に感じていたミヤコちゃんも、ヨネちゃんのあとをつけて赤坂に来ていた。しかしミヤコちゃんは愚連隊にからまれ、倉庫に連れ込まれてしまう。絶体絶命のところを女子プロレスラーの集団に救われたことで、ミヤコちゃんは女子プロレスラーに憧れるようになる。
また芸能事務所に連れ込まれたヨネちゃんも、スカウトに超ミニのワンピースを着させられ、襲われそうになっていた。そこへアサに頼まれたキャバレーの元支配人の野呂栄作(のろえいさく)が助けに入る。しかしヨネちゃんに大化けする可能性を見出した野呂は、スカウトと一緒にヨネちゃんをプロデュースすると言い出す。

東京オリンピック開幕

一夜明けた10月10日、東京では無事にオリンピックの開会式が行われた。前夜に冒険をしたアサ、ヨネちゃん、ミヤコちゃんの3人はそれぞれ何事もなかったように登校する。ヨネちゃんは黙ってオーディションを受けに行ったことをミヤコちゃんに詫びるが、ミヤコちゃんは昨夜出会った銀子(ぎんこ)たちに影響を受け女子プロレスラーになりたいと夢を話す。

実相寺は昨夜の巨大怪獣との攻防を、入院中の池田(いけだ)首相に報告する。池田は巨大怪獣の脅威を認めつつも、オリンピックが終わるまでは自衛隊を出動させるわけにはいかないと語る。それまでの間、池田は実相寺とアサに日本の平和を託すと伝えた。
実相寺は当時珍しかったトランジスタラジオをアサに渡し、今後はラジオ放送を利用して連絡を取るため、常にラジオを聞いているように命令する。

放課後になるとアサは、春日がはねてしまったセールスマンの母親の世話と、化粧品の訪問販売をするようになる。
強面の春日は押し売りと勘違いされ拒絶されるが、アサは天性の明るさと正直さで順調に売上を伸ばしていった。

一方東京オリンピックを目指して練習に励んでいた正太は18歳になっていた。東京オリンピックのマラソン代表には選ばれなかったが、次のメキシコ大会を目指して東京の新聞配達店に住み込みで働き、マラソンのトレーニングを続けていた。
東京オリンピックの開会式当日に決意を新たにした正太は、同じ配達員のミッキーと名乗る男から怪しげな薬を受け取ってしまう。
ミッキーはその薬を増強剤のようなものだと話し、オリンピック選手たちも似たような薬を飲んでいると正太をそそのかす。しかし正太はそれを拒否し、自分の努力で栄冠を手にするためにさらなる練習に励む。
ある時電車のホームで偶然アサと再会した正太はアサへの恋心を隠しながら、メキシコ大会でメダルを獲りアサの首にかけることを約束するのだった。

巨大怪獣との2度目の対決

1964年10月21日、東京オリンピックのマラソン競技が行われた。
正太は父や兄たちが考案した模擬マラソンに挑む。それはテレビでのマラソン競技のスタートに合わせて1周1kmの区画を32周走ったあと、マラソンコースに合流し、コース脇の歩道からアベベに戦いを挑むというものであった。
テレビの号砲を合図に走り始めた正太は、順調に先頭グループと同じタイムで走り始める。しかし29周を回ったところで父親が先頭を走るアベベのタイムと混同し、30周と数え間違える。1km遅れていることを自覚している正太は、合流地点で目の当たりにしたアベベのスピードに完全に自信を失ってしまう。

同じ頃化粧品のセールスをしていた春日とアサの耳に、ラジオから巨大怪獣出現の知らせが入る。2人は急いで飛行場に向かい、ロケット弾を装填した飛行機で飛び立つ。
前回相模湾の江ノ島付近に出現した巨大怪獣は、今回三浦半島の野比海岸に姿を表した。海岸からも目視できる距離に現れた巨大怪獣を、2人は沖におびき出そうとする。前回と同じく背中にロケット弾を打ち込まれた巨大怪獣は、アサたちの飛行機を敵とみなして襲ってくる。間一髪で躱したかに思われたが、巨大怪獣の尻尾が水平尾翼をかすめ、飛行不能に陥ってしまう。しかし巨大怪獣は姿を消し、アサたちもなんとか無事に海岸に不時着する。

すっかり自信を失った正太も茫然自失のまま海を目指して電車を乗り継ぎ、野比海岸にたどり着く。今のままではアサを幸せにできないと思い詰め、強くなりたいと願った正太はミッキーから受け取った薬を飲んでしまう。薬の副作用で朦朧とする意識の中、正太の目にも巨大怪獣の姿が見える。幻覚に襲われた正太が見たのは、巨大化して怪獣と戦う自分の姿だった。巨大怪獣と格闘したつもりの正太は、薬が切れたことで気を失ってしまった。
地元の漁師に介抱され目を覚ました正太は、あの薬の力で自分は巨大化できると思いこんでしまう。

翌日、野呂の潰れたキャバレーでヨネちゃんのレコードデビューのためのオーディションが行われた。
野呂にマリリン・モンローにちなんだ芸名「野間陣マリリン」と名付けられたヨネちゃんは、一生懸命歌って踊る。そして野呂が考案したマリリン・モンローのように下からスカートを吹き上げる演出も功を奏し、ヨネちゃんのデビューが決定した。

突然の出会い

舞台は4年後、1968年に移る。
当時の日本はベトナム戦争に反対するデモ活動や、学生運動の嵐が吹き荒れていた。

アサは航空会社ASAの社長として、ミヤコちゃんはプロレスラー、ヨネちゃんは歌手として活躍していた。

しかしレコードデビューを果たしたヨネちゃんの結果は、一発屋に近い状態であった。数枚レコードは出したもののヒットには結びつかない状況の中、ヨネちゃんに映画出演の話が舞い込む。しかし鬼のような監督の演出で、ヨネちゃんはヌードを要求されてしまう。監督の怒声に従う形で仕方なく撮影してしまうが、彼女に想いを寄せる助監督がそのフィルムを盗み出す。ヨネちゃんと助監督は撮影所を抜け出し、世間からは「愛の逃避行」と呼ばれる騒ぎになってしまう。実際の2人はアサの自宅であるきぬよの店の2階に匿われていた。
ただヨネちゃんのヌードが映ったフィルムは、助監督のアパートに置いたままになっていた。ヨネちゃんはアサとミヤコちゃんにそのフィルムの回収をお願いする。

しかしミヤコちゃんはプロレスの試合で捻挫してしまう。1人で行く羽目になったアサは、トップ屋や新聞記者が張り込んでいるアパートへ忍び込む。なんとかアサはフィルムを手にしたが、部屋に鬼監督が乱入してくる。危機一髪で窓から逃げ出したアサは、靴がない裸足のまま路地を逃げ回った。
足を怪我し疲れ果てたアサの耳に、優しいギターと歌声がかすかに聞こえてくる。近づくにつれ聞こえてくる歌声は、幼い頃からアサの心の支えとなってきた「ビコーズ・アイ・ラブ・ユー」の曲であった。
歌っていたのはアメリカから来たリバー・エスリッジという青年で、『It's because I love you』は彼のオリジナル曲であった。
今までの人生をこの曲と寄り添ってきたアサは、リバーに感謝の言葉をかける。
「ミュージシャンとして日本に来たのか?」と訪ねたアサに、リバーは自分は脱走兵なのだと打ち明けた。

『あさドラ!』の登場人物・キャラクター

本作の主人公

浅田アサ(あさだあさ)

本作の主人公。
1959年当時は小学6年生。12人兄弟の6番目。おかっぱ頭で快活な女の子。
伊勢湾台風で父母と兄姉が行方不明になったが、どこかで生存していると信じている。
台風の日に知り合った春日晴夫が運転する飛行機に同乗したことで、空への憧れを持つようになった。
17歳で飛行免許を取得し、春日と一緒に飛行機の曲技飛行をする会社「浅田アサ商会(ASA)」を経営している。
伊勢湾台風の日に目撃した怪獣と、成長してからも深く関わるようになる。実相寺ら政府の極秘組織に加わり、巨大怪獣の調査など危険な任務につくようになった。

アサの周辺の人物

春日晴夫(かすがはるお)

crab10257
crab10257
@crab10257

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